長官記者会見要旨(平成30年12月19日)

会見日時等

平成30年12月19日(水) 13時45分~14時21分
於:気象庁会見室


発言要旨

  よろしくお願いします。まず、私のほうから3点お話をさせて頂きます。

  はじめに、「防災気象情報の伝え方に関する検討会」についてです。 この検討会は、第1回を11月13日、第2回を11月30日に開催いたしまして、防災気象情報が避難などの防災行動に一層役立てられるよう、危機感を効果的に伝えていくための方策や分かりやすくシンプルに伝えていくための方策等について検討を進めてまいりました。前回、11月30日の検討会では、今後に向けた改善の方向性として、大きく次の4点の推進すべき取組についてご議論いただいております。まず第1点目は、危機感を効果的に伝えていくこと、第2点は、情報を使いやすくすること、第3点は、情報を分かりやすくシンプルに伝えていくこと、第4点が、特別警報についての確認、でございます。大変タイトなスケジュールの中、今後の改善策について委員の皆様に大変活発な御議論をいただきました。これまでの検討結果につきましては、近日中にとりまとめのうえ、公表する予定です。気象庁としましては、検討会で示された方向性に沿って改善に向けた対応を速やかに進めてまいりたいと考えております。
  なお、中央防災会議のワーキンググループで示されております防災情報のレベル分けへの対応として、その具体化に向けて検討をする必要などもございますので、年明けにも引き続き、本検討会を開催して、議論を深めていく予定としております。

  次に、気候講演会についてです。今年は記録的な猛暑となりました。また、平成30年7月豪雨や相次ぐ台風の接近・上陸など多くの気象災害が発生いたしました。この夏に相次いだこうした異常気象を踏まえまして、今年度の気候講演会は「異常気象時代を生きる」をテーマとして、2月9日に開催する予定です。講演会では、京都大学の中北英一教授と天達武史気象キャスターをお迎えしまして、異常気象と地球温暖化との関係、気候が変わって行く中での気象情報の活かし方についてご講演をいただく予定です。地球温暖化の進行に伴いまして、猛暑や豪雨などの極端な気象現象が今後も増加するおそれがあります。変わりつつある気候に向き合うため、異常気象について学んでいただく機会にしていただきたいと考えております。

  最後に、国際協力の新しい取組についてご紹介いたします。気象庁では、アジア・太平洋地域のそれぞれの国の気象機関による気象警報等の発表を支援する「地区ナウキャストセンター」の運用を、明日12月20日から開始する予定としております。アジア・太平洋地域の開発途上国におかれましては、例年、台風や大雨などにより多くの人命が失われておりますが、この地域には、適切な気象警報を発表するための実況資料や予測資料が十分でない国もございます。このため、気象庁は、ひまわりのデータを利用しました気象実況資料を、ウェブサイトを通じて提供することとしました。今後も、この新しく運用を開始します「地区ナウキャストセンター」から提供する資料の拡充等を通じまして、この地域の気象防災への支援を積極的に実施してまいりたいと考えております。

  私からは以上です。

主な質疑応答

Q : 「今年の漢字」として「災い」の「災」の字が選ばれましたが、長官の受け止めをお願いいたします。
A : 「今年の漢字」として、今ご紹介にありましたように「災い」の「災」が選ばれたことは承知しております。また、「災害級の暑さ」という言葉が「新語・流行語大賞」のトップテンに選ばれたということもございました。こうしたことにつきましては、国民の皆様が自然災害の脅威と、それに備え防災意識を高めていくことの大切さを感じた年であったと受け止めております。
  振り返ってみますと、今年も多くの自然災害が発生しました。
  1月の草津本白根山の噴火、2月の北陸地方を中心とした大雪、6月の大阪府北部の地震、平成30年7月豪雨や相次ぐ台風の接近・上陸、記録的な猛暑、平成30年北海道胆振東部地震、など様々な自然災害によって各地に甚大な被害が生じたところです。あらためて、災害により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
  毎年のように地震や大雨などにより被害が出ている状況があります。また、地球温暖化に伴う激しい気象の増加や、南海トラフ地震などの大規模な地震の発生も懸念されている状況です。気象庁としましては、的確な情報の発信・提供、様々な安全・防災知識の普及啓発に取り組んできているところですけれども、今年の災害を踏まえまして、自助・共助の力を引き出して強化すること、日本の将来を担っていく子どもの皆さん・若人の皆さんの防災教育が重要であると感じております。
  災害にあわれた方々、地域の一日も早い復興と、来年は災害の無い一年になることを切に願うところであります。また、同時に気象庁として、今後も、市町村や都道府県などの関係機関とよく連携をしながら、地域の気象防災に一層貢献できるようしっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

Q : レベル化の案についてお伺いします。引き続き検討ということになっていて、気象庁が出す情報というのはその中に含まれるという案が示されているんですけれども、気象庁としてこのレベル化の案と今後の議論のスケジュールについて、今の時点でどうお考えでしょうか。
A : 現在、中央防災会議で検討された結果が報告書として間もなくまとめられるものと思っておりますけれども、その中では気象庁の防災気象情報をどのように位置づけるかについて、全部が固まっているわけではございませんので、レベル分けの方向性を踏まえて、それぞれのレベルに防災気象情報をどのように対応付けていくか、この具体については、今後検討整理していかなければならないと思っております。これは先ほど申し上げましたように、「防災気象情報の伝え方に関する検討会」を明年に入っても開催し、年度内をひとつの目途としてこの議論を深めてまいりたいと考えております。

Q : 年度内に、どのレベルにどの情報を当てはめるかということも大枠を決めていきたいということでしょうか。
A : 大枠決めていくのが良いのではないかと考えております。もちろん委員のそれぞれのご意見もありますから、そういうことを踏まえながら、住民の皆さんの避難行動、防災行動を決めていく、いわゆる防災情報のレベル化がなされるわけですので、次の出水期にはそれになるだけ対応できるような形で、私どもも検討を進めていくことが必要なのではないかと思っています。

Q : 先日の中央防災会議の中でも委員の発言からあったんですけれども、たくさん情報があるというのを整理するのが、ひとつの目的としてあると思うんですが、それを一覧として並べていくだけだと、なかなか受け止める方としては、情報としては実は変わっていないという指摘もあり、なかなかそれを次の出水期までにまとめていくという作業は早いのではないかと個人的に思うんですけれども、慎重に進めていくべきではないかという意見もあると聞いてはいるんですけれども、そのあたりを聞いても次の出水期までにはやはりやりたいということですか。
A : 例えば中央防災会議でのレベル化に伴って、色分けなども含めて、まさに報道関係の皆さんのご協力があって進める話ですので、そういった意味での慎重な検討も必要だろうという議論がなされたと聞いております。また、今お話にもありましたように、防災気象情報もたくさんあってわかりづらいというご意見が前からずっとありますので、整理をしていくという方向性は持って検討に臨む必要があるのだろうと思っております。そういう中で、例えばレベルに紐付けていく中で、すぐにシンプルにできること、できないことがあるのではないかと実体的には思えます。
  先ほど検討を進めたいと申し上げましたのは、現実に警戒レベルを2、3、4、5と運用するにあたって、私どもの出す防災気象情報がレベルいくつに対応しますという紐付けを明確にした形で提供するということは、なるだけこの出水期に間に合うようにしたいということで、例えば気象警報(レベルいくつ)というようなことで、対応付けた形でお伝えする努力はしていかなければならないのではないかと思っております。もちろん情報の整理等については、すぐにできることできないことあると思いますので、全てがこの年度内に解決するかどうかというのは皆さんの意見を聞きながら、検討を進めてまいりたいと思っております。

Q : 気象庁の「伝え方検討会」が開催される前の記者ブリーフの場で、そもそも気象庁としては危険度分布でレベル化ができていると考えていますというような説明がありました。ただ、今の内閣府の案の中では、明確にまだ危険度分布というのは紐付けられていない状況ですが、この部分についてのお考えというのはお変わりないでしょうか。
A : 例えば、気象警報の中でも、大雨警報(土砂災害)あるいは土砂災害警戒情報といったような情報に対して、概ね対応関係がまだ正式に決まっていないですけれども、これまでの内閣府における「避難勧告等に関するガイドライン」の中で対応付けられている部分がありますから、基本的にはそういう方向に沿って検討がなされるものではなかろうかと思っております。その中で、土砂災害警戒情報を出すのと、危険度分布(土砂災害)の「うす紫」、「濃い紫」がおおむね対応しているという関係がありますので、土砂災害警戒情報に対応する警戒レベルの出されたそれぞれの地域の中で住民一人ひとりが見るという観点では、危険度分布をご利用いただけるのではないかと考えております。いずれにしても、よく皆さんの意見を聞きながらやっていきたいと思っております。

Q : 今の内閣府の案ですと、情報としては、氾濫発生情報しかレベル5に紐付いていない状況になっています。ただ、九州北部豪雨の例を見ても、中小河川の氾濫であったり、あるいは土砂災害であったりというのは、危険度分布でいう「濃い紫」、すでに災害が発生してもおかしくないというああいった情報もレベル5に含めるという議論もあり、実際そういう指摘も出ているとは思うんですが、そこについてのお考えはいかがでしょうか。
A : 例えば、実況ベースで過去に災害が発生したものに匹敵するような状況が「濃い紫」だと説明を申し上げているのだと思いますけれども、それを従来ですと避難指示(緊急)に対応付けて皆さんによく行動をお願いしていた部分がございます。内閣府の案は、おおむねそういう方向性なのではなかろうかとは思います。最終的にどうなるかはわかりませんが、災害発生情報ということは、まさに災害が発生している状況です。一方、私どもが出す防災気象情報というのは、あくまでも予想に基づいて蓋然性が高いという形で出しておりますので、段々と「赤」、「紫」と上がっていくにしたがって、その地域で災害が発生する可能性が高まっていくということを指しているわけです。今の内閣府の案は、私どもの「紫」といったものが事実として被害が発生しているわけではないので、レベル5に直ちに位置付けるというのは難しいということなのかなという印象は持っております。いずれにしても、よく検討いただいた上で、どのレベルにどの情報を位置付けるのがいいのかということになると思いますので、今の段階であんまり予断をもってどうこう言うのは控えさせていただくのが良いと思っています。

Q : 関連ですけど、中央防災会議の議論とこの間NHKさんからも意見が出ていたんですが、レベル化の色分けについて色々なことが起きていて、一番危険が高いのをどうするかとかというところで、気象庁さんの使っている色と中央防災会議が考えているような色が違ってしまうのではないかという懸念も取材をしていて感じるのですが、気象庁としてはどういう方針で色についてお考えを示していこうとされていますか。
A : レベル化の色については、実際に住民の皆さんが避難するための警戒レベルの色と、それに紐付けられている気象庁から出す情報の色とが可能な限り統一されることが望ましい、これが基本的な考え方だと思います。とはいえ、色々な色使いをそれぞれの機関がしてきているところもございますので、それはそれぞれの機関がどうあるべきかというのものは、それぞれ長い歴史の中で組み立てられてきているようなものがあります。また、報道関係の皆さんもシステム等を作り上げて色とともに報道していただいているような状況ですので、そこは可能な限りコンセンサスのある形でまとめていくことが望ましいのではないかと思っております。その中で、何が何でも今まで気象庁が使っていた色でなければならないことにこだわる必要もないと思います。ただやはり、それぞれ発信する側、利用する側がより良いものであると思うように進めていくことが重要であり、大変難しいのかもしれませんけれども、私はそういうように思っております。

Q : その「良い色合い」というのは誰が決めて、どこに決定権があるのでしょうか。例えば、改修の話もありましたけど、既存の気象情報に使った色目が今後変わる可能性もあるという認識でいいのでしょうか。
A : まず今回、住民を主体としたその避難がしっかりできるようにということで警戒レベルを導入すると聞いておりますので、その警戒レベルがしっかりと運用されるように、それは様々な皆さんの意見を聞きながら、基本は警戒レベルを決めるところがリードをしながら、皆さんの意見を聞きながら進めていくのがよいのではないかと思います。それに気象庁も含めていくつかの機関は、そのレベルに合うように情報を提供していくという役割があるのだろうと思いますので、そのレベル分けに応じた色に対応するように、私どもの情報も色付けをしていくのだろうと。それが従来の色付けで良いのかどうかというのは、まさに住民主体の避難の運用を考えていくということでもありますので、その趣旨に合わせていくことが重要だとは思っております。

Q : 今ある「危険度分布」の「濃い紫」とか「うすい紫」とか「赤」とか、そういったものを、今後中央防災会議のワーキンググループの結果を受けて色合いが決まったときには、危険度分布の色も変える可能性があるというように捉えてよろしいでしょうか。
A : 仮定の話としてお答えするのは大変難しいですけれども、警戒レベルに相当する色付けをしていくのが基本だとは思っております。

Q : 今回の中央防災会議の中で、特別警報の位置づけが、レベルの外にあったんですけれども、それについての所感を教えてください。
A : これについても、レベルの方向性を踏まえて「伝え方検討会」で検討していく中で議論いただきながら、どうすればいいのかということは考えていくのだろうと思っております。

Q : 「伝え方検討会」の中で特別警報をレベルの中に入れた方がよいのではないかという議論が出てくれば、そうなる可能性もあるのですか。
A : 仮定の話なので何とも言えないですけれども。例えば、特別警報は災害の発生の蓋然性が極めて高いので、避難指示(緊急)、避難勧告を超えるような状況であって、住民の皆さんが直ちに命を守るための最善の行動をしてほしいというのが特別警報を発表して、警戒を呼びかけているところで、それはそれで変わらないのだろうと思います。レベルの定義がどうあるかによって、特別警報が入るのか、入らないのかという議論になるのではないかと思います。一般論として申し上げるとそういうことです。

Q : レベル化そのものについてのメリットはどう評価していらっしゃるのか、やった方がいいという好意的な評価だと話を聞いていて思うんですけれども、レベル化そのものについてどう捉えているのでしょうか。
A : それはまさに中央防災会議で、国の防災を推進していく立場から、有識者の皆さんの意見を聞きながら導入されるということであるならば、当然それを尊重する立場にあるのだろうと思います。

Q : メリットとしてはいかがでしょうか。
A : 住民の皆さんがどのように行動を取ればよいかが非常にわかりやすいということ等があるのだろうと思います。それがレベル化の議論の中で言われていることだと思います。

Q : 南海トラフに関して、中央防災会議の検討会で8か月にわたって会議が行われました。その報告書がまとまりますが、今までの「臨時情報」について、3つのパターン、「半割れ」「一部割れ」「ゆっくりすべり」に対応させるように変わりましたけれども、それに伴って、今気象庁が暫定という形で去年の11月1日から始めている「臨時情報」に関しては、どのようなスケジュールで改修、改善されるという見通しでしょうか。
A : 昨年の11月から暫定的に「臨時」で発表するということを始めておりまして、防災対応をどうするかということの検討が進められていて、例えば、「半割れ」等のパターンに応じて、どう防災対応するかという大きな方向性が、間もなく報告書として上がってくるものだと思っております。その報告書を踏まえて、それぞれの地域がどのように防災対応するかということを決めなければならないという部分があるのだと思いますし、ガイドライン等が作られるようなことがありますので、そういうことを踏まえて、実際に各地で動きが始まるような時期・内容に合わせて、「臨時情報」についてはよりわかりやすく、あるいはいくつかのパターンに応じて、どの対応をお願いしたいと思っているのか、ということをはっきりと伝える工夫が必要だと思っております。そういうことは検討してまいりたいと思います。いつまでというのは、まさに現場の皆さんが、そのオペレーションを始めるのに間に合うようにしなければならないと思っております。

Q : ということは、報告書の内容というのは、現在案ですけれども、当然気象庁もご覧になっていて、それに合わせ込む素案はどんどん作っていかないと間に合うわけがないので、そういうスケジュール感ということでよいですか。
A : はい。

Q : レベル化の話で、気象庁以外が出す情報というのも今の案の中に含まれているんですけど、今後議論の場としては、「伝え方検討会」で決めていくという理解でいいですか。
A : 「伝え方検討会」だけで決められるかどうか分からないですけれども、少なくとも気象庁がどう出していくかということについては、「伝え方検討会」の中でおおむね対応付けていく必要があるのではないかと思っています。

Q : 気象庁の情報以外も結構含まれていて、そこの議論をどうするのかということについて、まだ明確に決まっていないのでしょうか。
A : 気象庁以外の情報をどうするかについて、私は答える立場にないので。中央防災会議でレベル化が認められたあかつきには、気象庁が出す情報はきちんと位置付けていく必要があります。それは間に合うように頑張りたいと思います。

Q : 「伝え方検討会」の中で示された、「あなたの町の予報官」の制度について、今後、地域の支援をさらに強化するための取組のひとつとして盛り込まれましたけれども、実際にどれくらいの規模で、どういう人員配置をして行っていくのか教えてください。
A : 今、お話があったのは、気象庁の「防災気象情報の伝え方に関する検討会」の中で、「あなたの町の予報官」という危機感を共有するための取組のひとつとしてご提案いただいて、取り組んでいこうとしているものです。今、地方気象台は、おおむね各県にひとつずつ、北海道や沖縄はもちろん複数あるわけですけれども、各地方気象台が担当する県などを幾つか複数に分割した地域ごとに、複数名の職員で構成する担当チームをそれぞれの地方気象台で配置していこうという考え方でして、各チームの職員が、いわゆる「あなたの町の予報官」として、市町村から見たときは、一層顔の見える形で、日頃からの解説・助言や実践的な研修・訓練などに取り組み、地域の防災力向上に貢献していこうという計画です。今のところ、それぞれの県の市町村数や地形、気象の特性等によって柔軟に考える必要があるとは思っておりますけれども、1チーム複数名、例えば3~5名程度で県の南部などを担当するといったイメージを想定しております。いずれにしても、それぞれの県の特性に応じて柔軟に対応していきたいと思っています。体制的には、できるところからやっていきたいと考えておりますけれども、全国で一斉にスタートするというよりも、可能な地域からできるところからやっていくので、少し時間がかかると思っております。

Q : 来年4月から、できるところは始めていくのでしょうか。
A : まだ、予算等が十分確定していない部分がありますけれども、一部の地域では、それに必要な要求等を今行っているところがありまして、それが認められれば、来年の4月以降その地域からしっかり取り組んでいきたいと思っております。

Q : 具体的な活動内容としては、緊急時以外の平素からの防災気象情報の解説等、足を使って出向いて説明の場を作ったりということをお考えですか。
A : おっしゃるとおりです。昨年の「地域における気象防災業務のあり方検討会」でも提言を受けましたように、緊急時にしっかりと機能するためには、日頃から情報への理解、その地域のリスクに対する理解、あるいは活用する能力を上げるといったことをより地域に密着した形で行っていくことが非常に重要です。であるがゆえに、異常時においても「あなたの町の予報官」と呼んでいただくような関係をしっかりと作り上げていくことが主な活動になると思います。

Q : 業務量的にはかなり増えることになると思いますが、人員配置ですとか、要員とかは足りるのでしょうか。かなり業務負担が増えるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
A : 必要な人員の要求もしておりますし、やり出したらキリがないようなこともあるかもしれませんけれども、色々、仕事を工夫しながら、より地域に密着していざというときにより効果的に働くような工夫を引き続きしていきたいと思います。

Q : レベル化の話に戻ってしまうんですが、住民主体で住民がよりわかりやすいというお話がありましたが、気象庁としまして、よりハードな現象ということで、「紫」という色をかなり大事にしてきた歴史があると思います。大津波警報も紫で表示しておりますし、大雨特別警報も紫色、噴火警戒レベル5も紫色でして、それは私たちメディアも踏襲して、紫ということを住民に意識付けをしてきた歴史があると思います。紫という色について、認識をあらためてお伺いします。
A : 今、おっしゃったように、それなりに時間をかけて、みなさんと一緒になってやってきた歴史というのはありますので、そのあたりを踏まえて、色づけをどうするかということは、しっかり中央防災会議で検討いただければとは思っています。

Q : 今のお言葉を伺っていると、長い歴史をかけて作ってきた最大警戒「紫色」という歴史があっても、内閣府が決定したら、それに合わせるということですよね。そこで議論するというか、気象庁が主張することはどれくらいできるのでしょうか。やってほしいです。
A : そういうご意見があることはよく承りました。もちろん、私どもは、今このような情報と色を使っていますということは、申し上げております。皆様方、あるいは有識者の意見を踏まえて、今検討しているところなので、そこは現実にこうなっている、それから、それらを踏まえてどうすればいいかということを、総合的に、本当に住民の主体的な避難をどうすればいいかという観点で考えていただけるものと思っております。

Q : その際、報道で使えるように、我々も考えてお金をかけて作ってきたものが、住民主体で変われば、我々も変えざるを得ないということでしょうか。
A : そこは、私どもがこんな色使いをしているというのは、先ほどから申し上げていますように、お伝えはしておりますし、中央防災会議の中でも、色付けについては色々な考え方があるし、歴史もあるし、慎重にやった方がいいという意見があったことも聞いておりますので、それらも踏まえながら、判断がなされるものと思っております。

(以上)

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