長官記者会見要旨(平成30年3月15日)

会見日時等

平成30年3月15日(木) 14時00分~14時39分
於:気象庁会見室


発言要旨

  よろしくお願いします。まず私の方から5点お話をさせていただきたいと思います。

  最初に、霧島山(新燃岳)についてでございます。3月1日のごく小規模な噴火、それから3月6日からの断続的な爆発的噴火に続きまして、10日の未明には噴煙が火口上4500mまで上がりまして、大きな噴石が火口から1.8kmの場所まで飛散したという状況でございました。一方で、えびの岳付近の地下にあるとされておりますマグマだまりの収縮を示すと考えられる変化が8日ごろから停滞をしているという状況、火口縁を超える溶岩が斜面下部まで達したり、その溶岩の崩壊による火砕流が居住地域まで達したりするという可能性が低いという状況で、先日噴火予知連絡会から見解をいただいたところでございます。本日、噴火警報を発表いたしましたように、当面は、新燃岳火口から概ね3kmの範囲で大きな噴石に、また概ね2㎞の範囲で火砕流に警戒するとともに、噴火時の風下側での小さな噴石や火山灰、空振による窓ガラスの破損など、あるいは火山ガスに注意いただくようにお願いしたいと思います。引き続き、地元の火山の専門家、また自治体との連携を密にしまして、火山活動を監視し、迅速な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

  次に、東日本大震災7年についてであります。3月11日で、東日本大震災から7年となりました。津波や地震など、この震災で犠牲になられた方々のご冥福と、被害に遭われた方々へのお見舞いを、改めて申し上げたいと思います。気象庁では、この7年間、津波や地震に関する業務の改善に取り組んでまいりました。例えば、津波警報等につきましては、マグニチュード8を超える巨大地震に対しても的確な警戒を呼び掛けることができるように、平成25年3月からは新しい津波警報等の運用を開始しております。また、緊急地震速報については、平成28年12月に複数の地震を識別する新たな手法でございますIPF法を導入しまして、これに加えまして、来週の3月22日からは「揺れ」から「揺れ」を予測する新たな方法、PLUM法と呼んでおりますけれども、この方法を導入する予定としておりまして、巨大地震でも精度よく震度を予測するということが可能となっております。また、こうした改善をより効果的なものとするため、地震が発生した際に自発的に対応行動を取っていただけるよう、また強い揺れや津波に備えて、日頃から避難経路や自宅等の危険について点検や確認をいただくよう、あわせて、周知・啓発活動も進めてまいりたいと考えております。

  次に、「気象庁防災対応支援チーム」についてお話しをいたします。昨年8月の「地域における気象防災業務のあり方」の報告書の提言を受けまして、本年5月を目処に「気象庁防災対応支援チーム」、愛称としては「JETT」(ジェット)を新たに立ち上げることといたしました。主に災害発生時に、都道府県、市町村の災害対策本部等に職員を派遣いたしまして、地震・火山・気象等に関する概況・見通しについて、現場のニーズや各機関の活動状況を踏まえたきめ細かな解説を行い、救助活動、災害対応を支援するというものでございます。派遣に備えた準備・体制づくりを進めまして、災害の発生に備えて参りたいと考えております。

  次に、農業に役立つ気象情報の利用の手引きについてであります。気象庁では、気象データの高度利用を促進し、生産性向上に寄与する取組・プロジェクトを推進しているところであります。これに関連しまして、本日、農業の生産性向上に役立てていただくことを狙いといたしまして、「農業に役立つ気象情報の利用の手引き」を公開いたします。異常な天候が予想される場合などの具体的な情報の読み解きポイントを掲載しております。都道府県の農政担当部局、農業普及指導員の方をはじめ、農業団体、農業従事者の方々にも気象情報を有効活用いただくガイドになればと考えております。

  最後に、世界気象デーについてであります。3月23日は1950年のこの日に世界気象機関(WMO)条約が発効した日でありまして、世界気象機関は、毎年この日を「世界気象デー」としまして、気象業務への国際的な理解の促進に努めてきているところであります。今年の「世界気象デー」のキャンペーンテーマは、「気象・気候への適切な備え(Weather-ready, climate-smart)」でございます。大雨などによる気象災害に対して適切な備えや、気候変動に伴う適応を支援していくことは、我が国の気象庁のみならず、世界中の気象機関に共通する課題であります。そのために国際的な協力も進めているところでございます。気象庁といたしましては、引き続き、WMOや世界の気象機関、さらには国内の関係機関と協力をいたしましえて、気象防災や気候変動対策等の課題に取り組んでまいりたいと考えております。

  私からは以上です。

主な質疑応答

Q : 今年の1月の草津白根山の突然の噴火に伴いまして、全国の活火山の観測体制の再検討が始まることになっているんですけれど、元々は御嶽の噴火以降、気象庁としても体制を変えられまして、火山の観測体制の強化を図ってこられたのは存じてあげているんですが、例えば人員増など、具体的な数字をあげてですね、御嶽岳の噴火以降これまでにどういう体制になってきたか、そして来年度以降にはどういう風な青写真を出してらっしゃるのか、まず教えてください。
A : 草津白根山の1月23日の噴火ということがございました。これにつきまして、先に改めて確認をさせいただきたいと思います。草津白根山では、これまで常時観測火山の一つとして、最も噴火の可能性が高いと考えられております白根山の湯釜周辺を中心に、火山全体を監視できるように観測体制を整備してきたところであります。1月23日の草津白根山の噴火につきましては、有史以来噴火のなかった本白根山付近で、また、火山性地震や地殻変動などにおきまして噴火の前兆といえるような特段の変化がないまま発生したわけでございます。それを踏まえまして、常時観測火山、これは火山噴火予知連絡会におきまして今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえて選定されているという常時観測火山でございますけれども、この常時観測火山につきまして、噴火の可能性がある火口を把握する観点から、3月7日に噴火予知連絡会の火山活動評価検討会を開催しまして、全国の活火山の過去の噴火履歴の精査や観測のやり方について検討を始めたところであります。引き続き検討をしっかり進めてまいりたいというように考えております。
  御嶽以降の気象庁の取組ということでございますけれども、平成26年9月に御嶽山の噴火がございました。それを踏まえまして、観測体制、情報発表、地域における防災関係機関との連携の観点等からご提言をいただいて、火山の観測、情報発表や連携の充実を進めてきたところでございます。ご質問のありました体制の件でございますけども、皆さまご案内のとおり平成28年の4月に気象庁本庁に火山監視・警報センター、それから札幌、仙台、福岡の各管区に地域火山監視・警報センターを設置しました。またこれにあわせまして本庁、札幌、仙台、福岡に計80人の増員を行ったところでございます。その内訳は本庁は22名、札幌、仙台、福岡の3つの管区、そして鹿児島地方気象台もございますけれども、計58名の要員の強化をしてきているところであります。また地元との火山の防災に係る連携を強化することを主に目的といたしまして、気象庁内の要員の振替を行うということで、41人を新たに地方気象台等における火山担当として配置をいたしまして、地元の自治体等への火山活動の解説等に資する体制を整えてきております。詳しくは担当者にお聞きしていただければというように思いますが、こういった観点を踏まえまして、体制を強化していただいたものをしっかりと機能させていく、充実をさせていくということが重要だと思っております。観測機器、監視情報システムの整備、人材というそれぞれの観点ございますので、その能力を発揮していくために職員の育成という観点から言えば、28年、29年度とこの2年間新たな研修も含めて、10種類の研修の体系で職員の研修を行うなど充実強化を図ってまいりました。また、新たに5名、火山の専門家に気象庁参与になっていただいて、職員への指導等をお願いしているところです。あわせて地域における火山の専門家との連携も進めてまいりました。さらには火山監視・警報センターにおきまして、気象研究所の研究官がそこに駐在いたしまして、監視に携わる職員と一緒になって評価活動を行うというようなことを通じまして、職員の火山業務に関する能力向上を進めてまいったわけでございます。引き続き職員の能力向上をしっかりと進めてまいりたいと思っておりますし、今回冒頭申し上げましたけども、草津白根山の噴火を踏まえて、常時観測火山における噴火履歴等の精査を進めていっているところでありますので、そういった検討の中で気象庁における火山の監視あるいは火山に対する知見の深化ということを合わせて進めてまいりたいと思っております。

Q : 3月で年度末ということもありますので、今年度として振り返ると、一番大きなもののひとつとしては、これまで予知できるとされていた東海地震について大幅に方針が変更されました。南海トラフの発生の可能性を評価する情報という形になっているのですが、 今年度を振り返りまして、この方針の変更ということも含めて、もう一度所見をお願いします。
A : 振り返ると色々あると思いますけど、今ご質問のありました、南海トラフ地震に関連する情報に関してお話をしたいと思います。ご案内のとおり、南海トラフでは、概ね100年から150年の間隔で繰り返し巨大地震が発生してきているという状況がございます。前回、1944年、1946年の東南海、南海の地震から、もう相当な期間が経ってきており、政府の地震調査研究推進本部も、この1月1日から、今後30年間の発生確率の可能性についても、70~80%というように格上げしたような状態にありますので、段々と迫ってきている状況がございます。また、過去のそれぞれの地震を個々に見ますと、概ね100年から150年間隔とはいえ、発生パターンにも多様性があるということが知られております。したがいまして、昨年の11月からスタートしました、南海トラフ地震に関連する情報の発表にあたり、このような発生パターンの多様性を考えると、これまで考えた以上に難しい解析・評価をしなければならないと考えておりまして、昨年の11月からは、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を開催して有識者の助言を得ながら、可能性の評価をしてきているところです。今後、この対応を深化させていく、あるいは進めていく観点から言えば、解析と評価の技術をさらに深めていく必要があると考えておりまして、平成30年度の予算において、南海トラフ沿いの地殻変動をモニタリングするための調査をすることとしておりますので、こういった調査をしっかりと進める中で、観測体制についても検討を進めてまいりたいと思っております。また、南海トラフ地震に関連する情報をどのように活用するのかということについては、現在、内閣府を中心に、静岡県、中部経済圏、高知県をモデル地区として、防災対応の検討が進められておりますので、その議論においてしっかりと当庁の情報内容や南海トラフ地震に関する知見を提供していくことが重要ですので、積極的に参画してまいりたいと思っております。
  さらに、もうひとつは、この南海トラフ地震に関連する情報について、まだまだ自治体の皆さま、住民の皆さまに十分知られていないという状況があると思っております。したがいまして、防災対応にあたる自治体の方々における理解を深めていく、それから住民の方々における南海トラフ地震に関する知識を深め、防災対応を適切に取っていただくということが非常に重要になりますので、そういった周知も関係する地方気象台で、自治体と連携して進めてまいりたいと思っております。

Q : 来週始まるPLUM法ですね。22日から始まるということで、どんな効果が期待され、そして利用者である住民・市民への呼びかけも合わせてお願いします。
A : 平成23年(2011年)の東日本大震災を起こした、東北地方太平洋沖地震では、震源から遠く離れた関東地方でも大きな揺れを観測しましたけれども、この強い揺れを緊急地震速報として、精度良く予測することができない、すなわち多くの関東地方の地域に対しては、緊急地震速報(警報)が出なかったという状況がございました。今回導入いたしますPLUM法につきましては、既に報道発表しておりますけれども、観測された「揺れ」から近傍の「揺れ」を予想するという手法でございます。したがいまして、予想してから揺れが来るまでの時間的な猶予が短い、最大でも10秒程度だと思っておりますけれども、マグニチュードが8を超えるような巨大地震が発生した際には、強く揺れる地域を概ね予想して、緊急地震速報を発表できると期待しているところです。
  緊急地震速報の発表開始から10年余り経ったわけでありまして、その間に、緊急地震速報を適切に利用いただくように、様々な周知が行われてきておりますし、利用も広がってきていると思いますけれども、一層の周知・広報が必要であると考えております。したがいまして、私どもとしましては、緊急地震速報を見たり聞いたりしたとき、周囲の状況に応じて、あわてず、まず身の安全を確保していただくこと、そして、さらに効果的に利用いただくためには、事前の備えや心構えが非常に重要でありますので、地震がいつどこで起こるか分かりませんので、常に、今地震が起こったら、緊急地震速報がなったら、どのように行動すればよいか、対応すればよいかということを、我が事として考えていただく、そういうように是非お願いしたいと思いますし、私どもも関係者とよく連携をして、そういう周知を引き続きしっかりやっていきたいと思っております。

Q : 先月の長官の会見のときに、手話通訳の試行をされていて、実際にそれが導入されるかどうかというのは、まだわからないとは思うんですけれども、どういったお考えでこういう取組をしようとしているのかということと、今後どう進められていくのかということについて、お伺いできますか。
A : 地震が発生したとき、あるいは、特別警報等を発表するような災害が起こるような場合、皆さまのご協力を得て、この場で緊急の記者会見を開催して、警戒の呼びかけ、あるいは防災上の留意事項等を広く国民の皆さまに周知をしています。これは、まさに皆さまの協力を得ながら、やっているわけでございます。今般、聴覚障害者の方にも正確な情報を的確にお伝えするということも必要なのではないか、その方法の1つとして、緊急時に記者会見を行う際に手話通訳者を配置するということを検討してみてはどうだろうかということで、先月2月の定例会見で試行させていただきました。この手話通訳の配置につきまして、気象庁の記者会見におきましては、専門用語があって難しいというようなこともありますし、実際にテレビカメラで報道していただくために、どの位置に立って頂いて、手話通訳をやっていただくのが画面を通じて伝わっていくんだろうかとか、そういうようなことについて検討しなければならない課題があると思っております。したがいまして、報道関係の皆さま、それから手話通訳を行う方、あるいは聴覚障害者の方などの意見も伺いながら検討を進めていく必要があるんだろうと思っております。どうか報道機関の皆さまにおかれましては、ご助言、あるいはご協力を賜りたいと考えております。

Q : 先日、こちらで草津町の防災協議会が開催されまして、その中で白根山と本白根山で噴火警戒レベルを分けて運用するということで、もうまもなく始まるような一部報道もありますが、そのことについて今後のスケジュールをお願いします。
A : 草津白根山の噴火警戒レベルの設定は、白根山の湯釜を中心として警戒範囲1kmでレベル2、警戒範囲2kmでレベル3といったようなことを地元の防災協議会と協議して設定しておったわけでございます。それに対しまして、今回1月23日に噴火した火口が本白根山の方であったということでありますので、1月23日に私どもは、1kmはレベル2、2kmはレベル3という設定の考え方を本白根山の鏡池付近を中心として設定させていただいて、ひとまずレベル2、レベル3というように、噴石が飛んだ状況も踏まえまして、発表させていただいたということでございます。その後、実際に、どの場所が火口であったのかというようなこともわかってまいりましたし、噴石がどこまで飛んでいるのかの分布も詳しく調べていくということもいたしました。当面として、湯釜側と今回噴火した本白根山側と、それぞれについて噴火の可能性があるということですので、それぞれについて噴火警戒レベルの設定をすることが適切なのだろうということについて協議会の皆さまにお話をしたうえで、そういう方向になりました。この後、発表するように本白根山、そして白根山(湯釜付近)、それぞれに対して噴火警戒レベルを設定するということを決めさせていただくということにいたしました。これにつきましては、技術的に今回の本白根山の噴火がどの範囲まで影響があったのかという精査もしていただいたところでありまして、それも踏まえて、元々設定していた、白根山(湯釜)側で警戒範囲1kmがレベル2、2kmがレベル3というものと同じ警戒の範囲という観点で本白根山側についても、設定をさせていただいて、それを明日から運用させていただこうということにいたしました。地元の火山防災協議会での了解も取れましたので、明日からの運用ということで、明日の時点で、火山の活動状況を判断した上で本白根山での噴火警戒レベル、それから白根山(湯釜付近)での噴火警戒レベルを改めてそれぞれ通知をするということにさせていただきたいと思っております。

Q : JETTですか、名前が決まったこれですけども、おそらく事象が発生したときに気象情報とか技術的な情報を読み解く能力がある方、それから地域によっては特性を踏まえた方の人選が進んできたと思うんです。それがあらかた終わったという理解でよろしいでしょうか。
A : 仕組みづくりはおおむね終わっております。人事異動等もございますので、気象庁の場合は4月1日にかなり大幅に動きますので、それらも踏まえて、この地域でこの程度の災害が発生すれば、県にはその地方気象台を中心に周辺の官署から経験者も含めて派遣をするというような具体的なやり方についても、5月から決めて対応していきたいということです。

Q : これは気象だけでは無く、いわゆる地象、地震や火山等も踏まえて色んな運用ができるようにリストアップしているということでしょうか。
A : 例えば草津白根山のような例につきましても、やらなければならないことが2つあって、現象をしっかり把握するような観点での機動観測を行うということと、地元の自治体に対してしっかりと解説等を行うという両輪がありますので、その後者のような観点から言うと、このJETTがしっかりと対応することが必要だと思っています。訓練もしながら迅速な対応ができるような形で進めてまいりたいと考えております。

Q : 先週、土砂災害警戒情報が発信できなかった事例があったと思いますが、今後の対応をお聞かせ下さい。
A : 今、お話のありました土砂災害警戒情報の伝達が十分できなかったという件です。9日金曜日の早朝3時43分から6時40分にかけまして福島県、神奈川県、そして東京都の一部の市町村に対しまして土砂災害警戒情報を発表したわけですが、それが正常に配信されない、また気象庁HPにおいても正しく表示されないという状況が生じました。このため、気象庁及び地元の気象台では、この時間帯に土砂災害警戒情報をそれぞれが直接伝達している機関にはFAXや電話により情報を伝達する、ということを行いました。その後9日11時40分にかけては土砂災害警戒情報を簡略化した内容、図情報が入らないわけですけども、文章だけの内容を配信するというように切り替えて配信したところです。今回、この不具合については、3月5日に新しく導入いたしました土砂災害警戒情報を発表する気象庁のシステムの障害によるものでありまして、このシステム改修を行いまして、13日の火曜日に復旧をしている状況です。土砂災害警戒情報は、大雨警報が出ている中で更に一段高い警戒を呼び掛ける非常に重要な情報でありますので、このような不具合が発生することが無いように、今後の取組としましては、システム導入前、今回新たなシステムを3月5日に導入したわけですが、そのシステムの導入前の点検について遺漏の無いよう徹底するということがまず一つ、それから、配信に異常を覚知した場合における連絡体制の確認、土砂災害警戒情報を簡略化した内容に切り替えて発信するというバックアップ対応を速やかにするということを改めて徹底させて頂いたところでして、このようなことが無いように取り組んでまいりたいと思っております。

Q : 土砂災害警戒情報のシステムの入れ替えの時に起こったというか、入れ替えたタイミングで起こったということでしたので、例えば警報事項やそういったところで今すぐ同じことが起こるということでは無いんでしょうか。
A : 土砂災害警戒情報についてもシステム改修をいたしましたので、今後起こらないと信じております。いずれにしましても気象庁は様々なシステムがあって、定期的に更新等をする、ということをやっておりますので、新たなシステムの導入、あるいはソフトウェアの改修等にあたっては、事前の確認をもれなくしっかりと徹底してやるということが基本でありますし、これまでもそうしてまいりましたが、あらためて真摯に対応するように現場には徹底したいと思います。

Q : そういった障害だとか異常が起きた場合の連絡体制の確認とおっしゃいましたが、今回で言うと警報では無いんですけど、警報の上にもしかしたら位置付いているような土砂災害警戒情報を、指定報道機関では無い部分に配信するところは全くノーケアで、民放にはその情報がFAXで来るようなことが無かったんです。ですから速報でも出せなかったし、我々も人の命を救うための責務を持って情報伝達をしているつもりでいたんですけども、少し後回しになった感じがしております。そのあたりも今後は改善して頂けるんでしょうか。
A : 皆さまに伝わらないままになっていたのは、例えば横浜地方気象台がその日の4時3分に発表した土砂災害警戒情報は神奈川県には横浜地台からFAX等で伝達しているんですけども、まさに関東中心あるいは全国にお伝えをする立場の報道の皆さまがそれを電文として受け取っていなかったという状況をおっしゃっているんだと思います。このときの状況を振り返ってみますと、いくつか土砂災害警戒情報を出しているんですけども、例えば先ほど言いました4時3分の横浜地方気象台が発表した土砂災害警戒情報は、防災情報提供システムからは正常に伝わっているようになっていて、横浜地方気象台の職員は正常に発表されていると思っている状態でした。一方でそれが気象庁の中のシステムを通じて本庁から配信をしていくというところについては、横浜地方気象台が知るというよりは、気象業務支援センターを通じて配信されているわけで、気象業務支援センターから本庁に入ってくる不具合に係る情報を踏まえて、横浜に対してどうするかという対応、バックアップとして簡略化した電文でいいのでとにかく発表して下さい、というようなことを庁内の連絡体制としてしっかりやらないといけないということがあったわけだと思っております。一方で、土砂災害警戒情報を出した後の症状が一見正常に伝わっているような時もあれば、全然出ていないような状況とか、相当複雑な状況があったもので、現場としては何が問題なのかというある意味原因究明に、どちらかと言うと走ってしまったというところがございます。従いまして例えば横浜地方気象台が4時3分に発表した情報につきましては、結果として簡略化したバックアップ電文を配信しないまま終わってしまった、むしろその配信の前に土砂災害警戒情報の解除となったという状況です。今、お話のありましたように土砂災害警戒情報は防災対応に直結する重要な内容ですので、やはり報道関係機関の皆さまの協力を得てしっかりと伝えていく、広く周知していく、これは非常に重要なことだと思っております。従いまして今回の事例を踏まえますと、システム障害が発生した際の対応として、原因究明もありますけども、まずは重複してもいいのでバックアップの発信を行うといったことを優先させるということを徹底したところでありまして、今後は、もちろん原因究明で全体を改修していくことも重要でありますけども、速やかに伝えることを改めて徹底させて頂きました。

(以上)

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