長官記者会見要旨(平成29年6月15日)

会見日時等

平成29年6月15日(木) 14時00分~14時23分
於:気象庁会見室


発言要旨

  よろしくお願いします。私から3点お話させて頂きます。

  まず、梅雨期の留意と、併せて新たなステージに対応した防災気象情報についてでございます。
  本日報道発表しましたように、大雨・洪水警報と大雨特別警報の改善、そして、大雨警報(浸水害)と洪水警報のそれぞれの「危険度分布」の提供開始の日時を、7月4日13時といたしました。これらの警報・特別警報の改善、主として効果としては対象地域が絞り込まれるということでございますけれども、この改善とともに、危険度分布を地図上に1キロ四方でわかりやすく提供することとしておりますので、警報等が発表された市町村におきましては、災害発生の危険度が高まりを、より自らのこととして把握いただけるようになると考えております。
  これから、梅雨中盤そして末期になるに従いまして、大雨になりやすい季節でございます。最新の気象情報に留意いただいて、災害が発生するような気象状況では、時間をおって段階的に発表いたします気象情報、注意報、警報等と合わせて、これら「危険度分布」も活用いただければと考えております。

  次に、熱中症予防を含めまして夏の高温への留意についてです。今年の夏は全国的に気温が高くなる予報となっており、高温に対する十分な備えが必要だと考えております。
  気象庁では、最高気温が概ね30℃以上となる場合には、天気概況の中で注意を呼びかけておりますし、最高気温がおおむね35℃を超える場合、一部地域はそれより低い気温でございますけども、おおむね35度超えるような場合には熱中症の危険が特に高くなることから、高温注意情報を発表しておりますので、外出時・屋外や家庭などそれぞれの居場所や、年齢・体調などに応じて、熱中症の予防に活用いただければと考えております。
  さらに、高温対策といたしましては、それらに加えまして週間予報、異常天候早期警戒情報、1か月予報等も上手に活用して頂ければと思っております。

  最後に、気象衛星ひまわりに関するシンポジウムについてでございます。
  今年は、静止気象衛星「ひまわり」の初号機が打ち上げられてから40年目の節目になります。また、今年3月には、既にご紹介しておりますとおり、「ひまわり」8号・9号による2機での運用態勢が整ったところです。
  この機会を捉えまして、「ひまわり」に関するシンポジウムを来月7月22日に開催する予定としています。「ひまわり」のこれまでの歴史を振り返るとともに、新世代の「ひまわり」から得られる観測データの様々な分野における利活用の現状、更なる活用の可能性や今後の期待など、「ひまわり」のことを幅広く多くの皆様に知っていただきたいと考えております。詳細につきましては、近日中に報道発表いたしますので、その際はよろしくお願いいたします。

  私からは以上です。

主な質疑応答

Q : 6月20日に地域防災の検討会の第2回を開催するとの発表がありましたが、第2回に向けた長官のお考えをお聞かせ下さい。
A : 「地域における気象防災業務のあり方検討会」でございますけども、第1回は4月26日に開催いたしました。その際に委員の皆様から、気象庁が発表する情報の意図を読み解き、活用するということの重要性、これは主として市町村側の行動でございます。そのために、市町村との連携を日頃から深めていくことの重要性などを意見として頂いたところでございます。来週の火曜日に開催する予定の第2回の検討会では、第1回で頂いたこれらの意見と現状の気象台の取組の課題分析等も行いまして、地域気象防災に関して一層気象台が資するための取組について議論を深めていきたいと考えております。

Q : 昨日、御嶽山の噴火に関する第二回口頭弁論が開かれまして、原告の側はですね、被告側が提出された準備書面を見て、噴火警戒レベルを据え置いた経過を、より詳細に、いつ誰がどのようなやりとりをしたのかというより詳細なものを強く求めているということが昨日の裁判の中では表れていたんですけれども、気象庁としましてはそうしたご遺族の方々のご意向に関してはどのように応じていく考えがありますでしょうか。
A : 平成26年の御嶽山の噴火災害につきましては、亡くなられた方へのご冥福、それからご遺族の方へのお悔やみを申し上げるとともに、被災された方にお見舞いを心より改めて申し上げたいと思います。今回、負傷された方による提訴も新たになされたというように承知しておりますけれども、司法の場における係争中の事案でありますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。これについてはご理解いただきたいと思います。いずれにいたしましても、気象庁としましては、関係する機関とよく協議をして真摯に対応させていただきたいと、このように思っております。

Q : 海洋気象観測船にこの前体験乗船させていただきまして貴重な経験をありがとうございました。非常に丹念な長年に渡る観測を続けてらっしゃるということで、非常に高度な技術もある程度必要だと思うんですけども、今後は新しい若い職員を引き続き船に乗ってもらって、そこでしっかり養成していくために、改善策というか、乗る人達の労働環境含めて改善されていくようなお考えとかありましたら、よろしくお願いします。
A : 船の観測、例えば137度線の定線観測が50年ということで、非常に地道ではありますけれども、大事な仕事を続けていくということでございます。データを一つひとつ積み重ねていくという作業ですので、地道ではありますけれども、やはり非常に大事な仕事なので、職員のやりがいといいますか、そういうものをしっかりと持っていただくことが、非常に重要なことで、例えば今回のように体験乗船をいただいて、広く紹介をいただくと、改めて自分達のやっていることの重要性を客観的といいますか、第三者の目できちっと書いていただくということで大変良かったと思います。そういうやりがいを持っていただく一つとして、今回報道関係者の皆様の体験乗船を企画したものと思っております。それからもう一つが、やはりIPCC等で活用されているこということもございますけれども、成果をしっかりと内外の分析、施策に活かしていくという工夫をしていく必要があるかなと、今まで以上に成果を様々な研究成果とともに、あるいは施策に活用いただく工夫をしていきたいというように思っています。船に乗られた中での環境、職員の環境につきましては、今の啓風丸、凌風丸の体制になって、かなりよくなってるなというところはあると思いますけども、やはり長い航海に出ますので、観測員の皆さん、特に若手の職員の皆さんがやりがいを持ってお仕事をしていただくという意味では、嫌々観測をするということは困りますので、やはり魅力的な職場であるということを、採用する際、それから気象庁の職員の中にもそういうことを知らせていくという工夫を今までもしておりますので、そういうことは続けていく必要があるかなというように思っています。具体的なパンチのきいた答えになっていませんが、そういうことです。

Q : 先程、長官のほうから、これから梅雨の時期に入って、大雨の季節だという話があったんですけど、それに関連して高解像度降水ナウキャストについてお伺いします。今年、ちょっと前になりますが、4月30日に日本海の方で非降水エコー、つまり降ってないけれども降っているというような、そういう表示がされたというようなことがありまして、それから今月の10日、この間の土曜日ですね、気象庁が朝に、北日本の不安定現象に対して、全般気象情報で警戒を呼びかけた日なんですけれども、その日の午前11時から12時にかけての1時間、サーバの不具合だったということですが、実際降っているにも関わらず、ナウキャストの方では、降水は表示されていなかった。非降水エコーはどうしても防ぐことができなくて、しばしば起こる現象だということは、原課の方が言っていたんですが、この二つの事例を見てみて結果的に誤った出し方になってしまっているわけですよね。それを見て、一定程度、ナウキャストを利用されている方がいると思いますけれども、結果的に誤った情報の伝わり方をしてしまったら、気象庁としても本望じゃないと思いますけれども、そういう場合に、例えばですけれども、お断りを載せるだとか、注意書きを載せるだとか、ホームページの方に、そういった対応を取る必要があるんじゃないかなと思いますが、そういったことに対して、長官はどのようにお考えですか。
A : 高解像度降水ナウキャストが、気象庁ホームページを通じて、あるいは私どもが配信して様々な報道関係機関、IT関係機関の方も含めて表示をしていただいてご利用いただいていること、その重要性が非常に高いということを、私自身も認識しておりますので、その提供を途切れることなく、かつ利用において誤ることのないような形で工夫していかなければならない、これはこのとおりなんだと思います。今お話のありました、4月30日の件につきましては、従来ですと非降水エコーが出た場合に、朝鮮半島の方だったと思いますけれども、我が国の注意報・警報の発表等に影響がない限りにおいては、どちらかというとあまり重視していなかった部分があると思うんですけれども、先日の教訓を踏まえますと、先程申し上げましたように、高解像度降水ナウキャストが非常に注目度が高く見られているという観点から言えば、非降水エコーであったとしても、それが仮に注意報・警報の発表にそれほど大きな影響を与えないものであったとしても、非降水エコーを無くすというのは難しく技術的に色々難しいことはありますけれども、誤解のないように速やかな対応が必要だというように認識をいたしましたので、今後は速やかな対応については努めていきたいし、技術的なことでさらに改善ができることがあれば、中長期的に考えていかなきゃならないと、非降水エコーについては思っております。
  それから、先週の土曜日ですか、北日本でそれなりの雨が降っている状況で、11時から12時にかけての1時間止まったということがございました。まず一般論で申し上げますと、不具合が生じた場合、障害が生じた場合は、当然その復旧に努めるわけでございますけれども、それと同時に影響度も加味をして、よく考慮して気象庁ホームページにその旨をお知らせするということを基本的に今までやってきております。具体的には、不具合が生じた、あるいは障害が生じた場合は、もちろん復旧に取り組むわけですけれども、通常何もない場合は、1時間ぐらいの間に復旧に努めて、それで復旧できるならばそれはそのままで今まではやっていて、それ以上復旧に時間がかかるような場合は、ホームページ等でお知らせをしている、こういう運用を基本としてやっておりました。ただ、やはり、雨の状況等によっては、1時間の間に非常に重要な事態が進行するというようなこともございますので、誤った表示をするとか、あるいは表示がされないというようなときの影響度を考慮して、もっと速やかなお知らせ等をすることができないか、これは考えていかなきゃならない問題だろうと思っています。

Q : 具体的に今後その方向で進めていくというような認識でよろしいですか。
A : 具体的にオペレーションとしてどういったことができるかは考えていかなければならないと思います。誤解が無いように、あるいは仮にシステム障害等で高解像度降水ナウキャストが見えなくなった場合に、例えば従来からあるレーダーナウキャストの方を見ていただくとか、あるいは高解像度降水ナウキャストは障害状態になっているとか、そういうことをお知らせしなければ非常に影響が大きいというような場合は、これは速やかな対応を考えていかなければならないんじゃないかと思っております。具体的にどういうことができるかは少し考えさせてもらいたいと思います。例えば警報が出ているような場合とか、集中豪雨が非常に活発なときに、高解像度降水ナウキャストが見えないような状況になった場合には、従来からあるレーダーナウキャストを見ていただくとか、あるいは高解像度降水ナウキャストは現在使われてないということを速やかにお知らせするような工夫をしていく必要があるんだろうと思います。

Q : ホームページにお知らせを載せることってそんなにハードルの高いことなんですか。
A : 一律どうするかという話と、あるいはどういうケースでどう載せるかみたいなことは、少し勉強させていただきたいと思います。もちろん、気象庁は24時間対応していますから、従来ですと1時間くらいの間に直せるものは直そうと思いますので、その程度であれば影響がなければ、何も載せていないという運用を従来していましたから、どういうことができるかは、少し勉強させていただきたいと思います。早めに何ができるかということですね。

Q :先の国会審議で、尖閣諸島を対象にした天気予報について議論されていて、長官は技術的には可能だと仰いましたが、改めてその可能性についてお聞きしたいのと、安倍総理が政治的にではなくて、気象庁に検討させたいというような答弁をしていて、何か具体的な動きがあるんでしょうか。
A : 先日、6月5日、参議院の決算委員会における山田宏議員の質疑に関してのお尋ねだと思います。尖閣諸島の天気は、現在は石垣島地方という天気の予報区、全国で142ある予報区の一つである石垣島地方の中に含めて、同じ石垣市内の住所ですから、含めて発表していると。山田議員の質問は、尖閣だけを抜き出して予報するのは技術的に可能かという私に対する問いで、もちろん民間の方も含めて、個別の地点について予報を出すということがやられておりますので、技術的には可能であるというようにお答えを差し上げたと。総理の方からは、「地域分割的に適切かどうか技術的に気象庁に検討させる」というような趣旨のご発言があったというように理解しております。先程申しましたように、142の地域に日本全国を分割して、おおむね海域であれば、通常の時系列予報は別として、天気予報はマークで書きますから、6時間くらいの時間幅を表現できればいいというような考え方も従来からありましたので、そういった観点で見たときに、海域だとある程度の広がりを持ってもいいだろうというようなことで同じ予報区の中で発表しているということではあるんですけれども、現実に例えば石垣島の本島と尖閣諸島でどれくらい違うんだろうかというようなことは、技術的には確認はする必要があるというようには思っております。そう考えますと、142の分割について、例えば内陸ですともっと細かく分割しているわけですけれども、技術的に精緻に検討しだすと相当大変な検討になると思うんですけれども、気象庁が検討するということであれば、技術的な観点で天気予報をマークとしてお示しする意味で、全然異なるものを同じマークでやっているというようなことがあるかどうか、そういった技術的な観点での検討はしていく必要があるんだろうと思っています。

Q : 官邸から具体的に何か話は。
A : ありません。

Q : 例えば尖閣諸島にアメダスを置くとか、観測機器を置くことは検討されたんですか。
A : 技術的な観点で検討するというのが気象庁の立場だと思います。これまでの考え方としては、アメダスとか観測点を置かないところでも天気予報を出すことができることとしており、今までは少なくともそういう観測機器を置くことを考えたことがないといいますか、技術的には、今アメダスを置かなくても衛星とか色々ありますので、ある程度検証等は可能なのではないかと思っております。

(以上)

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