長官記者会見要旨(平成28年7月21日)

会見日時等

平成28年7月21日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室


発言要旨

 私の方からまず、気象に関する留意事項について、そして、その後に、報道発表した内容、報道発表予定の内容につきまして、3つの分野、火山と津波と気候について、簡単に紹介いたします。
 
 まず、気象に関して、猛暑、大雨、それから突風について留意事項を最初にお伝えしようと思います。
 今週18日の月曜日には九州から東海までの地方が梅雨明けしたとみられるということでございます。各地で猛暑日となっているところもございます。梅雨明け後には、晴れて気温が上昇する等によりまして熱中症の危険が高まります。また、梅雨明けしていない地域であっても、晴れ間、気象の状況によっては、気温が上昇して熱中症になりやすい状況がございますので、これに注意していただきたいと思います。毎度申し上げますけれども、最高気温が概ね35℃を超えるような場合・状況では、高温注意情報を発表するということとしておりますので、報道機関のみなさまにおかれましては、早めの水分補給を呼びかけていただくなど、引き続き注意喚起をお願いしたいというように思っております。
 
 それから、梅雨明けをしていない地域もまだございます。最新の気象情報に留意していただくとともに、大雨等により災害が発生する状況では、時間を追って発表いたします、気象情報・注意報・警報等の情報を十分に活用いただいて、早めの対応をとっていただくよう、お願いしたいと思います。
 
 また、先週の14日の木曜日と翌日もございましたけれども、上空に寒気が流れ込んだ影響などで、関東甲信地方を中心としまして、突風災害が各地で報告されております。これからの季節、夏の季節の大気不安定や、台風の影響等ございまして突風が発生しやすくなる時期でもございますので、竜巻等の突風から身を守るため、竜巻注意情報等、最新の気象情報に注意していただきたいと思います。また、空が暗くなる等、冷たい風が吹き出す等の、積乱雲が近づくといった兆候を確認した場合には、頑丈な建物の中に入る等、身の安全の確保の行動をとっていただく、というようにお願いいたします。
 
 次に、火山についてでございます。
 火山の噴火警戒レベルの導入につきまして、先日12日に新たに3つの火山、青森県の岩木山、それから宮城県・山形県の県境にございます蔵王山、大分県の鶴見岳・伽藍岳の噴火警戒レベルの運用を、7月26日14時から開始するという報道発表を行いました。この噴火警戒レベルにつきましては、自治体や地元の防災協議会において協議を重ね、噴火時等による警戒が必要な範囲を定めるということとなっておりまして、取るべき防災対応を、5段階に区別しております。これらによりまして、先ほど申し上げた岩木山、蔵王山、鶴見岳・伽藍岳の3火山では、火山の活動状況に応じた迅速な防災対応を取ることが可能になるというように考えております。今回の3つの火山の噴火警戒レベルの導入によりまして、全国で37の火山で運用することになっております。今後、まだ導入をしていない、噴火警戒レベルを導入する予定であります12の火山につきましても、引き続き、地元と協議を進めて、順次その導入を進めてまいりたいと思います。
 
 次に、津波情報に活用する沖合の津波観測点の追加について申し上げます。
 気象庁はこれまでも、関係機関の協力を得まして、沿岸の津波観測地点、それから沖合の津波計のデータをリアルタイムで監視をし、津波警報を発表した後には、速やかに津波の実況、それから実況に基づく津波警報の切り替え・解除を行っています。今般、防災科学技術研究所により整備されました、日本海溝海底地震津波観測網、通称S-netと呼んでおりますけれども、この海底津波計の125点、それから、三重県から高知県の沖合にかけて、海洋研究開発機構により設置され、現在は防災科学技術研究所に移管されておりますけれども、地震・津波観測監視システム(DONET)の海底津波計、こちらは31地点を新たにデータとして、津波の観測値に活用する、津波情報に発表する観測点に含めるという準備が整いました。これらのデータにつきまして、7月28日12時から開始する予定にしております。これによりまして、より早く津波警報等の更新を行う、あるいは津波の実況をお知らせすることができるようになると考えております。この件につきましては本日この後、防災科学技術研究所との共同の報道発表ということで、詳細については、担当から、ご説明を差し上げたいと思っております。
 引き続き、津波に関しましては、関係機関と連携して、進めてまいりたい、強化をしてまいりたい、と思っております。
 
 それから、最後でございますけれども、気候分野に関する取り組みであります。毎年公表してきております「気候変動監視レポート」の2015年版を近日中に公表したいと考えております。このレポートにおきましては、各年、2015年版ですから、昨年一年間の大気や海洋等の観測・監視結果を含めておりますし、今回ですと、昨年の9月にございました「平成27年9月関東・東北豪雨」の背景となった不順な天候、あるいは顕著に発達したエルニーニョ現象の解析の状況を含めております。気候変動の監視状況の最新の情報・知見を含めておりますので、地球温暖化の適応等の対策、それから地球環境の理解を深めていただくために広く活用していただければと思っております。
 気候分野の2つ目の話題として、これは本日、報道発表しておりますけれども、気候予測情報の農業への活用を進めていく、ということで、国立研究開発法人の農業食品産業技術総合研究機構と共同研究を行っております。その報告書を本日公表いたしました。今後とも気象・気候の、農業をはじめ社会の様々な分野の活動において、気象や気候の情報が、安全・生産性等の向上のためより有効に活用されるよう取り組んでまいりたいというように考えております。
 
 私からは以上でございます。


主な質疑応答

Q 熊本地震から3か月経過しましたが、長官から何か留意事項があればお願いします。
A 熊本地震につきましては、現在も余震がまだ続いている状況がございます。先般7月11日に政府の地震調査委員会からこの地震活動に対する現状・見通しといったことが検討され、公表されております。その評価結果からは、熊本県熊本地方や阿蘇地方においては、現状程度の余震活動は当分続くということと同時に、最大震度5強程度の強い揺れを伴う余震については発生する可能性は低下したと公表されているところです。このように、大きな余震が発生する可能性は低下したとされていますが、余震活動自体は続いていますので、復旧活動等を行う場合には、今後の地震活動、それから梅雨は明けましたが、まだ雨は降りますので、降雨の状況にも注意していただきたいと思っています。
 それから、一般的なこととして、周辺に活断層が存在するということについても、熊本も含め、日頃から地震への備えをしていただきたいと思っています。地震活動等に変化が現れましたら、気象庁からは積極的にその変化の状況はお伝えしていこうと思っています。

Q 先ほどの冒頭発言で、沖合の津波観測点追加の話がありましたが、その中で、より早く更新されたり実況を知らせられるという話がありましたが、警報や情報を受ける私たちが、今回の導入によって、例えば心構えの変化であったり気をつけなければならないことといったことはあるのでしょうか。
A 津波警報の発表につきましては、ご存知のように私ども第1報は3分で発表することを目標として、実際にそのようにやってきております。この第1報につきましては、地震データの解析から推定をして発表しておりますので、この点は変わりません。一方、第1報を発表した後に、津波の実況を発表するとともに、その実況を踏まえて第1報で発表した津波警報の規模、推定の高さが適切かどうかということを判断していくわけですが、今回、S-netやDONETのデータを使うことで、特に東北地方太平洋沖で発生した地震につきましては最大で20分ほど実況データを早く伝えるケースがあると思っていますので、これまでよりも津波自身の把握力は上がってきていると思います。一方で、それを踏まえて、津波警報の引き下げ・引き上げがない場合であっても、第1報で出した津波警報にしっかり留意していただいて、まずは警報の内容に応じた形で避難をしていただき、その上で後に続く津波の実況、場合によっては警報の切り替えを十分把握していただいた上で対応していただくことが必要になると思っています。今回、そういう意味では、津波の警戒を維持していただくと同時に、その後の判断をしていただくための情報を、より良くより早くお伝えすることができるようになったと考えていただければと思います。

Q 警報が出た後の行動というのは変わらないか。
A 変わらないと思っていただければと思います。



(以上)

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