長官記者会見要旨(平成28年5月19日)

会見日時等

平成28年5月19日(木) 14時00分~14時40分
於:気象庁会見室


発言要旨

 まず、平成28年熊本地震についてでございます。
 この度の熊本地震により亡くなられた方々へのご冥福を心よりお祈りし、ご遺族の方にもお悔やみを申し上げたいと思います。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 4月14日以降、1カ月余りが経過したわけでございますけれども、現在も熊本県から大分県にかけまして、一連の地震活動が続いております。本日12時までで震度1以上の地震を観測した回数でございますけれども1500回になりました。 これまで揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害の危険性が高くなっておりますので、復旧活動等を行う場合には、地震活動、雨の降り方に十分注意いただいて、安全を確保し行動していただけるようお願いしたいと思います。 これらの状況でございますので、気象庁といたしましては、地震活動の監視、気象も含めまして適時の情報の提供に努めて参りたいと思います。

 次に、これから出水期に入りますので、この点について何点かお話をしたいと思います。
 沖縄と奄美につきましては、既に梅雨入りをいたしました。全国的にはこれから梅雨入りということでございますので、本格的な出水期を迎えます。 気象庁は、気象に関する情報でございますけれども、気象情報、注意報、警報といったような情報を段階的に時間を追って発表していくわけでございますが、これらの情報をご利用いただき、早め早めの対応をお願いしたいと思っております。このために気象庁としては、引き続き情報の提供の内容・利用について、周知・啓発を進めて参りたいと思っておりますし、報道の皆様におかれましても協力をお願いしたいと思っております。 また、先ほどお話しましたように平成28年熊本地震による揺れが大きかった地域は、その揺れによって地盤等が緩んでいるような状況でございますので、大雨、洪水の注意報・警報、あるいは土砂災害警戒情報の発表基準を引き下げて運用しております。これらの情報にも十分注意していただきたいと思っています。 なお、本日報道発表しておりますけれども、来週24日(火)からは、土砂災害警戒判定メッシュ情報の表示の改善を行うこととしております。具体的には、地理情報と重ねあわせをして分かりやすく提供することで、自分のいる場所が分かりやすいということもございますので、大雨による土砂災害の危険度が高まっている地域をより分かりやすく、自らのこととして把握いただくということになると思います。大雨警報、土砂災害警戒情報と合わせてこれらの発表についてもぜひご利用をすすめていただきたいと考えております。

 次に熱中症への対応でございます。
 今年も既に熊本、大分の被災地も含めまして、真夏日が出ております。30℃を超えるような状況もありますし、夏日も大変多く出ている状況になってきておりまして、熱中症への備えが重要になっているように考えております。 気象庁としましては、今年も、最高気温が35℃を超えると予想される場合には、高温注意情報を発表することとしております。また、特にだんだん暑くなってくるこの時期、体が暑さに慣れておりませんので、高温注意情報の発表に至らない場合であっても、30℃を超えるような場合、それが予想されるような場合には、天気概況の中でその点も注意として呼びかけることとしております。気象庁の熱中症のポータルサイトもございます。このあたりも大いに活用いただいて、熱中症対策を進めていただければというように思っております。

 最後に、「気象業務はいま2016」の発刊についてでございます。
 「気象業務はいま」は、平成7年から順次発刊をしているわけでおりますけど、気象庁の取組の現状、あるいは今後の展望など気象業務の全体像を広く国民の皆様に知っていただくことで、気象と地震等とうまく付き合っていただくため、ぜひ活用していただくということで、6月1日に毎年発刊しておりますので、今年も気象記念日であります6月1日発刊に向けて準備を進めております。これについての説明の機会と設けさせていただきたいと思います。


主な質疑応答

Q 熊本地震に関連してなんですが、最初、14日の段階でマグニチュード6.5があって、その後にマグニチュード7.3のさらに大きい地震があったけども、その初動にいろいろ意見が出たと思うが、改めて最初の初期対応というところを、ご見解を。
A 初期対応ということで、全般的にはですね、今まで、先ほど申し上げましたけれども、活発な活動が続いて、緩やかではありますけれども、全体的な地震活動、減衰しつつありますけれども、まだ続いているような状況でございます。これに対して、気象庁、24時間監視をし、緊急地震速報を始めとする地震情報の発表、それから、地震に伴う臨時の会見により注意の呼びかけ等を行ってきておりますので、その点については職員、気象庁一丸となって対応してきているものと全般的には思っております。その中には、例えば、自治体の整備した震度計が故障した場合は速やかに臨時の設置をするとか、阿蘇の火山活動、特段に変化はございませんけれども、電源等の不通に伴う観測点の障害に対して適切に対応する、迅速に職員が対応していただいた、と思っておりますし、今後ともそうしていきたいと思っております。
 今ご質問のありました14日の6.5、16日の地震の7.3という、そのあたりの前後の関係、対応についてお伺いということだと思います。これにつきましては、6.5の地震が発生した場合、内陸でございますけれども、これまでその6.5を超えるような地震が引き続いて発生したということは観測史上ございませんので、これに従って対応したというのが事実でございます。また、ある地震が起こって、地震活動の中で、その後さらに大きな地震が発生するということがですね、予測する技術っていうのは今手法が無いんだと思っておりますので、今の科学技術、今までの知見を踏まえた形で、気象庁としては24時間体制で情報発表をするという意味では、今の技術を踏まえて対応させていただいたものだというように思っております。

Q あとは余震、確率の出し方っていうのも今後検討していくということで調査委員会のほうでも話になっているんですが、その辺りはあらためて、今その話としてはどう捉えてますかね。
A 余震確率の発表につきましては、平成10年の地震調査委員会での検討結果を踏まえて、余震の確率の情報を発表するということで、24時間体制で対応している気象庁が発表するしくみが出来上がってこの15年余り、発表を続けてきているわけでございます。その中には、6.4以上の地震が発生した場合には、本震だと思って余震確率を発表するっていうようなマニュアルがございますので、それに従って発表したということは結果として事実であります。その発表した後に、結果として7.3の地震が発生したということは確かにあったわけでございますので、この点につきましては、余震確率の評価をする手法について、改訂が必要なんだろうという意識がございます。これにつきましては、先般の5月13日の地震調査研究推進本部地震調査委員会において改訂を行うことが言われましたので、当然この手法に基づいて情報発表をしている気象庁として、あるいは政府の一員として、この改訂の検討には積極的に参加をし、密に連携しながら取り組んでいきたいというように思っています。

Q 今のお話と重複する面があるかと思いますけれども、熊本地震の発生から初めての長官会見ということで、今回の地震を振り返って、どのような地震だったか、今回の地震の中からは教訓と出来るような、今後気象庁として改善出来るというものがありましたら教えてください。
A 1カ月余り経ちました。もう皆様も様々に報道をされているところがあると思いますけれども、この地震については、今まさにこの直前でお答えしましたようにまず6.5の地震が起こり、その2日後、2日経たないうちに、それよりさらに大きな7.3の地震が起こったと、それでかつ、双方ともに最大震度7を観測したということで、揺れといい地震の起こり方といい、これまで我々が経験してこなかった地震だということを認識しております。これが一点目です。
 内陸の地震といたしまして、これほど広い範囲、すなわち熊本県熊本地方から阿蘇地方、それから大分県中部にかけて広範囲で地震活動が発生しているということは、これも大変特徴的な地震だと思っております。これが二点目です。
 それから、三点目につきましては、最大震度7が2回でしたが、最大震度6強も2回、6弱は3回と、あと5強等も発生しておりますが、そういった強い揺れが何度も連続して発生して、多くの強い揺れが続いていった、なおかつ今も震度1以上が発生し、今日で1500回ということですが、続いているということが、この地震の3番目の特徴であるというように思っております。その特徴を踏まえて何か改善が出来るかをお尋ねだと思いますが、その点につきましては、我が国として私どもが地震を観測して、いくつか今申し上げた中で初めて経験するようなこともあります。私自身としては、日本の科学技術と言いますか、地震学を始めとする科学技術を総動員して、この新たな事態に対応していくために検討を進めていく必要があるのだろうと思っています。幸い、政府の地震調査研究推進本部という全体をまとめるところがありますので、その中で検討を進めていただける、特に先ほども話題になりましたが、余震発生確率の改訂をどうすればよいか、あるいは活断層が近くにあるような場合にどのように考えていけばいいか、ということがあると思いますので、その点について日本全体の知見を総動員した上で検討いただき、その中で私どもももちろん参画いたしますし、より良い分析、あるいは防災上の呼びかけをどうしていけばいいか、ということも一緒に参画しながらその一翼を担っていきたいと思っております。

Q 今回、最初のマグニチュード6.5の地震があった後に、余震ということで多くの人がこれ以上大きなものがないのではないかと受け止めて戻った結果、結果として人命が失われた部分があると思います。そこについて、長官としてどのように受け止めていらっしゃるかということをお伺いしたい。
A そのようなご指摘あるいは報道があることは承知をしております。私どもがこれまで築き上げた技術を踏まえて、今回マグニチュード6.5の地震が起こった後にそれを上回る地震については、皆さんに提供する形として、これを上回る地震が起こるということを明確に予測するという手法を持ちえていなかったわけですので、そういう意味で今回のような結果になっているという、この点については、今の技術を踏まえてどのような呼びかけをしていくのが適切かということについて、今後、私ども、それから政府の中でしっかり検討していく必要があると、それこそ重要なことではないかと思います。

Q 例えば、地震調査研究推進本部の長期予測ではマグニチュード7クラスが起きる可能性も指摘されていたが、今後のことも含めて、こういった地域で小さめの地震が発生した場合に、その後大きなものが発生する可能性をアナウンスすることも含めて検討するということか。
A 今、ご指摘があったことについては、そのようなご意見があることも承知しております。平成7年の阪神・淡路大震災以降、地震調査研究推進本部、政府を挙げて、活断層の調査に取り組んできて、その結果として、活断層の将来、例えば、今後30年間で地震を起こす、それもどういった規模の地震を起こすということについての発表をしてきているという実態がございます。それは、大きな成果だと思います。その成果を踏まえて、それをどのように国民の皆さん、住民の皆さんにお知らせをし、理解していただく、あるいは、対策に反映いくかということは、非常に重要な検討だと思います。それにつきましては、政府全体の課題でありますし、日頃からの活断層の発生確率をどのようにアナウンスしていくか、公表していくか、解説していくかというようなこと、それから、今、ご指摘ありましたけども、ある地震が起こったときに、近傍で地震がどのようにつながっていくか、この辺については、正直申し上げて、大変技術的に難しい話なんだというように思います。そういう難しい中で、日頃の備えをという話、これは重要な話だと思います。ある地震が起こったときに、どのようにアナウンスをするか、お伝えしていくか、これについては、やはり知見を総動員してどういう風にすればいいかということを、ぜひ検討していっていただきたい、あるいは、私どももその一員として参画していくことが重要なのではないか。このように思っています。

Q 重ねての質問で申し訳ないですが、今回の一連の気象庁の対応というのは基本的には問題がなかったという認識、という理解でよろしいですか。
A 私どもとしては、持っている知見について、一生懸命やらせていただいた、というのは事実であります。一方で、事実として、6.5の後に7.3が起こったということについては、重く受け止め、今後の検討と言いますか、今後の取組に活かしていく必要があるのではないかと思います。

Q 今の質問に関連しますが、地震調査委員会の平田委員長の会見では、確率の見直しについては、今後数カ月ぐらいかかるようなことを話されていましたが、熊本地方、大分地方を含めてですね、その周辺でも地震が起こりやすくなっていると言われています。当然、内陸地震というのは、明日、起きてもおかしくない状況ですが、そんな中、気象庁としては、今後、今すぐ喫緊で、そういった地震が起きた場合については、どのような地震発生確率含めて、対応、アナウンスをしていくおつもりでしょうか。
A 5月13日の段階で、いわゆる、今後の見通しとそれに伴う呼びかけがなされております。ひとつは、熊本地方、阿蘇地方に対する震度6弱程度、少なくとも今後1カ月と、それから、大分県中部に対する震度5強程度、今後少なくとも1カ月という呼びかけがなされておりますので、こういう一連の見通し、呼びかけの中で、この基本的な呼びかけは変わらないと思います。一方で、私どもは、地震活動を絶えず監視をして、情報を出していくという役割がありますから、その役割の中で、この5月13日の見通しとちょっと違うなということが、仮にあるような場合には、それはその時の判断として、呼びかけていくということにはなるのだと思います。現在のところ、5月13日の見通し、呼びかけの範囲できておりますので、この中で、必要な情報、地震の発生状況を伝えていくというのが重要なことなのではないかと思っています。

Q 他の地域で、例えばマグニチュード6.5 以上の地震が起きた場合については、その辺はどういう考えなのでしょうか。
A 例えば、16日、茨城県南部で21時過ぎにございました。ああいう地震が起こりますと、臨時で情報を出します。会見等も行いますけれども、その地震が発生した地域の過去のこれまでの活動、経験、知見を踏まえた形での呼びかけになるのかというように思っております。例えば、16日の場合ですと、茨城県で最大震度5弱でしたので、震度4程度を2、3日は注意というような呼びかけをしたんだと思います。私どもがこれまで蓄積してきた地震活動の経験を踏まえた形で、呼びかけをしていく、ということでありまして、余震の確率予測そのものを提供するというのは、この3カ月は当面ないのであろう、と思っております。

Q 今の質問の関連です。余震確率の手法など、これから時間を掛けてやっていく中で気象庁も意見を出していくというのは分かるのですが、やはり今すぐにでも同じような形で内陸直下の大きめの地震が起きたときに、茨城の地震は規模も小さかったのでこれまでの経験則で良かったかもしれませんが、やはり経験則から外れることを予測して、今の時点でどのような防災情報を発信するのかというのは、熊本地震からの教訓があると思うので、それに関しては数カ月という期間ではなく、長官自身どう発信してくことが必要であるとお考えでしょうか。改めてお聞かせください。
A 私、国会答弁でも若干発言したことがあるのですが、今回5月13日の地震調査委員会の後の委員長見解で平田委員長が言及していたのとまさに同じ気持ちであります。やはり地震というのは日頃からの備えが極めて重要でありますので、活断層がある、あるいは活断層がない場合、表面に見えなくても地震活動が起こるわけですし、その他、地震調査研究推進本部では30年確率のような形で地震の発生予測がなされている部分もあります。そういう情報をしっかりと踏まえた上で、日頃からの耐震化、家具の固定、いざ地震が起こったときにどうするかという訓練、あるいは地震が起こった直後、どのように動くかという、訓練の一種かもしれませんが、そういったことをしっかりと自覚しやっていただくということがまず大事なのではないかと、そのことをまず第一に訴えたいということです。

Q それは基本の「き」ということですか。
A はい。

Q ただ、地震慣れしていないような、例えば熊本のように6弱や6強を過去に経験していないようなところで7が出るというのは、新しい教訓としてあると思いますが、その場合に、余震発生確率を、新しいものが出るにしろ出ないにしろ、それでも予想が外れることは起き得ると思うので、そのことに関しての発表というのは経験則に囚われすぎると、これまでの気象庁にはなかったことだと思うので、そのあたりはどうお考えでしょうか。
A 大変難しい問題だと思いますけども、予測の確度というんでしょうか、例えば余震であれば、そのあと大きな地震が起こるかどうかは別としても、大きな地震が起こると、一度起こると必ず余震が起こって、その余震に伴ってだんだんと回数は減っていきます。それからある程度の規模の地震が起こります。これは非常に経験則としてわかりやすいので、確率予測の手法が開発をされ、それに基づいて私どもは情報提供してきたわけでございますけども、そのような経験に合わないもの、経験の無いことについて予想するということ自体が、そもそも定量的にどれぐらいの可能性があるかというと言いづらい、言えないという状態がおそらくあるんだと思います。その定量的に言えないことについて、無理に科学的に言えないことを言及するというのは、科学技術を基盤とする気象庁としてはとてもできない。そこの経験から言えること、それから日頃の備えとして言えることの間のことにつきましては、やはり科学技術、それから社会の皆様の理解の状況を踏まえて、やはり総合的に、知見を総動員してどうあるべきかを考えて頂く必要があると思っておりますので、今のお答えになっているかどうかわかりませんけれども、非常に曖昧になっているところをどう発表していくかということについては、正直非常に今の状況では難しいのではないかと思います。

Q すみません、質問は予測できないことを予測してくださいという質問ではなくて、経験則で予測したものを上回る事態が起きうるということに関して、基本の「き」の部分ではないところで、気象庁で言えることはないのかというふうに思ったんですけども、防災情報として。
A 基本の「き」?

Q 例えば前段階の平田委員長の見解も踏まえてですけども、2段階、3段構えの強い揺れを伴う地震への呼びかけもあったりして、ああいうのもありなのかなぁと思うんですけども。
A 今回の13日の地震調査委員会の見解は、今お話がありましたように、地震が起こって、いま、2段構えということをおっしゃいましたけども、近傍で地震が発生することも過去の経験からあるということで、言及頂いたものだと理解しております。そのようなことについても、それぞれの事案事案に応じて必要があれば言及していくこともあり得るかと思います。それはそれぞれの判断かと思いますし、一般論として申し上げれば、そのあたりをどう分析し、確度をどの程度だと考える、どのように呼びかけていくかについても社会科学的な点も含めて知見を総動員して検討して頂く、あるいは時間がある場合は、地震調査委員会等でもご検討して頂いた上で、お話をする。地震発生直後について言えば、気象庁として、ケースバイケースであると思いますけども、経験を踏まえた呼びかけを行うことが基本になるというように思います。

Q 今のも関連するんですけれども、今後、地震調査委員会の見解がまとまる前に内陸の直下型の地震が起きた場合に、例えば熊本地震でこういうような事例があったということをお伝えして、想起をして、思い出してもらって注意喚起を促すという呼びかけの仕方とか工夫はないんでしょうか。
A 否定はしませんけれども、やはりそのときの判断、その状況次第かと思います。今、あの、仮定の話でありますので、具体的に起こった場合にどうであるのかということは、最大限考えて判断して必要な呼びかけを行うことになるかと思います。

Q 今の関連なんですけども、ある地震が起きてですね、それが前震であるかどうかは今の技術・知見では手法がなくてどうしようもないのかな、という様なことを仰ったと受け止めたんですけども、ただ、まったく研究がないわけではなくて、一定の蓄積も出てきている地域もあると思うんですけども、ある群発地震が起きたりすればそれがその次本震が来るのではないかとかですね、地域によってはそういった知見が蓄積されている地域も出てきたりとかしているかと思うんですけども、ある地震が起きたときにそれが前震なのか、次本震が来る可能性があるのかという部分について、しょうがないというのか、それとも今後ですね、さらに気象庁としても情報発信で挑戦していく気持ちがあるのかどうか、そのあたりの夢はどうですか。
A 例えば、最近は起こっておりませんけども、伊豆半島東方沖で1980年代は群発地震がよく起こりました。そういうのを何度か経験すると、当分の間は注意して欲しいとか、まだこれより大きな地震が起こりうるかもしれないというような知見があるような地域もございますが、それが1980年代あるいは90年代始めにかけてそうだったですけど、最近起こっていませんので、それがそのまま適用できるかどうかわからないという意味では、あまりその、今回学んだ教訓というか、過去の事例に捕らわれないで、柔軟に考えていくということも必要だと思います。過去にこんなことがあったからこれは絶対にこの通りです、というようなことよりはもう少し警戒して頂く観点でも、必要な部分があるかなぁと思うので、ここのところは非常によくわかっている、わかっていないというところにあまり、もちろんそれは大事にする必要はあると思っておりますけども、虚心にありのまま自然を見て、それに備えて頂くにはどうすればいいか、という観点から自然を見て必要な情報発信を行っていく、あるいは呼びかけを行っていくというのが基本だと思います。

Q 余震確率の予測の見直しについて、日本の科学技術を総動員する、社会科学も含めて知識を総動員するとおっしゃっていますけど、地震学者だけでなく別分野から何か知恵を借りるとか、何か具体的なイメージがあるのでしょうか。
A この検討自体は、政府の地震調査研究推進本部で行いますので、私自身が何かをするという話ではありません。ただ、一般論として申し上げると、こういう事態を踏まえるならば、地震学を中心とする知見を総動員して、分析のあり方は検討していたということで、それは、おそらく地震調査委員会の平田委員長もそういう意思をお持ちだというふうに言っております。一方で、それをどの様に呼びかけていくかということについては、地震のことだけを知っていても駄目だという様に思いますので、平田委員長も防災情報としてどのように発信していくのがいいかとおっしゃっておりましたので、そういう意図があるんだろうと、私自身思っておりますけども、それをどのような形でやっていくのかについては、私存じませんが、今後検討に参加していく中で何かあればお話をしたいと思っています。

Q 確認なんですけども、例えばその気象庁内でそういう話し合いにはならないんですか。委員会に任せている、気象庁から職員、出ているわけですけども、気象庁内で、そういう、どうこうしていこうという議論にはならないんですか。
A 政府における役割という意味で、地震に関する調査研究の成果、調査を推進するとともにその成果を生かしていくという大きな役割がございます地震調査研究推進本部。そこは、政府の一員としてはそういうことなんだろうと思います。気象庁は、24時間監視をし、最新の科学技術を取り入れながら、オペレーショナルに、皆さんに情報を提供していくというのが責務だというように思っておりますので、すっぱりと役割が切れるという訳ではないと思いますけれども、そういう基本の役割の中で対応していくことがいいのではないかと思っております。

Q 余震確率に関して言えば、発表の仕方をどう見直すかっていうそういう検討、気象庁内としてはそういう検討ってのは無いという理解でいいですか。
A 正確に言えば、余震の確率評価手法というのが、地震調査研究推進本部の中の小委員会の中で検討されたということを踏まえて今回、地震調査委員会の方でその改訂を進めるということでございますので。

Q それは委員会でやるってことは分かるんですけど、気象庁の中でそういう、現場レベルでそういうことにはなっていない。
A 気象庁も調査委員会の事務局でもありますし、構成している省庁ですから、当然、程度がどの程度かにもよりますけれども、気象庁の中で分析をした結果を、ご報告し、全体として議論していただくと、そういう役割なんだろうというように考えています。


(以上)

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