長官記者会見要旨(平成27年6月18日)

会見日時等

平成27年6月18日(木) 14時00分~14時45分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日はまず、口永良部島をはじめとする火山に関することについて、説明させていただきます。
 続いて、「ひまわり8号」については、先日、正式運用日をお知らせさせていただきましたが、あらためて紹介させていただきます。
 最後に、梅雨期の留意事項について、説明させていただきます。

 口永良部島は、先ほど12時17分に再び噴火いたしました。これについては、ただいま情報収集中です。詳しい状況が分かりましたら、ご説明いたします。せっかくの機会ですので、口永良部島のこれまでの経過について、ご説明させていただきます。昨年8月3日に噴火し、気象庁は噴火警戒レベルを3とし、屋久島町は入山規制を実施しておりました。5月23日になって島直下を震源とする震度3の地震の発生を受け、噴火警戒レベルの引き上げの考え方について、口永良部島に詳しい火山専門家、具体的には京都大学の井口先生や地元自治体と直ちに詳細な検討を行いました。この結果を同日地元の火山防災協議会に説明し共有するとともに、住民説明会を実施しました。その後、29日09時59分に噴火が発生したことから、噴火直後の10時07分に噴火警戒レベルを5とした噴火警報を発表しております。この警報を受けて、屋久島町は避難指示を出し、全島民が島外に避難しています。口永良部島の新岳の活動について、火山噴火予知連絡会は「今後も同程度の噴火が発生する可能性がある」と評価しています。引き続き厳重な警戒が必要な状況です。
 御嶽山では、昨年10月中旬以降、噴火は観測されていません。噴煙活動や二酸化硫黄の放出はやや少ない状態が続いており、火山性微動は昨年11月下旬に規模の小さいものが発生した以外は観測されていません。地殻変動観測では、火山活動の高まりを示す変化は観測されておらず、火山性地震は減少しています。以上のように、御嶽山の火山活動は低下した状態が続いていますが、弱いながらも噴煙活動や地震活動が続いていることから、昨年9月よりも規模の小さな噴火が今後も突発的に発生する可能性は否定できません。気象庁では観測体制を強化し、引き続き厳重に警戒しております。なお、長野県と岐阜県では、捜索活動の再開に向け6月10日に調査隊を派遣しており、その際、気象庁職員も同行し安全確認等を行いました。気象庁としては、今後も火山活動の監視、火山活動状況の連絡など捜索隊等の安全確保を支援して参ります。
 浅間山では、今年4月下旬頃から体に感じない火山性地震が増加し、火山性微動も一定程度、観測するなど、火山活動がやや活発な状況にありました。また、二酸化硫黄の放出が6月8日の観測で1日当たり500トン、11日の観測では1,700トンと急増しました。これらのことから、11日15時30分に浅間山に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベル1からレベル2に引き上げました。16日には、山頂火口でごく小規模な噴火が発生しました。噴煙の高さなどの状況は視界不良のため不明でしたが、規制範囲である火口から概ね2キロメートルを越えて被害を及ぼすものではありませんでした。浅間山で噴火が発生したのは、平成21年5月27日以来です。16日、機動観測班を派遣して降灰調査を行った結果、浅間山の北から北東にかけて噴火による微量の降灰を確認しました。また、同日14時頃、関東地方整備局の協力により、ヘリによる上空からの観測を行いましたが、この時点では、噴煙は白色で、火山灰を含んでいませんでした。現在も噴火警戒レベルは2を継続しており、引き続き、火口から概ね2キロメートルの範囲では弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒する必要があり、地元自治体では、火口からおおむね2km以内を立入規制とするなど防災対策を講じています。
 箱根山の大涌谷周辺につきましては、先月5月6日に、火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1から2に引き上げております。大涌谷周辺では、大涌谷温泉供給施設の蒸気の勢いは弱まってきていることが観測され、また、一部の傾斜計の変動は鈍化している傾向が見られますが、火山性地震、山体の膨らみは現在も継続しています。レベルの引き上げから約1ヶ月半になりますが、火山活動は、全体として、レベルの引き上げ前に比べて依然活発な状況です。気象庁では、遠望カメラや噴火を捉える空振計を増設し、観測体制を強化しています。
 蔵王山では、4月13日に火口周辺警報(火口周辺危険)を発表しました。6月15日の火山噴火予知連絡会で、「5月下旬以降は地震は少ない状態で経過している」との見解が示されたことから、この結果を踏まえ、16日09時に火口周辺警報(火口周辺危険)から噴火予報(活火山であることに留意)に引き下げました。警報解除後も地元自治体は火口内への立入規制を行っていると承知しています。これら以外の火山についても、引き続き、しっかり監視を行い、活動の変化に応じて、適時に火山情報等を発表するとともに、地元自治体と連携して防災対応に努めて参ります。
 なお、蔵王山を含め、噴火警報を発表していない火山についても、活火山であることに留意いただきますよう、よろしくお願いします。

 気象庁が発表する情報は、防災対応に結びつくものです。そのため、情報が過大であっても、過小であっても、適切ではないというのが基本的な考え方です。これは、気象であっても、地象であっても同じ考え方です。今回、箱根山の噴火警報について、火口周辺警報であるレベル2を発表する際に、警報文の見出しを「大涌谷周辺(箱根山)」とすることを皆様にお知らせ致しました。これは、火口周辺警報を発表する際に、警戒を要する範囲が科学的に明らかな場合は、その範囲を警報文の見出しから明らかにすることによって、簡潔かつ適切な情報提供につながるとの考えによるものです。今回の箱根山の例によれば、「箱根山に火口周辺警報」とした場合、広大なエリアの中でどこの火口周辺なのか示しておらず、科学的には「大涌谷周辺」に限定されていることを踏まえて、限定エリアを明示し、火山名を付記することとしたものです。なお、入山規制となるレベル3以上では、これまでどおり、火山名のみを使用します。これまでは、気象庁では、慣習的に火山名のみを表記していましたが、より丁寧で正確な情報発信が求められる中で、自ら改善をさせて頂きました。今回はこのような表現に改める第一例として箱根山が対象となったことから、皆様にあらかじめお知らせしたところですが、この考え方は、他の火山でも同様に適用することとしており、今後、噴火警戒レベルの基準の見直しを地元協議会にお話する際、あわせて、地元のご意見を聞かせて頂くこととしています。このような考え方で、気象庁としての表現の改善をお知らせしたものです。

 「ひまわり8号」につきましては、運用に向けた準備を順調に進めており、7月7日(火)11時(日本時間)より正式運用を開始します。「ひまわり8号」により取得したカラー画像が、気象庁ホームページでもご覧いただけるようになります。
 世界最高性能のセンサーを搭載した「ひまわり8号」が生み出す、高解像度、高頻度、多チャンネルのデータにより、従来ではできなかった解析が可能となり、技術開発の余地が大きく広がることになります。予報精度の向上、豪雨監視の高度化といった活用はもちろんのこと、火山や海洋、地球環境の監視といった様々な視点で、この膨大なデータを活用し尽くせるよう、全庁を挙げて取り組んでまいります。

 沖縄地方では先週(6/11(木))梅雨明けしましたが、九州などでは大雨による被害も発生しており、これから梅雨末期にかけて大雨になりやすい季節を迎えます。大雨による被害を防止・軽減するためには、大雨となる前に事前の備えをしっかりと点検していただき、気象庁が時間をおって段階的に発表する気象情報、注意報、警報等を活用して、早め早めの防災対応をとっていただくことが何よりも重要です。また、今週は、上空に寒気が流れ込んだ影響で、局地的に大雨やひょうが降るなど荒れた天気となり、群馬県や岩手県では突風による被害も報告されております。竜巻などの突風から身を守るためには、竜巻注意情報などの最新の気象情報に注意していただき、空が急に暗くなる、冷たい風が吹き出すなど積乱雲の近づく兆候を確認した際には、頑丈な建物に入るなど身の安全を確保する行動をとっていただくことが重要です。気象庁といたしましては、適時的確な情報発表に努めることはもちろんですが、このような点について、周知・広報を強化してまいりたいと考えておりますので、報道機関の皆様におかれましてもご協力をお願いいたします。

 以上です。


主な質疑応答

Q 口永良部島や浅間山の今後の見通しと注意すべき点について教えてください。
A 口永良部島について、火山噴火予知連は、今後も5月29日と同程度の噴火がありうるとの見解を示しており、実際、今日も噴火しました。これが、5月29日と同程度か、まだ分かりませんが、情報収集を行っております。いずれにしても、今後も厳重に監視してまいります。皆様におかれましても、今後も噴火が続く可能性があることを認識していただきたいと思います。浅間山については、過去の噴火事例が豊富であり、今回も噴火の前に警報を発表することができました。しかし、浅間山で噴火の前に必ず警報の発表ができる訳ではなく、先の見通しがつく場合があるという程度です。今後、さらに大きな噴火がある場合、事前にレベルが上げられると胸を張って言える状況ではありません。自治体の規制範囲は守っていただきたいし、登山をされる場合は、ホームページなどで火山情報を必ず確認していただきたいと思います。蔵王山については、地震がほぼ起こらない状況が約1か月以上経過し、警報を解除しましたが、長期的に見ると活火山であるので、活火山であることに留意して、近づく時には、気象庁の情報等を確認していただきたいと思います。

Q 箱根山に関する情報での表現の変更について、簡潔に分かりやすくした結果との説明がありましたが、町から要望があった経緯を見ると、地元の声に押されて決定したと思えてしまいますが、長官のお考えをお聞かせください。
A 気象庁は、情報を発表する際、情報が過小評価されないか、逆に過大評価されないか、常に悩んでいます。発表した情報に対して、こちらが意図したとおりに反応していただける場合もあれば、過剰に反応されてしまう場合もあります。どのように表現するのが適切なのか、第一義的には、火山であれば火山学的に、気象であれば気象学的に最も適切な表現を用いることになりますが、情報の受け手が、過小評価あるいは過大評価してしまうのであれば、工夫の余地があるかもしれません。このようなことは、常々、考えているところです。箱根山については、有名な観光地であり、社会の反応も大きく、それが、検討を進めるきっかけとなったのは事実です。地元の要望をそのまま受け入れるのではなく、あくまでも、気象庁が科学的に適正と思える範囲の中で、どこまで簡潔さや分かりやすさを追求できるか検討した結果、今のような表現となりました。もともと情報の本文の中では、警戒すべき範囲が大涌谷の周辺であることを繰り返し表示していますが、その考えを統一し、徹底したいと思っています。

Q 他の火山について、このような表現の変更に関する地元の要望があった場合、受け入れることもあれば、受け入れないこともあるのでしょうか。
A 箱根山については、警戒を要する範囲を明確にし、火口周辺警報の火口とは何処かを明示することにしました。他の火山でも、それらが限定できる場合は、同様の表現にしようと思います。そのために、地元のご意見も聞いていきたいと思いますが、ご意見をすべて受け入れるわけではありません。判断の基礎は火山学的知見であり、気象庁が適正と考える範囲で、地元のご意見を反映させていただきます。

Q 警報の本文ではこれまでも「大涌谷周辺」を用いてきており、今回は、警報の見出しの表現を変更するとのことですが、それには、どれほどの意味があるのでしょうか。
A これまでも報道機関の皆様には、適切に伝えていただいていると思っています。警報文の見出しには、火口周辺警報と書いてあるのに、火口がどこかとは書いておらず、改善できると考えました。受け手の印象は大きく変わらないかもしれないが、我々の趣旨を徹底するとの考えで決定しました。

Q 箱根町長からの要望を聞いたとき、長官はどう思いましたか。
A 火山の名前は、全体を称する場合が多くあります。過去には、雲仙岳が噴火した場合、地元の方には、雲仙岳という火山は無く、噴火しているのは普賢岳だ、という強い指摘をいただきました。火口については共通認識があり、あえて明示する必要は無かったと記憶しています。地元の方が思っている火山の名前と、火山予知連絡会で使用している110の火山の名前が、必ずしも一致していない場合があるのでは、という漠然とした認識は当時からありました。しかし、今回も火山名は、変えるつもりはありません。火山学的には、同じマグマの根っこがあれば同じ火山とすべきですし、それを細分化するだけの科学的知見も無いので、火山名を変えるつもりはありません。これは、今までの方針と変わるものではありません。

Q 先月の会見で、箱根山については、丁寧に情報発信する姿勢で臨んでいるので、今のところはうまく行っていると思う、と発言があったが、今回の表現の変更は、その認識が変わったから実施したのですか。
A 常に最善を尽くし、より良い方法があれば、それを採用するということです。

Q 今後も改良の余地はあるとの認識ですか。
A 噴火警戒レベルの基準が、あいまいにならないように、分かりやすいように、詰めていこうとしています。その際、地元に意見を聞く機会もあるので、主にレベル2での警戒を要する範囲の表現について、納得感のある表現があるのか意見をお聞きし、それが火山学的に妥当か判断します。

Q レベル3になったら火山名を使うとことですが、御嶽山や今回の口永良部島の例のように、レベルが段階的に推移しない場合もあります。箱根山についても、急に箱根山の全体に影響を及ぼす事象が発生する可能性もありますが、今回のように警戒を要する範囲を限定する表現を用いることは妥当なのでしょうか。
A 全てのケースで事前に予測でき、レベルを上げられる訳ではありませんが、現在のレベルを正しく理解し、適切に行動していただくことが、まず、大切であると考えています。

Q 不測の事態に備えて箱根山を使うか、風評被害に備えて大涌谷を使うか、という問題かと思いますが、いかがでしょうか。
A 風評被害と天秤にかけるのではなく、防災情報として適正な情報を出すことが、防災対策上重要であると考えております。警戒すべき範囲がかなり限定的であるのに、より広い範囲にとらえられてしまうことは、防災上悪影響があり、重要と考えています。

Q これまでも箱根山の中の大涌谷周辺に危険があると説明してきており、何の問題もなかったと思います。箱根山全体に影響を及ぼす噴火の可能性もあり、表現を変更する必要はないと考えます。
A 少しでも正確に伝わるように努力する必要があると考えております。

Q 他の火山についても、地元の要望が無くとも、警戒を要する範囲を限定する表現を用いるのでしょうか。
A 科学的に限定できる場合は、限定します。その際、気象庁の意図のとおりに受け取っていただける表現となるよう地元の意見をお聞ききしたいと思います。

Q 噴火警戒レベルの基準があやふやにならないように地元と詰めているとのことですが、技術的に科学的に大変な作業と考えます。進捗はいかがでしょうか。
A 基準をご覧になった方はご存知かと思いますが、必ず「総合的に判断する」という表現を用いています。火山活動の経緯は、山ごとに違うし、同じ山でも常に同じ経緯をたどるとは限りません。これまでの事例から、地震回数等にもとづく一定の基準を作成しますが、最後は、総合的に判断することになります。それでも、基準として書き下せるものは書き下したいと思います。今回の口永良部島の場合のように、書き下せない基準もあります。口永良部島では、5月23日に震度3の火山性地震があった際、それまでの経緯を踏まえ、火山活動が次のステップに行くと判断する基準を話し合って決め、地元にも開示しました。あらかじめ決めた基準をずっと適用するのではなく、経過を踏まえて順次見直し、地元にも説明して、その基準に沿って判断する、といった動きのある基準になるかもしれません。

Q 良く言えば柔軟な対応ですが、科学的では無いようにも思いますが、いかがでしょうか。
A レベル2ぐらいまでであれば、観測データだけから基準を設定する手もあるかもしれません。それ以上となると、住民の避難行動と合わせて考える必要があるので、火山学だけでは決定できないかも知れません。今回の口永良部島の対応は、住民にも納得いただけ、火山学的にも適切な対応がとれたと思います。

Q 活動レベルを引き下げる基準は難しいと思いますが、いかがでしょうか。
A 御嶽山の経過を見ても、レベルを引き下げる判断は難しいと思います。基本的には、レベルを上げる前の状態にまで活動度が下がれば、レベルを下げる方向です。しかし、噴火の前に一時的に活動度が下がる場合があることが知られています。活動度が基準を下回っても、すぐにレベルを下げないことがあるのは、そのためです。それは、日本だけでなく、アメリカでもそのような運用をしており、過去の事例を踏まえて、レベルを下げるまでの期間をどれくらいにするか判断しています。レベルを下げる基準についても整理し、考え方を示して行きたいと思います。

Q 浅間山では、噴火の前にレベルを引き上げましたが、これは、適切な対応がとれたとお考えでしょうか。また、だからといって今後も同じような対応がとれるとは限らない、という認識でよろしいでしょうか。
A 今回の浅間山のケースでは、二酸化硫黄の明確な増加があったので、レベル上げの判断に迷いがありませんでした。一方、過去の噴火において、常に同じような活動を示したわけではありません。色々なケースがあり、一概には言えません。また、一度噴火した火山では、次の噴火の前には、大きなシグナルが現れないことがあります。前の噴火の際にレベル上げがうまくいったから、次もうまくいくという考えは甘いです。微弱な変化を見逃さないよう、神経を研ぎ澄まし監視しています。

Q 先ほどの口永良部島のレベル引き上げの話で、噴火したら避難するというのは妥当な基準だったとおっしゃっていましたが、結局、噴火してから避難したということで、住民の方は戸締りができなかったとか、必要なものが持ち出せなかったということもあり、結局、その後一時帰島という形で、ある意味危険なところに島民が入っていくことになった。そのあたりも含めて妥当だったのかどうか、ということはどのようにお考えでしょうか。
A 理想的に言えば、噴火前にレベル4に上げて準備をして頂くことだろうと思いますが、口永良部島の場合は、レベル4で避難という方向に考え方が傾いていたと聞いていますので、それなりに準備はされていただろうと思います。次のステップはレベル4か5で、噴火していなくても有感地震が起これば4に上げます、ということは、こちらとしては、地元の対応として避難という方向だろうということでありました。地震が起こらなければ何もしないのか、と言われると、地震がないまま噴火することもあるので、噴火前にもう1度大きな地震が起これば4に、有感地震なしに起これば5に、と振り分けました。どちらにしても住民の意識としては、次は避難だという心構えはあったものと思います。

Q 次は避難だということが、事前に充分伝えられていたということでしょうか。
A 伝わっていたと私は理解しています。ただ、そうは言いながらも、心の準備はあったにせよ、身の回りの用意に手が付いてなかった方もいらっしゃったのかもしれません。

Q 先ほどの箱根山の表現の話で、長官がおっしゃられていた、科学的に限定できる場合、というところを教えていただきたいのですが、この場合は、今の技術でいったときに、科学的にどのくらいまでできるのか、本当にそれが正しいのかどうか、というところが非常に難しい判断だったと思いますが、そこはいかがでしょうか。
A あくまでできる場合、というところで、箱根山の場合は大涌谷周辺に地殻変動が集中しており、衛星の観測でも、暴噴している蒸気井の周りだけが隆起しているということが分かっています。また地震活動はもう少し広い範囲で起こっているのですが、それは過去の例を見ても、これまでの経過と同様の経過をたどっているということなので、地震が起こっている範囲が全て警戒を要すべき範囲ではないというのが、かなり絞り込める事例だと思います。もう一つ、火口がどこかということも、各火山ごとにレベル化しているところはハザードマップを作って、想定火口、噴火するであろう火口を想定して、そこからどの範囲であればレベル2、どこなら3というように、レベル化されている火山は、そのように、ハザードマップを作るときに色々な知見を総動員して作っており、それが今、我々が持っている最大の知見ですので、それに従っていきますし、今回の箱根山の場合は、大涌谷周辺だけに異常が集中していますので、警戒すべき範囲はかなり明確に限定できたと思っています。ただ、それはこれからずっと広がらないという意味ではなく、当然、レベル3に上げるときには当然大涌谷という言葉は付けられません、もう箱根山入山規制ですから、箱根山に戻ります。そこはどこかで切り替えないといけないと思っています。もしそうなった場合にはですね。

Q もう一つ、火山学的に、というお話も先ほどあったので、火山噴火予知連絡会の先生方とか、幹部の方は、この変更について何かご意見はありましたか。
A 警報文や情報文の中の表現の仕方ですので、基本的には気象庁が決めることだ、というのが予知連の先生方のお考えだと認識しています。ただ先ほど正に申しました警戒すべき範囲がどこか、というところについては、予知連の先生方も大涌谷周辺だという認識で一致していると理解しています。

Q 取材の中ではあまりよろしくないのではないか、という意見の方もいらっしゃるようですが。
A そこは承知していませんが、おそらく情報の中の表現の仕方であるということが、正しくその方に伝わっているのかどうか、ということもあるかもしれません。


(以上)

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