長官記者会見要旨(平成26年1月16日)

会見日時等

平成26年1月16日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日は、平成26年の最初の会見ということで、今年1年の抱負につきまして、重点的に取り組む施策とともにお話しさせていただきます。そして、最後に大雪等についての注意についてお話しします。

 最初に、今年の抱負について申し上げたいと思います。
 東日本大震災からまもなく3年となります。気象庁では、この東北地方太平洋沖地震の津波被害を踏まえまして、津波警報の改善を昨年3月7日に行いました。気象庁として、今後ともこの津波警報をはじめ、緊急地震速報を含め地震・津波情報の迅速かつ的確な発表に努めたいと考えています。技術的には、気象庁並びに関係機関で整備され、あるいは計画されている沖合の地震・津波観測網のデータを積極的に活用して、監視・予測技術の高度化に努めたいと考えています。このため、気象庁では来年度から2年計画で「地震活動等総合監視システム(EPOS)」と言いますが、これらについて、次世代システムへの更新を計画しています。
 また、明日17日は「阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)」からちょうど19年となります。さらに、昨年末には南海トラフ地震と首都直下地震について特別措置法が施行され、また、中央防災会議等においても現在具体的な地震・津波対策の検討や策定が勢力的に進められているところです。気象庁としましては、今後とも津波警報や緊急地震速報の精度向上とともに、南海トラフ等の地震でも懸念されている長周期地震動の観測や予報といった観点からも、地震・津波による被害の防止・軽減に向けて取り組んでまいりたいと思っています。

 次に、台風や大雨などの防災気象情報の改善についてです。昨年は、近年の大規模な自然災害等を踏まえて、気象業務法の改正を行いました。これにより新たに大雨や津波などの「特別警報」の法的な枠組みを整備いたしました。
 防災気象情報の今後につきましては、昨年頻発しました大雨の事例、例えば具体的には、特別警報を初めて発表した台風第18号、あるいは運用直前の特別警報の発表に準じた3回の大雨事例、さらには台風第26号による大島の大雨による土砂災害の事例、これらについて検証しつつ、「防災気象情報の改善に関する検討会」等での議論や検討を踏まえて、受け手にわかりやすくかつ行動に結びつくという方向になるように、防災気象情報の改善に取り組んでまいりたいと考えています。
 このような情報の改善にあわせて、必要なシステムの構築、あるいは監視・予測の精度向上に取り組みたいと考えています。

 また、今年は次期気象衛星「ひまわり8号」の打ち上げを予定しています。現在30分ごとの観測ですが、次期衛星は10分ごとの観測や分解能を2倍にするなどの機能の向上を図ります。これによって世界最先端の機能を持つということで、台風・集中豪雨等の監視・予測、さらにはアジア・太平洋諸国等、国際的にも大きく貢献するものと考えています。
 今後、打ち上げ成功に向けて最終段階の作業を確実に行うとともに、新しいひまわりの画像を的確にご利用いただくことが重要ですので、国内外の関係機関とも連携し、調整あるいは準備を進めたいと考えています。

 ところで、桜島では、1月12日に大正噴火から100年目を迎えました。火山噴火による被害の軽減も気象庁として極めて重要な課題ですので、気象庁では観測・監視体制を計画的に強化してきておりまして、噴火警戒レベルの導入の促進、あるいは噴火警報の的確な運用に努めてまいりたいと考えています。
 また、降灰による被害軽減のために、量的降灰予報の運用開始ということで、現在桜島での本格的な試験運用をやっております。この試験運用の経過等を見つつ、本格的な運用に向けて準備を進めてまいりたいと考えています。

 以上の地震・津波、火山、台風・大雨をはじめとして、気象庁ではこのほか、地球環境や海洋等も含め様々な情報を発表しております。
 今後とも気象庁として一方的な情報の発信にとどまることなく、当庁の情報をよりいっそう効果的に利活用いただくために取り組んでまいりたいと思います。特にこの点につきましては、国・地方自治体等の防災関係機関に加えて、報道機関の皆様とも連携・協力を深めることが重要と考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、大雪に対する注意です。
 先週から強い寒気が日本付近に南下して、気温が下がり、北日本の日本海側を中心に大雪となっております。
 本格的な大雪や暴風雪の季節となっていますので、先月も申し上げましたが、雪下ろしや除雪等における事故、交通障害、さらに冬山での遭難、また本日はスキー場での雪崩の情報も入っておりますが、こういったことを防ぐためにも、気象庁が発表する大雪や暴風雪等の情報を活用いただき、早め早めの安全確保をお願いしたいと思います。

 最後に、毎回お願いしておりますが、「東北地方太平洋沖地震」の余震活動については、引き続き余震域、またその周辺でも活発ですので、今後もまれに強い揺れ、あるいは場合によっては津波を伴う地震が発生する可能性がありますので、引き続き注意をお願いします。

 以上です。


主な質疑応答

Q 最後のほうで、雪に関する注意喚起がありました。今月、北海道で大雪に関する異常天候早期警戒情報の初の発表がありましたが、雪に関する情報に関しても、岩見沢の事例を教訓に新しい情報発表に努められていますが、今回に関しては、新しい異常天候早期警戒情報が、何かうまく防災につながるような情報発信となったかどうかなど、そのあたりの評価や手応えはいかがでしょうか。
A 実際に利用者の意見等は聴取しておりませんが、異常天候早期警戒情報で大雪について発表したということで、今後実際に報道あるいは自治体等に調査する必要があろうかと思います。その他、北海道では例えば猛吹雪など、それらについて、より交通障害をイメージしやすいというような形で表現を改めることを考えておりますので、異常天候早期警戒情報に限ったことではありませんが、異常天候早期警戒情報と通常の短期的な気象情報、あるいは大雪、さらには暴風雪の警報と併せて総合的にはかなり有効に機能したのではないかと考えております。したがいまして、異常天候早期警戒情報の単体での評価というよりは、全体でどのような流れとして時間を追って情報が発信され、具体的に利用者あるいは防災機関に活用いただいたかというものについて、今後調査していく必要があろうかと思います。今のところ、私が受けるイメージでは、それなりにしっかり機能したのではないかと、報道の方々、キャスター等にもかなり取り上げていただいておりますので、かなり有効に働いたのではないかと思います。

Q 防災情報に関連してもう一つお聞きします。先程言われましたとおり、昨年は津波警報の改善、それから特別警報の導入という大きな流れがありました。一方で、先には防災情報のレベル化という大きな目標があるかと思います。情報体系が変わることで、受け止める側がきちっとその辺についていけるかという懸念が当然あるわけですけれども、このある種バッファの期間に運用が変わるということをどういうふうに、気象庁として具体的にどのように周知していくのか、そのあたりの方向性などお聞かせください。
A 防災気象情報の改善に関する検討会を含めたレベル化の話につきましては、基本的には法令・制度上の注意報・警報・特別警報という、時間を追って段階的に発表することについては全く変更はないわけで、それについて必要な数字でのレベル化をして、より分かりやすくするということを考えており、昨年の特別警報導入とも一体のものと認識しております。実際上、平成28年度を目途に、特別警報等にレベルを付すというような形の仕組みを作り上げていき、その間にしっかりと周知をしていきたいとは考えております。

Q お話の中で、ひまわり8号の打ち上げのことについてありましたけれども、今後打ち上げに向けてのスケジュール感というか、打ち上げの時期というのは、今のところいかがでしょうか。
A 打ち上げ時期については、今年の夏以降ということになりますが、具体的なスケジュールは、もっと迫ってから最終的に決定されますので、決定次第報道機関の方々にはお知らせしたいと思います。H2Aの打ち上げの計画ですが、現在次のGPM衛星の打ち上げ日が決まっておりますので、その次の段階ということで、決まり次第お知らせしたいと思います。ひまわり8号の運用開始につきましては、平成27年夏季には運用開始をしたいということで、7号から8号に切り替わります。

Q お話にあった北海道の吹雪の情報の関連です。札幌管区気象台は猛吹雪が予想される場合に、数年に一度の猛吹雪であるとか、そういう表現を新しく使うということが先月発表されましたが、その情報体系の複雑化というような意味で言いますと、数十年に一度というような特別警報から、数年に一度の猛吹雪という表現で混乱を生じないかという懸念もあると思うのですが、そのあたりはどういうふうに捉えておられますか。
A 数年に一度というのは、今初めてお聞きしたのですが、情報体系というよりは危機感を伝える表現ぶりということで、具体的に自治体あるいは関係機関と調整して表現ぶりを決めていると聞いております。具体的に今私の手元にありますものは、猛吹雪による見通しの悪化や、吹きだまりによる車の運転が困難になるといった交通障害ということで、昨年の3月のものですとか、事例等が具体的にイメージできるような表現というものを心がけていくということを考えています。


(以上)

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