長官記者会見要旨(平成25年8月29日)

会見日時等

平成25年8月29日(木) 13時20分~13時45分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日は、臨時に会見の場を設けていただきまして、明日30日から運用を開始します「特別警報」についてお話しさせていだたきます。

 明日8月30日午前零時より、「特別警報」の運用を開始します。

 「特別警報」は、気象庁が住民の皆様に、尋常でない大雨や津波など、命に関わる非常事態が迫っていることをお知らせする情報です。お住まいの地域に特別警報が出た場合には、直ちに命を守る行動をおとりいただきたいと思います。

 この夏にも特別警報に相当する大雨が三度ありました。いずれも人命や家屋、道路・鉄道などのインフラに重大な被害をもたらしました。過去には、さらに広域にわたり、これらを大きく上回る規模の災害も幾度となく発生しています。

 これまで、災害の起こるおそれを「注意報」、「警報」の大きく分けて2段階の情報体系でお伝えしてきましたが、明日からは、「特別警報」を新たに加え、「注意報」、「警報」、「特別警報」の3段階の情報体系でお伝えすることになります。
 この新たな体系、特に「警報」に加え、新たな「特別警報」の役割を十分ご理解いただき、災害から命を守るために活用していただきたいと思います。

 次に、新たな「特別警報」を活かすための、極めて重要となります3つのポイントをお話しさせていただきます。

 第一に、我々気象庁自体が自治体との連携をしっかりとっていくことです。自治体の方々が避難勧告あるいは避難指示を住民に対して発表しますが、これらを的確なタイミングで出すためには、警報や特別警報の発表のみならず、自治体の長に対して気象状況の直接的な解説を行ったり、自治体の災害対策本部等にリエゾンを派遣し解説するなど、地元気象台が自治体と一体となって防災・減災に取り組んでいきたいと考えております。

 第二に、国民一人一人の日頃からの事前の備えが極めて重要です。国民の皆様には、「特別警報」や「警報」が発表されたときに、どのように行動すべきか事前の備えをお願いします。例えば自宅等、自ら置かれた状況と大雨等による浸水や土砂災害などの災害へのリスクを事前に考えていただいて、避難方法やルートの確認等をお願いします。気象庁としても国民一人一人の防災力・防災意識を高めるために、防災教育も含め普及・啓発活動に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 次に、第三のポイントとしましては、「警報」等による早め早めの行動が重要です。このことについては、自治体さらには住民の両者について共通にいえる課題です。重ねてお願いしておりますが、「警報」や「注意報」等、これまで注意・警戒を呼びかけてきた情報の発表基準は変わりません。「警報」等が発表されましたら、危険な地域にお住まいの方々には、避難準備あるいは避難など、災害に対して早め早めの対応をおとりいただきたいと思っております。そのうえで、「特別警報」を含め、その後の気象状況と防災情報に留意いただき、さらなる行動がとれるようにお願いします。

 以上、明日30日から運用を開始します「特別警報」がどのような意味を持つものであるか、さらに、特別警報を真に活かすために必要な3つのポイントについてお話しさせていただきました。第一には気象庁と自治体との連携強化、第二には一人一人の事前の備え、つまりは自助の重要性、第三には「警報」等による早めの行動、といったことが重要です。

 次に補足的な内容になりますが、特別警報にかかわる最近の周知・広報の取り組み並びに3件の最近の大雨への対応状況について説明させていただきます。

 はじめに、気象庁として、より一層「特別警報」を知っていただくために、様々な取り組みをこれまでも進めてきております。
  1.報道機関や政府広報を通じた広報活動
  2.自治体の広報誌やホームページ等を通じた広報
  3.駅や空港等の公共施設へのポスターの掲示
  4.街頭テレビにおけるコマーシャル放送
などを実施してきました。引き続き、全国の気象台、本庁において総動員をして、様々な取り組みを進めていきたいと思っております。
 なお、東京では、明日20時45分から、「東京スカイツリー」で「特別警報」を表す紫色を用いたライティングが行われると聞いております。
 報道機関の皆様には、引き続き周知・広報についてご協力をお願い申し上げます。

 次に、先程申し上げたとおり、「特別警報」の運用開始前でありましたが、先月末から今月にかけて、既に3回、特別警報の発表基準に相当する大雨がありました。
 予報現場におきましては、特別警報に相当する現象である旨判断し、その都度予報課長が緊急に記者会見し、命を守る行動をお願いするなど最大限の警戒を呼びかけたところです。
 気象庁としましては、今回の3つの事例についてしっかりと検証を行い、今後の「特別警報」の運用に活かしていきたいと思っております。
 現段階で今回の事例について見ますと、特別警報に相当する現象である旨発表する以前の段階において、地元気象台において積極的に自治体に直接電話、つまりホットラインで気象状況をお知らせし、さらに県の災害警戒本部に出席し、気象状況について解説し、厳重な警戒を呼びかけるといったケースもありました。こうした地元気象台と自治体との連携事例をしっかり検証し、全国の気象台に広げていくということが、特別警報の発表に、さらに防災・減災に向けた効果を高めていくものと考えております。

 最後に、今回の「特別警報」の運用開始により、自然災害による人的被害が大幅に減少することを願っております。
 気象庁としては、犠牲者ゼロを目指して的確な情報の発表に努めるとともに、先程申しましたように自治体等の防災関係機関、報道機関等との連携、さらに防災知識の普及・啓発に全国の気象台が一丸となって強化して取り組んでまいりたいと思っております。

 以上、「特別警報」の運用開始にあたっての冒頭の発言とさせていただきます。


主な質疑応答

Q 特別警報が出たら、国民はまず第一に何をすればよいのか教えていただけますか。
A まず「特別警報」が出たら、という話ではなく、気象庁は「特別警報」の前の段階から気象状況等、かなり災害のリスクが高まるという状況を、例えば全般気象情報、府県気象情報、注意報、警報と段階を追ってお知らせしていますので、その段階から自らの災害に対するリスクをお考えいただいて備えていただくということが重要と考えています。最終的に「特別警報」が発表されますと、その段階はさらに危険な状況が既に出現しておりますので、避難できる場合には避難いただきますし、自宅等から避難すると危険な場合もありますので、その場合には、例えば浸水等であれば2階に逃げていただく、あるいは土砂災害であればできるだけ崖から離れた部屋に移動いただくといったことが重要かと思います。これについてはケース・バイ・ケースで違いますので、自らが置かれた状況というものをしっかりと分析・判断し、行動できるという能力を身につけていただく必要があろうかと思います。
 「特別警報」を今回運用開始しますけれども、これは単に我々が情報を発表するということにとどまらず、国民一人一人が自らの防災力を高めるという観点から今一度見直すという機会にしていただけたらありがたいと思います。

Q 今年既に3回特別警報相当の雨が降って、情報の発表は4回でしたけれども、それらがあったということで、数十年一度という災害の際の発表であるのに、4回同じ年にあったということで、警戒の度合いというか、受け止めが薄れてしまうのではないかという危惧はないでしょうか。
A 今回、数十年に1回ということで、過去20年間のレーダー、アメダス等のデータに基づいて基準を作成しております。したがいまして、この基準については適正なものと考えておりますが、今回3事例とも短時間に、例えば3時間に雨量が200mmですとか、短時間に大雨が発生するような事例であったということで、被害の規模も例えば九州北部豪雨、この事例も短時間ですが、平成23年台風第12号による豪雨などと比べると若干は規模が小さいのではないかと感じられる方が多いかとは思います。しかし、実際上、その地域から見ますと数十年に一度という大雨で大きな災害が発生しているということで、このような場合にも特別警報が発表されますので、最大限の厳重な警戒、命を守る行動をお願いしたいと思っております。
 今年の3事例あるいは4回の発表ということですが、3時間雨量の基準ということで、これまで20年間のデータで評価しておりますが、このように3回、4回と発生した年は未だ20年間ではありません。したがいまして、その意味ではかなり稀な年といえるかと思いますので、この異常気象の要因等についてもしっかりと来月の2日に「異常気象分析検討会」で検討するということにしております。今回についてはかなり短時間に降るタイプの雨が多かったということで、そのあたりの要因の分析も必要でしょうけれども、これまでの20年間から比べると極めて稀な年であったということがいえるのではないかとは思います。

Q 警報の時点とか、段階的な情報での早めの避難が課題とおっしゃられたと思うのですが、運用の開始前から、特別警報ができると従前の警報とかへの認識が軽視されるのではないか、薄まるのではないかという指摘があったのでないかと思うのですが、その指摘についてどう考えていらっしゃるのかと、どう対応していくのかということを改めてお伺いしたいと思います。
A 具体的に、多くの同様の指摘をいただいていますが、実際上、例えば自治体の防災対策等の行動においても特別警報に特化することなく、警報あるいは情報の段階から地域防災計画にしっかり書き込んでいただいて、段階的に防災対策をとっていただくというように、地元気象台等からご助言はしていきたいとは思っています。地域防災計画の改定に際してはそのように助言をしていきたいと思います。また、さらに一般の国民の方々にも、報道機関でのそういった報道もありますが、やはり特別警報の前の段階からしっかりと準備、必要な行動に移していただきたいと思います。特に土砂災害の危険地域とか様々ありますので、自治体がハザードマップ等で示していますので、そういう地域でお住まいの方は特に、特別警報の前の段階でも早め早めの対応をお願いするよう、我々も周知の努力を、さらに自治体と連携して取り組んでいきたいと思います。

Q 特別警報の導入が決まってからそんなに時間はなかったと思うのですが、例えば名称とか、今おっしゃられているような趣旨のようなものが、どの程度浸透しているかというような調査などはお考えでしょうか。
A 気象庁としましても、緊急地震速報の導入に際し、その後毎年評価し、その認知度等の調査をやっておりますが、同様に新しい情報ですので、当然特別警報についても、年内の早い段階で緊急地震速報と同様な認知度、理解度の調査というものをしていきたいと思います。これについては今年に限る話ではなく、定期的に認知度・理解度を調査し、国民の理解の促進を図っていくということが重要かと思います。

Q 詳しいことは調査に委ねるとしても、この3か月間ぐらいの周知・徹底というものは、長官としては感覚として十分なものであったのか、振り返られていかがですか。
A 気象台がやれる取り組みとしては、全国で取り組んでまいりましたので、かなり良いほうではないかと思います。また、メディア等にも積極的に報道いただいて、周知ということで様々取り組んできたのではないかと思います。ただし、この3か月の間で国民のすべてに浸透したかというと、「まだまだ、それはもう不十分である」ということは言わざるをえないと思いますので、今後とも気象庁としても努力しますし、報道機関にもご協力をいただき、しっかりと対応していきたいと思っています。

Q 実際にこの夏の気象現象で特別警報に相当するものが3回ありましたが、実際に発生してみて、自治体の特別警報に対する対応であったりとか、あとは住民の方がそれに対しての対応であったり、そうした面では浸透具合にはよるとは思うのですが、十分な対応があったと考えていらっしゃいますか。
A 今回の3事例は事実関係をしっかり評価して、次に活かしていくべきと考えております。また、特別警報に相当するものとして十分機能したかというと、様々な課題があろうかと思います。我々発表者側の運用の課題もあるでしょうし、自治体側の防災対策の課題もあるでしょう。様々な検証も進んでおりますので、今回の事例をしっかりと我々も活かして、気象庁自ら分析・評価し、さらに県・市町村等も新たな防災行動の計画を立てるでしょうから、そことの関係について地元気象台と連携して、新たなステップに向かうよう、3事例を活かしていくことが重要ではないかと思います。

Q このところの3回の特別警報相当の件です。先程数十年に1回という基準は適正であったというふうにおっしゃいましたけれども、検証の中で運用についても検証するとおっしゃいました。基準について今後変更することも視野に入れつつ検討するということもありうるのでしょうか。
A 現段階で基準を変更することを前提とした評価ということを行う予定はありません。現時点において、レーダーですとか、最新の観測データに基づいた基準ということで、これを変えうるというような評価ということは困難と考えています。やはり運用面、特に自治体との関係における運用面ですとか、報道を通して伝えする際の記者会見等の運用面などでの評価ということが重要かと思っております。ただし、この特別警報の基準が「永遠に先まで変わらない」というようなものではなく、中長期的に運用を見て、あるいは自治体のご意見を見て、基準等は適宜見直しが必要になってくるということはあろうかとは思います。

Q 先々のことですぐに検討されるかどうかわからないのですが、この夏の猛暑で全国最高気温が40℃を超えるときが4日連続ということがありました。この夏には観測史上最高も更新しましたが、熱中症の死者の数が数十人ですとか、あといずれ厚生労働省のほうから出ると思いますが、たぶん数百人単位で出ると思います。その死者は、今回の特別警報の大雨ですとか、そういうものと比べてもむしろ多いのではないかという数が出ています。これまで高温注意情報などで、かなり毎日相当取り組んでいらっしゃいますけれども、バランスということを考えた場合に、やはり40℃を超えるという事態というものに対して、要するに今35℃以上は「猛暑日」ですけれども、40℃以上であることを示す新しい名称ですとか、あるいは新しい警報のレベル分けの態勢ですとか、そういうことを長期的にご検討されるご予定はありますでしょうか。
A 実際、熱中症の場合は、35℃、40℃というものではなくて、30℃ぐらいから十分発生しています。さらに、実際の生活の中での行動によっても随分依存しますし、運動中に倒れる方もいらっしゃるということで、行動との関係も重要になってくると思います。また、40℃を超えるということは非常に稀ですので、それについて新たに今名前を付けるというような段階には至っていないと思います。いずれにしましても、一昨年から高温注意情報というものを始めて、熱中症への対策の強化ということも気象庁が取り組んできておりますが、これにつきましては熱中症に係る関係省庁連絡会議というところで政府全体の対策を検討しておりますので、今年についても関係省庁連絡会議で今後評価がなされ、あるいは「改善策が何かあるのか」という議論がなされると思いますので、その中において気象庁として可能な改善があるのであれば改善していくというスタンスで臨んでいきたいとは思っています。

Q せっかくの機会ですので、先日の緊急地震速報について1点お伺いしてよろしいでしょうか。当日気象庁の地震火山部長が謝罪されたわけですが、一般の方の意見を伺って、「別に空振りはしても、見逃しはしないでほしい」という声が寄せられ、「謝罪する場面も必要なかったのではないか」という意見もあるのですが、それについていかがコメントなさりますか。
A 記者さんが言われるように、励ましのご意見というものも多くいただいております。期待や励ましということがあります。非常にこれはありがたいことと、気象庁としては考えておりますが、実際上関東から九州という非常に広い範囲の国民にご迷惑をおかけました。特に関東の場合は何度も経験された人がいるのですが、西日本の場合は多い方でも3回、少ない方は初めて経験したという地域です。あまり誤報を当該地域で繰り返しますと信頼性を大きく損なうということもありますので、この点も含めて、社会への影響の規模を考えまして、緊急に会見を開き、地震火山部長を通じて原因を説明するとともに、謝罪しております。いずれにしても、先程言いましたように緊急地震速報の発表頻度の非常に少ない地域ですから、その信頼性を高めるということがまず第一ということで、今回改善策を取りまとめて、早急に1か月以内に措置するということにしております。今後再発防止をしっかりとし、信頼を高めていきたいと思っております。

Q 「空振りをしても、見逃しをしないでほしい」という意向というものは、今回プログラムの改修のために海底地震計のデータを一時使わないのかということなのですが、これは「空振りをしてもいい」という意見からすると、「使ったほうがよいのではないか」というふうに思うのですが、その点についていかがお考えですか。
A 先程言いましたように、西日本はこれまで発表頻度が少ないということで、できるだけ誤報を避けたいということが第一にありますけれども、現時点でハードも含めて同じような原因で誤報が出る可能性もあるということを考えまして、海底地震計については当面1か月ぐらい使わないという判断をしております。しかしながら、海溝型の地震の場合には、海底地震計がなくとも、陸上の地震計で数秒から数十秒程度の猶予時間を持って緊急地震速報を発表できると考えておりますので、猶予時間が短くなるというデメリットはありますが、海溝型の地震に対する緊急地震速報の有用性ということはまったく変わらないと思っております。緊急地震速報が発表されましたら、しっかりと対応行動をとっていただきたいと思っています。

Q もう何回かいただいているのですが、改めて今回の新たに運用開始になる特別警報に込めた思いと、もし特別警報が出た場合にどんな行動をとってほしいのかというものを、短くて結構ですのでいただいてよろしいでしょうか。
A 気象庁は警報等を発表し、災害の未然防止というものに努力してまいりましたが、最近の未曾有の災害というものに対しては警報のみでは不十分な点があったということで、新たに特別警報を創設することによって、このような未曽有の災害からやはり犠牲者ゼロを目指すということを取り組んでいくことが重要であろうと考えております。この特別警報が発表されるような現象では、今回の3つの事例もそうですが、もう既に危機的な状況にある場合が多々ありますので、自らの置かれた状況を的確に判断し、避難所に行ければ最善でしょうが、実際上は自宅の2階に逃げるとか、隣近所の家に逃げるとか、色々な方法はありますので、そうした最善の策をとっていただいて、自らの命を守る、安全を守るという行動をとっていただきたいと思います。

Q 台風が今近づいてきていて、また発達する低気圧も今北海道付近を通過するおそれがあるということで、今回の現象で特別警報を発表する可能性というものはどの程度ありますでしょうか。
A これについては、私がコメントをするよりも予報の担当がコメントをしたほうがよろしいのではないかと思います。

(予報部担当)明日低気圧が北日本を通りまして、それから延びる前線が次第に南下してきまして、この週末は九州から東日本、北日本に至るまで各地で大雨の可能性があります。特に台風第15号がありまして、南から湿った空気を送り込んできているということで、場合によっては特別警報相当、あるいはそれに近いような大雨の可能性もあるということで、気象台として警戒体制に入っているといった状態です。

 いずれにしても、これまでの雨で、九州、中国地方では、地面に多くの水分を含み土砂災害への危険が高まっている段階ですので、今後の台風情報、あるいは地元の気象台の情報に十分注意をお願いしたいと思います。

Q 特別警報の話です。警報の上にさらに新設するということで、課題として、外さない、外せないということがあるわけで、予測精度のさらなる向上というのものがさらに求められてくるだろうという意見もあると思います。この特別警報開始にあたって、予測精度の向上というところで取り組むこと、既に決まっていることもあるとも思うのですが、どういった姿勢で臨むのか、何をされるのかというところを教えてください。
A 特別警報については、十分なリードタイムを持って発表してほしいということが、自治体からの要望も含めて大きな課題になっています。そのためには、予測技術あるいは現象のメカニズムの解明ということが重要ですので、気象庁として気象研究所を中心に、先端的な技術開発を進めております。例えば、今回の3事例についても、気象研究所においてメカニズムの解明ということで、既に2回ほど報道発表し、さらに最近の島根の事例も分析を進めておりますので、近々発表できると思います。こういった事例について、しっかりとメカニズムを解明し、将来における予測技術に反映し、今回の事例はなかなかリードタイムが取れる事例ではありませんでしたが、これらについても十分リードタイムが取れるように技術開発を進めていくということが課題とは思っています。
 一方、台風等については、予報精度がかなり高まっていますし、5日予報もやっておりますので、早い段階から準備ということができます。いくつかのシミュレーションもお示ししていますが、特別警報について12時間程度前には発表できるということを考えておりますので、この点についてはある程度のリードタイムを保てるとは思っております。しかしながら、台風予報についても24時間先で中心位置の誤差が100kmありますので、ここの誤差をさらに小さくしていくということも特別警報の信頼性を高めるということで極めて重要と思っております。また、台風周辺の風、波、あるいは雨というものについて、客観的に量的に予測できるようにしっかりと技術開発できるようにしていきたいと思っております。


(以上)

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