長官記者会見要旨(平成24年11月15日)

会見日時等

平成24年11月15日(木) 14時00分~14時10分
於:気象庁会見室

発言要旨

 本日の会見では、先日報道発表しました津波警報等の改善の運用開始について、皆様へのお願いと併せてお話しさせていただきます。

 今月1日に報道発表しました通り、新しい形式の津波警報文や噴火警報文を来年3月7日12時より運用を開始することとしました。
 気象庁としましては、円滑な運用開始に向け、配信試験等、関係機関と密接に連携・協力して着実に準備を進めてまいります。同時に、国民の皆様に、新しい警報の内容をご理解いただき、適切な避難に活用いただくことが重要ですので、周知啓発にも努めてまいります。先日、11月10日(土)に開催しました「津波防災講演会」も、周知啓発の一環と考えております。
 報道各社をはじめ関係の各機関におかれましては、津波警報等の伝達のための準備とその周知啓発に引き続きご協力をよろしくお願いします。

 次に、毎回お願いしています、余震への注意についてです。
 「東北地方太平洋沖地震」の余震については、少なくなってきていますが、今後もまれに強い揺れや津波を伴う地震が発生することがあります。周辺地域においても注意が必要ですので、引き続きお願いします。

 今月は以上で終わりです。


主な質疑応答

Q 先程お話されました来年3月に始める新しい津波警報についてお聞きします。当初のスタートの予定時期より少し開始時期が遅れましたが、受ける側の地方自治体のシステム構築の進み具合について、いかがお考えでしょうか。
A 地方自治体側のシステム改修等の状況を踏まえつつ調整を進めた結果、本年末を目指していましたが、来年3月にすることで再度調整を進め決定しました。その結果、津波警報を受信する地方自治体等の関係機関では新しい情報文の利用に向けたシステム改修等が確実に進んでいると聞いております。さらに、来年3月7日の運用開始日以降につきましても、「移行措置電文」の形で現在のシステムでも対応できるよう並行して配信いたしますので、これら措置によりすべての機関において新しい情報文の内容を確実に伝えることができると考えております。
 運用開始日を3月7日と決めましたので、関係機関においても引き続きご協力をいただき、確実な準備作業をお願いしたいと思います。

Q 土曜日に津波講演会がありました。今後、住民への広報を全国で行っていくと思われますが、どのようにお考えでしょうか。
A 最終的には、全国の地方気象台を活用して自治体等の動向について確認していく。更に、様々なイベント等に積極的に協力して周知広報していくことを考えています。また、報道の皆様にも是非ともご協力いただいて、積極的に周知広報をお願い出来ればと思っています。

Q 少し前の話になりますが、カナダでの地震のときに八丈島の八重根港で0.6mの津波が観測されて、その前のフィリピンの地震のときにも0.5mと、地形とか副振動の影響でそこだけ局所的に注意報基準を超えるような津波になりました。地形とか副振動の影響を受けることはこれからもあると思われ、注意報基準を超えて津波を観測したとしても局所的だということで注意報が出ないことが今後も考えられるのですが、そうなったときに、八重根のような観測値をはたして他の観測点と同じように使ってよいのか、情報や観測値の信頼性に関わってくるのではないかなということについて、いかがお考えでしょうか。
A 副振動の影響は、小さな津波の場合に増幅が大きくなりますが、被害が出るような大きな津波の場合には副振動の影響は小さく問題は無いと考えております。
 今回の場合は、八重根の特殊事情によるもので、港湾の形状や津波の来る方向、津波の周期によって、ある特定の地点で増幅されることはよくあることと考えております。地震火山部の現業では、副振動が発生しやすい場合や湾内の形状等に特徴がある場合もありますので、これらを慎重に見極めたうえで、津波注意報、警報、観測情報を発表していくことにしています。
 情報の発表の工夫も必要だと思います。今回も翌日になって津波の観測値を公表しましたが、その港湾における津波の特徴など過去事例について事前に防災関係機関や報道の方々とも共有しておくことが、観測されたデータを正しくお伝えする観点で重要と考えます。また、実際に津波が来ているときに、どのような形で発表するのかについても工夫の余地があると考えています。特に、来年3月からは図情報の形で、津波の高さだけではなく、津波の実況・推移を図の形でさらにコメントを付して発表することを考えております。この図情報の活用は有効だと思いますので、一案として検討する必要があると思います。

Q 図情報を活用とのことですが、八丈島の八重根に関して、どういう活用をお考えですか。
A 津波の時系列をお示しして、その特徴について具体的に被害の心配がないなどのコメントを付して発表することを想定していますが、具体的には、今後検討していく予定です。

Q 今後いずれにしても、局地的に大きな値が出たとしても、他の観測点のデータと同じように発表していく方針なのでしょうか。
A 基本的には、港湾の特徴を示しつつ、観測点すべてについて発表していく方針を変える予定はありません。
 八重根にしましても、東北地方太平洋沖地震の場合には、その他の八丈島付近の伊豆諸島の観測点においても、同様な値で観測されていますので、被害が出るような津波の場合は、特に問題は無いと考えています。

Q できましたら、今後参考値にするなど他のデータとはちょっと扱いが違うとか、付加文みたいなものを付けていただければと思います。
A 今後検討します。

Q 関連ですが、図情報とはどういう情報なのでしょうか。
A 基本的には時系列的な図とそれに対するコメントを付した形のもので、平成24年3月に公表した津波警報の改善の報告書に図情報の例が掲載されていますので、見ていただけたらと思います。津波の高さが何cm、何mという形での発表では、津波が全体として長く続いているというイメージをしにくい点がありますので、時系列的に、津波が長い時間をかけて推移していることをお伝えするのが、図情報の意図です。



(以上)

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