長官記者会見要旨(平成22年9月16日)

会見日時等

平成22年9月16日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室

発言要旨

 この夏はとても暑く、9月1日に報道発表しました通り、今年の夏の日本の平均気温は統計を開始した明治31年以降の113年間で最も高くなりました。また、全国の気象台・測候所等で観測した最高気温35度以上となる猛暑日の日数につきましては、6月から8月の間、例えば熊谷で31日など全国の11地点で統計開始以来最も多くなりました。猛暑日の日数は、9月に入ってさらに数が増えていると思われます。
 このように極端な高温をもたらしました大気の大規模な流れにつきまして、9月3日に異常気象分析検討会を開催し、その要因を分析して、見解を取りまとめたところです。検討会では極端な高温をもたらした大きな原因として、北半球中緯度の気温が全般的に非常に高い状態であったこと、日本付近で勢力の強い太平洋高気圧の影響を受けやすかったこと、冷涼な冷たいオホーツク海高気圧の影響をほとんど受けなかったこと、を取りまとめたところでございます。
 今夏の猛暑は、社会的にも非常に大きな影響を与えまして、特に多くの方が熱中症の被害にあわれました。気象庁といたしましては、かねてから高温に関する気象情報あるいは天気概況の中で「熱中症など健康管理にご注意ください」といった趣旨を呼び掛けてきました。今後ともこういった形のタイムリーで適切な内容の情報の発表に努めて参ります。
 先日、京都府にあるアメダスの京田辺観測所において、気温を観測する感部に蔓状の雑草がからみついておりました。この問題につきまして、皆様に大変ご迷惑おかけしたことを深くお詫び申し上げます。今年の2月の会見で、やはりアメダスの観測環境について皆様からのご質問を受けてお答えをいたしました。その中で、我々の敷地の中、露場の中で、草が観測測器に覆いかぶさったり、木が覆いかぶさったりするということはあってはならない、観測環境には十分留意したいと申し上げていたにもかかわらず、このような事態になってしまったことは深く反省をしております。
 この事例を受けまして、今現在こういった状況がほかの観測所にないかということを調査しているところです。現在全国の気象台において、職員が現地を見に行く、あるいは、なるべく早期に確認を終えるという観点から、土地を使わせていただいている方に様子をお尋ねするといったような形で、鋭意、観測環境の状況を確認しております。担当領域の広い官署もありますので、若干時間がかかっておりますが、この調査の結果に関しましては、まとまり次第公表させていただきます。
 併せて、問題があった観測所のデータの取り扱いにつきましても、検討のうえ皆様にご報告させていただきます。こういったことが今後再発しないようにいろいろな工夫をしてまいりたいと思います。


主な質疑応答

Q 地震調査委員会と気象庁と合同で先日発表していると思うのですが、伊豆東部の群発地震の予測について何か長官の思うところはありますか。
A これまで地震調査委員会でさまざまな検討や調査をなさってきて、ひとつが余震の確率というもので花が開いていたわけです。その後いろいろな調査をし、他に地震の推移などについて少しでも表現できる内容はないだろうかということで最新の知見を集めたところ、伊豆東部の群発地震について、先日報道発表したような情報の提供ができるような予測技術が仕上がってきた、と考えております。地震調査研究の一つの成果であろうと思います。ただ、実際にこれから運用していくにあたっては、これまでに無い情報ですので、ご利用になる方、影響を受けられる方々と意思疎通を十分に図ってどういう形で情報を出していくのが良いか考えていかなければいけないと思います。

Q 京田辺に加えて現在ほかの観測点も調べていらっしゃるとおっしゃったのですけど、今、鋭意調査中ということだったのですが、どれくらいを目途にまとめることができそうだとか、現時点での具体的な進捗状況でこれはちょっとおかしいところが見つかったとか、そういうことが分かればお願いいたします。
A 現在、9割強ぐらいの調査が終わっていますが、かなり遠隔地のところがあり、また職員もいろいろな情報提供の業務の合間でやっていて、すぐには回りきれないという状況もあって、若干時間がかかっています。私どもといたしましては、調査にあと1週間ぐらいお時間を頂いて、遅くとも今月中には皆様に結果をご報告したいと思っております。もう1つのご質問は、どこかはっきりと問題があるような地点があるかということかと思います。途中経過ですのではっきりしたデータはないですが、気温については京田辺以外に問題があったという報告はありません。また、雨量の観測点では、少なくとも2ないし3点で問題があったと報告を受けています。そのほか、確認が済んでいないところや内容の精査が必要なところもありますから、そういった点を合わせて、先ほど申し上げたように、今月中に皆様にご報告したいと思っております。

Q 雨量で2、3か所問題があるということですけれども、どんな問題なのでしょうか。
A 草がかかっているという問題です。

Q 今後再発しないようにいろいろな工夫をしたいと言われたのですが、具体的にはどういう対応ですか。
A 現在、測器という観点の点検について、アメダスでは少なくとも年に1回実施することにしております。地域によっては雪が降る前に調整の必要なところがあり、そういう観点での点検は、都合年に2回行っているところもございます。
今後は、施設をお借りしている方とご相談した上で、例えば電話をかけさせていただいて、ちょっと見ていただくこと、それから、我々としても草の生えやすい場所については、現在も草刈りを行っているところですが、その頻度について改めて見直すこと、というような対策を考えております。

Q 点検の回数は現状でも年に1・2回やっているんですか。それも増やすということですか。
A 今申し上げた年に1回ないし2回行っている点検は、実際にセンサー部まで調べて測器自体がきちんと動いているか確認することなので専門知識が必要ですが、草がかぶさっているかどうかということであれば、ちょっと見ればわかる話なので、チェックする方法をもう少し考えていきたいと思います。気象測器を担当していない職員であっても、外観を見るくらいはできますから、例えば地震計の点検など、別の用件でそばを通った際に様子を見ることでチェックの頻度を上げるなど、いろいろ工夫をしてまいりたいと思います。

Q 職員が現場を見る回数を増やすということですか。
A それもあります。それから先ほど申し上げましたように、実際に土地をお借りしているところにお願いをするというようなことも一つの選択肢として考えていきたいと思います。

Q 細かい話で恐縮ですが、現場を見る回数を増やす、こういったのはすべて記録されているものなのでしょうか。確認したら日報のようなものに記録するとか。
A それは現地にあると思います。
Q 気象庁本庁としては把握されていないのですか。
A 各地方気象台単位で把握しています。

Q 通常の業務の合間にというお話があったのですが、長官からご覧になってこういった点検作業をするには気象庁の人員というのはどうなんですか。不足しているとお思いですか。それともやればできるとお思いですか。そのあたりを率直に聞かせていただきたいと思いますが。
A 工夫する余地はまだあると思っております。人を増やさないとできないかというと、必ずしもそうではないのではないと思います。先ほど申し上げたようなことをまだまだ考える余地があると思います。


(以上)

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