長官記者会見要旨(平成20年3月21日)

会見日時等

平成20年3月21日(金) 14時00分~14時13分
於:気象庁会見室

発言要旨

 今年度振り返りますと、気象庁としましては安全・安心な社会を実現するための防災気象情報や長期緩慢災害に対応するための情報の提供に力を入れてまいりました。また、天気予報や桜の開花予想などの生活情報の精度向上にも努めてまいりました。防災気象情報の点で申しますと本日3月21日から、北海道、栃木県及び千葉県でそれぞれの道県と共同しまして「土砂災害警戒情報」を発表いたします。これで47の都道府県全てで「土砂災害警戒情報」の運用が始まることになります。この情報が土砂災害の防止に一層役立つことを期待しますとともに、今後も技術の更なる改善に努めてまいります。
 本日からまた「異常天候早期警戒情報」の提供を開始いたします。間もなく、北海道地方の高温、奄美地方と沖縄地方の低温に関する早期警戒情報を発表するために、現在準備を進めているところでございます。
 この情報は、平年値からの隔たりが大きい天候となる可能性につきまして、できるだけ早い段階で予測情報として発表するものでございます。農業や電力をはじめ、天候の影響を受けやすい分野での活用を期待しているところでございます。
 本日は、満足度調査結果を公表いたしました。この満足度調査と申しますのは気象情報の内容及び提供方法の改善に活かすため、平成13年度から気象情報に関するアンケート調査を毎年実施しまして、利用者の皆様の満足度・重視度改善要望等を把握するためのものです。今年度は天気予報、季節予報、黄砂及び紫外線情報について調査を行いました。
 この満足度調査において提出されました要望を踏まえて、週間天気予報の信頼度情報の改善を今月26日から行います。今後とも満足度の向上に努めてまいります。


 

主な質疑応答

Q.気象庁として、今年度を振り返ってみて情報提供についてどのように総括していますか。
A. 情報の提供という点から申しますと記者クラブの皆さんにはいろいろご協力いただきましたけれども、今年度は緊急地震速報の発表をはじめ従来取り組んでいなかった新しい分野の情報を始めたところが大きな特徴だと思います。この情報をどう活かすかということにいろいろと取り組んでまいりましたし、竜巻注意情報の発表におきましても同様なことをやりました。ですから今後とももちろん精度というものは根幹にございますけれども、情報をどう使っていただくか、どう生かすかということにつきまして利用者の方々、あるいは報道関係の皆様とご相談してよりよい情報になるように努力していきたいと考えております。

Q.緊急地震速報を導入されてまもなく半年になりますが、先日の第6回「緊急地震速報検討委員会」でも委員の方からいくつか意見が出まして、その中でですね、例えば1つは、なかなか発表がないなかで実際でてることを確認してもらうためにもっとその公表基準を、まあ下げてとは言わなかったんですが、内容的には、もっと実際出して体験してもらって間違いなく出ているんだということを知ってもらった方がいいんじゃないかみたいな、つまり公表基準をもう少し考えたらどうかという意見も出たんですが、このへんについては長官どうお考えになりますか。
A.地震発生はいつどう起こるかわかりませんが、今までの平均的な状況としましては、震度5弱以上の地震は年数回程度ありますので、そういう点を考慮して本運用開始に係る検討会で検討していただき、現在の基準に至ったという経緯がございます。そういうことを考えますと数ヶ月発表していないから基準を下げると考えるのはいささか早急かなと思いますので、もう少し長い目で見ていただきたいと思います。ただし、発表はしておりませんが、国民の皆様の注意が緩慢にならないために周知広報に努めたりあるいは訓練をしたりいろいろそのへんは努力していきたいと思っております。

Q.もう一点、何人かの委員の方から出た意見として、東海や東南海、首都直下地震に対応した情報を出していけないのか、特に1人の委員からは東南海地震だとはっきり明示して出すことが重要だという意見もでていましたけれどもその点についてはどうされますか。
A.東海地震・東南海地震に関する評価はすごく重要だと思います。ただし、数秒の間にそれを評価するのはなかなか難しく、海の中であったとしてもそれが海溝型のものかどうかという評価にも若干時間かかります。重要ですけれども緊急地震速報としましてはまず一刻も早く発表するということではないかと思います。

Q.緊急地震速報の周知広報、いろいろ聞いているんですけど、どのような方法を考えていますか?
A.気象庁としてまず取り組んでいますのは、気象官署において、緊急地震速報が発表された場合に特に部外者の方にどう周知するかを今考えております。本庁ビルではもう既に始めていますが、全国の気象官署でそれをやりたいと考えております。 さらに、主なものとしては訓練をやりたいと思っています。できれば夏までに全国の関係省庁や民間の方の協力を得まして全国一斉に行うような訓練を計画したいと思って今検討しているところです。

Q.緊急地震速報は4月からラジオでも始まりますよね。まあラジオ在京だけなんですけれども。地域によって時期がずれる、あるいは放送が震度5強からになるというように、情報がいろんなレベルで出てきますけれども気象庁としてはその辺をどう考えているのか、今後例えば説得といいますか、理解を求めてどういう方向に持っていきたいとかって考えはありますか。
A.私どもとしましては、緊急地震速報の警報の発表基準(震度5弱)でぜひ発表していただきたいと思っております。これは報道関係の方のご理解を得て放送されるわけでございますから引き続き努力をしたいと思います。 ただし、今まで発表した実績が一度もない情報でございますから、一回ずつ発表した場合にどういうことに影響があったかということを評価しながらすすめていきたいと考えております。

Q.週間天気予報の信頼度で今度さらに降水情報についてもABCのランクをつけられるということでまあ利用者から見るとより分かりやすい情報になると思うんですが、Cの降水有無の適中率が平均56%とあって、ようするに平均このくらいの適中率を出せるようになれば今の週間天気予報をさらに長期化、例えば10日とかにもっていくことはできるのか、それともこの適中率はまだ低くてこれをクリアしてもなかなかそれを10日先にもっていくことは難しいというふうに考えているのか、長官はどうお考えになりますか。
A.難しい問題です、どこが難しいかと申し上げますと、利用価値は非常にあると思いますが、そこそこの予報精度を期待されている方から見ますと、まだそこまで至っていないのに情報を発表するのは早いんじゃないかと言う意見もあります。今の週間予報についてもまだそういう意見があります。そういうことを勘案しますと、ちょっと成績がいいからといってすぐ一般向けに発表するのはまだ早いかなと思います。やはり、そういうことを考えると、例えば特にそういう情報を必要とされている方々といろいろ相談しながら、情報の利活用についていろいろ協力したり実績を作っていってから、どういう形で発表するのがいいのかという話になろうかと思います。

Q.民間では7日以上先をやりたいと思っている会社もあって、それが何%になったらやっていいのかという基準をまだ気象庁から示されていないので、ある意味でこの56%をクリアできるようになれば今実際出しているわけですからだったら出せるという一つの基準になるのか、どうでしょう。
A.そういうこともいろいろ検討していかなければいけないと考えております。


(以上)  

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