長官記者会見要旨(平成20年2月22日)

会見日時等

平成20年2月22日(金) 16時00分~16時15分
於:気象庁会見室

発言要旨

 2月13日に福井県の今庄地域気象観測所の風向風速計に設置ミスによる方位の誤りがありました。また、2月14日にはソフトウェアの設定の誤りですが、北海道網走支庁の小清水地域気象観測所の風向データに異常があることが判明しました。言うまでもなく、気象業務の根幹となる気象観測でございますので、このような誤りがあったということは、誠に遺憾でございます。また、データを利用される方にご迷惑をおかけしたことについては、お詫び申し上げます。こうした事態の再発を防止するため、全官署に作業手続きの確認、チェック体制、気象状況の整合性も含めまして、徹底するよう指示しまして、再発防止に努めております。
 今月もまもなく終わって、冬が終わるわけでございますが、今年の冬の特徴としまして、強い冬型の気圧配置が長続きせず、寒暖の変化が大きかったということと、日本の南海上を低気圧が通過しやすかったということでございます。現在までの冬の平均気温は、沖縄・奄美地方で「高い」状況で、他は「平年並」であって、概ね寒候期予報で予測した状況となっております。まだ、長期予報の予報精度が十分とは決して申しませんが、引き続き精度向上に努めてまいりたいと思います。
 桜島では、2月3日に噴火警報と噴火警戒レベルの導入以来、初めてレベル3の火口周辺警報を発表しました。6日以降、爆発的噴火も見られず、落ち着いた状況となりましたので、20日にレベル2の火口周辺警報に戻したところでございます。一昨年活発化した昭和火口の活動は、長期的に見れば活発化の傾向にあると見られておりますので、引き続き注意深く監視してまいります。


 

主な質疑応答

Q.アメダスに関するミスについて、小清水についても気圧配置を考えると東よりの風が卓越するとは考えにくい。あまりにも数字だけを追っているのではないか。省力化ということもあると思うが、もう少し人間の目でチェックするということはできなかったのか。
A.業務量が増加し、たくさんのデータを見なくてはならず、その中で見落としがあったということだと思いますが、おっしゃるとおり、福井県の例でも冬なのに南風が強いのはおかしいと疑って貰いたい。このことに限らず、データを疑いなく全て信じるというのは危険ですので、もっと気象的な背景を掘り下げて、確認を行い、情報を発表するという基本を再度徹底したいということでございます。既に指示は出しておりますけれども、会議・研修の席上でも徹底していきたいと思います。

Q.アメダスに関して、他の観測点のデータは問題ないのか。
A.アメダスは現在、更新作業をおこなっているところで、昨日(2月21日)までに171ヶ所について更新を行いました。これらの観測点については、全て再度確認し、問題ないことを確認しております。今後も、更新作業は続きますので、常に確認してまいりたいと思います。

Q.1月に潮位データのミスもあった、昨年は桜の開花予想でミスもあった。根幹は同じで、チェック体制が取れていないのが問題だと思う。組織的に、業務量がチェックできる限度量を超えているということはないのか。
A.私は決してそういったことはないと思います。今回のミスは、例えばワープロで文章を作るとそれなりに形になるので、その中の変換ミスを見落としてしまうといったことと同じで、データが画面にきれいに出てくれば当たり前という先入観を持ってしまう。そういった気の緩みがないように業務的にきちんと確認を行うことが必要だということです。業務量が多いから繁忙で見落としたということではありません。現在、国土交通省の機関や、都道府県の機関と連携しまして、さまざまな観測データを評価して、天気予報や警報・注意報に活かしております。このような多種多様な観測資料に基づいて多種多様な情報を出していくことを進めておりますので、気の緩みがないよう、確認作業を徹底してまいります。桜の開花予想については、十分に反省し改善を進めております。

Q.小清水のケースでは設置の際に遠隔操作で行い、現地に行ってないと聞いた。その中で、設置したときに正しく機能しているということを確認できないまま運用を開始したのではないか。現地に行って確認するというが組織的にできない状況になっているのではないか。
A.小清水のケースではソフトウェアの入れ替えの際の確認が不十分であったということです。申し訳ございません。現地に行っても行うことは同じですので、効率的な作業であり問題ございません。ソフトウェアについては、完璧なものを求めるのは困難です。成熟したものを利用し、検収を行いながら、何かあればいち早く対応するということが現実的だと思います。そのためのチェック体制を整え、迅速に対応することが大事だと思います。

Q.ミスではないが、1月に一般向けの緊急地震速報を出すチャンスがあったが出せなかった。周知も含めてこの教訓をどう活かそうと考えているか。
A.一般向けの緊急地震速報は震度5弱になったときに発表するものですが、導入時からご説明しているように緊急地震速報の震度予測は±1程度の誤差があり、また、ごく浅いところで地震が起こった場合には、間に合わないという技術的な限界があります。誤差はなるべく小さくすべきですので、技術的向上に努めて参りますが、技術的限界を理解した上でご利用いただけるように、さらに周知・広報を行っていきたいと思います。


(以上)  

このページのトップへ