長官記者会見要旨(平成18年10月19日)

会見日時等

平成18年10月19日(木) 14時00分~14時10分
於:気象庁会見室

発言要旨

この1ヶ月を振り返って見ますと、今月6日から7日にかけて低気圧が急速に発達しながら東日本から北日本の東海上を北上し、これに伴う暴風と高波で痛ましい海難事故、山の遭難事故が発生しました。また、大雨により浸水被害に遭われた方もおられ、災害に遭われた方々に心からお悔やみ申し上げます。

気象庁としては、気象警報、情報のほか、海上の船舶向けには海上警報などを発表しています。今回の低気圧に対しても6日朝の時点で、海上の風に対する警報としては最もランクが上の『海上暴風警報』を発表して呼びかけましたが、このような事故が起こりましたので、今後さらに利用者にわかりやすく情報を発表していくとともに、防止に向けた対策等につきまして、関係部局ともよく相談をして、防災等災害の軽減に向けて取り組みたいと考えております。

以上会見にあたり私の方から発言させて頂きました。

主な質疑応答

Q 9日の北朝鮮で核実験があったという情報から気象庁からの情報発表まで4時間かかっているが、時間がかかりすぎていると思われるが。
A 気象庁としまして基本的には国の機関の一環として、関係する部局に観測の情報を提供することを第一義的とし、そこからの情報提供とともに、国民の皆様にも情報を発表しています。今回は多少調整に時間がかかり(発表までの)タイミングが遅れたのは遺憾ではあると思っています。今後はできる限り迅速に出していきたいと考えています。

Q 11日に官邸に行かれたが、これは分析結果を伝えたということか。
A 分析結果については、いろいろなチャンネルから送っておりますが、説明すべきことがあるということでまいりました。

Q 直接、総理に説明をおこなったのか。
A 私からはしておりません。

Q 今後の監視体制も含めて、気象庁への要望はあったか。
A 特にありません。今回に限らず、これまでも核実験が起きますと、地震の波形に何かないかという照会が、パキスタンの例でもありました。気象庁としては照会があれば調べて報告し、みなさまにも発表しています。11日は、2回目かという報道がありましたので調べて、何もありませんとお知らせしました。

Q 追加の実験が想定される中で、気象庁としての監視体制の強化については。
A 何らかの監視体制を特にとっているわけではありません。気象庁は24時間体制で地震の監視観測しております。その一環として、なにか異常なものがないかと問われれば直ちに調べて、微弱な地震波は検知できないでしょうが、検出可能範囲内のものであればお伝えするという体制は変わりません。

Q 核実験の端緒を国の機関として掴んでいるのが気象庁しかない中で、核実験監視のために別機関を作って監視すべきかどうかについて、長官としてはどう考えているか。
A 何のために監視するのかといった目的がはっきりしないと(気象庁の業務能力が役立つのかどうかわかりませんので)お答えできません。仮に実験があった場合にどういう対処が必要かということかと思いますが、気象庁は、地震の24時間監視をして、何か観測でわかった情報がないかと照会されれば、できる限り迅速にお伝えしたいと考えております。

Q 低気圧の関係で、わかりやすい情報とのことですが、新聞の投書などでは、「超低気圧」みたいな形でもっとわかりやすい、重要性がわかるような表現があってもいいのではと寄せられているのですが、先ほどのわかりやすい情報ということについて具体的のどのようにお考えか。
A 名称の問題ですが、海上における風の警報としては国際的な取り決めがあります。15m、17m、25mという最大風速の階級があって、海上暴風警報というのが最大でそれを発表していました。その点で、すでに手段を尽くしているわけですが、25m以上でも、程度がありますから何かを補足して、利用される側の方に、強い風が吹くとか、こういう危険があるとかをご理解していくことがまず手始めかなと考えています。「超」という名前については、まず基準をはっきりさせないとあまり意味がないわけです。25mを超える階級についてさらに必要だとは、今の時点ではそういう意見はいただいてはおりません。一方、前日の予報では、今紹介しました海上暴風警報を発表していましたが、その数日前から、このように発達するとは見込んでいなかったということは事実です。そういうところから油断というか、たいしたことがないという認識を仮に利用者がもたれるということがあれば、いままでの予想に比べて、もっと荒天に向かっている、急速に発達しているというようなことを言葉で伝えるような、そういう風にしなければいけないと考えております。

Q 核実験のことですが、2回目3回目といった可能性もあるわけですが、その場合迅速にとおっしゃたが、情報とかが入ったりとかでキャッチされてから、どのくらいで行動できると思うか。
A そもそも、実際にどのような地震波があるかどうかを事前に想定するのは実は難しいわけです。仮に2回目があったとして、前回と同じであるといった保証は全くないので、時間は申し上げられません。前回と同じ規模のものがあれば、できる限り改善策を検討し、前回よりは短くしようと努力をしたいということですが、ある一定の時間以内に結果が出るというものではありません。

Q 気象庁として、観測してデータがあるということをまず発表してもらうことはできないか。
A ひとつひとつの地震計の波を見ただけではわかりません。いくつかの地震計のデータを総合的に解析して、ある一点から地震波が来たということがわかるわけです。それと地震波の大きさなどから規模を推定しています。該当するかもしれない波形を見いだしてから、震源と規模を推定するということは一連の作業ですから、そこまで待って頂きたいと考えています。

Q 通常の海外の地震の場合とどう違うのか。通常の海外での地震の情報は発表が早いが。
A 通常、だいたい30分以内で遠地地震の情報、あるいは海外への津波情報を発表しています。これは当然規模の大きな地震ですから、それだけ早く発表できるわけです。




(以上)

このページのトップへ