気象審議会総合計画部会
議事録
第7回:平成12年3月28日

気象審議会総合計画部会 議事録

  1. 日時及び場所
    平成12年3月28日(火)13:30~16:00
    気象庁第一会議室
  2. 出席委員
    委員長:浅井
    委員:石田、中島、松野
    専門委員:石橋、小縣、長見、亀岡、竹下、藤井、藤吉
  3. 議 題
    1. 開 会
    2. 議 事
      1. 第6回総合計画部会議事録(案)について
      2. 地震・火山分野における課題について
      3. 今後の審議スケジュール
      4. その他
    3. 閉 会
  4. 議事経過の概要

1.開会

(事務局)それでは、定刻になりましたので、一部の先生方はまだお見えになってございませんが、始めさせていただきたいと存じます。

本日の審議でございますが、既にご案内のとおり、16時までの2時間30分を予定しております。

なお、気象庁側の出席メンバーでございますが、北海道の有珠山での活動の関係がございまして、審議中に若干出入りさせていただくこともあろうかと思いますので、その辺よろしくご了承いただきたいと存じます。

それから、本日より本部会に名古屋大学大学院理学系研究科教授藤井直之先生に専門委員として審議に加わっていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

なお、本日の審議でございますけれども、部会開催通知にはございませんでしたが、21号答申の構成及びポイントについてのご検討もあわせてお願いしたいと考えてございます。

お手元に議事次第、それから本日の部会において事務局から説明予定の資料といたしまして、計7-1「気象審議会総合計画部会議事録(案)」、39ページございます。計7-2「地震・津波・火山現象による被害を最小限に」が13ページございます。続きまして、参考資料「地震・津波・火山業務の概要」、16ページございます。計7-3「気象審議会第21号答申 21世紀における気象業務のあり方について 構成及びポイント(案)」、13ページございます。それから、計7-4「今後の審議スケジュールについて(案)」がございます。お手元にございますでしょうか。欠けているものがございましたら、事務局までご連絡をお願いしたいと思います。

それでは、早速、第7回部会の審議を部会長にお願いいたします。

(部会長)それでは、ただいまから第7回総合計画部会を始めたいと思います。

2.議事

部会の議事次第に従いまして、第1番目の議題は第6回総合計画部会議事録(案)についてでございますが、事務局からご説明をお願いいたします。

(事務局)説明させていただきます。資料は計7-1でございます。この議事録については、事前に委員の先生方に目を通していただいております。そこで、第5回までの議事録と同様、1週間後の4月4日火曜日までに見ていただきまして、さらに修文すべきところにつきましては事務局までご連絡いただきたいと考えております。先生方のご指摘を踏まえて修文いたしまして、最終的な案文につきましては部会長にご一任いただいて、議事録として公開することにしたいと考えてございます。

(部会長)いかがでしょう。そういうふうな取り扱いでよろしいでしょうか。--では、そういうふうにさせていただきます。

2番目の議題に入る前に、議事の進め方、大体の時間配分等をちょっと申し上げておきたいと思うのです。先ほど事務局からご紹介がありましたように、当初考えていなかったのですが、3番目の議題にあります、21号答申の構成とポイントについてが新しく加わりました。地震・火山分野の課題の審議には2時間ぐらいを充てたいと思っております。そうしますと、13時30分からですから15時30分になりまして、最初はたしか16時までとなっていたかと思いますが、きょうの次第を見ますとおしまいの時間が書いていないので、多分これは少しずれるだろうことを想定されているのではないかと思いますが、私もそういうふうに思います。

3番目の21号答申の構成とポイントについてでございますが、今回、地震・津波・火山という重要な1つの検討課題についてご審議をお願いするわけですが、それで主要な検討課題は大体終了する。したがいまして、これまでの審議を受けて、いよいよこれが最終段階といいますか、答申案の作成にかかりたいと思うわけですが、できるだけそれを効率よくするためには、きょう最後の1時間ぐらいを使って、その答申案に盛り込むべき内容、どういう事項をどういうふうに盛り込むか、骨子のようなものをきょう紹介しておいていただいて、委員の皆さん方にお考えいただく時間をできるだけとっておく。そして有効に審議をしたいと思うものですから、そういう意味で第3番目の議題をきょう入れるのが適切ではないだろうかということで急遽予定したわけでございます。ご了解いただきたい。

それでは、早速2番目の地震・火山分野の課題について、最初に30分ぐらい事務局からご説明いただきまして、1時間半ぐらいを審議に充てたいと思っております。これは資料計7-2、それから参考資料を使うことになるかと思います。どうぞよろしくお願いします。

(事務局) 説明する前に、有珠山の活動についてご報告いたします。これもきょう説明することに関係する事項で、気象庁危機管理がうまくいくかどうかにかかっているかと思います。昨日から地震活動が活発になり、本日になってからさらに振幅の大きい地震も起きていますし、山ろくでは有感地震も起きています。震源は北西山腹の深さ3~4㎞です。今のところ噴気活動等の変化はありませんが、今回のような地震活動は、1977年から78年にかけての大きい噴火以降初めてです。有珠山については、ここ3回ほど、30年ごとぐらいの間隔で噴火しており、地震が起きてから1日ないし数日の間に噴火する例が非常に多いということで、これについて現在我々は十分監視し、必要な情報を発表している状況です。

それでは、地震・火山分野における課題あるいは展望につきまして、計7-2の資料に基づいてご説明いたします。

〔 ス ラ イ ド 〕

地震・火山に関しまして気象庁がどのような役割を担い、どのような業務を実施しているか、わかりにくい点もあるかと存じますので、参考資料とあわせて説明したいと存じます。

地震・火山分野における気象庁の主な役割は、参考資料の1ページにありますように、地震・火山の観測とその成果の収集、整理、発表、あるいは地震火山情報、津波予報といった防災情報の発表です。また、東海地震発生のおそれがあるときに内閣総理大臣に地震予知情報を報告することも重い責務です。これらの業務の実施、特に防災情報の発表に当たっては、地震・火山現象の特質--これは気象あるいは気候面との違いですけれども、これを踏まえて進める必要があると考えています。

同じ資料に示しますように、①地震は突発的あるいは瞬間的な現象であるとともに、その発生の予知予測技術がまだ確立しておらず、研究段階にあること。したがって、発災後の応急対応などの危機管理のために現象の速報が重要であり、また現象の理解、予知に向けた調査研究を推進する必要がある。②群発地震あるいは火山現象においては、長期にわたって災害発生の危険性の高い状態が継続する場合があること。したがって現象の推移を的確に把握、診断して、防災対策に役立つ情報を提供することが重要である。このようなことを考慮する必要があると考えています。

気象庁は、地震・火山に関する観測あるいは情報の提供を長年実施してきていますが、特に地震・津波に関しては、参考資料の2ページに示しますように、ここ十年足らずの間に観測・処理体制、情報内容を大幅に改善しました。その引き金になりましたのは、主に平成5年7月の北海道南西沖地震と平成7年1月の阪神・淡路大震災です。北海道南西沖地震の後、平成6年10月に、気象審議会からは答申第19号として「今後の地震・津波情報の高度化のあり方について」をいただいています。この答申は阪神・淡路大震災についても当てはまる内容でして、気象庁はこの提言に沿って観測網の整備、発表する情報の改善を図ってまいりました。

すなわち、観測施設としては、それまで気象台や測候所に配置していた地震計を津波地震早期検知網として全国ほぼ均一60㎞間隔に設置するとともに、震度観測点を約600に増強するなどしました。また、地方公共団体、大学、その他国の機関が観測しました震度あるいは地震のデータを収集してきています。

これらをもとに、参考資料3ページに示すとおり、現在発表している情報としては、地震発生後2分程度で大きい揺れのあった地域の震度を発表しています。数分後には細かい各地の震度を提供するようにしました。また、日本近海で発生した津波については津波予報を3分程度で発表する体制を整えるとともに、昨年4月からは、今までの経験的な手法に変えて、津波の発生・伝播についての数値シミュレーションを利用して、予想される津波の高さを0.5、1、2、3mといった8段階で発表し、また津波予報区を18からおよそ府県単位の66に細分しました。

これら審議会答申19号に対するフォロー状況は、参考資料の最後の16ページのとおりですが、提言いただいた事項の大部分は実施済みだと考えています。残っている課題のうちアンダーラインをした部分は、その後に生じた新たな事情だと考えています。

一方、火山の監視あるいは情報の発表に関しては、観測機器を強化するとともに、データ処理、情報収集の迅速化を図ってきています。

こういったことを背景にして、本論の21世紀初頭における地震・津波・火山業務の目標について展望させていただきたいと存じます。

地震・火山現象については、現象の発生が予測できれば防災に最も効果があることは言うまでもなく、このための技術開発は着実に進める必要があると考えます。しかし、地震に関しては、特別な場合を除き、ここ10年程度で実用に耐え得る予測は困難と思われますし、火山については、噴火の発生や推移の定性的な予測はある程度可能ですけれども、噴火の規模、様式などを定量的に予測することは今後の課題となっています。

本文の1ページに示しますように、このような状況にあっても、発生した現象に即応した情報、あるいは現象が発生した場合に備えた情報を提供すれば、被害をなくせないまでも最小限にできると考えますので、気象庁の今後の地震・火山分野での目標は、ここに示すとおり、これらの現象による被害を最小限にとどめるために、地震・津波・火山それぞれに関する防災情報をさらに充実・改善すること、すなわち、危機管理に即応したわかりやすい防災情報を提供すること、これに置きたいと存じます。

現在の課題を踏まえて実施する必要があると考えている具体的な事項は、1ページの中央の四角内に示した事項です。これについてはこの後個別に説明いたします。これに当たっては、同時に、1つには技術の確立と申しますか、技術の取得、他の研究機関等が確立したものも取り込むことを含めて、これが重要であり、もう1つには、国の調査研究機関あるいは防災機関、地方公共団体などとの連携が重要と考えており、これらを左上と右下に示しています。

次の2ページをお開きいただきたいと思います。初めに、国の研究機関あるいは地方公共団体などとの連携を推進する必要があると考えます。地震・火山に関しては、ここに示すように多くの機関が調査研究を実施していますし、また、たくさんの機関が災害の予防対策、応急・復興対策を実施しています。

このうち、調査研究に関しては、従来の枠組みに加えて、阪神・淡路大震災の直後に制定された地震防災対策特別措置法に基づいて総理府に地震調査研究推進本部(本部長:科技庁長官)が設置され、地震調査研究の総合的かつ基本的施策を策定するなどしています。これらの推進体制、あるいは今後10年程度の間に推進すべきとしている施策については、参考資料11ページ、12ページに示しています。

また、地震予知、火山噴火予知に関する観測研究としては、文部省の測地学審議会がおよそ5年ごとに計画を建議しています。平成11年度からの計画は参考資料の13、14ページに示すとおりです。

また、火山に関しては、気象庁が事務局を担当している火山噴火予知連絡会があり、ここで観測データなどの共有、火山活動についての総合評価などを実施しています。

もう一方の災害の予防対策あるいは応急対策については、中央防災会議の防災基本計画等に基づいて、2ページに示すように、各機関がそれぞれの役割を担っています。

こういったように各機関が調査研究あるいは防災業務を実施している中で、気象庁は、引き続き24時間体制で防災情報を発表、提供することを責務とし、これに当たって観測データ、情報の共有などについて関係機関との連携を一層推進し、国民と一体となってオールジャパンとして災害の軽減に取り組むことが重要だと考えます。

具体的に実施したい事項を示したのが3ページです。これは1ページの四角の中で示した具体的方策あるいは技術の確立の部分を、地震・津波・火山を軸に再度記述したものです。この後は、防災情報発信機能の強化に記述した事項を中心に個別に説明し、技術開発については関連する事項の中で触れることにしたいと思います。

それでは、4ページをお開きいただきたいのですが、初めに地震に関する情報の充実の関係です。この図は、地震発生前後の各段階での防災対応と、それぞれの段階で提供する、あるいは提供したい情報等を対応させたものです。繰り返し起こるような大地震をイメージし、楕円は時間軸、地震発生から次の地震までを地震発生前後の時間を引き延ばして示しています。そのうち四角に囲ってある部分が提供する、あるいは、したい情報です。そのうち現在発表している情報は実線で、今後実施したいものを一点鎖線、--近いうちと考えているもの--、また1本破線で--これは将来の目標と考えているもの--示しています。現在、平常時においては地震観測結果を述べる程度にとどまっていますが、将来は活動状態をわかりやすく解説していきたいと考えています。

なお、右側に2カ所吹き出しがありますが、これは現在発表している情報を充実したいという点で、1つには、地方公共団体の震度データの収集を拡充したい、また、余震に関する情報をわかりやすく説明することに引き続き努めたいと考えます。

具体的に今後発表したい情報をしては、まず1つが5ページのナウキャスト地震情報です。現在の震度速報等はいずれも地震動が到達した後に提供しています。ナウキャスト地震情報--ナウキャストという言葉はもともと気象の分野で使われている用語で、予報のForecastに対しまして、実況をもとにしたすぐ目先の予報を意味します--ナウキャスト地震情報は、これまでの情報と異なり、地震動による大きな揺れが到達する前にその到達を予告する情報です。発生した大地震を震源近くで速やかにとらえ、震源から離れた場所に対して大きな地震動が到達する前に予想される地震動の強さを伝えることができれば、地震被害の防止、軽減に高い効果が期待できると考えます。例えば東海地震が発生した場合、地震発生後15秒程度で震源・規模を特定してこの情報を伝達できれば、主要動到達までに小田原では15秒程度、東京では30秒程度の猶予時間があることになります。JRでユレダスとして知られているシステムは、これと同様な考えで実用化されているものです。

気象庁は今までに、国土庁・消防庁と共同して、この情報の利用の可能性あるいは伝達の手段などについて検討してきました。その結果、右側に示しますように、人の安全確保、交通の制御、計算機のハードディスクの保護といったところで利用できる可能性があることがわかっています。ナウキャスト地震情報の利用価値はせいぜい数十秒までですので、情報精度の向上のための技術開発、あるいは迅速な伝達方法などをさらに検討して、できれば数年内で実用化を目指したいと考えています。

続いて、もう1つ新しく発表したいと考えていますのが6ページに示す面的震度分布です。参考資料4ページのとおり、現在、地方公共団体の震度データを含めて詳細な震度情報を発表しています。発表している地点は今は2500地点ですが、最終的には三千数百地点になる見込みです。これは平均して10㎞四方ごとに観測点が1点あることになります。6ページの中央に示すように、平成7年の兵庫県南部地震において震度7の地域は幅1~2㎞で分布していたことからわかるとおり、震度観測点のデータだけでは被害の最も大きい地域を把握するに十分とは言えない状況です。一方、先日の審議会で、観測点が増えると放送に苦慮するといったご発言もありました。ここに示します面的震度分布は、、観測点の震度でありませんで、観測点の震度と地盤の情報をもとに1㎞程度の格子ごとに震度を推計して、これを分布として提供しようとするものです。今後、地盤データあるいは震源直上の震度の推計、発表方法などを整理して、近いうちに提供することを考えたいと存じます。

続いて、東海地震の予知確度の向上、7ページです。地震予知に関しては、阪神・淡路大震災などを機会に、これは不可能であり、それよりも地震発生に備えた対策に力を入れるべきといった意見も出されました。地震の予知、すなわち場所、規模、時間を特定した地震の予知でができれば震災の軽減に最大の効果を発揮することは異論はないと存じます。地震予知に関しては、先ほども説明しましたが、平成11年度から地震発生に至る過程の全容を把握し、地震発生の最終段階にある地域の特定を目指す「地震予知のための新たな観測研究計画」が推進されています。この中でも東海地域は近い将来大地震の発生の可能性が高いとされており、参考資料7ページに示すように大規模地震対策特別措置法によって東海地方周辺が地震防災対策強化地域に指定されています。

気象庁は、参考資料8ページのとおり、関係機関の協力を得て、この地域とその周辺の地震、地殻ひずみ、地下水などのデータを集中して監視しています。そして、データに異常があらわれた場合には、6名の学識経験者で構成される地震防災対策強化地域判定会を招集して、異常が東海地震に結びつくか、科学的、技術的な検討をしていただく体制をとっております。

本文7ページに示しますように、今までの研究では、東海地震はフィリピン海のプレートとユーラシアプレートとの境界の固着した部分、すなわち固着域とがはがれることによって発生し、その直前にこの部分が前兆的な滑りを生じると考えられています。このため、今後は関係機関の協力のもと、観測データの集中、共有をさらに進めるとともに、詳細な地殻構造モデルを導入しての精密な震源位置や規模の推定、地震が固着域の付近で起きているのかどうかを特定すること、あるいは前兆滑りを把握するため地殻ひずみの時間変化のシミュレーションといった研究を実施し、解析手法を高度化して、一層的確な地震予知情報を報告できるように努めたいと考えます。平成11年度からはこの手法高度化の一環として、気象研究所において地震発生過程の詳細なモデリングによる東海地震発生の推定精度向上の研究に取り組んでいます。

続いて、8ページになりますが、地震・地殻活動に関する情報の改善です。気象庁は、発生した地震についての速報や解説を行ってますが、さらに地震に対して備えるには、ふだんから地震活動についての理解を深めていただくことが重要と考えます。最近では、地震調査研究推進本部が推進している地震観測データの一元的な収集・処理により、震源を決定できる地震の数は日本周辺で年間8万個にも達しています。これにより、地震と活断層との関係もわかっていますし、発生した地震に伴ってどの方向にひずみが蓄積あるいは解消されたか--地震が発生しやすくなった、あるいは発生しにくくなったかということも、ある程度わかるようになってきました。

また、右側は特別な例ですけれども、伊豆半島東方沖の群発地震については、繰り返し発生していること、東海地震に備えて観測機器が多く整備されていることから、地震活動が活発化するか、終息するかの見通しもある程度わかるようになってきました。矢印でそれぞれの段階を示していますが、今後は地震活動、地殻活動をより詳細に把握、解析して、これを解説するとともに、将来的には事例の豊富な地域から地震活動の推移の見通しについても言及できるようにしたいと考えます。

以上が地震に関する情報の充実の点です。

続いて、津波についての改善を考えています。参考資料5ページのとおり平成11年4月から津波予報の手法、予報区などを変えました。この手法による予報の発表の実績はまだありませんが、予報区を細分し、メートル単位で予想される津波の高さを発表することにより、津波への対応が一層的確にとれるものと確信をしています。

本文9ページに戻って現在の津波予報の手法は、震源を中心にした断層を仮定し、その大きさあるいは傾きなどは経験的、平均的な関係を用いており、津波の高さの予測には一定の安全係数を掛けています。実際には震源位置は断層の端にあることが多く、また一昨年5月の石垣島南方沖地震のように津波を起こしにくい横ずれ型の地震もあります。このほか地震の規模、いわゆるマグニチュードの割に大きい津波を引き起こす津波地震もあります。これらのため、実際に発生する津波と予報との間にはなお差が生じます。これに対処するために、今後実施したい事項としては右側に示すとおり、1つには地震波形による地震断層あるいは海底変動の推定、もう1つは、津波観測データを活用による津波波源域の推定--こういった技術は現在ある程度できています--を行って必要に応じて津波予報を修正することを目指したいと存じます。ただし、例えば地震波を用いた断層の推定には地震発生から20分程度のデータが必要ですので、当面は主に津波警報などの早期解除に利用することになるだろうと思います。

もう1つ、津波に関係しては10ページに示すとおり北西太平洋地域津波センターを実現したいと考えます。昭和35年のチリ地震津波が我が国を初めとして太平洋沿岸諸国に多大な被害をもたらしたことを契機に、太平洋沿岸周辺の関係国が地震・津波に関する情報を交換し、各国の津波災害の防止、軽減を進展させることを目的として、昭和41年に太平洋津波警報組織(ITSU)がユネスコの政府間海洋学委員会のもとに設立されています。関係する国は現在25の国あるいは地域です。

現在、この枠組みの中でハワイにある太平洋津波警報センター(PTWC)が太平洋全域に影響する津波については、地震発生1時間程度後に津波に関する情報(津波の有無と到達予想時刻)を各国に提供しています。しかし、さらに迅速な津波の予測、あるいは太平洋西側の例えば日本海、南シナ海、タスマン海といった縁辺海で発生した地震による、太平洋全域に影響しない津波についての予報は地域ごとに津波センターを置いて対応する必要があるとITSUは求めています。このうち北西太平洋、範囲としてはカムチャツカからフィリピン周辺程度と思っていますが、これについてはロシア、韓国、米国などが、我が国が津波予測あるいは観測値の提供を実施することを要請しています。今後、国際貢献の観点からもこれにこたえることにしたい、すなわち北西太平洋地域津波センターを設立し、津波予測・観測値の提供を実施することをしたいと考えます。これを実施するに当たっては、周辺諸国からは地震、潮位観測結果を提供されることになっていますので、遠地での地震に伴う我が国への津波の影響を評価する上でも有効と考えています。

なお、日本海で発生した地震に伴う津波に関する情報(予報)を周辺諸国に提供することは、現在でも技術的に可能ですので、日本海についてはできるだけ早く我が国が周辺諸国に情報提供したいと考えています。

以上が津波についての2点です。

続きまして、火山に関する情報です。11ページになりますが、この図は地震と同様なイメージで示してあります。火山活動は行ったり来たり、すなわち活動が活発になったり、一時停止したりすることも多いのですが、ここでは例示的に、活動が始まって次第に活発化し噴火に至るとして、それぞれの段階で発表する、あるいは発表したい情報を示しています。

現在の火山情報については、参考資料の10ページのとおり活動に異常が発生した場合に発表する臨時火山情報--有珠山についてきょう3回くらい発表しています--それから、生命・身体にかかわる活動が発生した場合、またはそのおそれがある場合に発表する緊急火山情報があります。しかし、火山現象の推移を判断する技術がまだ成熟していないために、情報の内容は定性的であり、また実況に追随する場合が多い、あるいは火山活動が低下したことを今は発表していない、このような課題があります。

このため、今後より的確な火山防災対応ができるよう、活動の各段階でその状況と推移の見通しを提供することを目標にしたいと考えます。具体的には12ページのとおり、1つには定量的な火山情報の発表を目指したいと思います。定量的と申しますのは、危険度を段階で示したという意味ですが、これを実現するためには、各種の観測データをもとにさまざまな研究成果を取り入れ、火山活動の状態を総合的に把握、診断する手法を開発することが最も必要です。これを開発して、近い将来は火山活動をレベル値で発表する、中長期的には活動の推移の予測を含めた情報を発表することを目指したいと思います。

このうちレベル値と申しますのは、常時その火山の活動状況がどのような状態にあるか、あるいはどのような災害の危険性があるかを5段階程度に分けて数字で示すものです。この方法は、既に一部の外国でも取り入れられており、これを示すことができれば活動状況の把握が容易になると考えています。当面は、活動の履歴がわかっていて観測体制が充実している火山を対象として、将来的にはこれが全活火山を対象にできれば考えます。

もう1つは、的確な火山情報を発表するための火山監視体制の強化、13ページです。だたいま説明しましたような情報を発表できるようにするには、1つには観測データ・情報を迅速に収集してその成果を速報し、また的確な診断を行える体制をつくることが不可欠だと考えます。現在気象庁は、活動的な火山を中心に地震計、遠望観測装置などを整備するとともに、地元に担当職員を置いて観測監視をしています。また、その他の火山については基礎的な調査観測を実施するとともに、活動に応じて機動観測を実施しています。

しかし、例えば浅間山のように過去に非常に活動的な火山でも休止期間がある一方、雲仙岳あるいは岩手山のように長い間の休止を経た後活動する火山もあります。したがって、これまで火山ごとに培ってきた火山監視のノウハウを整理し、火山活動に応じて臨機に対応できるよう機動性を一層高めることにしたいと考えます。

また、これに当たっては、気象庁自らは主に火山性地震、微動の観測、あるいはGPS等による火山体の変形による観測を実施して異常を検出し、あるいは空振計--噴火に伴う空気振動をとらえる機器--よって噴火の検知等を実施するとともに、地電流噴気温度、噴出物といった項目などについては関係機関の観測データあるいは調査結果などを気象庁に集約するように努める必要があると考えています。

同時に、火山現象はどちらかといえばローカルであり、火山噴火予知連絡会のほかに、地域における大学などの研究者、有識者の協力を得て、一層的確に火山活動の把握、診断を行えるような地域的に監視を強化する体制を今後整えていきたいと考えます。

以上が地震・津波・火山分野についての課題あるいはこれからの展望です。

(部会長)ありがとうございました。

ただいま事務局から地震・津波・火山全般にわたって、気象庁のこれまでの活動状況、つまり現状認識をされまして、そしてそれに基づいて今後の新たな活動の展開ということで、大変わかりやすくご説明いただきました。

そこで、これからご審議いただくわけですが、まず、全般的な問題、その次に地震、津波、火山、そして最後にまた全般的な問題についてご審議いただく。おおよそそういう順序でやったらどうだろうかと思いますが、余りそれにこだわらないでも結構ですから、どうぞ自由にご発言いただければ幸いでございます。質問、ご意見等、どうぞよろしくお願いします。

(専門委員)初めてなので言葉遣いとかいろいろわからないことがあるのですけれども、一番最初の1ページですが、気象庁が発信している情報というのは基本的にはすべて防災情報という言葉でくくれているということでよろしいのでしょうか。僕、素人としてはちょっと違うんじゃないかと。

(事務局)我々気象庁の一番大きい責務は、地震あるいは津波、火山に関する防災対応と思っており、解説等は別かと思いますが、一くくりに単純に防災情報の発表と考えています。

(事務局)ちょっと補足いたしますと、国民に対して直接的に働きかける情報としては防災情報でございますが、そのほかに気象庁の重要な役割は、先ほど説明があったように、さまざまな地震に関する例えば検測値の発表だとか、我が国におけるデータベースの構築も重要な課題でございます。今回この中にはそれが明示的に書いてございませんが、調査委員会等との連携だとか、火山噴火予知連等との連携のもとで、そういうデータベースに関したもののご提供も国としては責務の一環であるというふうに考えてございます。

(部会長)私からちょっとご質問させていただきたいんですが、地震、津波、火山、いずれも気象、とりわけ短期気象予報に比べてその予測は大変困難である。したがって、気象庁としては、予報はかなり調査研究的な色彩を帯びるけれども、気象庁の業務としては防災、つまり災害を防止する、あるいはできるだけそれを軽減するために有効な、かつ適切に情報をどういうふうに提供すればいいかということに一番大きな力を注いでいるように伺いましたが、それはそれで結構だと思うんです。

現在に比べて21世紀、とりわけ今後10年ぐらいを展望して、特に何か新しい観測、監視手法、あるいはそういうシステム、体制についてはどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいのです。

(事務局)先ほどご説明しましたように、地震につきましては、現在、国の推進本部を含めまして相当な体制ができておりますし、気象庁自らがどうしても発表しなければいけないと考えています地震・津波に関する情報については、今のところ大部分がドラスチックに変えなくても実施できるのではないかと思っております。もちろん海底の地震計といった類の整備は期待したいと思っています。

火山につきましては、先ほどもご説明いたしましたが、例えばGPS等最近の新しい観測手法、あるいは衛星のデータを使った監視の手法をこれからは考えていかなければいけない。もちろん気象庁がこのための衛星を打ち上げることはないと思いますけれども、あちこちの地球観測衛星のデータを使うことがこれから重要ではないかと考えてございます。

(委員)私がこういうことをお聞きするのは変なのかもしれないのですが、1ページ目の右側に「気象庁が主体的に機能しつつ国・地方公共団体等が一体となった取組み」と書いてあります。これ自体は非常にいいのですが、ここにこういうふうに書いたら自然に国とか地方団体が協力してくれる体制というのは、実際にはどういうところで、どうしてそうなるような仕組みがあるのでしょうか。例えば地方公共団体が簡単に協力するかどうか。

(事務局)国の行政レベルでは、気象庁は自治省消防庁と先般から勉強会を具体的に催しまして、消防庁が地方自治体をご指導するお立場でございますから、気象庁の施策についてよく理解していただいて、消防庁と気象庁が一体となって、地方公共団体に対して、こういうデータの共有化だとか、あるいは災害データの共有化だとか、そういう道をつくりたい。これまでは各県単位で地方気象台と県の消防防災課との相対の関係だったのですが、それをもう少し国全体のユニフォームな施策の方向で取り組んでいきたいということで、そういうメカニズムを今年度に立ち上げたわけでございます。

したがって、ここに書いているような「機能しつつ」という言葉が、今後はより具体化するプロセスとして有効になるのではないかと考えているところであります。

(委員)もう1つお聞きしたいのは、防災情報の提供と書かれているのですが、いろいろなデータを集めた、生のデータに関してほかの人が使えるような形もとるという意味でしょうか。それともここで考えたのは、常に発信する方だけという意味でしょうか。

(事務局)最初にご説明しましたように、気象庁としては、地震あるいは火山、津波の現象についての観測データを収集、整理することも大きい役目でして、それは今後も引き続き実施したい。具体的には現在も、例えば地震につきましては地震月報ですとかカタログといったものを既にCD-ROM等の形で提供できるようにしています。生データを処理したものについては、関係機関等からのデータをいただいていることもあり、現在、国民一般まで即時に提供はしていませんけれども、少なくとも研究する方々には地震の検測値などが翌日には全部お渡しできるような形をとっており、これからも実施していきたいと考えております。

(委員)検測値ではなくて、集まったデータそのものを利用できるような体制も考えていらっしゃいますかとお聞きしたかったんです。

(事務局)8ページ目をお開きいただきたいんです。ここの将来的に望まれる情報という中で、この言葉が適当かどうかわかりませんが、観測データの可視化があります。地震学者だけが理解できる形での検測データだとかそういうものもたくさんあるわけですが、例えば週間地震概況等の提供によって、報道機関だとか公共団体の方、あるいは国民の皆さんから地震の波形だとか、検測値だとか、震源データだとか、いろいろなものがどういう意味を持つかというお問い合わせというか、ご要望がございます。観測データの可視化という言葉でいろいろな意味が含まれるわけですが、これについてぜひ取り組んでいきたいと思っております。

先生がおっしゃっているのは、要するに応用的な情報も大事ではないか、それをちゃんと発表しなさいということではないかと思うのですが、その意味ではこう書いてあるんです。

(委員)私たちの研究所とも関係するのでちょっとお聞きしておきたかったのは、そういう意味ではなくて、こちらがアクセスして、そちらにいろいろ集まった生のデータを、外の研究者とか希望する人が加工していない生のものを使えるような体制もあるんですかと。

(事務局)地震のデータに関してですが、地震調査研究推進本部の中でデータ流通についての考えを今まとめております。防災科学技術研究所、気象庁の役割を整理し、例えば地震波形のデータですと、データベースは防災科学技術研究所に持っていただき、インターネット等でアクセスできるようにするという整理になっていると思います。

そういった中で、基本的な震源等については気象庁が実施するという役割が記述されており、これは今後も続けたいと思います。原波形のデータ等についてまで気象庁が全て提供するという考えはありません。それぞれの関係機関と調整した上での役割に基づいて実施したいと考えます。

(専門委員)先生の意図とは違った方向で、ちょっと関連して。第1ページの「技術革新への挑戦」で小さい字で書いてあるのですけれども、新しいというか、多分積極的な気象庁の意思表示だと思われるのが「診断技術」という言葉だと思うんです。多分通常の意味で解釈すれば、医者の診断というのは今インフォームドコンセントと言って、相手というか、一般国民、行政機関に至るまでどう理解できるかというところまで含めた話だと思います。つまり、ここまで含めた情報という意味でしたら非常に意欲的ではあると思うのですけれども、一体どの程度どういうふうにうまく動いていくかというのはこれからの問題だと思う。

その意味で、多分気象庁としては技術革新へのこれからの挑戦課題だというふうに位置づけておられるのでしょうけれども、防災情報の発信、発するだけでなくて、挑戦するからには、具体的に相手がどう理解するかという踏み込んだところまでいってほしい。その辺の意欲が多分いろいろなところに散りばめられているのだろうと思います。今まで定かに知りませんが、地震とか火山に関しては、ある意味では新しい積極的なご発言ではないかという気がするのですけれども、どうでしょうか。

(事務局)これは、先ほども8ページに診断ということも書きましたし、火山の方にも同じ言葉を使ったかと思いますけれども、そう容易に実現できるとは考えておりません。あちこちの関係機関の調査・研究された成果も踏まえ、また我々みずからも研究して、実現していきたいという意味で、ここにも挑戦という書きぶりにしており、将来的にこれを目指したい。これが10年くらいの間にいけるかどうかは今確信は持てませんけれども、目標にしていきたいということです。

(専門委員)先ほど津波に関してITSUというのがあったのですけれども、地震とか津波とか火山に対しての国際的な情報交換をしていく、WMOに当たるような世界はどういう形になっているのか、僕の不勉強なところがあるので、その辺をちょっと教えていただけませんでしょうか。

(事務局)国際的な連携についてご説明いたします。

WMOのような条約に基づく国際的な協力体制は、地震、津波、火山関係ではございません。参考資料の15ページにも書いてありますように、国際協力の業務としては、先ほど事務局のプレゼンテーションにもありましたITSUという太平洋の津波の情報交換体制。あとは、航空路に火山灰が非常に影響を及ぼしてその運航に支障を来す懸念がありまして、火山活動あるいは火山灰の挙動に関する予測なり情報交換をする体制、これは国際民間航空機関(ICAO)が主体となって、世界に9つの情報センターを設置して、気象庁もその1つの役割を担っているわけです。

あと、地震の情報あるいはデータ交換につきましては、1つはアカデミックなベースとして国際地震センター。これは学会組織ではあるのですけれども、イギリスに本部がありまして、国際地震センターに、各国が地震の読み取り値、先ほど検測値という言い方もしましたけれども、検測値を集めてデータベース化するというやり方で協力をしております。

それから、参考資料の15ページの2番目に書いてあります包括的核実験禁止条約に基づく核実験の監視、これは直接的に地震活動を監視することよりは、むしろ核実験に起因する人工的な爆発現象をモニターしようということで、地震学の技術を使うわけですけれども、少し毛色の違った協力体制で、これについても地震に関する技術を有している気象庁がノウハウあるいはデータの提供を行うというような協力をしてございます。

(専門委員)ありがとうございました。

さらに、参考までにこの際聞きたいんです。気象庁が火山とか津波とかやっているところというのは日本とか、私の理解ではフィリピンにPAGASAというのがあります。あれは違うんですか。いわゆる国レベルで全部それを包括しているのは、日本が珍しいのですか。例えばアメリカだと地震はUSGSとかいう形になりますよね。国際的に気象と地震とか津波とか火山を抱き合わせで全部受け持っているところは、日本がユニークなのか、そういうのは先進国においてはどうなっているのか聞きたいんです。

(事務局)日本が大変ユニークでございまして、例えばアメリカの場合には地質調査所とNOAAは独立機関であります。中国は国家地震局と国家大気局、国家海洋局と3つの組織、今話がありましたフィリピンは気象庁がPAGASAと呼ばれるところ、それから地震関係が別なところ、インドネシアも同じように国防関係が気象で、地震火山研究所は別にある。オーストラリアも別になっている。そういう意味では、1つで空から下まで全部見ているのは、ないわけではないのですが、先進国の中では気象庁がユニークであることは確かであります。唯一お隣の韓国は日本の気象庁と同じ組織でやっています。

(部会長)全般から、地震、津波、火山と申し上げましたけれども、もうその仕切りは取り外しますので、どうぞご自由に。

(専門委員)これまで過去にもお尋ねしたことがあると思うのですが、津波の予測というのは、津波が来るまでに結論を出して、それを被災するであろう地域の人に伝えないと意味がないわけですけれども、観測という方法があるわけです。広い範囲に来る場合には、一番早いところへ、やってきたよという情報は十分役に立つ情報である。そういう意味では、予測の技術をどんどんやっていかれるのは大いに結構だし、ぜひやってもらいたいのですが、実は津波の観測技術もそれに伴って総力を挙げていただきたい。

それも気象庁の持っている観測網をうまく利用するばかりではなくて、いろいろな観測装置を日本沿岸にいろいろな機関が設置しているわけです。後から調べてみると、それが津波のデータを非常によくとらえていたという話をよく聞くのですが、後ではなくて、いち早く、これから襲ってくるであろう地域に役立つ情報として津波の実際の姿を速報する。そういうことに役立てるデータとして観測体制の整備を、まさに国や自治体を挙げての取り組みを、向こう10年というスパンで考えるならばぜひ進めていただきたいと思うんです。

そのことがどこかに書いてあって説明をいただいたのだったらよろしいのですけれども、非常にカラフルな詳細な資料を見る限り、どこにも書いていないというふうに思ったものですから、改めてお願いあるいはご質問したいと思います。

(事務局)資料の9ページの右上に書きましたように、潮位データの集中、あるいは海底津波計等沖合いでのデータの活用も今後もちろんやっていきたいと思っています。現在気象庁は80カ所ぐらいに潮位の観測点、巨大津波の観測施設を持っています。海上保安庁等と潮位データの交換をしています。また、沿岸波浪計によっても津波を検出できることが大分わかってきましたので、こういうものも活用したい。それから、地震調査研究推進本部の関係で科学技術庁が推進しています海底地震計にも津波計を設置しており、このデータも集めるなどして、情報の中で提供している観測結果を充実していくことに引き続き努めたいと考えています。

このほかに新しい技術として、どのくらい使えるかどうかわかりませんけれども、電波を用いたレーダー的な方法もあるのではないかという指摘があり、勉強を開始しています。お金の問題あるいは場所の問題等もいろいろあり、うまく使用できるかどうかわかっていませんけれども、研究してまいりたいと思っております。

(専門委員)9ページの右上の吹き出しの中だとしますと、やはり記述が少ないというか、本気で取り組むつもりがあるのかどうかが明瞭でないということで、ぜひその辺は再検討いただきたいと思います。特に気象庁以外の機関のデータを期待しているのだとはっきり主張しないと、自前のデータだけでやるのではないかというふうに読まれてしまう。そうすると、なかなか協力が得られない部分があるかと思うんです。そこは、裏がとれないで、こっちの片思いであってもいいと思うのですけれども、ぜひそうしていただきたいと思います。

もう1つ、同じような意味で観測が大事だというのは、火山が噴火したという情報が住民から寄せられたような場合でも、そういう情報がありましたという情報をいただくのは大変ありがたいのですが、気象庁として火山が噴火したことを確認したんですかと言うと、いや、今職員が見に行っております、見てこないと確認したとは言えませんと。確かにそのとおりだと思うのですが、何か違う方法で確認する、明らかに科学的にこれは噴火したに間違いないことを確認する。先ほどの衛星でやるとか、何か別の方法もあるかと思うのですが、10年というスパンで考えれば、非常に少ない人手でやっておられる、その人が見えるところまで行かないと確認できないというのではなくて、何かそういう方法も同時に検討していただきたい。

なぜこういうことを言うかといいますと、気象庁は予報をすることが非常に大きな使命のために、予測をすることには非常に人手とお金をかけて一生懸命やられるのですが、事実が現に起きたということは観測という違う分野の仕事になってしまうようなのですけれども、その観測されたこと自体は、実は防災という意味で非常に迅速な情報として役立てなければいけない。そこらの力の配分、ペース配分がちょっと落ちているのではないか。防災機関としてどう役立つ情報を出すかというところでいくと、予報にかけてある力の幾らかを観測、しかも観測された情報を即防災情報として役立てるような工夫にどうもいまいち力の注ぎ方が足りないのではないか。そのように思うので、あえて2つの例を取り上げて申し上げました。

(事務局)初めの津波のデータ、潮位のデータ等につきましては、お話ありましたとおり、気象庁が全部みずからというつもりはありませんので、この辺はしっかりわかるようにしたいと思います。先生がおっしゃるとおりだと思っております。

それから、火山の噴火につきましては、今、遠望観測装置として、赤外を含めた遠望カメラを徐々に整備していますとともに、12ページに示しますような空振計--噴火に伴う気圧の変動をとらえるものを、現在1台から複数の地点に増設し、風との区別、あるいは噴火場所の特定に努めてまいりたいと思っています。

いずれにしましても、カメラの場合ですと、夜ですとか雲があった場合には噴火の把握が非常に難しく、このような技術で対処したいと思いますが、このほかに先生の方で何かお知恵があれば教えていただければと存じます。

(専門委員)私の方の感覚からすれば、気象庁はもちろん気象に関しては予報に力を入れておられますけれども、火山現象みたいなことについては、たしかご説明の中にもあったと思いますが、これまでは単に発生した現象の速報と解説だけ、つまり後追いの情報発信しかしてこなかったという反省めいた言葉があって、むしろそこから診断、フォーキャストまでとてもいきませんが、診断情報を流そうという意欲とむしろ受けとめました。実際に地震とか火山に関しては、明らかに予想というか、予報を出したことはないと思いますし、唯一東海地震は、別に気象庁が出したわけではないですけれども、だれしもが期待している地震というだけであります。そういう意味では、メトロロジーとは大分違って、同じ気象庁でも地震や火山の現象に関しては明らかに後追いの、むしろそれすら十分でなかった、もしかするとそういうことがあるかもしれません。

確かに先生のおっしゃるように、地元住民からの情報を確認するのに手間取る。それは、気象庁のパワーとして全国展開するにも、どうやって確認するかという技術がなかなか先行しないもので難しいのだろうと思います。実際私どもも地元の方の情報に対してどれくらい真実であるかというのを確かめるすべがなくて、現在でも困っておる状況です。逆に言うと、気象庁に一刻も早く確実な情報を確認していただく機能は備えてほしいと思います。

ただ、今の段階は、それだけにとどまるよりは、さらにもう一歩踏み込むというところが今後10年の方向かなと思っております。

(事務局)同じく13ページを見ていただきたいのですが、「火山活動の常時・一元的監視」の下に「関係機関との有機的連携による機動観測強化」がございます。先生など大学との連携はもちろんこれの視野に入っているのですが、もう1つ、近年、県が消防ヘリをお持ちいただいておりまして、幾つかの県から、それを自由に使っていただきたいと。例えば岩手県の場合ですと、消防ヘリが知事のご意向で気象庁の任意のときに飛べるということがございます。もちろん天候による場合もあるわけです。したがって、発見者通報との関係でいけば、私ども地方気象台に指示しておりますのは、有事の際の消防防災ヘリの活用について現在かなりの協議を進めておりますので、先生のおっしゃるような後追いではありますが、もう少し改善のめどがあるのではないかと思っております。

ただ、ヘリコプターから火山の表面現象を確認するのは大変難しいこともございまして、やっぱり機動観測で現地に入らなければならないことが多いというのも事実でございますので、その辺はご理解いただきたいと思います。

(部会長)先ほど火山の問題、その診断の問題が出ましたので、そのついでにちょっとお伺いしておきたいのですが、12ページに「定量的な火山情報の提供」ということで、数年後に火山活動状況をレベル値で発表する。そのレベル値は5段階ぐらいを考えているというようなお話でしたが、このレベルというのは、活動の活発さというか、発生から終息に至るまでのライフサイクルのステージを意味するのか、噴火の規模のようなものを考えていらっしゃるのか、どういうことなのか。

それから、これも先ほど専門委員のおっしゃった診断の1つの重要な部分ではないだろうかと思うのですが、将来予測をするためには正確な診断はどうしても必要なので、そのためにも診断の的確さというか、精度を高めていかなければいけない。それの一環で、レベルを分けて発表するというのはそういう意味だろうと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えなのでしょうか。

(事務局)レベルにつきましては、これを発表したとして、特に地方自治体、関係する市町村の防災対応と有機的な連携がなければいけないと考えています。各山により噴火の規模等もいろいろありますが、危険度に結びつく情報にしたいと考えています。山によって、例えば現在の桜島のようにほとんど毎年噴火していて防災体制等非常にしっかりしているところと、岩手山で噴火した場合には同規模の噴火でも違った意味があるだろうと思います。いずれにしても、それぞれの火山の周辺を含めた危険度、すなわち防災対応に直結するようなものを考えています。

例えば11ページに示した活動レベル4については、緊急火山情報すなわち人の生命及び身体に影響があるレベルに活動が上がったときと考えています。活動レベル3については、噴火が発生した、あるいは噴火のおそれがあるけれども、まだ生命、身体に影響はないレベルということで、現在検討しています。

(部会長)レベルについてはそういうことで、つまり、必ずしも火山活動の自然科学的といいますか、そういう面だけからのレベルではなくて、その周辺の社会にどういう強さの影響を及ぼすかということも考慮された意味でのレベルであると。

(事務局)具体的に例えば桜島、伊豆大島、あるいは浅間山でどういった活動状態のときにどういうレベルにするのが適当かということについて、あるいは数字で例えば5のとき、4のときに、地元の市町村がどういう対応をとるか、活動状態と防災対応が1対1でいいのかについて地元の市町村と現在相談しているところです。それによって変わることもあるかと思いますが、原則的にはレベルは被災のおそれがあるかの危険度を示すというふうに考えています。

(専門委員)先ほどのお話に戻っていくような感じですが、いろいろ観測体制とかという話をするときに、これから10年を考えるときに、私は画期的な変化が出てくるんじゃないかという感じがするのです。その1つは、例えば今、桜島の噴火情報を毎日ドコモのこれ(携帯電話)に出している人がいらっしゃるわけです。コメントも親切に出している。この方は発作的にやっているわけではなくて、非常にコンスタントにおやりになっているわけです。

関係機関という言葉で、結局個人がまだその中に入っていないんです。でも、昔だったらアナログのデータを電話で送ろうとしたらAD変換してどうのと大げさな話になるんですが、今やそれはデジタルで簡単に送れることになります。それから、インターネットをみんなが持つようになってくると、自分で震度を感じたとなると、それも気象庁のEメールアドレスにばんばん投げてくることもある。ですから、ある意味では、観測の考え方とか情報のシェアの仕方が、いつまでも機関というと、大学が出てきて、市町村が出てきてということなんですけれども、SOHOの時代、1人1人が情報発信できるような時代には、それなりの体制を気象庁がある意味でつくっていくと、それに喜んで入ってくるボランティアの世界も決して無視できない。

特に学生で火山だとかそういうことを勉強している人間たちは、当然自分はいっぱしの観測人であるという感覚を持っているんじゃないかと思うんです。例えば昔、中国が井戸の水位を見て地震予知をということで、1回それが当たった。また次をみんなでやったら今度は外れてしまったというのがありましたけれども、まだ技術が研究段階であれば、むしろみんなでやっていこうじゃないか。それがあくまでも政府とか、市町村だとか、公なとこが常にくっついていないとだめだというふうに考えるよりも、私は、個人レベルの情報も積極的に取り込んでいくんだ、そういうテクノロジーがあるんだ、通信ネットワークもあるんだ、こんな踏み込み方があると、その中からいろいろ別な発見が出てきて、もう既に桜島の例などでは具体的にそういうことが始まっているのではないかという感じがするんです。

この辺の個人情報をどの程度考えるスタンスなのかというのもお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

(事務局)発見者通報制度は現実に気象庁で持っていまして、一般市民から、あるいは地元の警察だとかそういう方が地元住民から受け取った情報は気象庁に来る仕組みになってございます。東海地震の例で申しますと、静岡県が宏観現象の観測について非常に積極的でございまして、私どもは静岡県と協議をいたしまして、静岡県民による宏観現象の情報については判定会に集約するというメカニズムをつくってございます。

したがって、先生がおっしゃったように、いわゆる宏観現象に関する一般市民の声については無視しない。ただ、大変大切なことは、評価をしないと、科学的なものとエモーショナルなものと混在することが多うございますので、一定の評価が大変重要でございます。ただ、門前払いはしないというのが気象庁の基本的なスタンスでございまして、各地方気象台その他では、発見者通報については必ず受け取って、それを調べることにしてございます。

ですから、インターネットとかそういうことで宏観現象ボックスみたいなものを設けるかどうかについてはこれからの課題とさせていただきますが、少なくとも東海地震については大変重要な地域でございますので、宏観現象については極めて神経を使っているというのが気象庁のスタンスでございます。

(専門委員)エンカレッジというか、チャレンジという言葉があったと思うんです。チャレンジはむしろ個人にまで向かっていく。ですから、協力の中に気象庁、国土庁、大学ときて、個人と書いてあったら、それは本当のチャレンジじゃないか。そこまでいってしまおうよと、それってかっ飛んでいますでしょうか。

(事務局)ご提言は検討させていただきます。(笑)

(委員)書き方ですが、8ページに書いてあります「地震・地殻活動に関する情報の改善」で、確かに右側の箱の中の現象は地震・地殻活動に関する現象ですが、地震活動というよりは、もしかしたら火山地域で火山の予測、火山の方に含まれる例題ではないでしょうか。

(事務局)右側に書いてあるのは伊豆東部のことでございますが、部内でも、火山性に起因するものだからできる可能性はあると。地震、火山と整理をせずに、とりあえずこのケースでいいますと、ひずみ計でとらえた地殻のひずみが群発地震につながるというのは調査委員会等でも気象庁の見解を述べておりますので、冒頭に申し上げましたように、こういうケースが日本あまねく全部に当てはまるのではなくて、少なくとも例えば伊豆だとか、わかっているところについてはなるべく早く情報を出していきたい。そういう方向につながっていく可能性は非常に高いということで、この例では伊豆東部ですから火山と密接なリンケージのあるものですが、とりあえず地震・地殻活動という定義でこれは使わせていただいた、こういう整理をしてございます。

学問的に言うと、地震・地殻でなくて、火山ではないかというご指摘が当てはまることは承知をしてございます。

(専門委員)大学の方がむしろそれはおくれていて、気象庁のみが地震火山課といって地震と火山を1つにしているんです。例えば8ページの伊豆東部の例は、予知連の見解は、地表に物が出てきたら火山だというだけの全く学問的でない分け方でやっているだけで、多分気象庁としては群発地震と火山活動。逆に言うと、岩手山は、そういう意味では地表に物が出てきているのはちょっとした噴気だけなので、まだ火山ではなくて、あれは地震だと言ってもいいぐらい。一連の群発地震活動みたいなものは、火山と同じように活動の推移をどう予測するかということが一番大きな問題になる。いわゆる主震型の地震だと、本当にぼんと来て、むしろ後は余震をどう予測するかぐらいで、主震に対してどう予測できるかというのは非常に困難だという話になっているのだろうと思うんです。そういうふうに分けて考えていただければいいかと勝手に思っていて、気象庁の方が少し先に行っているかなと私は思っていました。

(委員)いや、そういうようなまとめ方ならきっとそうなのだと思うんです。例えば火山を別に書いてあるので、そこのところが一緒だったらそれでいいと私は思うけれども、12ページに、火山はまだ難しいみたいなことが書いてあったので、この山体何とかはまさに8ページのあの例ではないかと思いました。地震と火山を一緒に取り扱うことは非常にいいことだと思うのですが、この記述は別々になっているのでどうかなと思って。

(専門委員)それは全くそのとおりですね。

(事務局)ご指摘を踏まえて整理させていただきます。

(委員)もう1つ細かいことですが、12ページの今の右の箱のブルーの中に3つ、GPS、地震、地磁気とあります。このGPSというのは国土地理院のGPSを主体として書かれていらっしゃるのですか。というのは、先ほどの伊豆半島のところにしろ、御前崎のところにしろ、気象庁のひずみ計は非常に重要な観測の一つです。GPSが地殻変動の代表として確かに今はすごいけれども、気象庁がお書きになるなら、ひずみ計からの情報はかなり重要な情報だから、ひずみ計と書かないのは何故ですかという質問なんです。

(事務局)火山に関しまして、ここにGPSと書いたのは、もちろん国土地理院が全国に1000カ所以上も展開しているものも期待しておりますし、例えば近い将来噴火すると予想されています三宅島のようなところについては近く我々は展開したいと思っています。将来的には火山を観測するための手段として、地殻変動を観測する、山体の膨張等を観測するには非常に有効だと思っていますので、全部気象庁がやるつもりはございませんけれども、気象庁もその一部を担っていきたい。

ひずみ計につきましては、お金がかかる点があり、傾斜計の設置などを今まで実施してきています。大学等の研究機関も整備していますので、そういうデータを活用させていただいています。ただし地殻変動観測について代表的にGPSと書きましたが、将来的にはGPSは相当有効ではないかと思っています。

(事務局)この中に置いているのは、気象庁が機動観測等でやるための詳細な地殻変動の把握でございますから、これは気象庁のGPSと考えていただいていいのですが、先生のご指摘の地殻変動の観測装置、要するにひずみ計については、対費用効果、それから気象庁の財政の事情からいって、気象庁みずからがそれをすべての山あるいは機動観測等で展開するという予定は今のところございません。これは大学関係機関との連携のもとでやりたいという整理をしてございます。

(専門委員)火山に興味を持っている者として、この審議会でどこまで言ったからいいかよくわからないのですけれども、一般的には気象庁に一刻も早く、日本には火山がたくさんありまして、個々の火山の観測体制というか、常時観測体制は非常にきちんと整備していただきたい。そうしないと、大学はある意味でやりたいところしかやらないというような感じですけれども、業務的なところできちんとそれを押さえるためには、10年かかってどこまでやっていくかということをどこかにきちっと書いておいてほしいと本当に思うんです。

そうすれば、どの程度の火山がカバーできるか。今例えば山腹に地震計を1点だけ置いて監視している火山が幾つかある。それをどういうふうにふやしていくとか、どういうふうにしたらそういう整備が進んでいくのかということが見えるような報告が欲しいという気がしたんです。それは具体的に書きにくいのでしょうか。

(事務局)これは火山噴火予知連の予知計画、参考資料の14ページにございます。ここに書いてございますように、今後、火山噴火予知計画の実現に向けて気象庁の役割として、今の先生のご意見にありますように、これと13ページを見ていただきたいのですが、少なくとも地域火山監視センター機能で24時間大学との連携、つまり計測システムがあるところについては、もしも大学の先生方のお許しを得れば、気象庁が私どもの責務として24時間見る体制をしく必要があるだろうという理解をしてございます。

その上で、火山というのは非常に長いスパンであるものですから、活動レベルがゼロから噴火するまで、いわゆる活火山と称するところすべてに地震計を置くというのも昨今の予算事情から大変問題があるので、機動観測だとか、あるいは火山の診断技術、例えばリモートセンシングを活用するだとか、そういう方向で観測技術の安価で高度な体制、システムについては大学に対して私どもは大変期待しているところでございます。

当面の10年間でやるべきことは、第6次火山噴火予知計画の気象庁の役割をきちっと引き受ける機能、つまり、地域火山センター機能の整備がまず必要で、現実的な対応ではなかろうかと考えているところであります。

先生のおっしゃるようなことは今後の課題として、答申の中にご意見としていただければ、当然それに向かっての対応はさせていただく必要があるのではないかと思っておりますので、今後答申を具体化するところでもう1度ご意見をいただければと思っております。

(専門委員)済みません。これはちょっとサクラ的な発言だったので申しわけないのですけれども、先ほどからリモートセンシングの活用とかおっしゃっていられて、世界ではボルケーノモニタリングというシステム、衛星を使ってどうのこうのというのも進んでおりまして、多分そういうことがきちんと盛り込まれるとは思っております。つまり、噴火の活動に対してどれだけ確かにするかというところは、やっぱり気象庁が最終的にきちんとするところが一番重要なのかなと。

(部会長)気象の定常的な観測、モニタリングというのは圧倒的に気象庁に依存しているわけですが、地震とか火山になりますと、気象庁もやっておりますけれども、同時に大学、研究機関等がかなり定常的な観測網を展開されて、それを維持されているということがあります。これは大分以前ですか、先生ともご一緒に大学の外部評価等で、大学の持っているたくさんの小さい観測施設等をどういうふうにしていくか。大学等でもかなり深刻な問題になっておりますし、今のオールジャパン、日本全体の体制でこういう観測網を考えた場合に、それぞれ別々に独立してというよりは、統合的に、統一的にそういう管理運営を将来考えていかなきゃいけないのではないかという気がするんです。

しかし、組織が違いますと大変難しい問題があるので、今おっしゃったようなことで、例えば火山は1つのいい例かと思うんです。日本には非常にたくさんの火山があるわけですが、気象庁はそのかなりの部分を定常的に監視している。しかし、決してすべてではなくて、かなりたくさんの部分が空白地域として残っている。一方、ある特定のものについては大学、研究機関等でかなり精密な観測を維持されている。今後それらをどういうふうに仕分け、一番効率よく、能率よく、調査研究のためにも、また定常的な業務のためにも有効にそれらが使えるようなあるべき姿というか、望ましい姿は、いずれこういうところでも考えていかなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょう。今回の取り扱いでは少し難しいかと思いますが、将来そういうことは考えていただきたいと思っているんです。

(事務局)観測データの共有については、ぜひ我々としてはお願いしたい。現在観測している火山については参考資料の9ページに気象庁が対象としている山、あるいは国立大学等の研究機関が対象としている火山を書いてあります。現在、全国に86活火山があり、そのうち、北方四島に10、海底火山が10ありますので、実質的な対象火山は66です。現在、気象庁が地震計等を恒常的に設置している山は20です。そのほか大学等を含めて今40山程度に地震計などの施設が設置されています。

このほかに、例えば東京都であるとか岩手県が観測施設を置いている山もありますし、建設省等でも砂防のために観測施設を持っている。そういったものを含めて、ぜひデータを共有することを気象庁としては進めてまいりたい。そのために、地震のような推進本部はありませんが、火山噴火予知連絡会がありますので、その場でぜひ提言させていただきたいと思っています。

(部会長)大変素人的な意見なのですが、一般に地震の予知は困難であるという考え方に基づいてこういう考え方が出されているわけです。予測が困難だとはいうものの、ただ東海地震については特別扱いしているわけですね。そして、東海地震についてはかなり詳しく、7ページに東海地震予知の確度向上と。これは、他の地震に比べてここの調査研究が大変進んでいることとか、あるいは地震発生のメカニズムを考えても予測可能性の比較的高いこと、また、もし地震が起こった場合に予想される被害の重大さとか、国家的見地から見た被害の大きさ等を勘案して特別扱いしていると思うんです。

当面となっているのですが、もう既にこういうことがやられてから相当な年月を経ておりますし、その間東海以外のところで大きな地震が次から次へと起こっているわけで、一体いつまでこれだけを特別扱いするのかなという素人の懸念ですけれども、そういうことを感ずるのですが、いかがでしょう。

(事務局) これは何とも難しいのですが、測地学審議会の地震予知のための新たな観測計画で、地震予知という言葉がそこから落とされた経緯もございます。参考資料の13ページをごらんいただきたいのですが、この「地震発生に至る地殻活動の解明」「地殻活動モニタリングシステムの高度化」の中で、東海地域については特定域地殻活動モニタリングシステムをつくるべきだ。つまり、活動の切迫度が非常に高いと地殻活動の面から認定されておりまして、観測施設が豊富であり、ある程度モデル化された発生過程であるということで、これについては、予知できないこともあるけれども、予知できる可能性が非常に高い、こういう表現になっているわけです。

ほかの地域については、今後、全体的に地殻活動のモニタリングというか、グレード分けというか、どういう発生過程、準備段階なのかどうか、まずそれの総合診断をすべしというのが新しい測地学審議会の建議でございます。部会長のおっしゃっているようなほかと東海の違いは、唯一ここについてはひずみがかなりたまっている可能性が高いという知見が得られた上で、かつ、観測網が密であるということで、必ずしも東海がすべて100%予知できるところであるというふうに地震学の方では想定していない。

行政的に見れば、東海地震対策特別措置法がございますから、気象庁としては、こういうモニタリングの成果によって地殻変動の前兆現象があらわれた場合、直ちにそれが地震現象に結びつくかどうかの診断をしていくための解析手法の高度化は従来以上に力を入れなければいけないことになってございます。したがって、これだけ特別で、ほかはだめと言われても、地震学のレベルがどうもそういうことでございますので、そういう意味で私ども気象庁といたしましては、予知に頼るのみならず、診断あるいは発震直後の情報の充実で当面行政的に対応することとしたいというふうに整理はしてございます。

本当に予知できればいいと思うんですが、これは両先生に少し補足をお願いしたいと思います。

(専門委員)これは予知のレベル以来、現山本予報部長とは建議の場でいろいろ意見交換したことなのですけれども、大学人の立場として、世界的に見て、東海地域はいわゆるプレート境界地震、起こるとすればプレートの境界が地震断層面になる。そのプレート境界地震の想定される地震断層面は環太平洋全部ありますけれども、その中でこの地域は特に断層の直上が陸上にある。海底と陸上で今精度の質が違うような観測技術になっていまして、そういう意味では僕らから見ても、東海地域のあそこの地震断層面でもし地震が起こるとすれば、陸上でこれ以上ないぐらいの持続性のある観測を続けていて予測できなければ、ほかの地震なんか絶対予測できない。なかなか発言が際どいところまでいってしまいますけれども、そういう意識があります。

もう1つは、東海からちょっと外れますけれども、南海道から東海まで含めて、この地域は世界的に見ても繰り返し地震の記録が一番きちんとしているところで、ある意味でトップレベルのデータが期待できる。それに20年ぐらい前から国の予算を集中的に投入して観測ができた。満遍なく展開するのと全く逆の方向で、ある意味でトップレベルのデータが蓄積されてきているところ、そういう認識です。

ここからこの審議会の場とはちょっと違う発言になりますけれども、学問的にも、ここをある意味でテストフィールドとして前兆的、余兆的滑りみたいなものが発見できるとしたらここしかないというか、今のところ南海道ではまだ海の中で、多分観測点の精度からいってとても期待できるほどではないということもありまして、そういう意味で注目される。大震法と通称言っている、具体的には別に東海地域と言っているわけではないのですけれども、だれが見ても、東海地域に集中的にやれば何かもう少しきちんとしたデータというか、つかまる可能性が一番高いという意味で特別視していいのではないか。そういうところが多分測地学審議会のときのネゴシエートの一番落としどころになって、そこの点だったらどなたでも納得いただける認識になるのだろうと思ったわけです。

気象庁ばかりでなく、国の機関の相当なところが東海地域に係る観測に関しては非常に集中するとか、頭をそちらに向けていろいろモデルをつくり、試行錯誤を繰り返している。そういう意味で最も進んだテストフィールドと言うと語弊があるかもしれませんけれども、そういう地域になっている。それを継続的にできるのは、とても大学みたいなところではなくて、やっぱり気象庁とか別の官庁、きちんとした組織として観測を継続するところが一番質の高いデータを出す任務を負っているのではないか。そういう認識で、したがって特別視していると思われるかもしれませんけれども、確かに特別視しているのだろうと思います。

(委員)今、ほとんどおっしゃったので、そのとおりなのですが、1つだけおっしゃらなかったことがあります。ここでもしかしたら測れるかもしれないと思われているのは、1944年の東南海地震のときにどうかは東海地域で前兆的な地殻変動が観測されています。それが本当にそうだったのかどうかは少し議論もあるのですが、そういうことがありましたので、もしかしたらここではそういう前兆的な滑りがあってその後本当の破壊になるような現象が起きるのではないかという推測もここに観測を集中する理由の1つなんです。

これは私の誤解かもしれないのですが、7ページの「解析手法の高度化」に箱が2つありまして、右側に「前兆すべりに対するモデル予測値と観測値の比較」と書いてあります。前兆滑りが非常に前にあるならわかるけれども、これは、起きてしまわないと前兆滑りかどうかわからないか、です。これが実際に起きた時点では本当に直ぐに地震になってしまうのではないかと思うのです。これはどういう意味でお書きになったのか、お聞きしたいんです。

何となく意味はわかるのですが、よく考えるとすっきりしないと思うのがこの下の書きぶり、「モデル予測値と観測値の比較」です。実際に地震が起きたときに後でこれが前兆滑りだったとわかるのが一般的ですが、ここではすごく大きな変動があったときに前測値と比較して、これから地震になるというのを事前に予測するためにこういうことをするという意図なのでしょうか。

(事務局)これは、毎月、判定委員打合会で学識経験者の皆さんと検討をしてきた成果の1つで、前兆的に断層面の一部が滑り出すと、気象庁の体積ひずみ計、あるいは防災科学技術研究所でいうと傾斜計の、どの辺の範囲にどのぐらいの信号があらわれるだろうか、逆に観測したデータから、それをもってどの辺が滑り始めているだろうか、あるいはそれが検知できるだろうかということをここ数年かけて検討いたしまして、それに基づいて、こういう形で変化があらわれたらそういうことを探り出して、スリップのモデルで地震発生までにどのぐらい余裕があるかを検討しようということで、過去の検討結果をもとにこのポンチ絵ができたということでございます。

(事務局)確かに先生のおっしゃるように、この言葉ですと誤解を招きますので、これは訂正いたします。

(専門委員)参考のためにお伺いしたいのですけれども、防災情報というのは割と受ける人の生活の行動とかを厳しく規制する性格のもので、気象庁で過去にそれで例えば訴訟を起こされたとか損害賠償を求められたとか、そういうことはあるのでしょうか。

(事務局)青森県の岩木山だったと思いますが、そこで集中豪雨があって住民の方がお亡くなりになったのですが、気象庁と農水省、建設省が訴訟の対象になったことはございます。そのほか関連として、主として集中豪雨について、直接的には訴訟の対象ではないのですが、情報のあり方について司法の場で問われたケースは幾つかございます。地震、火山関係では今のところ私の記憶ではございません。

(専門委員)向こう10年ということなので、日本がアメリカのように訴訟国家になる可能性があるかどうかわかりませんけれども、例えば我々は民間ですので、割と情報を受ける立場の人と対峙しているわけです。何か情報があって、おまえ、本当にそうなんだな、もし違ったら責任とれと年じゅう言われていて、多分同じような苦情電話も気象庁へよく入ると思うんです。そういうことは、気象業務法という法律なのかどうか知らないですけれども、将来的に向こう10年で理論武装しておくすべというか、そういうのは何かあるんですか。

(事務局)損害賠償について細かく法律的に私も検討したわけではないのですが、一般的には、天気予報を信じたために損してしまった、弁償しろ、こういうふうな苦情電話がかかることはあるんです。そこを法制度的に位置づけることも可能かもしれませんが、そうした場合にはその原資をどうするかということになってくるわけです。それに相当な金がかかりますから、気象庁は独自にお金を稼いでいるわけではございませんから、税金でやっているわけです。そうすると、その税金のふだんからの負担をたくさんしてもらう、そのかわり被害が起こったときに補償するという制度は考えられないことはないかもしれません。

ただ、私などはいつも言っているのですけれども、災害については国に一般的に防災責任があるでしょうから、過去の判例でも、当然講じられるそのときの最大限の防災的な措置をとらなかったときには、国に不作為の責任があるということで国家賠償が認められることはあるかもしれませんが、通常そのときに考えられる最大限の防災措置をとっているとすれば、それ以上の災害が起こったときには国に責任はないというふうな判例に一般的になっていると思うんです。

それ以外の天気予報については、いわば損失をこうむる人が特定化されているわけですから、その特定の損失をみんなでカバーする必要があるかどうかということになってくるのだと思うんです。もしそうだとすると、それでは、特定の者が得したときにはみんなに返してもらわなくてはならないことにもなるのだと思うんです。損したときには補償してくださいね、得したときには上げませんという理屈は多分成り立たないのだろうということがあって、多分そこは訴訟になっても大丈夫かなという感じはしているんです。

ただ、防災については、やはり国に一般的に災害を防止するという責務があるでしょうから、その責務を適切に果たしていないということであるとすれば国家賠償の対象にはなり得ると思います。それが災害情報についてまで、どこまでどう入るかについては、判例がないものですから、判例の蓄積によることになるのではないかと思います。

(専門委員)どちらかというと、逆にそういうことを気にして気象庁側の情報が遅くなったとか、ちょっと二の足を踏むのは全く無意味なものですから、そういうことで何かいい方法があれば、向こう10年の中で何か対策を打っておいた方がいいのかなとお伺いしたのです。

逆に民間の気象会社はそういうのはないんですか。

(専門委員)民間の気象会社は非常に単純でございまして、日本人の場合は、神のなせるわざと一々言わなくても、長い間、2000年以上みんな一緒に仲よく暮らしてきたわけですから理解できるんですね。ところが、外国との契約では全部exemptionclauseをつくっていまして、act of God、神のなせるわざであって、決して人間わざではございません、我々のコントロールをはるかに超えているものだ、したがって全部免責でございますときちっと入れています。

例のISO9000幾つをとるとか、同じスタンスで、やるべきことはやっておくけれども、しょせんは100%科学ではない。まだわざの世界もあるのだということを必ず契約書の中に入れます。ないと、相手がどこの人かわかりませんので、日本人だったらばお互いにそういうことを言わないでなんていう話になるかもしれませんが、外国の場合はそういうのが全然通用しないことがありますので、これはきちっと書いておきます。

ご参考になるかどうか、実際我々、1980年のダービーシャイアーという船に対してサービスをしていまして、この船が台風に巻き込まれてたくさんの人が亡くなるのです。これに対して我々がどういうふうにしたらいいかアドバイスもしているのですけれども、我々の当時の情報伝達は、今みたいに海事衛星を使ってバーンといくわけじゃない、モールス信号なんです。ですから、どんなに正確な情報があっても、それを伝達する時間とか、そういうことから考えて免責の範囲は相当あるんです。でも、やっぱり念には念を入れてそういうことを書くということを民間ではやっています。

気象庁が国民1人1人に対してそんなことをやれるわけないですから、一般的にはオフィシャルな見解を気象庁が出している。そのオフィシャルな見解に基づいて国民は一番基本的な防災対策をとっている、こういう理解のもとで仕事は進めているのだと思います。

(事務局)先生は、気象庁が防災情報を出すときにちゅうちょすることがあるかというご趣旨だと思いますが、私どもは空振りと見逃しと2つの結果があるんです。原則として、見逃しはあってはならない、空振りがあることを恐れるなということで行っております。そういう意味で、免責を意識したようなアクションは現場においてはとっていないと我々は理解しております。

(専門委員)計7-2の5ページと6ページ、ご説明に多分関連してあったのだろうと思うんですが、ナウキャスト地震情報は最終的に面的震度分布情報と結びつかないと意味がないという気がしたのだけれども、そうではないんですか。それは5年以内にはできない……。

(事務局)ナウキャストの地震情報と面的な震度分布とは違います。ナウキャストの地震情報の場合、これをどう生かすかについてはこれからも非常に大きい課題があると思っております。例えばどこかで大きい地震が起きたとしたとき、影響する範囲は広いわけですから、細かい情報を伝達し時間がかかっては意味がないわけでして、震源と規模が特定できれば、自分のところでどうなるかは自分のところの震度などは自分のところで処理するシステムも考えなければいけないと思っております。

(専門委員)でも、多分この図を見ると、受ける側としては、実際は何秒後にどれだけ揺れるかという情報が一番欲しいわけですね。そこまでいかないとナウキャストというのは意味がないのだと思うけれども、どこまで5年後にやるか。

(事務局)まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、私がどれだけ揺れるかが問題で、点源に対してネットワークで見ていかなければいけない。この辺についての情報をどのように加工して、だれにどのように伝えるかというのがシステムを考える上で非常に重要でございまして、ナウキャスト地震情報について気象審議会からご指摘をいただいた上で、早急にテストプラン的なものを--ある程度私どもで想定している機関がございまして、そういうところとこの審議会の答申と相まって、テストサイトを設定して、実運用環境でとりあえず実験フィールドみたいなものをつくっていくのを5~6年の間にやらないといけないのではないかと考えているところであります。

(専門委員)かっ飛んだ質問になってしまうかもしれないのですけれども、アメダスにかわるユレダスみたいなものの最小限の観測ユニットは、金銭的に言うとどのぐらいの金額で設置可能かどうか、何かラフなあれはありますか。

(事務局)ナウキャスト地震情報の提供システムということで、海底地震計の展開を含めて、このコンピューターシステム全体を含め非常に高額なものです。当面、首都圏だとか重要な地域に絞り込めばコストパフォーマンスのいいものになる、こういう見込みになってございます。

(専門委員)もっとぶちあけたら、そんな大規模でなくて、それこそ自分の家でどのぐらいの震度があったかを観測するという小さな規模もあると思うんです。新しく建設する家に必ずそういうものをつける。それがインターネットで全部とれるような時代は、観測データを含めて、地上の観測、地象現象と気象現象を全部データ的に取り込むのは大した金がかからないのではないか。先ほどのお話ですと、情報解像度が地震の場合だと1㎞とかそのぐらいという話だったので、1㎞に1人ぐらい自分が家を建てるときにそのようなものを入れて、そういう情報をシェアすることになると莫大な観測網になる。しかし、家を建てるときにそれをやれば大した金にならない。

そういう知恵が21世紀の知恵ではないかと思うので、さっきからずうっと私がこだわるのは、次の話にもなるのかもしれませんけれども、個人とか個の単位の観測とか、そういうようなものは我々が昔考えていたこととは違った意味合いがもう出てきているのではないか。そこに目を向けておく。そして、そういう莫大なマーケットがあるのであれば、もっとコストダウンしてつくれるぞというところにいく。私はオプティミスティック過ぎるのかもしれないですけれども、地震とかそういうものに対する科学的な無知からの解放を国民レベルでやって、みんなで情報を本当にシェアしていく。そんなところに草の根の答えがありそうだなと。そういう視点を、個というか、SOHOというか、小さな人は実は偉くて力があるのだという見方もぜひ答申の中に入れてもらいたいという感じがするんです。

(部会長)ありがとうございました。

それでは、一応全般にわたって多方面から貴重なご意見をたくさん賜りましたので、今後答申を作成する段階でそういうご意見を反映させていきたいと思っております。地震、津波、火山に関する課題の検討はここで打ち切らせていただきます。

それでは、第3番目の議題、21号答申の構成とポイントについて、事務局から簡単にご説明いただけますか。

(事務局)資料計7-3に基づきましてご説明いたします。この資料は、今まで審議会でいろいろご議論いただきましたものの中の主要な論点、項目となりますものをリストアップしましてまとめた、たたき台でございます。これにつけ加えるべきもの、あるいはここから外した方がいいもの、そういうことをご議論いただきたいと思って用意したものでございます。

それから、本日議題にいたしました地震、火山、津波関係のものはまだこの資料には含まれておりませんので、本日の議論に基づきまして早急にまとめたいと思っております。

〔 ス ラ イ ド 〕

まず「21世紀における気象業務のあり方について 構成及びポイント」で全体の構成という考え方が1ページにあります。3つにとりあえずまとめさせていただきました。

1つ目の「内外の諸情勢と気象庁が行うべき気象業務」については、全般的に21世紀初頭にどういう方向性の周囲の環境があって、また、気象庁は国としてどういう気象業務をやるべきか、こういうことをまとめたものでございます。

2番目の「気象庁が戦略的・計画的に取り組むべき中長期的重要課題」は、気象業務といいますのは当然民間も含めてございますけれども、このうち、気象庁がどういうふうに重点化していくべきものか、いわゆる答申の目玉となるようなものをここにまとめる必要があろうと考えております。

3つ目の「官民が協力した総合的な気象情報サービスの実現」については、気象業務の中には当然民間もございますので、いろいろ主体的な動きも含めて総合的にどういうふうに国民の皆様に気象情報サービスを効果的にしていくのか、こういうものを考えております。

次のページが内外の諸情勢です。気象業務を取り巻く内外の諸情勢をキーワードとしてリストアップしたものが大まかに4点ございます。1つは「防災対策・危機管理体制の構築」です。これは気象業務法の目的にも書かれておりますように、気象庁が国として行うべき非常に重要な課題が防災対策でございます。自然災害は、戦後すぐのころのような施設整備がなかったときに比べて減少している部分もございますけれども、現在なおいろいろ自然災害の態様も変わりまして、続発して、またその内容も多様化しております。それから、関係防災機関等も危機管理体制が強化されて、情報通信基盤も発達しておりますので、ここに向けて今後新しい防災気象情報をどう充実していくのか、内容を高めていくのかという要請がございます。

2番目の「国民生活・社会経済活動に密着する気象情報」については、気象情報の利用、これは一般向けの気象予報の開放などを含めてどんどん拡大しておりまして、民間気象業務への期待が高まっております。また、今後の課題として、さらに規制緩和をする、あるいは気象庁が適切に支援をすることが求められております。

3つ目の「地球環境問題の現状と課題」については、地球温暖化あるいはオゾン等も含めまして地球環境問題が深刻化しております。また、世界的な異常気象、これは干ばつとか少雨、高温、あるいは最近のように低温、いろいろな異常気象が起こったことによって世界的な対策が必要となっております。先ほどの地球環境問題につきましても、それから異常気象の予測などの面につきましても科学的な解明が不十分でございまして、その予測に向けた科学的知見及び技術基盤の確立、情報の公開などが求められているということがございます。

それから「地球科学・情報通信等における技術革新」、これは議論の中でたびたび出てまいりましたけれども、1つは、地球科学の面におきましては数値予報等のシミュレーション技術が高度化している。あるいは、地球観測衛星に見られるような新たなリモートセンシングなどの技術も高度化している。その一方、社会一般におきましては情報通信技術が非常に発達しておりまして、さらには放送と通信の融合、放送のデジタル化なども展望されていることになります。

次の4ページに書いてあります「気象庁が行うべき気象業務」、これは、中央省庁改革の考え方に従って、気象庁が国として提供すべき気象業務については既に中間報告で報告をいただきましたので、再度掲載してございます。

次のページです。2番目の課題であります「気象庁が戦略的・計画的に取り組むべき中長期的重要課題」の中では、大きく分けて4つの項目を考えております。1つは、個別分野として、これは3回の部会においてご審議いただきました気象観測・予報業務と地震・津波・火山業務、気候・地球環境業務の3つの分野における重要課題、実現方策をここで取りまとめる必要がある。この順序につきましては特段意図はございませんが、答申の仕上がりの中でまた順序を適切に決めていただきたいと考えております。

次に、これらの重要課題を行うに当たって、気象業務は継続的な事業でございますので、技術基盤を確立していく。観測網などが1つの例でございます。

さらに技術の高度化をするための開発体制の強化が1つのキーポイントになっているというのが2番目の課題です。

3つ目が、気象庁の情報が適切に活用されることが重要でございまして、そのために防災関係機関との連携、協力が非常に重要なキーポイントになっております。

最後に、気象業務における国際協力は、大気の場合も地面の場合もありますけれども、さまざまな国際協力を通じて連携することが国際的な貢献となりますと同時に、日本にとりましても非常に有益なこととなるということでございます。

気象観測・予報業務につきましては、前回のご議論の中から、中長期的目標としては、局地的な気象観測網の充実、局地的数値予報モデルの開発に基づきまして防災気象情報を高度化するという一般的な目標に重点化すべきではないかという考え方がございます。

その実現方策ですが、そのためにはやはり技術基盤が重要でございまして、気象観測網の構築、リモートセンシング技術の活用、数値予報技術の開発。

こういう技術基盤を強化しまして、2番目のドットに書いてあります防災気象情報の高度化としては、いつ、どこで、何が、どの程度起こるのかをわかりやすく防災機関並びに国民に対してお知らせすることが重要であります。そのためのきめ細かな防災気象情報を発表していくという考え方でございます。

3つ目のドットは、民間気象業務の発展にも関係しておりますけれども、天気予報をさらに高度化して民間活力を生かしていくということがございます。

最後のドットは、交通関係の気象情報の充実、特に航空関係におきましては、大気乱流などの新たな情報を的確に出していく、あるいは船舶関係においては多様な船舶向けの情報を精度よく出していくことが求められております。

その次、地震・津波・火山業務は、本日の議論が終わっておりませんので、ここではまだつくっておりませんけれども、本日の議論に基づいた何かサマリーが出るものと思います。これはご議論いただきたいと思います。

気候・地球環境業務につきまして、中長期的な目標としては2つございます。1つは、1年先までの気候予報を実現する、あるいは、1年先に至らない6カ月先についても精度の高い季節予報を発表することが大きな課題になっております。

2つ目の地球環境にかかわる信頼性の高い情報提供としては、地球規模の観測、あるいは温暖化の情報、いろいろなものが必要となっております。

実現方策としましては、まず第1に、ARGO計画を政府のミレニアム計画の中でお認めいただきまして、高度海洋観測システムを導入しまして、海洋データの収集、解析技術を強化していくことが1つ重要な課題になっております。

それから、地球観測衛星等がいろいろこれから発展することが想定されておりますので、そのデータを使いまして陸面及び大気データの収集、解析を一層強化していくという課題がございます。

これらのデータに基づきまして、気候モデルを利用して大気海洋結合モデルの高度化をし、季節予報の高度化及び1年先気候予報を実施することを期待しております。

それから、地球温暖化予測技術、気候モデルという今のものは非常に短期的なものですけれども、もっと長い期間の予測技術の精度を高度化していく。

さらには、全地球規模での地球温暖化などの地球環境監視、情報の発表を行っていく、こういう課題がございます。この中にはアジア地域のセンター機能などもございます。

以上のことを行うに当たっては、気象庁が独力ですべて行うことはできませんので、流通促進に向けまして産学官の連携が重要ではないかと考えております。

2番目の技術基盤の確立の全体的な考え方としましては、観測情報通信技術基盤で、最新技術を使って費用対効果比の高いシステムをつくっていく。これは必ずしも今まで行った観測通信などの形式にとらわれることなく、最も適切なものを導入していくことがございます。それから、いろいろなものがございますが、危機管理やセキュリティー対策にも十分注意を払っていくこと、それから関係機関とのネットワーク化、コンピューターネットワークとして接続していくことが非常に重要になっております。

技術開発体制につきましては、体系的、組織的に行うこと、あるいは戦略的、計画的に行う、その結果、適切な評価と見直しをするというような課題がございます。具体的な技術開発の体系化、組織化については、その次に書いてありますけれども、例えば数値予報モデルなどの開発については非常に体系的、組織的な取り組みが必要とされております。また、同時に観測技術の高度化も図っていく必要があります。どんなモデルがあるかということは下に書いてありますが、一番後ろの地殻活動モデルはきょうご議論いただいたものですけれども、その前の3つについては、大気あるいは海洋なども含めましていろいろ効率的に開発を進めていくことが重要ではないかと思っております。

そのためには、もちろん気象庁も主体的にいろいろ頑張る必要があるのですけれども、国内外の関係機関との連携協力がここにおいても非常に重要でございまして、大学、研究機関等における研究、気象庁については気象業務の中核機関、実施庁として業務を行うことから、それらの連携、協力を図っていくことが重要と考えております。

次のページ、防災機関との連携・協力について、何点か議論の論点が書いてあります。

1つ、防災機関とのネットワーク化につきましては、いろいろな意味のネットワーク化が必要ですが、1つ目の話としては、防災機関も既にいろいろな防災情報システムなどが整備されておりまして、それとの接続に協力していく。あるいは、それに対する助言、技術移転などをしていくことが重要です。

2番目としては、観測成果等、他機関のデータもいろいろ豊富にございますので、それをどうやって共有化していくかということが重要であります。そのときには当然データ形式あるいは観測技術上の基準などを含めて共有化を図っていく。

3つ目としましては、若干技術的な問題ですけれども、どうやってコンピューターの接続をスムーズにしていくか、さらにソフトウエアなどを共通化していく、あるいは共同開発するなどの措置をとりまして、より接続における敷居を低くしていくことが重要です。

その次のドットは、防災機関とはこういう形でやっていますが、防災情報を利用する方は、最後はそれぞれの国民でございますので、国民の側が防災気象情報をどうやって理解するかということは防災対策にとって非常に重要でございます。そのためには、さまざまなメディアとの連携、協力、あるいは防災機関とも連携、協力しながら、国民への気象知識の普及などを図っていく。あるいは、解説する役割としましては気象予報士の役割も非常に重要でございますので、その資質向上を図っていくことが課題となります。

次は、気象業務における国際協力についてまとめてございます。国際協力の一般的な意義としてはやはり端的に観測にありますけれども、日本のような狭いところだけで気象業務は実施できるものではございません。これは、WMOのような国際機関を通じて、全世界の国が協力し合って気象業務を推進していることがございます。その中で、全世界的な観測網あるいは通信網などを維持、発展させております。

今後どういうふうにしていくことが重要かと申しますと、1つは、こういう国際機関を通じた活動に積極的に参加していく。その中でいろいろな技術上の研究の向上、あるいは技術交流などを推進していくこと、さらにWMOの事務局などへの人事交流も重要になってまいります。結果として、全世界のネットワークを効果的に運用する必要があります。

日本はまたアジア・太平洋地域の地域センターとしての機能を持っておりますので、その中で数値予報のプロダクト、あるいは気候予測のプロダクトなどを積極的に提供しまして、気象分野のセンターとしての機能を持っております。これをさらに維持強化していきます。この中で、地域センターとして、研修生を招いて、周辺国、近隣諸国の方々に技術移転あるいは研修を行うことを進めております。

もう1つ、技術支援の形としては、こういうセンター機能のほかに、いろいろな国際協力のスキームを使いまして開発途上国への技術支援をしておりますので、これをさらに推進する必要があります。これはどういうことかといいますと、いろいろな経済的な事情、社会的な事情から、気象の世界においても技術の差が、そのまま自然にしておきますと乖離しがちなわけで、これに対する支援は非常に重要であろうと思っております。

3つ目の重要な課題、「官民が協力した総合的な気象情報サービスの実現」の具体的なポイントとしましては、気象情報をさらに流通促進していく。気象情報、いわゆる気象観測データなどのものですけれども、これは利用者の総意に基づきまして民間気象業務支援センターが運営されておりますので、これを通じてさらに公開、流通を促進していく。それから、利用者がこれをさらに利用しやすいようにするためには負担軽減をする。情報通信技術の進展に適合させるために、データベースの共同開発は一例ですけれども、いろいろな新たな情報の流通も、今までは単に垂れ流しというようなものも、もっと有効に活用されることも考える必要があると思います。

次の丸ですが、民間における技術基盤はこれからまさに高度化されると思いますが、そのためには相互に技術情報を流通することが重要ですので、これは気象庁、大学、研究機関など分野横断的に連携、協力を進める必要があろうと考えております。

その次の丸ですが、これはどんな利活用があるのかということで、主体的には民間気象事業者の問題であろうかと思いますが、国民生活において新たなメディアの活用によって欲しい情報が手に入る。さらに、既存メディアについても引き続き重要な役割を担っていただくということがございます。産業分野については、リスク回避やコスト削減の手段としましてさらに気候情報活用などのニーズが増加いたしますので、民間における効果的な活用方法などについてはいろいろ支援をしてまいりたいと思います。

最後は、中間報告に盛り込まれましたいわゆる規制緩和の考え方ですが、基本的に民間予報業務という観点からいいますと、なるべく規制を緩和できるものは緩和して、積極的に多様なサービスを実現するという考え方がございます。

そのために、具体的には、下に書いてありますような予報業務許可対象の拡大を予報技術が確立した分野について積極的に行っていくということで、1カ月予報の許可を開始する、さらに気象予報区の設定を自由化するなどがもう既に中間報告に盛り込まれております。

それから、民間気象事業者の責務としましては、こうやってどんどん自由に情報を発信できるようになるわけですから、責任を持っておやりいただくのは当然のこととして、さらに防災の観点からいいますと、気象庁発表の防災気象情報などと整合性を図っていただくことが重要であろうと考えております。

それから、気象予報士は人的な側面としては非常に重要でございますので、これに対して、技術の進展に即応して技術の指導あるいは研修、再教育などを行うことを整理してまいりたいと考えております。

(部会長)ありがとうございました。

これは、次回以降、答申案作成のために、全体の構成とその中に盛り込むべき事項のキーワード的なものを並べておいたということでございます。きょうは内容についてのご議論をいただくわけではなくて、次回以降議論する上で、盛り込んでおくべき事項、こういうものはぜひとも入れておいた方がいい、これは必要ないのではないかとか、そういうことがございましたらきょう承っておきまして、それに基づいて次回以降答申案についての具体的な審議に入りたいと思っているわけです。

どうぞどこからでも結構ですから、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。

(専門委員)98%賛成なのですけれども、2%ぐらい、5%かな。非常に気になっているのは、気象庁も相当苦労しているのだろうと思うんですが、協力という言葉と連携という言葉がいろいろな形で入り乱れるんです。国際のときには協力という言葉が出てくるんです。国内で我々がいろいろ展開しようというときには連携・協力と来るんです。私、今回の答申のキーワードはコラボレーションだと思うんです。やっぱり連携だと思うんですよ。

確かに国際間の場合は、先ほどの事務局のご説明のように、いろいろと格差がまだあるので、これは協力という言葉が適当なのだろう。

ただし、日本国においてはコラボレーションであって、コオペレーションの段階は終わったという認識に立って、そして我々は答申案を上げていくべきではないか。そうするときに、いろいろとご指摘のように、民間気象会社もきちっと責任をとれよ、気象庁と連携プレーをちゃんととれというような防災情報については、そういうところをもっともっといい意味で厳しく指摘していただくことは非常に重要だと思うのですけれども、キーワードはコラボレーションではないか。

コオペレーション、協力から連携へというキーワードをきちっと見据えて、そして全体が答申されていくならば、私はそこに新しい21世紀が見えてくる。そこは原因自分論というか、自己責任の時代に向けた新しい気象業務のあり方が本当にあぶり出されていくのではないかという気がする。国際のときの協力と、国内の連携・協力という、この辺の苦戦しているところ、気象庁も相当気を使っていらっしゃるのだろうと思いますが、私は思い切ってコラボレーションをキーワードにできないだろうかという気持ちをすごく強く持ったのですけれども、いかがなものでしょうか。

(事務局)ただいまの先生のご意見を参考にしていきたいと思います。

(事務局)先生、逆にご質問みたいな形になってしまうのですが、確かに我々もつい連携・協力という対句みたいな形で使ってしまうところがあるんですが、先生のイメージで、連携と協力というのは具体的にどんな感じでとらえていらっしゃるのでしょうか。

(専門委員)連携というのは、しっかりと自分のミッションが何であるかを理解している。企業で言うと、企業理念がちゃんとあって、自分の企業理念を持っているということは、当然気象庁の理念というか、気象庁の目指すものがちゃんとわかっている。お互い相手の立場を十分に理解し尊重し合いながら、自分の持っている能力を惜しみなく発揮しながら最終的なゴールを達成していこうではないかというスタンスだと思うんです。それがコラボレート、お互いそれだけの自己責任というか、自分の問題解決能力とか、そういうようなものについて常に自問自答して、自分たちの能力、限界もちゃんと理解しながら進めていくのだろうと思うんですが、そういうことをシェアしながら進めていこうではないか。

だから、私は1カ月予報については非常に気になる言葉を、気象庁はぎりぎりのところを使っているのだろうと思うので、余り必要以上に難癖つけるつもりはないのですが、技術基盤が確立したところから出していくんだという考え方よりも、そういうスタンスは重要なのですけれども、技術基盤がまだできていないところも含めてお互いにチャレンジしていこうではないか、それが連携の最たる例だと思うんです。ですから、協力あるいは支援というのは何となく、こっち側に親分がいて、ここに子分がいて、親分から子分に分け与えるような感覚がまだ残っている。そうじゃなくて、もっと独立した責任のある、主体性のある2つあるいは3つ、4つのパーティーがみんなで力を合わせて共通の目的に向かっていこうではないかというのをもってコラボレーション、連携と呼んでいく。

そのときに、おっしゃるように気象庁の責任は非常にあるわけだし、私は、気象庁がいろいろな気象技術についてのセンター・オブ・エクセレンスというか、気象庁が中心になって引っ張ることの意味を決して過小評価するつもりはないので、そういうところは民間もわかっている。気象庁がイニシアチブをとってくれというところもある。でも、民間がイニシアチブをとるべきものもたくさんあるので、そういう意味でコラボレーションを私は使っているんです。

コオペレーションというのは、まだ私たち自分のやることがよくわかっていないのだけれども、協力し合いながら何とかやりませんかというようなスタンスじゃないですか。それはまだ中途半端な成熟度ですよね。まだ成人になっていない人たちの使っている言葉だと思うんです。民間気象業務支援センターをつくって、積極的に気象業務法の改正に出ていった気象庁のあの一連のイニシアチブは、私は非常に評価すべきことだと思っていますので、それをコラボレーションというところまで21世紀にはきちっとスタンスを持っていったというふうにぜひしていただきたい。そんな意味なんです。

言葉の遊びになっているつもりはないのですが、いかがでしょうか。

(部会長)先生のおっしゃる意味は私もよくわかりました。ただ、言葉として、協力とはそういうふうに定義されるものかどうかということについては必ずしも納得のいかない点もございます。

(専門委員)印象だけお話ししたいのですが、事の性格から、だれがだれに向けてこの報告を読んでもらいたいのかということに尽きるのだと思うんです。私が仮にこの報告を読めと言われると、これぐらいが限界であって、この行間に細かい詳細なものがわっと入ってくるとなると、なかなか最後まで読んでもらえないのではないか。そんなことを考えると、早わかりといいますか、要点がすっとわかるような工夫が要るのではないか。

ところが、これを見ますと、今気象庁はどんなことをやっているか、この後10年間にどんなことをやるべきか、すべての項目にわたってそのような記載がされるのだと思うんですが、どちらかというと、これから何をやるべきか、どこに力を入れるべきかというところを中心に書いていった方がいいのではないか。

そういう意味で、最初の1ページの全体構成は、なるほどそんなものかと思って見たのですけれども、そこにアクセントをつけて、特に2番目のまさに諮問どおりのテーマがありますが、その部分がこの内容からいうと非常に豊富なんです。実際は網羅しなければいけないために豊富になっているのであって、どうしても読んでいただきたいところはここだというアクセントがつけられればいいなという印象を受けました。このまま同じように必要な行数を全部書き込んでしまうと、なかなか最後までたどり着かないで投げ出してしまうんじゃないかという印象を受けました。

印象だけであります。

(事務局)私どもも、おっしゃるとおり、実は内部でいろいろ検討する際にも、これ以上たくさんの文章に最終的には多分なるかと思うのですが、それを読むのは結構苦痛でございます。ましてや外の方に全部読んでいただくのは大変なことだろうと思います。我々は、こういうのをおまとめいただいた段階で対外的に公表していくわけでございます。例えばマスコミ関係とか、あるいは部内的にも運輸省に省内会議がございまして、そこにも全部かけることになっております。そういうときに何がポイントかと必ず問われますので、それがわかるような発表版と申しますか、そういうものを当然つくるつもりでおります。そういうものの中では、ポイントが明確になるようにできるだけやっていきたいと思っております。

(部会長)キーワードを並べただけでも十数ページですから、文章にしますとやはり数十ページになるので、通常こういう場合はイグゼクティブサマリーといいますか、要点をうまく要約した数枚以内のサマリーをつくる。大抵の方はそれしか読まない場合が多いだろうと思いますが、そういうものをつくる必要があるのではないだろうかと思います。

(専門委員)私は門外漢ですのでなかなかこういう議論にかんでいけなかったのですけれども、こうして答申のあらすじが出てみると、12ページにやっと出てくるのですが、一般人から見ますと、何が変わるのだろうかというのが余り見えないんです。国民生活で、確かに新たなメディアによる欲しいときに欲しい情報と入っていますけれども、これだけなのだろうかという感じがするんです。今までここで議論されてきたいろいろな技術的な変化がかなり蓄積されていくはずなのに、国民生活として接する気象情報とか気象庁の仕事がどう変わっていくのかがよく見えないので、そこをもうちょっと書き込むというか、表現していっていただきたいと思うんです。

大方のものは、産業分野についてもそうだと思うのですけれども、どういう影響を受けるのだろうか、どういういい効果を生むのだろうかというのがちょっとわかりにくいので、本当に国民のための気象庁ということが見えるようなものをもうちょっと入れていただきたいという感じはしますので、お願いいたします。

(事務局)先生の今のは、各論を積み上げて、最後にとかなんか締めをしていかなければいけないのですが、そういうところで国民生活の視点からのまとめというようにしてもよろしいのでしょうか。

(専門委員)とにかく普通の人が、こういうふうになるんだなとわかるようにしていただきたい。技術的な蓄積をずっと書いていただいていますけれども、それで我々の生活がどういうふうになってくるのだろうかというところをもうちょっと入れていただきたいと思います。

(事務局)わかりました。

(委員)8ページの気候・地球環境業務の関係のことですが、観測の問題です。ご存じのように、現在、地球観測衛星などによって非常に重要なデータが得られています。これは宇宙開発事業団の地球観測技術の開発、基本的には技術開発という観点で行われているので、幸い、最近グローバル・チェンジ・オブ・ザ・ミッション、15年計画で2015年ぐらいまでだったか、とにかく当面は継続した地球観測をすると言ってはいるのですが、地球規模のいろいろな自然の変動にせよ、人為的な変化にせよ、気象庁がそれを監視したり、あるいはそれをもとにして予測をしたりするために、本来こういうデータは必要なものだと思うんです。それに対して一体、気象庁自体がどういう取り組みをすべきかということについて考えておかなければいけないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

特にここで原案として出されているところは、海洋についても同じことは言えますが、ARGOはいろいろなところと協力して、気象庁も参画すると聞いています。衛星についても両方とも、データ収集、解析技術強化と、今回の草案ではこういう言葉で書いてあるので、一体どこまでを意味しているのかよくわからないんです。1つは原案の意味と、それから、本来どの辺まで気象庁がみずからやっていくべきものなのかということを検討すべきなのではないかと思います。

(事務局)以前から、こういう問題について気象庁がすべてをやることは財政的にできない。まさに先生が先ほど言ったように連携の世界で、さまざまな国の機関がさまざまな行政目的で、それぞれの観測システムを維持し運用している。それに対して、それを効果的に使う技術を持っている気象庁が参画することによってさらに効果を高めることが可能になるわけでありますので、こういう観測システムを全面的に気象庁が肩がわりするとかいう計画は現在持ち合わせておりません。

しかしながら、宇宙開発事業団と私どもの間では、こういう観測衛星、宇宙開発事業団の観測計画が現在政府として認知されているわけですから、その計画の中で私どもの収集、解析技術を通して、宇宙開発事業団に積極的に協力をするというスタンスで貫いてきております。今回について言えば、地球観測衛星については国としての計画が先行しておる中で、大気データ収集、解析技術の強化が気象庁の当面10年間の大きな役割である、こういう認識でこれを書いてございます。

(委員)先ほど話しましたように、たまたま今は宇宙開発事業団でも10年あるいは15年にわたる計画がありますので、今ので当面の話はいいと思うのですが、その先どうかということもありますし、仮に宇宙開発事業団がそういう長期の計画を持っていなかったら一体どうかという意味で、何か考え方はどこかでディスカスしておくべきなのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

(事務局)全く白紙の状況で、気候・地球環境業務をこれから構築することを国民の場にもしも国の機関として出すならば、気象庁としては、観測システムのあり方だとか、そういうことを提言する必要があるのは確かです。しかしながら、先ほど地震・火山のときにも申し上げましたように、それからリモートセンシングについてはかなり多くの機関が既に国の機関として先行している。それを有効活用することも国の機関として重要な役割である。当面15年間は国の計画としてあるわけですので、あるいは国際機関の約定としてあるわけで、この中で、気象庁が新しい衛星を持ちますとか、そういう必然性は出てこないというのが私どもの考え方であります。

(部会長)私もこの点は大変気になっているところで、確かに両方の意見があるわけですね。ただ、NASDA(宇宙開発事業団)は本来、研究、技術開発をするのが主要な任務で、長期にわたってのモニタリングをするというような性格を持った組織ではない。だから、ある段階でその技術の確認とか、あるいは得られたプロダクトの成果が確認されれば、さらに必要性に基づいて長期にわたって観測を持続しようとした場合にはNASDAの手から離れるのではないだろうか。

ただ、これはNASDAと気象庁とか、そういう2つの組織だけの問題ではなくて、やはり国家的な問題ですので、いろいろな省庁を乗り越えて、日本として長期にわたっての地球観測を衛星を使ってやるということを一体どういうシステムでやっていくかということは、省庁を超えた枠組みで議論しなければならないとは思いますけれども、そうなったときに気象庁としてはそれに対してどういうふうな態度をとっていくか、どういう立場でそれに臨むかということはどうしても考えておかなければいけない。今回の答申にどういうふうに入れるか入れないかということは今後議論しなければいけないと思うのですが、気象庁としてもぜひともその点は考えていただかなければいけないのではないかと、私も個人的にはそういうふうに思っております。

(事務局)こういうシステムを持つことは、財政の問題だとか、さまざまな検討すべき課題のファクターがございまして、地球観測衛星の利用が、例えば気象衛星「ひまわり」のように専管のものについては国の役割として気象庁だけが考えるべきことではあるのですが、地球観測衛星全体は、気象庁のみならず多くの機関が関係していること、もう1つは国際的なフレームワークでこれが調整されていること。地球観測衛星の継続の問題については、国、政府全体として国際協力の視野が不可欠でございまして、気象庁にもしも意見を求められれば、例えば昔の航・電子、電子技術審議会の席上だとか、あるいは科学技術会議の作業委員会の席上だとか、そういうところで、この衛星の持つ重要性だとか継続性の重要性等については気象庁としても意見を述べてきております。

問題は、だから気象庁が主体的にこの衛星を運用すべきかどうか。ここについては私どもとしては、現時点では宇宙開発事業団の計画があるので、それを有効活用させていただきたいと申し上げておるわけで、観測の継続性、その他については、私どもももちろんいろいろなところで国の機関としてその主張は申し上げております。

(専門委員)余り前後関係がわかっていないまま発言しますけれども、例えば衛星を打ち上げるという話は普通10年計画ですので、今後10年のことばかりを考えていたのでは、一向に気象庁はイニシアチブというか、仲間にやっと入れてもらえるというぐらいの立場でしかあり得なくなってしまうのではないかという気がしたんです。

リモートセンシングの話が後で出ると思っていたのですけれども、やっぱり監視をし続けるところに絡んで、地球的な環境問題に関してのデータをきちんととり続けるところの業務に対して気象庁はどういうふうな態度でいるのかという方向性は、何もイニシアチブをとれとまでは言いませんけれども、積極的にそういうことに取り組むんだという姿勢を打ち出さない限りは、今言っても実現は10年後ぐらいじゃないんですか。衛星というのは大体みんなそうで、小回りのきくところでも7年ぐらいですから、そういうことの基本線みたいなことをきちっと言って、そういうことに関して気象庁は積極的にやるなら積極的にやるとうたわない限りは永久にいかないのではないかと思ったんですけれども、違いますか。

(事務局)今の先生のお話は、8ページのデータの収集とか解析、データ管理とかいろいろな問題があって、データのもとのところとかいろいろあるので書きにくいのですけれども、そういう中身の解析をしながら技術を高度化していくところが非常に重要ではないかと考えています。

それから、このデータは、もちろん気象業務からいいますと非常に重要なデータでございますけれども、当然これは環境面とかその他水資源管理、さまざまな面で使われる。つまり、多目的に使われるところが非常に特徴がありますので、気象業務の切り口としてはこうだということは書きますけれども、そういう点では当然多目的な意味での連携が暗に含まれているというふうに思っております。

ですから、10年より先の話は、そもそもこの気象審議会のマンデートが10年間しかありませんので、ここの結論には書きにくいのですけれども、方向性としては、先生の今のご指摘のように、今何を準備しておくかということについては、この辺のところにさらに何かキーワードをご指摘いただければ書き込めるのではないかと考えております。

(専門委員)全体のまとめ方ですけれども、表紙の裏の2ページで全体構成があって、3つ目の「官民が協力した総合的な気象情報サービスの実現」についてですが、3ページ以降は2ページに書いてある大きな3つの項目がやや中身を細かくして書いてあるんだと思うんです。そういう意味だと、2ページの3つ目の丸は最後の12、13ページにあらわされているのではないかと思います。前回もちょっと申し上げたのですけれども、総合的な気象情報サービスの実現が12ページで、13ページは多様な気象サービスの実現と書いてありますから、ある意味では供給を受ける需要側の中身が書いてあります。中を見ますと、12ページが3つ、13ページが3つあるのですが、まとめ方はこれを少し整理して、1つの観点としては、こういった気象情報を受ける側のニーズに合わせて本当に必要なものを、ちょうど12ページの真ん中にそういうことが1行書いてありますが、受ける側のニーズに合わせて情報を提供していくことが21世紀には望まれるのだという部分は非常に大事なのではないか。

もう1つは、官民が協力したというのは2ページの3つ目に出てくるのですが、今申し上げた意味からいけば、いろいろな言葉遣いがあるのでしょうけれども、本当に必要なサービスを提供する観点からは、むしろ13ページの民間気象事業の振興とか、そういう言葉で大きいくくりとした方が適当ではないかと思うんです。2ページの3つを見ていきますと、流れで3つ目の「官民が協力した」というのが1つ目、2つ目などに出てきますと、非常にサプライサイドの論理になってくるのかなととれてしまうんですね。

これはまとめ方で、どうしても上が気象庁の行うべき業務、中長期課題、そして官民がと来るのでしょうけれども、そうではなくて、せめて3つ目は実際にサービスの提供を受ける国民なり、サービスを使う機関なりのことを考えてまとめていただいて、そうすれば必然的に民間気象事業をそういった観点からも振興させていくのだとか、そういう表現になっていくのが普通なのではないかと思うんです。

(委員)前後してというか、また戻ってしまって申しわけありませんが、さっきの衛星観測の件に関して、ご発言と先ほどの事務局のお話で、大体僕はその中に含まれるかと思いますが、より具体的には先生がおっしゃったように、いつも10年だけではだめなので、その先のことをどう考えるかというのは何らかの格好で入れていただきたい。

そこで、さっきお話しのあった、より具体的に考えると、地球観測というのは多目的かもしれませんが、しかし、気象としてどういう観測システムが将来必要であって、その観測システムの設計とか、それに必要な個別センサーとか、場合によっては新しいセンサーの技術開発を研究として行っておくことが必要であろうと思うんです。例えばそういうことあたりはこの10年ではない。が、しかし、将来の問題としてぜひとも考えていただきたいと思います。

(事務局)こだわりで申しわけないのですが、私どもは事務局でございますので、先生方の総意で答申はできるわけでございます。気象庁の考えはむしろ企画課長が言ったより私の考えに近いわけで、財政上の問題は無視できない。それから、地球観測衛星は、実は「ひまわり」よりももっと高いものでございまして、その継続運用は国全体としてどうあるべきかという課題であります。気象庁だけが今ここでそれは重要だと言うような財政規模のものでないのも事実でありまして、その辺については先生方のご理解とご協力をぜひよろしくお願いいたします。

(部会長)わかりました。このあたりで打ち切ろうと思いますが、最後に、衛星の問題は、確かに地球観測衛星で、この前ADEOS1号で、もう間もなくADEOS2号が上がって、そのフォローオンとしてもろもろの地球観測衛星が上げられる予定です。ADEOSのような多目的の大型衛星という考え方だけではなくて、もう少し単目的の小型衛星を、少し小回りのきくように、安価で、そしてまたフレキシブルに目的も変え得るような小型衛星を、先ほどの連携じゃないけれども、そういう考え方もありますので、必ずしも衛星は不可能だというふうには考えない方がいい。

(専門委員)僕は、これに対しては答えがあるような気がしてならないんです。予算という考え方に今気象庁はみんな立っているじゃないですか。僕は、21世紀は民間がこういうようなものを打ち上げて、国がそれを利用するスタンスは十分に考えられるわけです。民間がやるとすごく安くやれる。それから一生懸命販売する。そうすると費用対効果が全然違った形で出てくる。したがって、気象庁はおいしいところをとるよ、そのために自分たちはお金も使うよ。でも、その衛星の所有みたいなものを議論する必要はなくて、それを利用する利用権は気象庁は絶対譲らんぞと主張していく。ほかも利用権について主張していく。

こういうものに対する10年先の発想というのは、間違いなく民間をこき使った方がいいんです。時代はそういう流れに必ずなっているような気がするので、もしも部会長の今おっしゃるような費用対効果を考えて、単目的のためのすごいスケーラブルなものをつくってやっていった方がいいとなれば、私はそういうファンディングの仕方を考えるのが民間的な小わざの世界だと思うんです。それこそ信託銀行がばかみたいにお金を集められるような時代に、そんなこともできないようなことはないと思いますので、余りご心配にならなくてもいいんじゃないですか。僕は日本人はそんなにばかじゃないと思いますよ、この件に関しては。

(部会長)ありがとうございました。ほかにございませんか。--では、先ほどからいろいろな面から大変貴重なご意見を承りましたので、これらをもとに次回そろそろ素案のようなものをつくって、それに基づいてご検討いただいた方が効率よく話が進むのではないかというふうに思います。次回は4月24日と決まっております。だから、その次回に事務局で素案、たたき台のようなものをつくれますか。

(事務局)ただいまの議論をもとにしまして、とりあえず文章化したようなもの、きょうの議論に沿った完璧なものになるかわかりませんけれども、1週間前の17日ごろまでにはとりあえずお手元にお届けできるようにしたいと思います。

(部会長)ご苦労さまですけれども、そういうたたき台のようなものをつくっていただければ、1週間ぐらい前になろうかと思いますが、それを事前に皆さんのお手元に配付して、事前に目を通していただいた上で、次回の部会でご審議いただく。その方が効率よく審議が進むのではないかと思いますので、そういうふうにしたいと思います。

その後ですが、多分1回で議論は終息しないおそれがありますので、その次は5月になりますか。それも予定を決めておいた方がいいんじゃないでしょうか。--では、3番目の議題はここで打ち切ることにしまして、4番目の今後の審議スケジュールについて事務局から。

(事務局)資料計7-4でございます。今後の審議スケジュールと書いてありますが、かなりの部分はこれまでの審議経過で申しわけないのですけれども、裏の方に行っていただきまして、2の今後の審議スケジュールのところでお願いしたいんです。

4月24日は、一応案になっておりまして、21号答申案の草稿ができれば24日にお願いしたい。第9回部会でございますけれども、連休がございますので、その後をあけますと大体5月中旬ごろになるのかと思います。お手元に5月8日から19日までの期間の予定を記入していただく用紙を配付してございますので、お帰りまでに、これに委員の方々のご予定をお書きいただきまして、それに基づきまして部会長にご指示いただきまして予定を決めたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

その後、もちろん4月、5月で答申案が終わるかどうかわかりませんが、なるべく議論いただきまして、必要に応じて部会を追加いたしまして、21号答申の公開を置きたい。5月下旬あるいはそれよりもっと遅くなるかもしれません。一番早い場合は5月下旬でございます。それで第10回部会、その後、一般の意見を公募しまして、中間報告のときと全く同じでございますけれども、そのご意見公募の結果をまた部会でご審議いただきまして、答申案としてご確認いただく。その後、総会を開いて答申としてまとめるというふうに考えております。

(部会長)大変順調にいきますとこういうスケジュールで進むかと思いますが、いかがでしょう。こういうことで進めてよろしいですか。--それでは、そういうふうにさせていただきます。

その他について、これは何か事務局からございますか。

(事務局)特にございません。

3.閉 会

(部会長)それでは、これで第7回総合計画部会を終了いたします。どうもありがとうございました。


[ 以 上 ]

このページのトップへ