「気象業務の評価に関する懇談会」(第7回)の概要

  1. 日時 : 平成15年10月22日(水)14:00~16:00
  2. 場所 : 気象庁大会議室
  3. 出席者 :
    委員 石田東生 筑波大学社会工学系教授
    小林昂 日本テレビ放送網株式会社取締役執行役員専務(日本民間放送連盟放送小委員長)
    小室広佐子 東京国際大学講師
    平啓介 東京大学海洋研究所教授
    田渕雪子 三菱総合研究所主任研究員
    (座長)(廣井脩 東京大学社会情報研究所長は欠席)
    森下俊三 東日本電信電話株式会社代表取締役常務取締役
    気象庁
    長官、次長、総務部長ほか
  4. 議題
  5. 平成15年度における気象業務の評価に関する取組状況と今後の進め方

    1. 気象庁の業績指標と業務目標について
    2. 天気予報に関するアンケート調査結果の比較―国民と気象庁職員の意識の相違―
    3. 平成15年度における「気象情報の満足度」調査について
    4. 政策レビュー(プログラム評価)「火山噴火への対応策―有珠山・三宅島の経験から―」に係る取組状況
    5. その他(平成16年度気象庁関係予算概算要求概要)
  6. 議事概要
  7. 委員と気象庁の発言概要は次のとおりです。

    1. 気象庁の業績指標と業務目標について
    2. 「気象庁業務評価レポート(平成15年度版)」について、委員の方々からの意見(コメント)も含め6月30日に公表したこと、平成16年度の業務目標の整理に向け改めて分類したことを説明。

      <業績指標と業務目標の定義>

      (委員)
      • 業績指標と業務目標について、策定時の仕分けはどうなっていたか。
      • 業績指標と業務目標を分ける必要があるのか。
      • 全て業務目標として整理し、このうち、数値で測ることができるものを指標として設定すればよいのではないか。また、資料7-2の別紙2の"指標・目標の性格"の表現は逆である。例えば、被害を軽減するために、具体的にどのような手段を使って何をするのかという表現にしたほうがわかりやすい。
      (気象庁)

      • 国土交通本省と同様の、"業績指標"が先にあって、これに気象庁の独自の"業務目標"を追加したが、改めて見直すと大きな意味(違い)はない。
      • 業績指標と業務目標に分けることなく、業務目標で一つに括ることとし、今後、気象庁業務評価レポート等に反映させたい。

      <業績指標と業務目標の要件>

      (委員)

      • 「指標・目標の性格」の表現では、かなりの部分で"被害を軽減する"となっている。突き詰めて考えると、アウトカムは全て被害の軽減で画一的な表現になってしまうので、もっとストレートにバリエーション豊富に表現を工夫すべきではないか。
      • 今回の懇談会における議論の趣旨は何か。既に15年度の目標も設定されており、今更何の議論が必要かと疑問を持った。今回は、業務評価に関する進捗状況の気象庁からの報告だと認識しているが、基本的な議論のテーマを確認したい。
      • 前回の懇談会で委員から指摘を受けた業務目標の分類の仕方についての話も議論して頂きたいということか。

      (気象庁)

      • 委員の皆様からのアドバイスも頂きながら表現を工夫していきたい。
      • 今回の懇談会では、平成16年度の業務目標の設定等、今後に向けた事前準備として、今から行っておかなければならないということで、今回議題とさせて頂いている。


      (委員)

      • 気象庁の業務目標が国民にとって役に立っているという感覚を持たせることが大事である。例えば、台風予報の精度が向上すると、その結果、国民にとってどうなのか、ということにも言及すべきである。目標を達成することによって国民にとってどうなるかということである。アウトカムやアウトプットなのかということを体系的に分類することが困難なものもあるが、国民の視点に立った(わかりやすい)表現として頂きたい。
      • 気象庁の関係部局の自己評価の結果、6つの要件のうち国際比較に関するものについては該当なしとされた。満足度調査においても、諸外国にあるということがわかるだけでも良いのではないか。9月24日に開催された「火山情報評価委員会」のときにも、外国の火山のデータ分析等について話題が出た。国際的な事項についても目標に設定して比較することにより視野が広がり客観評価にもなるのではないか。

    3. 天気予報に関するアンケート調査結果の比較
    4. 平成15年1~2月に国民を対象に実施した天気予報に関するアンケートについて、先の懇談会での委員からのご意見を踏まえ、気象庁職員に対して、同様のアンケートを実施し、その結果概要について説明。

      (委員)

      • 資料7-3の3頁にある国民のアンケート結果において、居住地分布等については、国勢調査の結果等も活用して母数をつけてはどうか。また、今回の職員に対するアンケートについて、職員の方々はどういう気持ちで回答されたのか、私としてはアンケートの結果は期待値であると見ており、職員の方からのアンケートに対する意見を伺いたい。
      • このアンケートで気象庁職員は、一国民の立場か、それとも職員の立場で答えることとしたのか。

      (気象庁)

      • 電話等により国民の方々からの苦情を受ける機会もあるので、アンケートの回答ぶりに影響された者が多いのではと思う。
      • 今回のアンケートの結果を見た限りでは、職員として回答したものが多い。


      (委員)

      • 天気予報についての国民と気象庁職員の意識は同じであるが、週間天気予報は大きく異なっている。これに対して、どのように考えているか。週間天気予報は、日常生活での支障はなく、特定向けのものと理解されていることにその違いがあるのではないか。

      (気象庁)

      • 天気予報については、一般の方も職員もかわりない。しかし、週間天気予報や季節予報については職員の方が厳しい評価をしており、気象の専門家として見ると、まだ、(予報精度や業務改善等において)チャレンジが必要との強い認識があるということ、また、気象庁職員にとって、例えば、週間天気予報の場合、日々の天気予報が1日前後のズレでもよしとしないということなどがあるかもしれない。また、今年の夏も予報が外れ厳しい結果となり、更なる努力が必要であると理解している。


      (委員)

      • 今回の結果をどう活用していくと考えているのか。この結果を分析し、今後、業務改善等につなげていかなくては、回答した職員の労力を無駄にすることになる。
      • 今回の職員向けアンケートは大変有効であったと思うが、今後、アンケート(満足度)調査について、どう展開する計画なのか。調査ものとして、世論調査があるが、単に一回調査をして絶対値を見るのではなく、前回に比べ数値が上がったのか下がったのか、決まった内容についてそのトレンドを見ていくべきであり、その仕組みを作ることが重要。
      • この結果を(気象庁として)どう利用するか、外部にPRすべきである。今回の結果は、気象庁職員の期待感の表れであると感じる。
      • 国民に対する満足度と、気象庁職員の満足度の差を埋めるように努力(職員の満足度を上げれば)すれば、国民の満足度も向上すると考える。

      (気象庁)

      • 今回のアンケート結果には、予め設定した質問のほかに自由回答もある。自由回答には、予報の精度や発表・提供方法等についての提案があった。気象庁としては、PRも必要だと感じているが、まずは、予報精度を向上させることが必要であると考えている。
      • 今回の結果、季節予報の精度向上等を目指し、これに関する指標を設定するなどしたい。また、週間天気予報については、アンサンブル予報が過渡期にあるが、技術も踏まえ的確に評価したい。
      • 今回の結果を受け、気象庁としては息の長い取組となる。天気予報の各内容については、気象庁ホームページには掲載しているものの、すぐにでもできることとして、より一層の広報等が必要と考える。
      • 国民等の一般向けに対するアンケートは今後も継続していくことととしているが、職員に対するアンケートについては、検討させて頂きたい。
      • 職員アンケートで改善努力が見えるので、気象庁としては、今回(職員向けアンケート)の結果の利用価値はあると考えている。
      • 外部へのアピールの仕方について検討したい。


    5. 平成15年度における「気象情報の満足度」調査について
    6. 気象情報の満足度調査として、15年度に実施する「地球環境に関する満足度調査」計画の概要を説明。

      (委員)

      • (平成13年度の防災気象情報や平成14年度の天気予報の満足度調査のような)今までのようなわけにはいかない。地球環境に関する情報・資料等を利用している集団の対象はおのずと決まるが、国民の方々を対象とした場合、気象庁の地球環境業務のPRにはなるかもしれないが、認知度も低いと思われ満足度を計ることが難しいと考える。
      • 満足度までは調査できず認知度のみとなってしまう可能性がある。
      • この満足度調査を行い、その結果をどう生かしたいのか、それによってアンケートの内容も変わってくるのではないか。なぜ、「地球環境」をテーマとして決めたのか明確にしておくことが必要である。
      • 「気象情報の満足度調査」の原点は、気象情報とこれの受け手である国民の満足度を測定することにあるので、この関係のアンケートに持っていくことができればこのテーマでよい。関係機関や研究機関等の国民に情報が渡るまでの関係者については、別の方法で調査するべきと考える。


      (気象庁)

      • テーマを「地球環境」としたのは、気象庁の主要な「商品」の一つであること、別途検討していた「交通関係」については、航空・船舶等において、業務が大幅に変更となり提供する情報がかわる過渡期であることから、調査のタイミングとして適当ではないと判断したためである。今回の「地球環境」については、気象庁が発表する情報に関して、どういう分野において、また、どのような情報が不足しているのか等について調査を予定している。


      (委員)

      • "環境"は国土交通省の大きな目標(計画)として掲げられており、国民にとっても重要な取組であると認識されており、きわめて重要なインストラクチャー(インフラストラクチャー)であるが気象庁はその計画にはない。このため、気象庁が発表する地球環境に関する情報の重要性や活用について調査することは大切である。ストレートに関心度、重要度を聞くことが大切ではないか。
      • 気象情報の満足度調査であるならば、どういうものが調査項目に該当するのか、今後の予測・予報も考慮すべきではないか。
      • 国民の関心度に対して、満足度を測定することは難しい。黄砂であろうと、光化学スモッグであろうと、国民から見れば全て同じである。テーマ、方法論についてはよいと思う。

      (気象庁)

      • 地球環境に関連する情報については、委員ご指摘のとおり認知度が低く、国民の満足度、生活情報同様の関心度とのバランスが難しく、調査の進め方について検討している。
      • 委員のご指摘のとおり設問について検討したい。
      • 多岐にわたる各種データを情報としてどう提供すべきか、国民にとってどう影響があるかなど把握し、業務の改善を図っていきたい。
      • 本懇談会での議論をベースに、検討会において詳細について議論させていただきたい。

    7. 政策レビュー(プログラム評価)「火山噴火への対応策―有珠山・三宅島の経験から―」に係る取組状況
    8. 国土交通省の政策評価として平成14~15年度で計画している政策レビューの進捗状況について概要を説明。

      (委員)

      • 火山は重要な観光資源である。例えば、有珠山周辺における計画では、森林ぐマイウェイという広域観光ルートの整備が計画されている。また、壮瞥町でのエコミュージアム構想(※地殻変動で倒壊した建物など噴火のつめ跡を保存し、散策路で結ぶなどして周辺地域を丸ごと火山の天然博物館にしようというもの)などもある。このような計画等とも連携していくことが大変重要と考えているので、よろしくお願いしたい。

(以上)

このページのトップへ