キーワードを入力し検索ボタンを押下ください。

海洋内部の酸性化に関する情報提供の開始について
~海洋内部の酸性化が進行していることが分かりました~

報道発表日

平成27年11月9日

概要

  気象庁は、これまで東経137度線及び太平洋域における海洋表面の海洋酸性化に関する情報を提供してきました。今回、当庁の海洋気象観測船の観測データに加え、国際的な海洋観測データも取り入れた解析を行い、新たに東経137度線及び東経165度線に沿った海洋内部の酸性化に関する情報提供を開始しました。解析の結果、両観測線とも北緯15度以北では海洋表面だけでなく海洋内部でも、海洋酸性化が進行していることが確認されました。

本文

  一般に海水は弱アルカリ性を示しますが、海水が大気中の二酸化炭素を吸収して酸性側に変化する「海洋酸性化」(=水素イオン濃度指数(pH)の低下)が世界規模で進行しています。特に、近年、「海洋酸性化」が進むと長期的にはサンゴやプランクトン等の海洋生態系に影響が及ぶことが懸念されています。

当庁は海洋気象観測船(凌風丸及び啓風丸)によって、北西太平洋域における二酸化炭素の観測を1984年以降行っています。今回、当庁保有の観測データに加え、国際的な観測データも取り入れ、1990年代以降における北西太平洋の東経137度線及び東経165度線に沿った海洋内部における「海洋酸性化」の状況を初めて解析しました。

その結果、当該海域の深さ約150~800mでは、「海洋酸性化」が進行していることがわかりました。具体的に、水素イオン濃度指数(pH)でみると、東経137度線では10年あたり0.008~0.025、東経165度線では10年あたり0.001~0.031低下しており、両観測線とも北部ほど速く低下する傾向が見られました。これは、亜熱帯北部ほど人為起源二酸化炭素蓄積量が多いことと整合しています。

現在把握されている海洋酸性化により、海洋生態系等に直ちに影響が出るものではありませんが、このまま海洋酸性化が進むと、海洋生態系や水産業等に長期的に大きな影響が及ぶことが懸念されます。気象庁では、引き続き太平洋域における海洋酸性化の監視を続け、その結果は気象庁ホームページ「海洋の健康診断表」を通じて、提供していきます。

問い合わせ先

気象庁 地球環境・海洋部海洋気象課 海洋環境解析センター
電話:03-3212-8341(内線)5163

資料全文

関連資料


Adobe Reader

このサイトには、Adobe社Adobe Readerが必要なページがあります。
お持ちでない方は左のアイコンよりダウンロードをお願いいたします。

このページのトップへ