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2013年8月のヒートアイランド現象による気温上昇の解析結果について

報道発表日

平成25年9月24日

概要

 東日本と西日本で高温となった2013年8月は、太平洋高気圧の勢力が強かったこと等に加えて、ヒートアイランド現象の影響が特に強かったことも高温の要因になっていたことがわかりました。特に、近畿と東海では、ヒートアイランド現象の影響がこの5年で最も強くなりました。

本文

 平成25年8月の平均気温は、太平洋高気圧とチベット高気圧がともに優勢となったこと等の影響により、東日本、西日本の地域平均でいずれも平年を+1.3℃上回る高温となりました。このうち都市部では、8月11日の東京の最低気温が30.4℃と統計開始以来最も高い記録を更新するなど、都市化の影響により気温が下がりにくくなる効果(ヒートアイランド現象)も寄与していたと考えられることから、本年8月におけるヒートアイランド現象の効果について、都市気候モデルによる評価を実施しました。

 ヒートアイランド現象の強度は長期的な都市化の進行に伴って徐々に変化しますが、日照や風速、大気の安定度等の天候条件によっても変動します。このため、関東、近畿、東海の各地方の都市部について、2009年~2013年の各年の8月の天候条件でヒートアイランド現象の強度を都市気候モデルにより比較したところ、2013年は大阪で+2.3℃、名古屋で+2.2℃、熊谷で+1.5℃等の月平均気温の上昇をもたらす効果があったことがわかりました。これは、平年並又は平年より低い気温だった2009年や2011年と比較すると+0.5℃程度大きく、近畿と東海では2013 年8月のヒートアイランド現象の強度がこの5年で最も強くなりました。その要因としては、日照時間が長く、都市地表面の加熱が大きかったことのほか、太平洋高気圧が西へ強く張り出す気圧配置となっていたため、

  • 東海地方の都市部では、西寄りの風が卓越し、地形的に海風が入りにくい条件となったため、気温上昇の抑制効果が低下した
  • 近畿地方の都市部では、広く高気圧に覆われて大気が安定し、郊外における夜間の気温には放射冷却の効果が相対的に大きかった一方、都市では建築物等の影響で放射冷却が妨げられるため、都市と郊外の差が広がった

こと等が影響していたと考えられます。また関東地方の都市部では、2010年8月などと同様、風向が南寄りだったため沿岸部の都市の存在によって風速が弱められ、内陸部へ海風が入りにくい条件となったことが影響していたと考えられます。

 このことから、2013年8月の近畿、東海、関東地方の都市部では、太平洋高気圧やチベット高気圧の勢力が強かったこと等の広域的な天候要因に加えて、ヒートアイランド現象が特に強かったことが相乗的に作用して、高温の要因になっていたと考えられます。

 図を含む全文については、下記の「資料全文」をご参照ください。

問い合わせ先

気象庁 地球環境・海洋部 気候情報課
電話03-3212-8341(内線)2264

資料全文


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