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台風の特別観測実験T-PARC2008について

報道発表日

平成20年10月16日

概要

 気象庁は、この夏、日本の南方海域にある台風を対象に、米国などとの共同により特別観測実験(T-PARC2008)を行い、台風の周辺での詳細な気象観測データを取得しました。
 今回の観測実験の研究目的は、次世代の台風予報技術である“双方向予報システム”の有効性を探ることです。これまで行った予備的な予報実験からは特別観測のデータは“双方向予報システム”の研究への活用が可能であることが示唆され、今後詳細な研究に利用される予定です。

本文

 気象庁は、次世代の予報技術「双方向予報システム」(別紙1)の有効性を調べる特別観測実験(T-PARC2008)をこの夏、米国などとの国際的共同観測実験(T-PARC)のもとで実施しました。T-PARCは、世界気象機関(WMO)が進める観測システム研究・予測可能性実験(THORPEX)の一環で行われたものです。

 T-PARC2008では、気象庁は、台風第12号、第13号、第15号を対象として特別観測を行いました。具体的には航空機によるドロップゾンデ観測、気象台など気象官署及び海洋気象観測船によるラジオゾンデ観測、気象衛星「ひまわり7号」による高頻度観測などを実施し、通常の観測では得られない、台風周辺での観測データを得ることができました(概念図別紙2、実施状況別紙3)。

 今回、予備的な評価として、特別観測で得られたすべてのデータを利用した場合と、全くそれを利用しない通常の観測体制を仮定した場合との、数値予報モデルの出力を比較しました。 その結果、特別観測のデータを利用することで予報結果に明らかな差異が認められる事例がありました(詳細は別紙4)。これは、特別観測データの利用が数値予報結果に影響することを意味し、個々のデータの予報結果への効果について詳細に評価を行うことで、「予報精度向上にもっとも効果的な観測領域の検出」(感度解析)の有効性や双方向予報システムについての調査研究の可能性を示唆しています。

 今後は、得られた観測データを用いてさらなる評価、研究を行い、双方向予報システムの有効性の検証や台風に係る現象の解明に取り組みます。

 なお、本実験の一部は、科学研究費補助金(研究課題名:航空機を用いた力学・熱力学場の直接観測による台風の予測可能性に関する研究)の助成を受けており、 アンサンブル予測と連携して高感度域を求め、航空機を使って台風周辺の高感度域のデータを取得し、台風の力学・熱力学場の三次元空間構造から台風の構造変化と進路の関係について解明する研究にも活用されます。

問い合わせ先

気象庁総務部企画課
電話 03-3212-8341 (内線)2227

気象研究所企画室
電話 029-853-8603

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