地球温暖化予測情報第7巻の公表について
報道発表日
平成20年3月27日
概要
- 気象庁は、異なる二つの温室効果ガス排出シナリオによる将来の日本付近の気候変化についてとりまとめ、地球温暖化予測情報第7巻として公表しました。
- 20世紀末頃と比べた21世紀末頃の日本の寒候期(12~3月)の平均気温は、 A1Bシナリオ(大気中の温室効果ガス濃度が21世紀末頃に20世紀末の約2倍)では、北海道で3℃以上、東北から西日本では2~3℃程度上昇し、B1シナリオ(温室効果ガス濃度が約1.5倍)では、北海道で1.5~2℃、その他の地域では1~1.5℃程度上昇する、と予測されました。
本文
気象庁では、温室効果ガス排出シナリオの違いによって将来の日本付近の気候にどのような違いが現れるかに着目して、異なる二つのシナリオによる気候予測計算を行いました。予測に用いたシナリオは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成したシナリオのうち、排出量が比較的多いA1Bシナリオ及び排出量が比較的少ないB1シナリオの二つで、これらのシナリオは、IPCC第4次評価報告書において最もよく用いられたシナリオです(別紙参照)。
この予測結果から、寒候期(12~3月)の気温や降雪量などに関する予測情報を「地球温暖化予測情報第7巻」として取りまとめました。また、予測計算に気象研究所が新たに開発した大気と海洋の相互作用や細かな地形の効果を考慮した気候モデルを用いたことにより、日本付近の大気のみならず海洋に関する予測も可能となりました。
主な結果は以下のとおりです。
21世紀末頃の日本の気候は、20世紀末と比べて、
- 寒候期(12~3月)の平均気温は、高緯度ほど大きく上昇。上昇量は、A1Bシナリオの場合、北海道で3℃以上、東北から西日本では2~3℃、沖縄・奄美では1.5℃程度。B1シナリオの場合、北海道で1.5~2℃、その他の地域で1~1.5℃程度
- 降雪量は、排出シナリオに係らず東北以南で減少、北海道の標高の高い地域で増加
- 年平均海面水温は、A1Bシナリオの場合100年あたり2.0~3.1℃、B1シナリオの場合100年あたり0.6~2.1℃上昇。海面水温の上昇は日本南方海域より日本海で大きい
- 年平均海面水位(海水の熱膨張による寄与のみ)は、A1Bシナリオの場合100年あたり9~19cm、B1シナリオの場合100年あたり5~14cm上昇
http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/GWP/index.html
図等を含めた全文については、下記の添付ファイルをご参照ください。
問い合わせ先
気象庁 地球環境・海洋部 気候情報課
電話03-3212-8341(内線)2264