気象庁では、関東地方における夏季のヒートアイランド現象の要因や立体構造を解析しました。その結果、ヒートアイランドの形成に最も寄与するのは、日中は緑地の減少や人工地表面の増加であり、夜間は建築物の増加であることが明らかになりました。
気象庁では、ヒートアイランド現象の実態把握及びメカニズム解明を通じてヒートアイランドの対策に資するため、
夏季の関東地方を対象としたヒートアイランドの事例解析や都市気候モデルを用いたシミュレーションを
平成16年度から実施しています。
本日、平成17(2005)年夏季を対象とした事例解析や最新のシミュレーションの結果を
「ヒートアイランド監視報告(平成17年夏季・関東地方)」として気象庁ホームページで公表しました。
ヒートアイランド現象に寄与する要因
ヒートアイランド現象の要因として考えられる「人工排熱」、「土地利用(緑地の減少やコンクリートやアスファルトなどの
人工地表面の増加)」、「建築物(空の見える割合(天空率)の減少や地表面摩擦の増加)」が、
気温の上昇にどの程度寄与するかをシミュレーションによって評価しました。
これらを比較すると、日中は、緑地の減少などの土地利用の変化に伴う気温の上昇が、建築物の増加に伴う上昇よりも大きく、
夜間は、建築物の増加に伴う気温の上昇が、土地利用の変化に伴う上昇よりも大きいとの結果が得られました。
以上の結果や他のシミュレーション結果を総合的に判断すると、日中は「土地利用」の変化に伴う気温の上昇が最も大きく、
緑地の減少や人工地表面の増加により蒸発散作用による冷却効果が弱くなることが日中のヒートアイランドの形成に
最も寄与することが分かりました。
また、夜間は、「建築物」の増加に伴う気温の上昇が最も大きく、建築物の影響により、放射冷却が妨げられることや
日中に蓄えられた熱が放出されることが夜間のヒートアイランドの形成に最も寄与することが明らかになりました。
さらに、人工排熱は日中・夜間をとおしてヒートアイランド現象に寄与していますが、
他の要因に比べると寄与の度合いが小さいことも分かりました。
2005年夏季のヒートアイランド現象の典型的な事例
2005年夏季は、ヒートアイランドが現れやすい気象状況となった11事例の解析を実施しました。
ヒートアイランド現象の立体構造
2001〜2004年までの晴天弱風日30事例を用いたシミュレーションなどから、ヒートアイランドの立体的構造を調査して、
メカニズムの解析を行いました。
その結果、日中は上空約1000メートルの厚さで東京湾から都心に向けて流れ込んだ冷涼な海風(南寄りの風)が、
都心付近を通過するにつれて次第に風速が弱まりながら、加熱を受けていることが分かりました。
この加熱された海風の内陸部への流入が、内陸部を中心として広域的に分布する高温域(ヒートアイランド)の形成の一因
であると考えられます。
今後の取り組み
今後は、関東地方の夏季の事例解析を継続していくとともに、新たに、関東地方の冬季および近畿地方の夏季についても解析を行い、ヒートアイランドの実態の把握およびメカニズムの解明を進め、ヒートアイランド対策の策定に資する情報を提供します。
「ヒートアイランド監視報告(平成17年夏季・関東地方)」は以下のホームページに掲載しています。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/himr/index.html
気象庁 地球環境・海洋部 気候情報課 情報係
電話 03-3212-8341(内線)2264