南海トラフ地震に関連する情報(定例)について -最近の南海トラフ周辺の地殻活動-

気象庁では、大規模地震の切迫性が高いと指摘されている南海トラフ周辺の地震活動や地殻変動等の状況を定期的に評価するため、 南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会、地震防災対策強化地域判定会を毎月開催しています。 本資料は本日開催した評価検討会、判定会で評価した調査結果を取りまとめたものです。 次回は2月7日を予定しています。
なお、下記調査結果は本日17時00分に「南海トラフ地震に関連する情報(定例)」として発表しています。

報道発表日

平成31年1月10日

概要

現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時(注)と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。

本文

最近の南海トラフ周辺の地殻活動

現在のところ、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時(注)と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。

1.地震の観測状況
プレート境界付近を震源とする深部低周波地震(微動)のうち、主なものは以下のとおりです。
(1) 四国西部:12 月17 日から12 月21 日まで


2.地殻変動の観測状況
上記(1)の深部低周波地震(微動)とほぼ同期して、周辺に設置されている複数のひずみ計でわずかな地殻変動を観測しました。また、周辺の傾斜データでも、わずかな変化が見られています。
GNSS観測等によると、御前崎、潮岬及び室戸岬のそれぞれの周辺では長期的な沈降傾向が継続しています。
GNSS観測によると、2018年春頃から九州北部で、さらに2018年秋頃からは四国西部でもこれまでの傾向とは異なる地殻変動を観測しています。
2018年11月までのGNSS-音響測距観測によると、2017年末頃から紀伊水道沖の海底で観測されていた、それまでの傾向と異なる地殻変動は収束したとみられます。


3.地殻活動の評価
上記(1)の深部低周波地震(微動)と、ひずみと傾斜のデータに見られる変化は、想定震源域のプレート境界深部において発生した短期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。
GNSS観測で観測されている2018年春頃からの九州北部の地殻変動及び2018年秋頃からの四国西部の地殻変動は、日向灘北部及び豊後水道周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。
GNSS-音響測距観測で観測されている2017年末頃からの紀伊水道沖の地殻変動は、紀伊水道沖のプレート境界浅部におけるゆっくりすべりに起因するものと推定しており、現在は、ゆっくりすべりはすでに停止していると考えられます。

上記観測結果を総合的に判断すると、南海トラフ地震の想定震源域ではプレート境界の固着状況に特段の変化を示すようなデータは今のところ得られておらず、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていないと考えられます。


(注)南海トラフ沿いの大規模地震(M8~M9クラス)は、「平常時」においても今後30年以内に発生する確率が70~80%であり、昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から既に70年以上が経過していることから切迫性の高い状態です。


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問い合わせ先

地震火山部地震予知情報課 担当 宮岡
電話:03-3212-8341(内線4576) FAX 03-3212-2807

資料全文

参考資料


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