「平成30年7月豪雨」及び7月中旬以降の記録的な高温の特徴と要因について

報道発表日

平成30年8月10日

概要

 気象庁は、本日開催された異常気象分析検討会(臨時会)の検討結果を踏まえ、「平成30年7月豪雨」及び7月中旬以降の記録的な高温の特徴と要因についてとりまとめました。
 今回の西日本から東海地方を中心とした記録的な大雨の要因は、西日本付近に停滞した梅雨前線に向けて、極めて多量の水蒸気が流れ込み続けたことです。また、記録的な高温の要因は、太平洋高気圧と上層のチベット高気圧がともに日本付近に張り出し続けたことです。これら一連の顕著な現象は、持続的な上層のジェット気流の大きな蛇行が繰り返されたことで引き起こされました。
 これらの背景としては地球温暖化に伴う気温の上昇と水蒸気量の増加に加え、特に高温の背景には、今春以降持続的に、北半球中緯度域で大気循環が全体的に北にシフトしていたことに対応して、顕著に気温が高いことの影響も考えられます。

本文

(1)「平成30年7月豪雨」
 「平成30年7月豪雨」では、西日本から東海地方を中心に広い範囲で数日間大雨が続き、その総雨量は1982年以降の豪雨災害時の雨量と比べて極めて大きいものとなりました。7月5日から8日にかけては、西日本付近に停滞した梅雨前線に向けて、極めて多量の水蒸気が流れ込み続けるとともに、局地的には線状降水帯が形成されました。
 この広域で持続的な大雨をもたらした要因は、梅雨前線が、非常に発達したオホーツク海高気圧と日本の南東に張り出した太平洋高気圧との間に停滞したことです。それぞれの高気圧の強まりには上層の寒帯前線ジェット気流及び亜熱帯ジェット気流の大きな蛇行が持続したことが影響しました。
 なお、今回の豪雨には、地球温暖化に伴う水蒸気量の増加の寄与もあったと考えられます。

(2)7月中旬以降の記録的な高温
 7月中旬以降は北・東・西日本では気温がかなり高くなり、東日本の月平均気温は7月として1946年の統計開始以来第1位となりました。この7月中旬以降の記録的な高温は、太平洋高気圧と上層のチベット高気圧がともに日本付近に張り出し続けたことが要因です。これは、上層の亜熱帯ジェット気流が、強弱を繰り返しつつ、北に大きく蛇行し続けたことと、フィリピン付近の積雲対流活動が平年より活発だったことが影響しました。
 さらに、地球温暖化を反映した気温の長期的な上昇傾向に加え、今春以降持続的に、北半球中緯度域で対流圏の気温が全体的に顕著に高いことも、記録的な高温に影響しました。この一因として、北半球熱帯付近の海面水温が平年より高く、積雲対流活動が北半球側で平年より活発だったことが挙げられます。


詳細は下記の「資料全文」をご参照ください。

なお、異常気象分析検討会(臨時会)の議事概要は、後日、異常気象分析検討会のページに掲載します。

問い合わせ先

予報部 予報課
    担当 足立 電話03-3212-8341(内線3132) FAX 03-3211-8303

地球環境・海洋部 気候情報課 異常気象情報センター
    担当 新保  電話03-3212-8341(内線3158) FAX 03-3211-8406

資料全文

※別紙9ページの図1-3-3の説明文を修正しました(正:平年比 → 基準値との比)(平成30年8月21日)

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