(解説)地殻内の地震活動の評価
コメント文の第二パラグラフについての解説です。駿河トラフから静岡県の下に向かって沈み込むフィリピン海プレート(スラブ)上面よりも浅い部分(=大陸プレートの地殻内部)の地震活動についての評価になっています。
この領域では、スラブ内に先立ち、1996年頃から地震活動の静穏化が認められてきました。これをコメントでは「やや活動の低い状態」と表現しています。地震回数積算図には、静穏化が始まった以降の1997年からの活動のみがプロットされていますので、静かなりに定常的な、おおむね曲線の傾き一定で推移していました。1996年以前の活動状況に戻る場合には、地震回数積算図の曲線の傾きが急になりますが、最近3ヶ月位だけに注目すると、若干発生頻度が多くなっているようにも見えるため、それを「最近は回復する傾向も認められます」と表現しているわけです。
そうした中、7月25日から、大井川下流付近の地殻内を震源とする地震活動が発生し、継続しています。現在(7月31日正午)までのところ、最大のMは3.1(3箇所で震度1を観測しました)と活動自体は小規模です。ただ、地震の起きている深さが19km位と、プレート境界に近いと考えられることや、地震の発震機構(地震のもとになった断層の傾きやすべり方向を表します)を調べてみると、低角(約10°)の逆断層(図上段右の「P波初動の発震機構」参照)という、想定される東海地震とほぼ同じ発震機構であり、比較的珍しいものであることから注目しています。この活動は、ただちに東海地震に結びつくものではないと判断されますが、気象庁ではこうした非常に小規模な地震活動であっても、注意して監視を行っています。
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