(解説)フィリピン海プレート内部の地震活動の評価
コメント文の第一パラグラフについての解説です。駿河トラフから静岡県の下に向かって沈み込むフィリピン海プレート(スラブ)内部の地震活動に関する評価になっています。
この領域では、1999年の半ば頃から、地震活動がそれ以前と比べて低下する「地震活動の静穏化」が観測され注目されてきました。大地震が発生する前には、その周辺域で地震活動が低下することがあることが知られており、この現象が東海地震の前兆現象である可能性もあるため、気象庁では注意深く監視を行っています。
ページの右側に「地震回数積算図」と表題のついた図があります。これは、その左の震央プロット図の中の、長方形で囲まれた領域(東海地震の震源となる領域と考えられています)内の地震が、時間とともにどのように発生しているかを表しています。もしも地震の発生する頻度が時間的に一定なら、グラフは右上がりの一直線となるはずです。しかし、実際にはそうはなっておらず、1999年半ばあたりからカーブの傾きが小さくなっています。これは、地震の発生頻度がそれまでより減っていることを表します。こうした現象は「地震活動の静穏化」と呼ばれています。
昨年になってから、ややこのカーブが上向いてきており、地震発生回数の少ない月を挟みながら、今年に入ってからは、1999年半ば以前の平均的な回数の地震を観測しました。地震回数積算図を見ても、M2以上(上図)、Mすべて(下図)ともに、カーブの傾きは1999年半ば以前の傾きに戻りつつありました。
そうした中、4月3日のM5.1の地震をはじめとして、スラブ内の静岡県中部で地震活動が活発化しました。地震回数積算図の最後の部分の2段階に分かれた「跳ね上がり」がこれらの活動に対応します。この一連の活動は減衰していますが、矩形内の領域全体で見ると、最近の地震回数積算図の傾きは1999年半ばの静穏化の始まり以前の傾向よりもやや急になっているように見えます。これをコメントでは、「最近はやや多い状態が続いています」と表現しています。
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