平成12年8月31日 21:45

気 象 庁

三宅島の火山活動について



 三宅島の火山活動に関する本日の火山噴火予知連絡会の検討結果は次のとおりです。

 三宅島では、山頂での噴火が断続的に発生しています。

 8月18日の噴火後は、山頂火口内の複数の噴出口から土砂の噴出や噴石の放出が認められ、火山性微動の増大と数秒おきのパルス状の空振が観測されるようになりました。また、二酸化硫黄の放出が続いています。地震は少ない状態です。三宅島の収縮を示す地殻変動は依然として継続しています。

 8月29日04時30分頃から始まった噴火は、8月18日に次ぐ規模でした。この噴火で、北東側と南西側に向かって弱い火砕流が発生し、それぞれ5km、3km流れました。そのうち、北東側の火砕流は海まで達しました。麓におけるその温度は30度程度、速度は時速10km程度で、低温で勢いのなにものであったと考えられます。この噴火の顕著な前兆は観測されませんでした。放出された火山灰に付着したガス成分は8月18日と異なり、塩化水素が多くなりました。

 地殻変動、地震、噴出物、火山ガス等のデータからみて、7月中旬以降の山頂噴火の仕組みとしては、陥没に伴って形成された熱水系の不安定による可能性もありますが、上昇してきたマグマと地下水の接触による可能性もあります。

 当面は、8月18日及び29日と同程度がこれをやや上回る規模の噴火が繰り返される可能性があります。火砕流に警戒が必要です。特に、マグマが直接関与している場合は、将来、より強い火砕流になる可能性があります。

 噴石、泥流、火山ガスに対する注意が必要です。

 現段階では、山麓での噴火の可能性はありません。


資料1:三宅島の日別地震回数(平成12年7月00時~)[PDFファイル:21KB]

資料2:三宅島空振/微動/噴煙/時別地震回数[PDFファイル:21KB]

資料3:三宅島直下の地震分布(8月10日~30日)(東京大学地震研究所)[PDFファイル:31KB] 

資料4:最近10日の傾斜変動図8月21日~8月30日(防災科学技術研究所)[PDFファイル:23KB] 

資料5:基線図(建設省国土地理院)[PDFファイル:29KB]

資料6:基線長変化グラフ(建設省国土地理院)[PDFファイル:58KB]

資料7:気温・露点温度・湿度グラフ10秒データ2000年08月29日(三宅島測候所)[PDFファイル:42KB]

資料8:8月29日噴出物の分布と火砕サージの到着範囲(東京大学地震研究所)[PDFファイル:16KB]

資料9:三宅島写真(東京大学地震研究所)[PDFファイル:37KB]

資料10:8月29日火山灰の水溶性付着成分について(東京工大火山流体研究センター)[PDFファイル:23KB]

資料11:三宅島火山マグマプロセス簡略図(地質調査所)[PDFファイル:34KB]

資料12:水蒸気/マグマ水蒸気爆発のメカニズム(熱水相転移モデル)(東京大学地震研究所)[PDFファイル:21KB]