長官記者会見要旨(平成28年1月21日)
会見日時等
平成28年1月21日(木) 14時00分~14時10分
於:気象庁会見室
発言要旨
本日は、まず大雪や暴風等への留意事項についてお話ししたいと思います。
先週までは、全体として暖冬傾向で雪の少ない状況が続いておりましたが、一変して日本付近に寒気が南下しやすい気象状況に変わりました。
今週日曜日(1/17)から月曜日(1/18)にかけて、低気圧が発達しながら本州の太平洋岸に沿って進み、東日本や北日本の内陸部や山沿いを中心に湿った雪が降り、首都圏でも積雪となりました。
また、低気圧の通過後は、強い冬型の気圧配置となって、日本海側を中心に大雪となり、広い範囲で暴風や大しけとなりました。
国土交通省では、今般の大雪や猛吹雪に関し、雪が予想される前日の17日(日)に緊急発表を行ったところですが、報道機関の皆様におかれましては、大雪や暴風等への注意・警戒を繰り返し呼びかけていただき感謝申し上げます。
現在、一時的に冬型の気圧配置がやや緩んだ状況となっていますが、今週末には、一段と強い寒気が南下し、冬型の気圧配置が強まるおそれがあります。
雪下ろしや除雪等における事故、交通障害、さらに冬山での遭難等、雪による災害や事故を防ぐため、気象台が発表する大雪や暴風雪等の警報等の最新の情報に十分ご注意いただきまして、万全の対策をとっていただきたいと思います。
次に年頭にあたりまして、本年の抱負についてお話ししたいと思います。
まず気象の分野においては、昨年、交通政策審議会気象分科会において「『新たなステージ』に対応した防災気象情報と観測・予測技術のあり方」について提言を取りまとめていただいたところです。本年は、これを受けた防災気象情報の改善を順次実現してまいります。加えて、中長期的な技術の向上についても、研究から実用化までを担う気象庁の総合力を発揮しつつ、全力で取り組んでまいります。また、本年は「ひまわり9号」の打上げが予定されています。これにより、「ひまわり8号」との2機体制を確立できるよう、着実に準備を進めてまいります。
次に火山の分野においては、昨年3月の火山噴火予知連絡会の検討会及び中央防災会議のワーキンググループよりいただいたご提言を受けて、火口付近への観測施設の整備等の観測体制の強化や「噴火速報」の発表開始等、情報提供の改善を着実に進めてまいりました。本年は、火山監視・観測・活動評価体制の強化のため、組織・定員の拡充を図るとともに、火山監視・情報センターシステムの更新・強化を進めてまいります。これにより、火山現象による災害の防止・軽減を推進してまいります。
地球環境・海洋分野では、昨年11月に気候変動の影響への適応計画が閣議決定され、国内の様々な分野や自治体等において適応策の策定・実施が始まっています。これらに対する支援に取り組んでまいります。
最後となりましたが、新しい年を迎え、我々の発信する防災気象情報を広く国民の皆様に活用いただき、多発する自然災害の脅威から国民の生命・財産を守るため、我々気象庁職員一同、決意を新たに一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
適時の防災情報の周知はもちろんのこと、防災知識の普及の点からも、報道機関の皆様のご協力が必要となりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
以上です。
主な質疑応答
Q 18日から強い冬型の気圧配置となって、首都圏等でハウスの倒壊の被害が相次いだと思いますが、農業気象について力を入れたいこと等がございましたら教えてください。
A 雪の災害については、農業施設では雪に弱い施設もございますので、それについては、一般の雪に関する警報や情報等の中で、農業施設への注意・警戒を呼びかけているところです。農業全体について、雪に拘らない点で広く言いますと、農研機構等と協力しながら農作物への気象の影響に対する適切な情報提供、あるいはそれを受けた農業の管理等について、農研の方々と協力しながら進めているところですので、さらに進めていければと考えております。
Q 来月以降の会見でもお話いただくかと思いますが、今年は震災から5年という年でもあるかと思いますが、東日本大震災を受けて、気象庁として、今年特に、5年という節目に合わせて強化していきたい分野、あるいは取り組みを進めていきたい分野を教えていただけますでしょうか。
A 東日本大震災で言いますと、津波で当時課題となったのは、警報の発表の仕方の中で、3メートルとか5メートルという数字で表せない部分、マグニチュード8を遥かに超えるような先般の地震のような場合に、あえて予測の数値を発表しないことにしたわけですが、それについてはもう実現しておりますし、さらに今既に実現しつつあるのは、地震活動等総合監視システム、EPOSと言いますが、これの更新・強化を、本庁の分は既に終了し、年度内に大阪のシステム、ご存知のとおり、完全デュアルシステムでやっておりますので、両方同じものを整備しているわけですが、これを整備することによって、他機関の、海底地震計・津波計等のデータが大幅に増強されることになっていますので、そういうデータをしっかり取り込んで、津波に関する情報、沖合での津波情報を迅速に提供すること、これが、先ほどの津波警報の「巨大」ということと併せて、観測の実況の速報をいかに早くするかというところを実現していくということが一つです。そして、その沖合の地震計、S-net(日本海溝海底地震津波観測網)等ですが、そういう海底地震計あるいは海底津波計のデータを使うことによって、津波計を使うことによって津波の実況値が、20分程度場合によっては早くなるということですし、地震計のデータを使うことによって、緊急地震速報が場所によってはかなり早くなり、当然精度も上がっていくということですので、迅速性と正確性の両立を一層進めていくこと、これは既に取り組んでいるところでまもなく実現することですが、これをしっかりと安定的に運用していきたいと考えています。
(以上)