日本近海でも海洋酸性化が進行

報道発表日

令和3年3月19日

概要

海洋生態系に大きな影響を与えることが懸念されている海洋酸性化の状況について調査した結果、日本近海では、世界と同程度の速さで海洋酸性化が進行していることが分かりました。

本文

化石燃料の燃焼などにより人為的に大気中に排出された二酸化炭素のおよそ30%は海洋に吸収されています。二酸化炭素が海水に溶けることにより、長期的に海水のpHは少しずつ低下(酸性化)しており、これを海洋酸性化と呼んでいます。海洋酸性化が進むと、サンゴや貝類などの海洋生物が炭酸カルシウムの骨格や殻を作ることを阻害されるなど、海洋の生態系に大きな影響を与えることが懸念されています。
今回、海洋観測で得られたデータを用いて、日本の近海の海面付近のpHの変化の状況を日本南方、関東沖、北海道周辺・日本東方、日本海、九州・沖縄の5海域に分けて調査しました。これまで観測データの不足から日本近海の海洋酸性化の実態は詳細に把握できていませんでしたが、近年、気象庁海洋気象観測船をはじめ、これらの海域での観測データが増えてきたことを受け、過去に遡って海面のpHを推定する手法を開発し、日本近海の海洋酸性化の実態把握が可能となりました。いずれの海域においても、海面付近で酸性化が進んでおり、日本近海で平均すると1998年から2020年にかけて10年あたり約0.02の速度でpHが低下していることが明らかになりました。
このpH低下速度は、世界平均の速さ(10年あたりおよそ0.02低下)と同程度です(「日本の気候変動2020」)。
本情報の詳細については、気象庁ホームページの海洋の健康診断表のページにおいて公開するとともに、定期的に更新していきます。日本国内の気候変動の影響評価や適応策検討等のため、今後とも海洋酸性化を含め気候変動に関する状況を監視していきます。
各海域の低下率とグラフ
図:日本近海各海域の10年あたりのpH低下率
(a)~(e)の各海域及び日本近海の平均pHの変化

問合せ先

気象庁 大気海洋部 環境・海洋気象課  担当 増田・飯田
電話:03-6758-3900(内線4682・4677) FAX:03-3434-9125 

資料全文


Adobe Reader

このサイトには、Adobe社Adobe Acrobat Reader DCが必要なページがあります。
お持ちでない方は左のアイコンよりダウンロードをお願いいたします。

このページのトップへ