平成13年10月22日
                                    気  象  庁


       三宅島の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解

 三宅島では、山頂火口から二酸化硫黄を多量に含む火山ガスが依然として放出され続けています。

 山頂火口からは、昨年10月以降、白色の噴煙が連続的に放出されてきました。

 噴煙に含まれる二酸化硫黄の放出量は、変動はあるものの、長期的には減少傾向にあります。
 
 しかし、1日あたり約1〜2万トン程度の高い値を現在も保持しています。

 今年に入ってから、少量の火山灰を出す小規模な噴火が発生するようになり、5月以降も多い時

 で月に数回の発生が見られました。9月末から10月にかけて、小規模な噴火の頻度が一時的に高

 まり、火口の温度上昇と二酸化硫黄の放出量増加が観測されました。

 しかし、火山ガスの組成はほぼ一定に保たれています。

 火口直下の火山性地震は継続しています。本年3月以降は、低周波地震や微動が時々多発するよ

 うになり、空振や小規模な噴火を伴うことがあります。

 収縮を示していた島内の地殻変動は、本年7月以降は鈍化しながらも継続しています。

 全磁力の変化は、6月から8月にかけて、地下の温度低下の変化を示していましたが、それ以降

 はその変化が鈍化しています。

  以上のことから、地下のマグマの状態に大きな変化はなく、火山ガスの放出を含めて、火山

 の活動は全体として低下途上にあると考えられます。この過程で浅部火道が部分的に閉塞され

 ると、降灰をもたらす小規模な噴火や火山ガス放出量の多少の変動が発生すると考えられます。

 9月末から10月にかけての活動もこのような機構によるものと解釈されます。

  今後も、少量の降灰をもたらす小規模な噴火は発生する可能性がありますが、山麓に災害を

 起こすような規模の大きな噴火の可能性を示す観測結果は得られていません。

  火山ガスの放出量は、今後ともゆるやかに低下していくと予想されますが、現在も高い値を

 保持していることから、引き続き火山ガスに対する警戒が必要です。

 また、これまでに堆積した火山灰により、雨による泥流にも引き続き注意が必要です。

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