平成13年2月5日
                               気  象  庁


       三宅島の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解


 三宅島では、多量の火山ガスを山頂火口から放出する火山活動が続いています。

 10月以降は、噴煙が連続的に噴出されているものの、顕著な噴火は発生していま
せん。火口近傍を除き、降灰もほとんど認められなくなりました。
 火口内の噴出口の表面温度は12月まで上昇し、12月下旬に400℃近い高温が
観測され、これに伴い夜間には火映現象も観測されました。しかし、火映現象は1月
下旬には観測されなくなりました。
 7月に始まった三宅島の収縮を示す地殻変動は鈍化しましたが、わずかながら続い
ています。9月以降、火山性地震の回数は少なく、火山性微動の振幅も小さい状態で
す。一方で、数は多くないものの、1月下旬には浅部で低周波地震が発生しました。
 
 山頂火口から噴出される噴煙の高さは数百~2000メートルで、二酸化硫黄の放
出量は、9月以降、1日あたり約2~5万トン程度の高い値を保持しています。山麓
でも、気象条件によっては、高い濃度の二酸化硫黄が観測されています。
 火山ガス中の二酸化硫黄の起源は、大部分がマグマからの脱ガスによるものと考え
られます。現在のところ、二酸化硫黄放出量の低下を示す兆候は観測されていません。
また、地震波の減衰などから、マグマだまりの体積は10立方キロメートルを超える
という見積もりもあります。

 多量の火山ガスを放出する活動は今後も続くと考えられますので、火山ガスに対す
る警戒が必要です。また、雨による泥流にも注意が必要です。


資料1:三宅島の火山活動経過図
資料2:三宅島の地震活動(2000.10~2001.1)
資料3:三宅島の低周波地震(2000.10~2001.1)
資料4:三宅島GPS観測結果
資料5:三宅島火山2000年噴火における噴出物の硫黄同位体比の時間変化(東京大学大学院理学系研究科東京大学地震研究所)
資料6:地震波形の減衰から推定した地震波減衰領域(東京大学地震研究所)