平成12年11月1日 19:15

気 象 庁

三宅島の火山活動に関する
火山噴火予知連絡会統一見解



 三宅島では、9月以降、多量の火山ガスを山頂火口から放出する火山活動が続いています。

 島内の火山性地震の回数は9月以降次第に減少し、火山性微動や空振の振幅も小さい状態です。7月から続いていた三宅島の収縮を示す地殻変動は、9月以降次第に鈍化し、現在はほぼ停滞しています。全磁力も8月下旬から変化は停滞しています。

 8月29日の噴火以後は、山頂火口から噴煙が連続的に噴出されているものの、火口の外に噴石を降らせるような噴火は見られなくなりました。噴煙の高度は、数百~2000m前後で、10月以降低くなる傾向にあります。噴煙には9月上旬まで火山灰の混入が顕著に認められましたが、10月以降は火山灰は認められなくなりました。

 一方、火山ガスの放出量は、8月下旬以降次第に増加しており、9月~10月は、1日あたり約2~5万トン程度の二酸化硫黄の放出が観測されており、世界の活動的な火山と比較しても非常に高い値を保っています。10月下旬に行った観測では、二酸化炭素の放出量も高いことが確認されています。

 以上の観測結果は、顕著な地震活動や地殻変動を伴わずにマグマからの脱ガスが続いており、火山の地下の状態がほぼ安定していることを示すと考えられます。このような脱ガス状態が続く限り、山麓に噴石や火砕流を出すような爆発的噴火が発生する可能性は低いと考えられます。

 当面は、現在のような多量の火山ガスを放出する活動が続くと考えられますので、火山ガスに対する警戒が必要です。また、雨による泥流にも注意が必要です。


資料1:三宅島火山活動経過図(7月1日~10月30日)(PDF:47KB)

資料2:COSPECによる三宅島火山のSO2放出量通産省工業技術院地質調査所(PDF:29KB)

資料3:気象庁GPS観測結果/気象庁GPS観測点配置図(PDF:160KB)

資料4:基線長変化グラフ(期間2000年6月20日~10月25日)海上保安庁(PDF:88KB)

資料5:三宅島雄山全磁力(日平均・0時-4時平均)/三宅島雄山南部の全磁力変化(0時-4時平均)東京大学地震研究所(PDF:33KB)

資料6:2000年7月11日から9月5日までの変化/ダイク閉口モデル計算値/三宅島島内の重力の時間変化/ダイク閉口モデル計算値東京大学地震研究所(JPG:128KB)

資料7:三宅島2000年噴火の推移東京大学地震研究所(PDF:27KB)

資料8:10月上~中旬のカルデラ内部の地形(概念図)東京大学地震研究所(PDF:68KB)