長官会見要旨 (令和4年1月19日)

会見日時等

令和4年1月19日 14時00分~14時40分
於:気象庁会見室


発言要旨

   冒頭私から3点述べさせていただきます。

   1点目は、トンガ諸島付近の火山噴火に伴う潮位変化についてです。
   1月15日13時頃にトンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山で大規模な噴火が発生しました。噴火発生後、周辺海域で潮位変化が観測されていたことから、気象庁では、日本へ津波の伝わる経路上にある国外の津波観測点を監視しておりました。これらの観測点で大きな潮位変化が無かったことから、15日19時03分に、「太平洋沿岸に若干の海面変動が予想されるものの、津波による被害の心配はない」旨の情報発表を行いました。
   その後、15日20時、午後8時頃から日本各地で大きな潮位変化が観測され始めました。この潮位変化は、津波として計算した到達予想時刻よりかなり早く観測されたこと、これに先だって気圧の急変が見られたことなどから、地震に伴い発生する通常の津波とは異なるものと判断しました。
   この潮位変化がどういった現象によるものか不明ではありましたが、被害の可能性があったため、国民の皆様に安全の確保と警戒を呼び掛ける必要がありました。そのため、津波警報の仕組みを使って防災対応を呼びかけることとして、16日00時15分に津波警報、注意報を発表しました。
   この様な潮位の変化を観測したのは気象庁にとって初めてのことでしたが、今回は津波警報・注意報の仕組みを使って情報を提供しました。そして、残念ながら、それは実際に潮位変化が観測されてからであり、最初の変化が観測されてから、警報・注意報の発表まで、かなり時間を要しました。こうしたことを受け、今後、同様の現象が起こった際にどのように対応すべきか、しっかり検討していきたいと考えています。検討にあたっては、有識者の皆様の知見も頂きながら、まずは、今回の潮位変化のメカニズム等の分析をしっかり行うとともに、このような通常の津波とは違う潮位変化に対して、警戒の呼びかけ方や情報提供のあり方についても検討してまいります。
   当面、同様な事例が発生した際には、今回同様、津波警報や注意報の仕組みを用いて警戒をよびかけたいと考えていますが、今回の経験を踏まえ、より早い段階で津波警報・注意報を発表できるようにして参りたいと考えています。

   2点目は新たな検討会の開催についてです。
   先日、17日に報道発表しておりますとおり、24日に「防災気象情報に関する検討会」という新しい検討会を開催する予定です。
   この検討会は昨年4月に「防災気象情報の伝え方に関する検討会」から提言をいただきました、「防災情報全体の体系整理、及び個々の防災気象情報の抜本的な見直しを行うべき時期に来たと捉え、中長期的に腰を据えて検討していくべき」ということを受けて、新たに開催するものです。気象庁としても、これまで防災気象情報の課題が明らかになるたびに個別に改善を繰り返した結果、一つ一つは改善につながっていると考えていますが、情報体系全体を俯瞰すると複雑になってしまっていると認識しています。
   この検討会は、国土交通省水管理・国土保全局と気象庁が共同で事務局を務め、学識者や報道関係者、ネットメディア、気象キャスター、関係省庁の皆様に委員として参加をいただきます。検討の方向性としては、伝え方検討会の提言に従い、警戒レベルを軸として体系を整理するとともに、個々の防災気象情報の発表の手法や基準について見直していきたいと考えており、この検討を通して防災気象情報の改善にしっかり取り組んでまいりたいと考えています。
   また、併せて、この検討会では線状降水帯の予測について、今年度、その第一歩を踏み出すということとしており、その予測をどのようにお伝えし、お使いいただくのが有効かということについても、ご検討いただきたいと考えております。

   最後3点目です。17日に設立いたしました気象防災アドバイザー推進ネットワークについてです。
   気象庁では、地域防災力の一層の強化を目指すために、「気象防災アドバイザー」の取組を推進しているところです。地域の防災力の向上のためには、私たち気象台も、わかりやすい情報提供ということに努めてまいりますが、市町村においても、その情報を読み解き、適切な防災対応をとっていただく必要があります。この市町村における情報の読み解きなどに、地元の気象に精通して、防災の知見も兼ね備えた気象台のOB/OGや気象予報士のみなさんに活躍していただきたいというのが気象防災アドバイザーの考え方です。気象防災アドバイザーには、自治体において、気象台からの情報を読み解き、気象の状況や地域の状況に応じてきめ細かい助言を行っていくという役割を期待しています。
   アドバイザーの市町村での活躍も少しずつ拡がりをみせているところですが、さらなる充実をめざしたいと考えています。このため、令和4年度の予算案においても気象予報士を対象とした育成事業を盛り込んでいます。
   今回の「気象防災アドバイザー推進ネットワーク」の設置もその一環で、人材の確保やアドバイザー間での情報交換等を目的としています。全国の気象防災アドバイザーの方々や今後アドバイザーになっていただくような方々の間で、実際に自治体で活動されている気象防災アドバイザーの方々の活動状況などの情報交換を進めたいと考えております。こうした取り組みを進め、あわせて市町村への周知も進めて、気象防災アドバイザーの方々の活躍を一層拡げていきたいと考えております。

   私からは以上です。

質疑応答

Q : 先日は関東で大雪警報が発表されるような大雪となりました。全国的にも今年は雪が多い印象がありまして、これから一年で最も寒い時期になりますが、長官から雪への呼びかけがありましたらよろしくお願いします。
A : 先日、東京都千代田区でも10センチを超える積雪となり、関東地方南部を中心にまとまった雪になりました。12月の下旬以降、断続的に強い寒気が南下し、日本海側を中心に太平洋側の一部でも大雪になりました。
今後につきまして、1月15日からの1カ月予報では、西日本を中心に寒気の影響を受けやすい予報となっており、降雪量が西日本の日本海側で平年より多く、東日本の日本海側においても平年並かそれより多くなる見込みとなっています。
 すでにこれまで降った雪で平年を上回るような積雪となっている地域もあります。大雪になると交通障害などに加えて、場合によっては農業施設などへの被害のおそれや雪崩などにも注意が必要になります。
 今後も最新の情報にご留意いただき、早めの雪への対策をお願いしたいと思います。気象庁では、この冬から、これまでの積雪の分布に加えて6時間先までの積雪深や降雪量の予測を分布図の形で提供しています。また、地域によっては、大雪警報などに加えて、短時間の大雪で大規模な交通障害などが懸念される場合に一層の警戒を呼びかけることを目的として、「顕著な大雪に関する気象情報」を発表しております。これらの情報を有効にお使いいただきたいと思います。

Q : 15日のトンガ諸島付近の火山噴火について今後の対応をお尋ねします。有識者の方を交えてメカニズムを解明するという趣旨でお話いただきましたが、何か会議体を作るというご意向でしょうか。
A : 勉強会のようなものを立ち上げたいと考えています。まだ具体についてはお話できませんが、そのように考えています。

Q : 勉強会という形で検討されているのでしょうか。
A : 勉強会という形になるかどうかも含めて検討させていただいております。

Q : その会議体というものは、メカニズムの解明について話し合う場なのか、それともメカニズム解明に加えて今後の情報発信の在り方についても検討をする場なのか確認をさせてください。
A : 気象庁としては、メカニズムの解明とそれを踏まえた情報のあり方ということの両方を考えなければいけないと思っています。これを一つの会議体でできるのか、二つに分けた方がよろしいのかも含めてこれから検討したいと思います。

Q : 今回の現象について、長崎で発生する「あびき」と呼ばれる副振動に似た現象だという指摘も出ています。今後、メカニズムの解明が終わってからと思われますが、高潮警報・注意報といった気象の分野での情報発表ということも今後検討されるのでしょうか。
A : 既存の情報で発表するのか新しい情報とするのか、少し広い視野で選択肢を考えておきたいと思います。

Q : トンガ諸島付近の火山噴火について、15日13時頃の噴火では、当初トンガ周辺の観測点で高い波が観測されておらず、津波か分からなかったという事情もありましたが、結果的に津波警報・注意報の発表が16日00時15分と時間が経ってからの発表になりました。過去の経験やノウハウもない中で取り得る策を取ったのだと思いますが、こうした一連の対応をどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。何か反省点等あれば教えてください。
A : まさに私たちがこれまで経験したことのない潮位の変化が現れたということで、それが何なのか分からないままにどのように警戒を呼びかけるのかを考えるのにそれだけの時間を要したということです。今度同じようなことが起こった時には、今回のことを踏まえてより迅速に情報を発表していきたいと思っております。

Q : 今回、日付変わりの夜中の発表となったため、自治体によっては避難指示が遅れたところもあったり、実際に避難指示に基づいて避難できなかった住民もいたかと思います。結果的に情報が遅くなったことに対して何かコメントはありますか。
A : 分からない現象だということであったにせよ、私たち、情報を提供して皆さんの暮らしや命を守るという立場からすれば、残念なことだと受け止めています。先ほど申しましたように、この経験を踏まえて、より良い情報発表というのを心がけていきたいと思います。

Q : 先ほど長官のお話の中で、同様な現象が発生した場合はより早い段階で発表したいとのことでした。とは言え、そうそう起きる現象ではありませんが、今回の例で、より早く発表することがどこかのタイミングで出来たのではないでしょうか。例えば、父島の二見港で、本来の津波であれば22時頃に到達予測していましたが、実際は20時前に潮位変化として表れました。そのタイミングで、発表をもう少し早められた可能性はなかったでしょうか。
A : 通常の津波ではないことが分かったということに対し、機械的に津波警報・注意報として発表するかどうかを検討し、判断したということは、その時点の現場としては最善の対応だったと思います。今度、同様の事象が起こった場合には、こういうことが起こりうるということを学んだので、同様の観測値が得られたら、できるだけ早くそのことについてお伝えしていきたいと思います。

Q : 今回も実況を見てからの警報の判断という事後的な運用になったかと思いますが、現状では、今後の取り得る策も今回とあまり変わらないのでしょうか。
A : メカニズムが分からない中で、到達前に予測して発表するのは難しいと思っています。今後は、今回と同じことが起こりうることが分かっているので、実際に観測がされれば、その時点で情報を発表していきたいと思っています。

Q : 前置きをしますが、予想外のことが起きたりするのは、自然現象なので、気象庁の責任ではありません。そこを踏まえたうえで、現時点での振り返りの質問となりますが、最初に19時過ぎの段階で「太平洋沿岸に若干の海面変動が予想されるものの、津波による被害の心配はない」旨の発表をしていた状況のなか、20時以降に潮位変化が観測されました。このような場合、00時15分に発表した津波警報・注意報までの間に、19時過ぎに発表した情報を修正する必要があったのではないかと思います。例えば、22時または23時頃に緊急の記者会見や共同取材等を開いて、「19時に発表した時とは違う現象が既に観測され始めています。19時ごろに発表した通り若干の海面変動で済むかもしれません。または、現象としては津波と同じようなことが起きていると推定されるので、津波警報・注意報の仕組みを使って何か情報を出すかもしれません。」というように、とにかく19時過ぎに発表したこととは違う展開になっている旨を知らせる必要があったと思いますがいかがでしょうか。
A : ごもっともなご意見だと思います。そういう選択肢もあり得たと思います。先ほど申し上げました、今後同じようなことが起きたら観測値を見て判断するというのは、今回と同じように火山が噴火して津波が予測される到達時刻よりも早く海面が変動し始めたということになれば、今回と同じことが起こっているに違いないとして注意報や警報を発表していくということです。一方、次に起こることが今回と同じとは限らず、また我々が経験していない現象によって警戒を要する事態になるかもしれません。その時に、今回の経験を踏まえて何ができるのかといったことを予め準備をしておくということも必要になってこようかと思います。

Q : 過去の遠地津波の場合に、これから情報を発表する旨や修正する旨を数回に分けて会見を行ったこともありましたので、会見や共同取材等をこまめに開催すべきと思います。また、15日の現象を津波と呼ぶか呼ばないかについてお伺いします。防災対応として津波と同じであるとして津波警報・注意報を発表しましたが、今後もこれを潮位変化と呼び続けるのには疑問を感じます。国の省庁や自治体が15日の現象を何と呼ぶのか何らか整理をしていただく必要があると思います。ちなみに、総務省消防庁は被害状況の取りまとめ時に津波被害というタイトルを使っています。私は、今回の現象が津波か高潮かと言われれば、津波よりだと思います。気象津波という言葉もあり、研究者によって津波の一種とみなす方もいますが、学術上の見解とは別に、気象庁は線状降水帯の定義を独自に決めている実績もありますので、今回も同じような対応として、有識者会議の結論が出るまでは、気象庁として、15日の現象をとりあえず津波とみなすという整理の仕方もあると思うのですがいかがでしょうか。
A : 15日の現象が津波であるかどうかを学術的に判断することとは別に、何らか統一した名称で今回の現象を指し示した方が良いのではないかというご指摘かと思いますが、そのことも含めてまずは気象庁内で考えたいと思います。今すぐ津波と呼ぶべきかどうかという判断はできませんが、15日の時点で申し上げたかったのは、一般的な津波とは違う性質のものだということを明らかにするために、あえて潮位の変化と申し上げました。今後の検討の結果として、こういうものを含めて津波と呼ぶべきだということになるかもしれませんし、新たな現象として名称がつくのかもしれません。これから検討していきたいと思っています。

Q : 国や自治体には津波対応のマニュアルがあります。場合によっては、法的な枠組みの中にも津波への対策はあると思われます。15日の現象がそういうものに該当するのか該当しないかというのは、大きな問題だと思います。また、今回のような現象が再び起こることは十分考えられるので、津波と見なすかどうかという点は早めに決めたほうが良いと思います。
A : そのような意味もあり、津波警報・注意報として警戒を呼びかけることにしたことが実情です。つまり、津波と捉えて対応を取っていただくため、津波警報・注意報の仕組みを使って警戒を呼びかけました。

Q : 伝播地点ではそれほどの振幅が観測されなかったという話がありました。一方、トンガの近くで最大15メートルの津波があったとか、あるいは各国では1メートル以上の津波があったという情報も入ってきています。こういった情報は、例えば太平洋津波警報センターなどと共有をされていたのか、また、こういった情報がもし早期に把握されていれば、今回の判断もまた違ったものになっていたのかなと感じるところですがいかがでしょうか。
A : 発生した直後に周辺の海域では潮位の変化がありました。これは気象庁も把握しておりましたので、それが日本にどのような影響を及ぼすかという観点で、噴火地点と日本の途中にある島々の潮位計のデータを監視していました。その途中では大きな潮位の変化がなかったので、日本への津波の影響は限定的と判断を行い、19時03分の情報発表に繋がったということです。他の周辺の海域で大きな潮位の変化があったことは把握をしておりました。

Q : トンガ付近の情報は、津波警報が出る前の判断には全く影響を及ぼさなかったということでよろしいのでしょうか。
A : そのような事実があったため、日本にも津波が来るかもしれないと想定しながら、日本までの途中の潮位変化を監視していました。結果的に、途中では潮位の変化が小さく、日本付近ではそれより相当大きな潮位の変化が観測されたということです。そのことも、いわゆる地震に伴う通常の津波との違う点になります。

Q : 会議体の設立を検討する話に絡みますが、今のところ気象庁としては、15日のトンガの火山活動に伴う潮位変化について、どのようなメカニズムで起きたかはまだ結論は出ておらず、有識者の方にご意見を伺い、最終的に一つの方向にまとめるのが今後の目的という理解でよろしいでしょうか。
A : その通りです。

Q : メカニズムの解明は、20時以降から潮位が高くなっていく全体のことを対象としているのか、警報が出る前の23時台の潮位の高まりについてのことのみを対象としているのか、つまり全体についての解明なのか一部についての解明なのかを教えていただきたいと思います。
A : 全体についてです。 

Q : トンガの津波の会議体の関連ですが、検討にどの程度時間かかるのか分かりませんが、メカニズムを解明した上で同じようなことがあった時にどういう情報を提供するかという結論が出るまでの間は、今回のような潮位に変化があった場合は観測したデータに基づいて今何が起きているかということを伝えるという2段階の対応を検討しているということでしょうか。
A : その通りですが、完全に2段階なのかは現時点では分かりません。当面と最終的なものの間の中間的な対応について、検討会の議論の中で出てくるかもしれません。少なくとも2段階の対応にはなると考えています。

Q : メカニズムの解明までに非常に時間を要すると思いますが、どの程度時間がかかると考えているのでしょうか。また、その後、情報の伝え方を決めるまでにはどの程度の時間がかかるのでしょうか。
A : 実際にメカニズムの提案があって、データを突き合わせたりしないと、最終的な結論までにどの程度の時間がかかるかはまだ分かりません。データの説明が全部できますという最終的な結論が出なくとも、情報の改善というのができる可能性もあるのではないかと思っています。

Q : 例えば、半年以内に一旦区切りをつけるといった目安みたいなのはないのでしょうか。
A : 現時点では具体的な期間を申し上げられません。

Q : 海外の情報の出し方等で参考になるものもあるのでしょうか。
A : 大いにあると思います

Q : モデルとなるようなところはありますか。
A : 実際に津波の警報を発表した国もありますが、どのような観測データや考え方に基づいて発表したのかが現時点では分かっておりませんので、そういったこともしっかり調査をしていきたいと思います。

Q : かなり大規模な噴火でしたので、短期的な気象への影響や、より長期の気候への影響について、影響は無さそうだという意見が強いようですが、これについてはいかがでしょうか。
A : 現時点で大気中にどの程度のものが噴出されたのか等、定量的な推定ができておりませんので、まずはしっかり監視を行い、その上で影響についても評価をしていくことになろうかと思います。

Q : トンガの噴火について伺います。過去の事例として、1991年に発生したピナトゥボ火山噴火では2年後の1993年に日本に冷夏をもたらしました。それが一因となって、国内では米の記録的な不作となりました。今回の噴火ではこのような影響を日本が受ける可能性がどの程度あるでしょうか。現時点でわかっていることがあれば教えてください。
A : 1991年のピナトゥボ火山噴火の時には二酸化硫黄というエーロゾルの元のようなものが一定量成層圏に注入されて、その結果最大1年間にわたって全世界の平均気温が約0.5度低下しました。今回の噴火でどの程度のエーロゾルが成層圏に注入されたかが分かりませんので、世界や日本の天候にどの程度影響があるかについて今のところ分かっていないのが現状です。今回の噴火に伴いエーロゾルがどのように変化していくかについて、これからしっかり監視をしていきたいと思っています。

Q : 今回の潮位の変化について、気象庁と同様に、過去には経験のないような変化が起きたという認識を示している国や機関はありますか。
A : 存じ上げておりません。地震火山部から補足はありますか。
(地震津波監視課)存じ上げているものはありません。

Q : 防災気象情報の検討会の方について伺います。去年も問題になりましたが、緊急速報メールのあり方についても検討課題に加えて、水局と一緒に検討を進めるというお考えはありますでしょうか。
A : この検討会は、基本的には、防災気象情報の体系整理の問題や線状降水帯の予測をどう伝えるかといったことについて、ご意見を伺う場と考えております。その関連で、緊急速報メールを使った情報提供についてもご意見がもしあればお聞きしていかなければいけないと考えておりますが、必ずしもそれを目的にした検討会という位置づけではありません。

Q : 議題の一つとして上がる可能性はあるでしょうか。
A : ご意見をいただく可能性はあるだろうと思っています。

Q : トンガ火山噴火の話に戻ってしまいますが、今後、有識者の方を交えた勉強会のような会議体も検討されるとのことですが、いつぐらいまでに立ち上げようと考えているなど、スケジュールで決まっていることがあれば教えていただければと思います。
A : 具体的には決まっていませんが、なるべく早く設立したいと考えています。

Q : 原因が何によるかは別として、今後同じような潮位の変化が認められた場合に早めに発表を心がけるというような方向性を先ほど示されました。今回の例では午後10時台に八丈島で津波注意報の発表基準を上回るような観測値が出ていました。今後、同じような時系列で推移した場合、その観測値を持って津波注意報を発表するという運用を目指すのでしょうか。
A : そのように考えています。

Q : 今後の検討課題の中で、火山噴火に起因するものに限らず、例えば海底地滑りなど地震によらない津波と思われるものについても、広く検討していくという考えでよろしいでしょうか。
A : 視野をどこまで広げるかについては、検討途上なので申し上げられませんが、専門家の方に集まっていただいて検討するので、十分な材料が得られるのであれば、一般的な結論を出していくことも選択肢としてはあるだろうと思います。どこまで広げて検討課題とするかについても検討したいと思います。

Q : 少し質問を変えると、観測値としていきなり大きな潮位変化が現れ、それをトリガーとして、原因によらずどう対応すべきかを広く考えるという視野は持っていますか。
A : 我々が分かっていない現象により潮位の変動が現れた時にどのように対応するかについては、しっかり検討していきたいと思っています。

Q : トンガの火山噴火についてですが、気象衛星ひまわりが噴火時の噴煙を捉えていたというお話がありました。再び噴火する可能性のようなものをひまわりから確認したり、研究したりすることは可能でしょうか。
A : 噴火した後の噴煙については気象衛星ひまわりで監視しています。ただし、ひまわりの画像から事前に噴火を確認するのは難しいと思います。

Q : 地震由来の津波に関しては、海底にも観測網がありますし、海上ブイ等から潮位変化を捉えて、アラートを早めに出せるような態勢を組んでいます。例えば、島原で山体崩壊して熊本の方に津波が来たという経験もしている中で、山体崩壊など火山由来の津波についてアラートを出せる状況にはあるのでしょうか。
A : 火山の噴火に伴って潮位の変化が現れた時には、津波警報を出すこととしていたと思いますが地震火山部どうでしょうか。
(地震津波監視課)火山噴火による津波も様々ございまして、先ほどの山体崩壊、地滑りや多量の噴出物があった場合の陥没による津波と様々なメカニズムがあるなかで、発生直後にはどの仕組みで津波が発生したかは即座には把握できない状況にあります。一方で火山の監視もしておりますので、例えば監視カメラ等何かの手段で何かが海中に流れ込んだことを確認できた、また、海中から噴火したことが確認できた等の潮位変化を引き起こしうる現象を確認できた場合には、津波警報・注意報を発表できるのではないかと考えております。

Q : 今回、潮位の変化が1メートルを超えたと確認してから警報・注意報が発表されました。過去にも山体崩壊や陥没とか様々なパターンで火山の場合でも津波が起こるという事実を把握しているのであれば、住民の命を守るという観点で、潮位の変化を待って発表するのではなく、その可能性はある旨を事前にアラートすることが必要ではないでしょうか。例えば火山由来のものであれば、潮位の変化の前に危ない旨を発表できる状態なのかを確認させてください。
A : 今回も噴火の後、周辺の海域で潮位の変化を観測していました。現実とは違いますが、仮に、日本ヘの経路上にある観測点で大きな潮位の変化があり、それが津波として伝わって来ていることが分かったのであれば、その時は津波注意報や警報を発表していたと思います。しかし、今回の場合、途中では大きな変化が観測されなかったので、津波の伝播とは違う現象が起きているのではないかと考えました。

Q : 遠地津波の場合には、途中の潮位変化で日本の沿岸に届く前にアラートを出せるのは理解できますが、国内の火山の場合、崩落によって潮位が変化したときにはもう遅いため、例えば対岸で大きな火山が崩れた場合には反対側に津波が来る旨の情報は出せる状況なのでしょうか。
A : 地震火山部からコメントできますか。
(地震津波監視課)火山の噴火等に伴い発生する津波について、即時に予測する手法が確立されていないのが現状です。気象庁では、地震の震源や規模に基づく津波の警報に加えて、沿岸や沖合に設置された観測機器により、潮位の変化を24時間体制で監視しており、顕著な潮位の変化が認められれば、それに応じて津波警報等を発表しています。加えて、火山活動が活発化した場合には、ひまわりによる観測や監視カメラの設置等により、観測を強化することで、噴火の状況などを迅速に把握することとしており、潮位の変化の可能性があれば、津波警報等を発表することとしています。

Q : 過去に島原等で被害を経験している以上、注意喚起として津波が来るかもしれない旨を発表できるシステムの構築を望みます。システマティックに発表するには、様々な計算やパラメータ調整など、様々なパターンがあるので一概には言えないかと思いますが、潮位が3メートルに到達したことを発表するのでは遅いため、火山由来の津波も津波防災という大きなくくりの中できちっと見直していくという考え方もお持ちにならないといけないと思います。また、経験値として積み上げていくべきと考えているので、潮位の変化を持ってアラートとすることにこだわらず、国内で大きな噴火があった場合には、噴火による被害とその後の津波による被害があることを頭の中に入れるべきということの周知徹底をしていくことも検討していただければとの意見と質問でした。
A : ごもっともなご意見だと思います。今回新たに設立する会議体のなかで議論すべきことかどうかも含めて検討しますが、何らかの事前の周知ができるのかについてもしっかり考えていきたいと思います。ありがとうございます。

Q : 確認です。例えば、八丈島で注意報の基準に達するような変化があった場合にはすぐに注意報を発表するというお話でしたが、そこまでいかなくとも想定よりも早く、または想定よりも大きい潮位変化が観測された時点で観測事実を発表することについても、会議体で検討するのでしょうか。
A : 含めて考えたいと思います。先に若干の海面変動と発表していたものと違う現象が現れた際に、そのことを津波警報・注意報であるかどうかは別として迅速にお知らせすべきではなかったかというご指摘がありました。このことに加え、今のご質問についても検討したいと思います。

Q : 当面の運用としては、そのような観測事実があった時点で情報を出すということでしょうか。
A : 情報を出すことについて検討したいと思います。

Q : 注意報基準を上回るような潮位の変化が観測されたらすぐに注意報を出すということはもう決まっているのでしょうか。
A : その通りです。

(以上)

このページのトップへ