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長官記者会見要旨(平成30年2月15日)

会見日時等

平成30年2月15日(木) 14時00分~14時29分
於:気象庁会見室


発言要旨

  よろしくお願いします。まず、1月23日に草津白根山が噴火しました。また、1月下旬から2月にかけては、強い冬型の気圧配置により各地で大雪となりました。噴火により、また大雪により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害にあわれた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

  私から3点お話させていただきます。

  まず、草津白根山についてです。1月23日、本白根山の鏡池付近で噴火が発生いたしました。その後も火山性地震の活動が継続している状況であり、噴火警戒レベル3(入山規制)を継続しているという状況です。本白根山鏡池付近からは、概ね2キロメートルの範囲で、噴火した場合に弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒する必要があること、また、風下側では火山灰だけではなく小さな噴石が風に流されて降るといったことに注意していただきたいと考えております。
  今回の噴火を受けて、気象庁では、本白根山の状況を把握するための監視カメラの設置、それから本白根山周辺に地震計や空振計を設置いたしまして、観測体制を強化しているところです。また、草津町に職員を派遣して、火山の活動状況などについて解説を行うなど、地元の防災対応を支援しているところです。引き続き、地元の自治体、そして大学等の関係機関と連携して適時的確な噴火警報等の発表に万全を期して参りたいと考えております。
  また、今回の草津白根山の噴火を踏まえて、昨日公表しましたように、火山噴火予知連絡会におきまして、草津白根山の観測体制及び活動評価を行うため、また全国の活火山の噴火履歴の精査と観測のあり方の検討を行うため、それぞれ「草津白根山部会」と「火山活動評価検討会」を開催して、検討を進めていくこととしております。

  次に大雪の件です。昨年12月以降、全国的にしばしば気温が低くなりまして、1月下旬、2月上旬など寒気のピーク時には大雪となった所がありました。2月3日から8日にかけては福井県福井市で37年ぶりに積雪が140センチを超えるなどの大雪となっております。昨年秋以降継続しているラニーニャ現象が、日本付近への寒気の流入の要因の一つと考えております。
  今月末にかけて、北日本を中心に引き続き寒気が流れ込みやすい状況が続くと予想しております。また、これから春に向けて、寒暖の差が大きくなっていく季節でもあります。気象台が発表する最新の気象情報に留意いただきまして、雪、風雪への万全の対策をとっていただくとともに、融雪やなだれについても十分に注意していただきたいと思います。

  最後に、航空機への情報提供についてです。航空機に対する気象情報に関する国際協力の枠組みについて、現在、シグメット情報というのがございます。積乱雲や上空の乱気流の発生状況が、航空機を安全に運航する上で欠かせない情報ですので、このシグメット情報を各国が国際的な取り決めに従って管制機関や航空会社に提供しているという状況がございます。
  近年、世界的な航空交通量の増加を背景として、より的確な情報の提供が求められるようになってきておりまして、気象庁では、東南アジアの5か国、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ、そしてベトナムですが、これらの国と当該地域の航空機に対する気象情報の高度化に向けた技術協力について共同で検討してまいりました。今般準備が整ったことから、3月には、東京で、これら各国、日本を含めて6か国ですが、長官級の会合を開催した後、4月からはこの共同の枠組みの中で、シグメット情報の提供を開始することとなりました。
  これにあたりまして、当庁の気象衛星ひまわり8号のデータ利用技術等を活かし、また、東南アジア航空路線における安全性はもちろん、経済性、定時性、快適性等の向上に貢献できればと考えております。

  私からは以上です。

主な質疑応答

Q :長官からもありましたが、福井の大雪、今年大雪による被害が大きかったと思うんですけど、大雪の際の気象庁の対応と振り返りを改めてお願いします。
A :今お話ありましたように、福井市などで大雪があり交通障害なども出たわけでございます。その際2月3日からの雪につきましては、日本海側を中心として、大雪が降ったわけでございますけれども、各地の気象台では、警報あるいは気象情報等を発表して警戒を呼びかけてまいりました。また、気象庁と国土交通省、そして、各地の気象台と地方整備局で共同いたしまして、大雪に対する緊急発表を行いまして、報道関係の皆様のご協力のもと、広く警戒を呼びかけたという状況でございます。特に記録的な大雪となりました福井県では2月6日に入りまして、積雪が急速に増加し、さらには降雪も予想されるという状況でございましたので、福井地方気象台から報道発表を行いまして大雪への一層の警戒を呼びかけました。また、福井地方気象台では、福井県庁に職員を派遣いたしまして、今後の見通しや想定される影響等をきめ細かく解説をいたしました。今回の大雪に関しましては、各地の気象台で警報、気象情報等を発表いたしまして、自治体等においては対応いただいたものとは考えております。一方で車両の立ち往生等の大きな社会的な影響となるような事態が生じたというところも事実でありまして、気象庁としましては、こうした大雪に際してどのような支援ができるか、道路関係者をはじめ、雪の対応を行う方々の意見を伺いながら振り返りをしてまいりたいというふうに考えております。

Q :先ほどの雪の関連なんですけれども、非常に予報が難しいということもあるとは思いますが、道路管理者との協力というのは、もう少し具体的に、実際これだけの立ち往生が発生しているという状況があるので、情報発信の仕方としては、どういったところを重視していくのかというのは何かありますか。
A :まず予報が難しいというお話がございました。降雪の予報につきましては、いわゆる冬型が発達して、日本海側を中心に雪が降るという場合と、東京等で降るいわゆる南岸低気圧に伴って降る場合がございます。1月からこの2月にかけまして、両方の現象があったということでございますけれども、例えば日本海側を中心として、冬型の気圧配置が強まる中で降る雪につきましては、異常天候早期警戒情報、5日先から14日先までを対象として大雪の可能性について発表する情報、あるいは週間予報等ではかなり精度よく大雪の可能性を予報できていたというように考えております。一方で、南岸低気圧については、大変予報が難しいというのは皆さんご存知の通りです。そういった予報の精度を踏まえつつ、例えば今回の福井の対応につきましては、予報としては全般的に当たっているのが、6日に入って急激に降雪が増えたあるいは積雪が増えた、降雪が予想されるという予報ができているのですけども、そこを関係者がどのようにうまく活用していく、あるいは私どもがどの程度きめ細かくサポートすることができるか、これについてはやはり先ほど申しましたように、道路関係者をはじめ、実際に対策を行う方のご意見を伺いながら私どもがもう少しどういう工夫ができるかということを考える必要があると思っておりますので、そのあたりは振り返り検証して、何ができるか考えていきたいというように思います。

Q :草津白根山の噴火の関係でお伺いしたいんですけれども、今回、噴火を予測していなかったところからの火山活動ということで、なかなか火山活動を捉えることの難しさというのは長官自身はお感じなっているところなのでしょうか。また、初動の対応として、噴火速報や噴火警戒レベルの上げ方ですとか、もう少し何かできることがあったとは何かお考えでしょうか。お聞かせください。
A :火山の現象を捉えて、把握し推移を予測していくということの中で、私どもは火山情報、噴火警報等を発表するということで進めてきております。お話のありましたように、今回の草津白根山では、近年の活動を踏まえて最も噴火の可能性の高い白根山の湯釜を中心として観測網を整備し、もちろん草津白根山というのは、白根山、本白根山等のいくつかの火山の総称でありますので、草津白根山を常時観測体制の下で監視をするという意味では、地下の活動についてはある程度把握できている状態であったということでございます。そういった中で最も噴火の可能性の高いと思っていた湯釜ではなくて、有史以来始めてのところで、本白根山の鏡池付近で噴火したということ、それから地下の活動は地震計や傾斜計、それからGNSS等が配置されておりますので、ある程度把握できている状況でありながら、特段の変化がないまま、1月の23日の09時59分から微動を観測して、噴火が始まったということになっておりますので、事前に特段の変化がないまま噴火が起こり得るということを改めて事実として突きつけられたといいますか、そういうことがあるということで、これらを踏まえた対応が必要ではないかというように思っております。
  それから初動の話がありました。今回の草津白根山におきましては監視カメラを向けていたのが、遠くから見えるようにしていたとはいえ、基本的には湯釜を向いていたということでございますので、そういった中で噴火の第一報を、火山性の微動、傾斜計の変化というものを踏まえて、地元草津町からの情報や東京工業大学からの情報等を見ながら判断をしてきたということがございまして、確か11時5分に噴火警戒レベルを1から2に、11時50分に噴火警戒レベルを2から3に上げたということになっております。レベルを上げるには、噴火の事実とどこで噴火したかがまず必要でありますので、情報をいただきながら精査をするのに、可能な限り速やかにやったのではないかと思っておりますけれども、今後はそういったことがあっても、もっと速やかに警報が出せるように工夫していく必要があるのだろうというように思います。
  それから噴火速報、いわゆる火山の周辺にいる方に噴火があったことをすばやく伝える仕組みを御嶽山の噴火を踏まえて立ち上げたわけでございますけども、カメラで監視をしながら、5分を目途に発表するという仕組みになっておりますので、今回それができなかったといいますのは、いま申しましたように、噴火の事実とどこで噴火があったかというのを捕らえてレベル2に上げる噴火警報を出すタイミングとほとんど変わらなくなってしまったということがありまして、今回は噴火速報が出せなかったということがありましたので、噴火速報につきましては、関係機関からの情報収集をあらためて点検あるいは強化をして、噴火があった事実を火山の周辺の方にすばやく伝えるということを、草津白根山についてはすでにやっておりますし、他の火山についてもそういうことをしていく必要があるというように思っております。
  それから噴火警戒レベルをどう上げるかにつきましても、先ほど申しました噴火警戒レベル2から3に上げたのが11時50分で、噴石がどこまで飛んでいるのか等のことも踏まえて、警戒範囲を再設定するという必要がありましたので、これもなかなか難しい作業があった中で可能な限り速やかに上げたと思っております。
  しかしながら、やはり常時観測を行っている活火山の中で、どこで噴火があって、どうなっているのかということをすばやく捉まえて、速報あるいは警戒レベルを上げていく必要があるというように思っておりまして、昨日公表させていただいておりますけれども、常時観測火山50につきましては、火山全体の中でこれまで噴火をした場所の履歴等を点検をして、何かがあった時にすばやく捉まえて把握できるかどうかという点検と調査をしていく必要があると思っておりますので、噴火予知連絡会の有識者の皆様の意見を伺いながら、そういった作業を進めてまいりたいと思っております。

Q :草津白根山の噴火の関連で、気象庁が発表している噴火警戒レベルとは別で、草津町の町長が草津白根山のレベルは1ですよということで、安全性をPRしたということがあったわけですけれども、認識が若干ずれていた部分も当初はあったようで、噴火した本白根山と元々警戒していた白根山は別々のレベルがあると町側は捉えていたそうですけれども、それは後々修正されたということですが、なぜこういった見解の相違が生まれてしまったのか、火山防災協議会で、いざというときにはこう対応しますよと、事前に話し合っていたはずが、なぜ、こういうずれが生じてしまったのかということと、あと融雪型泥流は発生しませんということも併せて広報しているわけなんですけれども、そういった科学的見解を行政が一方的に示すということは、本来あってはいけないというか、防災協議会の中で科学的裏づけを持って発表するという枠組みになっていたはずであるとは思うのですけれども、科学的な部分、観測している部分の情報提供している気象庁として、今後の火山防災協議会において、どのような気象庁の立場で運営を支えていくことが可能なのかということを2点お伺いしたいと思います。
A :草津白根山については、先程も申し上げましたように、近年活動が活発な湯釜を中心として、噴火警戒レベルを1、2、3という形で設定して、噴火前はレベル1の状態であったわけです。一方で、500m規制を町がしているというのは、みなさんご存知と思うんですけれどもそういった中で、今回、本白根山の方で噴火がありました。元々湯釜を火口と想定して、草津白根山に関する噴火警戒レベルを設定しているということでありましたから、私どもは今回の噴火に際して、それをそのまま準用して警戒レベル2は1キロ、3は2キロというようにして警戒範囲を運用したということであります。勿論、噴火警戒レベルの設定、どういったときに1とする、2とする、3とするということについては、今お話にありました火山防災協議会ともよく相談をして、その中でご了解いただいて、実際に時々刻々の活動に応じて気象庁がレベルを発表するという仕組みになっているということです。そういうことですので、現状において火口を分けて警戒レベルを設定しているわけではありませんので、そういう意味では、みなさんよくご存知であったんだろうと思います。一方で、湯釜が噴火したわけではないので、湯釜については引き続き活動が活発な兆候は見られないということは、正確にお伝えする必要があるんだろうと思っております。そのあたりをお伝えするというのは私どもも努力をしておりますし、町でもそのようにご理解をいただいていると考えております。
  火山でも地震でも気象でもそうですけれども、様々な研究者の方、あるいは関係者の方が分析をして、その成果や情報の提供をするというようなことはありますし、それを報道関係のみなさんがお伝えしていただいているということがあるので、それはそれである意味健全な姿だと思います。一方、防災対応という意味で、町や地域がどのように動くかということについては、火山防災協議会という枠組みがございますので、そういった中で然るべき協議、あるいは決定をいただいて動くという仕組みは、御嶽山噴火以降、できあがりつつあるわけですので、そういった仕組みの中で引き続き、火山に対する周知広報や防災体制を含めて、火山防災協議会の中で、進められていくということを期待しておりますし、私どももその一員としてしっかりと関わっていかなければならないと改めて思っております。

Q :変化球的な質問で恐縮ですが、蔵王山の呼び名の話で前もあったかと思うんですけども、地元の宮城県側、山形県側で首長達が合意して、今は「ざおうざん」ですけれども「ざおうさん」の呼び方もOKにしようということで合意して、国土地理院の方に、両論併記が技術的に可能だということで、手続きをするそうです。それについての受け止めと、仮にそうなった場合に今、レベル2の蔵王山ありますけども、そういうときに呼び方とか何か対応を変更する可能性は想定されているのか、その2点を伺います。
A :火山の名称につきましては、もちろん地元あるいは国土地理院もそうですけども、そういったものに準拠してやるということが基本だと思いますので、なるべくそれに沿う形でやっていく必要があるのではないかと思います。少し違う話になってしまうかもしれないですが、霧島山は知られているだけでも20を超える噴火口があって、既にレベル設定を3つのところでやっているのはご承知かと思うんですけれども、既に設定しているのが新燃岳、硫黄山と御鉢ということでそれぞれやっておりますので、技術的な観点、それから区別した方がわかりやすいという観点があれば、そういう実態を地域の防災協議会等の意見を聞きながら、必要な対応をするということになると思います。2つ目の質問が十分に捉えられなかったのですが。

Q :今、長官のおっしゃったことを踏まえると、蔵王山というのは実際に存在しないわけじゃないですか、連峰であって、御釜の想定火口の場合は五色岳とか、あと蔵王山で1841mというと熊野岳のことを指していると思うんですけど、地元の方は蔵王山と言わないでそれぞれ言っているわけです。そういう意味では実態を踏まえて、ということを考えますと、もう少し分かりやすい呼び方ということも火山の噴火に備えるためには、検討が必要ではないかと考えますがその辺はいかがでしょうか。
A :分離できるかどうかといった技術的な観点と、そもそもどこが噴くか分からない状態の中でなんという呼び名がいいかといったバランスの問題もありますので、よく地域の意見も聞きながら技術的にできることについてはやっていかなければならないだろうと思っています。箱根山の場合では、大涌谷周辺だけの活動だったのを、あたかも箱根山全体が危険なような印象を与えると、それは私どもも本意ではないので、呼び名やあるいは地図での示し方といった色んな工夫をすることで、例えば風評被害が発生しないようにするとか、より的確に対応頂くようにするとか、そういうことは絶えず考えていく必要があると考えています。


(以上)

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