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長官記者会見要旨(平成29年9月21日)

会見日時等

平成29年9月21日(木) 14時00分~14時32分
於:気象庁会見室


発言要旨

  それではよろしくお願いいたします。私の方から何点かお話をさせて頂きたいと思います。

  まず、はじめに、先週から今週明けにかけて、全国各地に被害をもたらしました台風第18号についてお話をさせていただきます。この台風第18号でございますけれども、先週13日水曜日に非常に強い勢力で宮古島付近を通過しました。その後に17日の日曜日の午前11時半頃には、鹿児島県南九州市付近に上陸ということでございます。その後、広い暴風域を伴ったまま日本列島に沿いまして北上し、西日本から東日本、そして北日本の広い範囲で暴風雨となりました。各地で浸水害、土砂災害、強風、突風による被害等も発生しているということでございます。今回の台風により、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された方に心よりお見舞いを申し上げます。この台風第18号の接近にあたりまして、気象庁では、報道関係の皆様のご協力を得まして、早い段階から警戒を強く呼びかけました。また、各地の気象台では、大雨・洪水の警報や土砂災害警戒情報等を発表いたしまして、また、自治体に対して状況の推移に応じまして直接電話連絡をするなど、一層厳重な警戒を呼びかけたところでございます。

  この台風の対応にも関連しますけれど、次に「地域における気象防災業務のあり方検討会」の報告があったということを補足させていただきます。気象庁では今回のような災害時において、より一層地域の気象防災に資するという観点から、外部の学識経験者等で構成される検討会を本年4月から7月にかけて計3回開催いたしまして、気象台の業務の方向性や取組について検討いただきました。8月10日にその報告書がまとまり報道発表いたしまして、皆様にもたくさん取り上げていただいたところでございます。その報告書の公表にあたりまして検討会の座長であります田中淳先生からは「平時から緊急時、災害後とPDCAサイクルを回しより良くしていくこと、特に『顔の見える関係の構築』、『予報解説能力の向上』、『振り返りの実施』、『協議会等の関係機関との連携』といった4点が重要である」とのご発言をいただいております。気象庁といたしましては、このご指摘、ご提言を踏まえまして、適時的確な防災気象情報の発表とともに、しっかりと関係する省庁・地元機関とも連携いたしまして、地域に寄り添い、報告書で示された内容に沿って自治体や住民等のみなさんの防災対応の支援に着実かつたゆむことなく取り組んでまいたいと考えております。

  次に、今月の27日で、平成26年の御嶽山の噴火から3年が経ちます。この噴火災害により、犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げ、ご遺族の方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。御嶽山では、先月8月21日に噴火警戒レベルが1となりました。地元では、今後登山道の復旧等を進めていくというようにお聞きしております。気象庁といたしましては、御嶽山の噴火を教訓に取り組んでまいりました観測・監視体制、情報提供の強化・改善によりまして、噴火災害の軽減に引き続き努めてまいりたいと考えております。

  最後に緊急地震速報についてお話をさせていただきます。この緊急地震速報でございますが、一般の皆さんへの提供を開始したのが平成19年10月1日でございまして、まもなく10年を迎えます。この間、「平成23年東北地方太平洋沖地震」、「平成28年熊本地震」をはじめとしまして、多くの地震に対しまして緊急地震速報を発表してまいりました。この10年の間、適切に発表できなかった事例もございましたが、技術的な改善を進めまして、精度の向上に努めてまいりました。最近ですと昨年の12月に、複数の地震が同時に発生した場合でもより適切に対処できる手法を導入しまして、改善に取り組んだところでございまして、今後もより適切な発表ができるように努めてまいります。また、この緊急地震速報の一般の利用者の皆様への普及につきましては、様々な手段で伝えられ、あるいは各種の防災訓練に導入されるといったことで、そして報道関係の皆様にも取り上げていただいているということで、この10年間で広く浸透してきたものと考えております。引き続き、適切な伝達、訓練等での利用を通じまして、幅広くかつ的確に活用されるよう、ご理解とご協力をお願いしたいと考えております。

  私からは以上です。

主な質疑応答

Q :御嶽山の噴火について1点だけお尋ねいたします。当時噴火警戒レベルが1のまま噴火してしまったということで、判定基準の精査と公表の作業を進めてらっしゃるかと思いますけども、最終的な公表対象となる49の火山のうち、今のところ公表されたのが13とうふうに伺っているんですけども、御嶽山の噴火から3年という時期を迎えてこの進捗状況についてどのように受け止めてらっしゃるかということと、今後の見通しについてもお尋ねしたいんですけども。
A :まず、噴火警戒レベルの判定基準の公表につきましては、これまで13火山について公表してきたということがございます。現在、噴火警戒レベルを導入している火山が38ございます。38の残りにつきまして、順次地元の火山防災協議会、火山専門家等と相談をしながら基準の精査、見直し、そして公表できるように進めておりまして、今年度内には更に10の火山について、このレベルの判定基準の公表を行いたいということで準備を進めております。また、噴火警戒レベルでございますけれども、50の常時火山のうち硫黄島を除く49について噴火警戒レベルを導入するという計画で進めておりまして、先ほど申しましたように38ということで、あと数年はかかると思いますけども、49全てについて警戒レベルを設定できるように進めてまいりたいと思っております。
  それから、御嶽山の噴火から3年を経たわけでございますけれども、噴火直後から火山噴火予知連絡会あるいは中央防災会議といったところで観測・監視体制や情報提供などの検討がなされ、その緊急提言あるいは最終報告というものが3か月あるいは半年後にそれぞれ出されているわけでございます。それらを踏まえて火山の観測・監視、評価体制の強化、情報提供の改善ということで進めてまいりました。火山の監視体制のうち、水蒸気噴火の兆候をより早く把握するために火口付近の観測施設の増強についてはおおむね実施してまいりました。また、今年の8月1日から運用を開始いたしました火山監視情報システムでそれらのデータをより良く解析するようにしてまいりたいというように思っております。火山業務を実施する体制の面につきましては、昨年度職員を大幅に増員いたしました。これによりまして、体制を強化したところでございますけれども、やはり如何に火山活動を的確に評価していくか、あるいは火山防災をはじめとする関係の皆様に的確に情報提供し、解説を行っていくかということが重要でありますので、人材育成の観点から気象庁参与あるいは火山専門家との連携、研修の強化等を通じて、気象庁職員の火山業務に関する能力向上に引き続き努めてまいりたいと考えております。

Q :年度内に公表予定の10火山は火山の名前を教えていただくことはできますか。
A :後で担当から説明させていただきたいと思います。

Q :ホットラインについて3点ほどお伺いします。7月の秋田の大雨の時に秋田地方気象台の台長のホットラインの取組が色んなメディアにも取り上げられましたけれども、それについての受け止めを伺ってもよろしいですか。
A :今お話がありましたように、本年7月の下旬でございますか、秋田の大雨に際しまして、秋田の地方気象台長が地元の市長等に直接電話するいわゆるホットラインをするということで、これは各報道機関に取り上げていただいたところでございます。この報道の内容にもございましたように、秋田の台長は赴任後直ちに知事をはじめ県内の各市町村長を回り、いわゆる「顔の見える関係」の構築を精力的に行って、その成果もございまして、7月の大雨の時に、直接に危機感を伝えるという意味でのホットラインを行い、複数の首長さんからは迅速な避難の呼びかけにあたっての判断に繋がったとの高い評価をいただいております。これは報道されている通りだと思っております。これは地域の防災を一層支援していくという観点から見ると、模範となる取組だと思っております。全国の気象台でもこのような取組を進めてきておりますけれども、この模範となる取組をより一層励みにして、地域の防災を支援する取組を進めてまいりたいと考えております。

Q :今回の台風18号の時にどういった対応があったのかということと、ホットラインの構築にあたっての課題とかポイントはどうお考えなのかこの2点をお願いします。
A :今回の台風第18号の状況でございますけれども、ホットラインに限定せずに全国の気象台が地域に対してどのように取り組んでるかはおおむね把握しているところでございます。今回は台風ということでございまして、冒頭申し上げましたとおり、非常に早い段階から各気象台が県庁等に赴いて、台風説明会を直接行う、全国で行うということをやっておりまして、いくつかの地方気象台ではそのまま県庁に残り、県の災害対策と一体となって支援を行ったということがございます。そういった中で地元の市町村長への直接のホットライン、あるいは担当者レベルではございますけれども現在の状況を解説したり、あるいは問い合わせに対応したりということで、それらを全部含めますと、おおむね全市町村の半分くらいの市町村については直接なんらかの形で対応しているというように把握しております。例えば、市町村を支援する、あるいはこちらの危機感を伝えるには色んな形態があるということを把握しております。大分県では、記録的短時間大雨情報を何度も出すといった状況がございました。大分県の状況を見ますと、県自体が支援チームを作るということで、県が中心となって市町村をサポートするという取組がございました。まさに気象台の職員はその中でサポートをするということでございますので、私どもの出した情報におおむね呼応する形で県の支援があり、市町村は避難勧告、避難指示等を出している状況でございます。そういった状況になりますと、あえて地方気象台長から市町村長へのホットラインということよりも、県から直接やっていただくようなケースもあるということが今回改めて確認できたということがございます。様々なルート、まさに地域の関係機関とよく連携する中で、しっかりと市町村をサポートしていくということが重要かな、ということに今回気づきといいますか、改めて確認させていただいたということがございました。
  それから課題についてですが、先ほど「地域における気象防災業務のあり方検討会」の報告の件でも触れましたように、様々な観点で地域の防災を支援するという取組でございます。その中では特に平時においてどう「顔の見える関係」を築いていくかがホットラインが機能するかどうかのキーであるということもあったわけでございます。そういった観点で秋田の事例、先ほど言いましたけども、そういうものをしっかりと展開していくということが、粘り強く、相手も変わりますし、こちらも変わります、そういう中でたゆまずやっていくことが非常に重要ではないかということです。また、今申し上げましたように地域の、例えば河川事務所、そして県、その他様々な関係機関がサポートしようとしている状況がございます。報道関係の皆さんもそうかと思います。そういった取組の全体を把握しながら、いかに効果的にホットラインが目指す地域の首長さんの判断等を支援していくかということに貢献できるか、どのような形がよりよく貢献できるか、ホットラインなのか県などを通じてなのかというようなことも探りながら、まさに振り返りをしながら進めていきたいと、そういうことが課題かなと思っております。

Q :御嶽山の噴火の関係で何点かお伺いしたいのですけれども、職員の体制の面で、火山活動の評価の能力向上に引き続き努めていくということだったんですが、長官としては評価能力の面では課題があるという認識なのでしょうか。
  それから、例えば昨年、気象研究所で火山に詳しい方、博士号を持つ方5名を採用されて、センターの方に配置されたとお聞きしたのですが、今後もそういった専門性の高い職員を引き続き採用していく、あるいは予算要求していくご予定はあるのでしょうか。人材育成としては、例えば火山を専門に担当されるような人事異動の仕組みだとかそういったことをお考えでしょうか。
A : 気象庁における火山活動の評価の実力に対する見解といいますか、評価といいますか、そういうことが一点目であったかと思います。元々どの分野でも、気象学、地震学、火山学、みんなそうですけれども、わからないことがたくさんある中で、私ども仕事をしております。そういう中で、大学等の専門家も含めまして、我が国全体の火山学のレベルアップをしていかなければならないという課題が大きな背景としてあると思います。それはもちろん気象庁だけでできるわけではありませんけれども。では、そういう我が国の火山学全体のレベルに対して、気象庁が、4つのどの火山監視・警報センターにおいても、もう少しトップと同レベルぐらいに能力をあげていく余地というのは、あるのではないかというように思っております。従いまして、現在どういうことをやっているのかというと、例えば火山噴火予知連絡会、あるいはその連絡会の委員、または地域の火山の専門家としばしば連絡を取り合いながら、同じデータを見て、どのように考え、どのように評価していくかということをやってきておりますので、そういったことを通じながら、いい意味で訓練をしていく、オンジョブではありますけれども、そういうことをしっかりとやっていく必要がありますし、火山防災協議会といった枠組などもございます。そういったことをしっかりとやっていくと。そのための環境といたしまして、先程申し上げましたように、今年8月1日から運用を開始しました、火山監視情報システムがございます。このシステムでは、火山のデータを地域の専門家等の方と共有していくという仕組みが入ってまいりましたので、こういったものもしっかり使いながら、オンジョブでやっていくことが大事だと思っております。
  それから、そのために様々な施策、研修、オンジョブを行うといった取組と同時に、気象庁の外にいる専門家に加わっていただきたいということがあれば、色々な形があると思います。人事交流、あるいは採用という形もあるかもしれません。それから気象庁の中の人事異動といいますか、様々な分野で経験をしていただくということで、火山業務の中で機動観測をやっていただいたり、解析をやっていただいたり、あるいは、その地域の火山防災の人たちとの間で様々な協議、相談、連絡をやっていただく、というようなキャリアを積んでいただくような工夫の中で、総合的な能力の向上を図るといった工夫をしっかりしていきたいと思っております。

Q :火山の関係で、噴火の当初から、藤井先生は、日本ではたくさんの火山関係の研究機関があって、ひとつに統合するような、先生はよく「火山庁」という言葉を使われていることがありましたが、監視と研究を一体化するような組織が必要ではないかという議論がありますけれども、それについて長官としてどのようにお考えですか。
A :その質問に対して、私が答えられる立場にいるかわからないので、直接お答えできない気がするのですけれども。どのような組織であれ、よく連携していくことで相当な効果が出るだろうと思います。今のそれぞれの分野で、より一層効果的にやっていく工夫はできるだろうと思いますし、そういったことを私どもの立場から言えば、しっかりやっていかなければならないと思っております。

Q :台風第18号の際の自治体へのサポートに関してですけれども、「あり方検討会」の報告書に方向付けされている「支援チーム」等が発足した場合に、今回の動きと具体的に何が変わるのか、例えば台風であれば、もう少し前倒ししてサポートするようなことになるのか、あるいは市町村にもっと積極的に人を出していくような場面もあるのか、そのあたりのイメージをお聞かせいただきたいと思います。
  もうひとつは、全く別の質問ですけれども、中央防災会議で、先日、南海トラフのワーキンググループで、まだ報告書は正式にはあがってきておりませんけれども、その中で方向付けとしては、明確に気象庁の方で判定会のような学識経験者による評価体制ですね、例えば異常現象などが出てきたときなど、その必要性が明記されていますけれども、これについては、例えばどういうものを準備するのか、そのあたりのイメージをお持ちでしたら教えてください。
A :今回、先程もお話しましたように、台風ですので、事前に台風のルートがある程度わかっていて、おおむね予想がついております。しかしながら、市町村レベルで見たときに、具体的にどの市町村が危ないかということを事前に想定するのは大変難しいことがあるのだと思います。ということもありまして、今回は、ほぼ全ての気象台が台風説明会を行い、それが気象台で行う場合もありますし、県で行う場合もありました。県で行う場合は、まさに最初から支援チームを県に出しているような意味合いが半分ございますので、そういった取組を今回やらせていただいて、振り返ってみて、もっと何かができるかどうかは、考えていかなければならないと思っております。また、新たな支援チームを作ったときに、例えば既に地震が起こっていて、非常に脆弱性の高い市町村があるというような場合で、かつそこに大雨が降る、台風が来るということがわかるような場合であれば、何らかの形で支援チームを出すというケースがあり得るかもしれませんけれども、それも少し、今の段階でどこまで言えるかわからないと思っております。なかなか答えになっていないのですけれども、どこまで進化できるか、何が変わるかと言われたときに、今回ですとひょっとすると、例えば集中的に降っている市町村、いくつかございます、全国見るとですね。そういったところに、例えば、県に出ているところで、更にたくさん雨が降っている市町村に対して、個別に必要な場合は、例えば、県の支援チームと一体となって、被害の出ている可能性が極めて高いところに素早く出て行くというようなことはあり得るかもしれません。その背景となるのは、やはり被害を把握している県や関係機関と一体的に仕事をしている中で、より効果的な支援ができるということは可能性としてあり得ると思います。あとは気象現象そのものを見て早めに送り出すというのは、なかなか経験を踏まないと、どうなるかというのは今の時点では、私自身はアイデアを持っていないということでございますので、いずれにしても毎回毎回振り返る中で考えていきたいと思います。
  それから、8月の下旬に第7回の南海トラフの検討ワーキンググループが開催されて、ほぼ方向性が固まったものと理解しております。ただ、まだ最終報告書が出ていないという状況にありますので、私自身が今の時点でお答えできることはなかなか難しい部分があると思います。その中で、8月25日に行われました第7回のワーキンググループで既に確定したのは、その下にございます調査部会の予測可能性の報告書と承知しておりますので、そのことについて言えば、もちろん現在の科学的知見から言えば、大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言後に実施される現行の地震防災応急対策が前提としている確度の高い地震の予知はできないのが実情、との見解が示されたことはご案内のとおりだと思います。一方で、地震発生の可能性が相対的に高まっているといったことの評価は可能との見解も示されたということでございますので、そういった見解も踏まえるならば、引き続き何からの形で、私どもが地震の監視をし、評価をし、的確な情報発表をしていく必要があるのだろうとは考えております。ただ、まだ報告書が確定しておりませんし、具体的に政府としてどのように対応していくかということについて決まっておりませんので、現時点ではコメントは差し控えさえていただきたいと思います。いずれにしましても、政府全体の方針を踏まえて、気象庁として取り組むべきことについては、しっかり、真摯に取り組んでまいりたいと思います。

Q :後半の質問に関して言うと、先月の判定会が終わった後の記者会見では、課長がたぶんそういう方向性で、気象庁としては、それに取り組むことになるだろうという趣旨のご発言をなさったのですが、まずそこまでもいかない感じですか。つまり、報告書は確かに出てきていませんけれども、確実なのは、気象庁において、例えば判定会のような、迅速に異常等を評価できるような学識経験者の評価体制というのが必要である。これは動かないはずなんです。報告書によると。となると主体は気象庁になるわけで、そこについての具体的なイメージはお持ちではありませんかというのが私の質問です。
A :もちろん様々な観点から検討はしておりますけれども、現時点で申し上げられるという状況ではないと思っておりますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。決して考えてないというわけではないということでございますが。

(以上)

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