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長官記者会見要旨(平成29年7月20日)

会見日時等

平成29年7月20日(木) 14時00分~14時55分
於:気象庁会見室


発言要旨

  それでは7月の定例会見ということで、私の方から何点かお話をいたします。

  まず最初に、九州北部地方の大雨災害についてでございます。
  梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、九州北部地方では、今月の5日水曜日の昼頃から積乱雲が次々と発生いたしまして、いわゆる「線状降水帯」が形成されました。これにより、6日昼までの24時間に、福岡県朝倉市では545.5ミリ、大分県日田市で370ミリと、いずれも7月一ヶ月間の平年雨量を大きく超える記録的な大雨となり甚大な被害が発生しました。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方に心よりお見舞いを申し上げます。
  気象庁では、この5日から6日までの九州北部地方の大雨につきまして、昨日、「平成29年7月九州北部豪雨」と命名したところです。雨の降り方が局地化、集中化、激甚化する中で、今回のような甚大な被害をもたらす豪雨は全国のどこでも起こりうるものですので、命名して教訓として継承することとしました。被災地では少しの雨でも危険な状態となるおそれがあるので、留意が必要であります。また、九州北部地方に本日梅雨明けを発表いたしましたように、今後一週間はおおむね晴れで、高温が続く予報となっておりますので熱中症への対処をお願いしたいと思います。
  この大雨に際しまして、今月4日(火)から提供を開始いたしました大雨警報の危険度分布、洪水警報の危険度分布につきまして多くの報道機関の皆さまに取り上げていただきまして、内容の解説等をいただきました。この場を借りて御礼を申し上げます
  引き続き、最新の気象情報に留意していただくとともに、地元気象台が時間を追って段階的に発表いたします気象情報・注意報・警報等、また併せて危険度分布を十分に活用いただき、早めの対応をとっていただくようお願いしたいと思いますし、そのように周知に努めてまいりたいと思います。

  また、今般の「平成29年7月九州北部豪雨」をもたらしました、線状降水帯につきましてはその予測が難しいという状況がございますが、集中豪雨や台風等の防災対応上キーとなる現象でございます。したがいまして、予測精度を改善することは非常に重要な課題であります。本日、「数値予報モデル開発懇談会」第1回を開催しているところでありますけれども、今後、大学、研究機関と気象庁の知見を集め、粘り強くモデル開発を進めまして、これらの現象の予測技術の向上を進めてまいりたいと考えております。

  次に、熱中症予防をはじめとする夏の高温への留意についてでございます。先ほど九州北部豪雨の被災地の例に触れましたけれども、被災地を含めまして全国、東日本、西日本、気温が高い状態が続いております。7月に入って気温が高い状態続いておりますし、今後一週間もそのような予想がされているところであります。
  繰り返しになりますが、気象庁では、最高気温がおおむね30℃以上となる場合には、天気概況の中で注意を呼びかけておりますし、さらに、最高気温がおおむね35℃を超えると予想される場合には熱中症の危険が高くなることから、「高温注意情報」を発表することとしております。外出時・屋外や家庭など、それぞれの場所や、年齢・体調などに応じまして、熱中症の予防にこれらの情報を活用いただき、対応をお願いしたいと思っています。

  次に、「地域における気象防災業務のあり方検討会」についてです。昨日(19日)この検討会の第3回を開催いたしました。今後は、座長を務めていただいております、東京大学教授の田中淳先生に、各委員からの最終的なご意見について、ご検討頂いた上で、最終的な報告書を取りまとめていただくこととしております。
  気象庁といたしましては、今般の「平成29年7月九州北部豪雨」による被害を受けまして、今回報告書でお示しいただく方向性に沿って、具体的な取組を進めて行く必要があると、今般強く感じているところでありまして、職員一丸となってこの具体化に取り組んで参りたい、このように考えております。

  次に、「気候変動監視レポート2016年版」の公表についてです。来週公表予定としておりますこのレポートにつきましては、世界及び日本の平均気温が昨年最高値を更新したこと等を踏まえまして、2016年の気候変動の観測・監視結果、それから気候変動に影響を与える温室効果ガスやオゾン層等の最新の状況をまとめているところです。
  本レポートでも昨年世界各地で発生した極端な気象による災害を取り上げる予定でございますけれども、今後も地球温暖化の進行に伴い、こういった極端な気象は増加するというように考えられております。このレポートを広くご活用いただきまして、気候変動あるいは地球環境に係る問題に対する理解の一助となることを願っております。

  あと二点、お話があります。
  一つは、国土交通省生産性革命プロジェクトの一つである、気象データ活用に関連したイベントについてです。この夏、オープンデータを活用してアプリ等を作成して、その成果を競う「アジア・オープンデータ・ハッカソン」が、日本をはじめ4カ国・地域で行われることになっております。日本は「気象」をテーマとしております。このため、このハッカソンの主催団体であります、VLED(オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構)に、気象庁が事務局を務める気象ビジネス推進コンソーシアムが協力をしているところでありまして、8月5日、6日に開かれますこのハッカソンに向けまして、明後日の7月22日には東京と大阪でキックオフとしてインプットセミナーが開催されます。こういったイベントへの協力を通じまして、引き続き気象データへの幅広い活用を推進していきたいと思います。

  最後に、気象庁経験者採用試験についてであります。
  気象庁の職員の年齢構成は、50代が全体の4割を占めるというような状況にございます。その一方で、30代の職員が極めて少ない状態でありまして、いわゆる即戦力としての人材確保がひとつの課題だと考えておりまして、今年度から新たに「気象庁経験者採用試験」、係長級でございますけれども、これを実施することとしております。今年の採用予定は15名程度を募集することとしておりまして、気象庁の気象、地震火山、情報システム運用等のそれぞれの職場で仕事をしてみたいという方については、是非チャレンジをお願いしたいというように思っております。

  私からは以上になります。

主な質疑応答

Q :今月は雨の災害が続いたんですけど、一方で各地で大き目の地震が続いているんですけど、それについては、何かございますでしょうか。
A :いわゆる震度5強、5弱といった地震について、6月の後半、下旬あたりから何度か続いたという事実を、今ご指摘されたということかと思います。また、今日の午前中にも福島県沖で地震がございました。地震の規模で見ますと、マグニチュード5クラス、6クラスの地震ということでございまして、例えば今日ですと、東日本大震災、東北地方太平洋沖地震の余震域で発生しているものでもありますし、それぞれの地域で発生しているものが、比較的集中して発生したように見えているような状態なのではないかな、と思っております。しかし、これは、何か全体的な場が変わって集中的に発生しているというよりは、いわゆる定常の中で発生している時に、たまたま引き続いて見えているような状態なのではなかろうかとは思っております。いずれにいたしましても一般的な注意事項として、日本全国どこで起こっても不思議でありませんので、こういう地震が続いたことを一つの機会といいますか、きっかけとして、改めて地震に対する備えについて考え、対応していただければありがたいと思っております。

Q :冒頭発言があった、九州北部豪雨の命名がされたことなんですけれども、一方で、命名ということはされましたが、家屋の倒壊などというものが基準以下の被害だったと思うんですけど、今後、線状降水帯による被害が起きることを見越したりして、基準というものを見直したりする予定というのはあるのでしょうか。
A :命名については、これまでも平成16年に命名の基準について一つの考え方をホームページ等でも示しているとおりです。豪雨につきましては、今、お話のありましたように家屋については、いわゆる目安として、損壊家屋等1000棟程度以上、浸水家屋10000棟程度以上という例示をして、顕著な被害が起きた場合に命名するとしております。目安として、そういうことがございますけれども、今回の災害を見ますと、災害の前の自然現象そのものとして冒頭でも申し上げましたように、非常に短時間に、線状降水帯がずっと同じ所に停滞して、解析雨量で言うと1000ミリに近い雨量が半日程度、24時間で積算していますけれども、半日程度の間に、その大方が降るというような、非常に顕著で激しい気象現象であったということがあります。それから、現実に土砂災害、土石流、それらに伴って、泥流や流木で顕著な被害が出ているというようなことが、順次分かってまいりましたので、そういった状況を捉えると、これは、顕著な被害をもたらしたものであり、その現象をしっかりと留めておくことが必要だと、こういうように考えたことから、今回命名をさせていただいたということでございます。基準についてどうするかということについては、様々なご意見があるかと思います。現在、家屋等の被害しか目安として例示していないので、クリアではないのではないかというご意見もあるかもしれません。そういったこともございますので、点検をしていく必要があるかな、と思っております。確かに、私どもは、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化という言葉を使って、新たなステージに至っているということ、あるいは新たなステージだと捉えて対応していく必要があると常々言っておりますので、そういった気象が激しくなった環境のもとで、教訓の継承等の目的も含めて、どういうように命名をすることが適切かと、振り返って点検するということは必要かなと思っております。

Q :点検をしていく場合、何か新たな会議だとか検討会みたいなものを作ることになるんですか。
A :今のところは、まずは、これまでの現象を整理させていただくところからと考えています。それを整理した結果として、基準を変える必要があるのかどうかなど、もう少し整理をさせていただいた上で考えることになると思います。

Q :冒頭の九州北部豪雨についてお伺いしますけれども、5日夕方17時51分、福岡県に対して大雨の特別警報を発表しまして、大分県に対しては、まず19時55分だったと思います、特別警報を発表しました。一部報道でその対応の方、遅かったじゃないかというような指摘が直後にあったりしたかと思いますが、まず、長官として当時の対応を振り返ってみて、どのような考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
A :特別警報の発表については、発表そのものについて出した場合、出さなかった場合、それぞれに色んなご意見をいただくということが、これまでもあったと記憶しております。ご案内のように、特別警報を発表する基準につきましては、具体的な指標としては、3時間に降った雨、48時間に降った雨、あるいは土砂災害に密接に関係する土壌雨量指数等の状況が、これまで数十年に一度、具体的には50年に一度となった地域が、ある程度の広がりを持った場合、という基準を設けて運用してきているところです。もちろん、指標を設けるにあたっては、過去の被害の結果とそれらの指標との関係を比較して、重大な災害が起こるおそれが著しく大きい場合に相当するものとして、3時間とか48時間の雨量や土壌雨量指数の数値を決めて運用してきているところであります。今回の福岡県に出した大雨特別警報、それから大分県に出した大雨特別警報につきましても、それらの運用基準に沿った形で出しておりますので、我々の持っているこれまでの知見に対して、タイミングとして精一杯やれることははやったのではないか、と考えております。

Q :当日、福岡県に対しては13時台から、記録的短時間大雨情報、これ特別警報が出されるまでに例えば朝倉市付近では5回出たと思います、大分県も日田市付近に対しては特別警報出る前に記録的短時間大雨情報2回出てます。ほかにも土砂災害警戒情報などそういったかなり情報が多いのであれですけども、そういった情報も出ていたかと思います。実際に特別警報が出る前に例えば河川が氾濫したりとか、実際に被害等が出ていたと思いますが、そういった点も踏まえて、特別警報というもの、すぐに見直すということにならないと思いますが、警報と特別警報の基準が開きすぎているのではないか、という色々な指摘もありますし、その間に情報も出ているので捉え方も難しくはありますが、そもそもこの特別警報というものの役割といいますか、そういったものを今回の災害を踏まえて改めてどのように感じてらっしゃるでしょうか。
A :特別警報が出るまでの気象庁の情報の出し方、例えば、記録的短時間大雨情報が朝倉市には計7回出たわけですが、7回のうち5回が特別警報の前に出ているというような状態でありました。現状において、これもご案内のことかと思いますけれども、内閣府が定めた避難勧告等に関するガイドラインにおける特別警報の位置付けというものがございます。今の予測技術を踏まえた特別警報の実力として、あるいは先ほど申しました発表する指標、タイミングとして、それらを踏まえるならば、大雨特別警報を発表するまでに避難勧告あるいは避難指示が行われておくという対応関係がすでにガイドラインによって決められて、且つそれが自治体等関係機関に示されているところだと理解しております。今回の大雨につきましては、例えばこういった警報、記録的短時間大雨情報、それから土砂災害警戒情報といったような気象庁が出すそれぞれの情報におおむね対応して、ガイドラインにあるように、朝倉市は避難勧告や避難指示等がなされたというように聞いております。気象台といたしましても、例えば記録的短時間大雨情報が出されるような場合、あるいは土砂災害警戒情報が出されるような場合は、例えば朝倉市に直接電話をするといったこともしておりますし、朝倉市は私どもの情報、それから市の持っている様々な情報を使って14時台とか15時台に避難勧告、避難指示等を一部の地域に出すというオペレーションをしたと聞いております。大雨特別警報が重大な災害が起こるおそれが著しく大きい場合に行うという位置づけにおいては、現時点ではガイドラインで書いているように、大雨特別警報を発表した時には市町村はすでに行った避難指示等の実施済みの措置の内容を再確認するというような位置付けになっておりますので、そういうように今は運用されていると思っております。したがいまして、現時点で大雨特別警報を直ちに避難指示とリンクしていただくような関係になっていないというのが防災対応上の位置付けだということでございます。それに対して、もっと早く出すべきではないかというようなご意見をいただくことはあります。そういったご意見があるということは真摯に受け止めていかなければならないとは思いますが、現時点での予測の実力を踏まえた大雨特別警報とその防災対応の関係という意味では、今回については、私どもの情報発表としては、運用基準に従って発表したと思っておりますし、朝倉市等においては大雨特別警報の発表する以前からガイドラインに沿った形で避難勧告や避難指示等がなされたものではないかというように私自身は理解しているところでございます。

Q :今回の九州北部豪雨の中で土砂災害とともに、中小河川で氾濫が相次いだことも大きな特徴といえると思います。その中小河川の氾濫については、急激に水位が上がったりですとか、水位計の無い所もかなりありまして、地元の都道府県の河川管理者からも私たちの取材でも洪水警報の危険度マップに期待する声が多く聞かれています。その点について改めて所感をお願いします。
A :実況の把握として、様々な最新技術やIoT等を活用し、あるいは安価なそういうものが開発されれば中小河川、さらに、いわゆる小川のような所についての河川の水位をモニターできるといいのかもしれませんけど現実にそういう状況になっていないということがございます。そういう進展を期待しなければならない、住民の立場でみると当然そうなのかもしれません。一方、昨年の台風第10号の岩泉町の例でも、私ども後で検証して様々なところでお示ししておりますけれども、降った雨が地面の中に入るもの、あるいは流域に沿って川に下ってくるもの、低い土地に溜まるもの、そういうものを計算して、今回大雨警報(浸水害)の危険度マップ、洪水警報の危険度マップを新たに提供させていただきました。厳密な検証が十分されているかどうかというのは今後順次進めてかなきゃならないと思いますけれども、おおむね危険になっているということを示していくことができているのではないかと思っておりますので、より一層この利用について周知を図っていかなければならない、ぜひ報道機関の皆様もそういう周知をお願いしたいと思っています。今回についてもどのような利用がなされたかを検証しなければならない、と思っていますし、そういう検証を進めて、より良い利用を目指す必要があるということが一つです。また、実際に観測成果と比較するということをその都度その都度することはなかなか難しいですけれども、洪水警報の危険度分布というものが、おおむね感覚と合っていたかということは技術的にも検証を並行してやっていく必要があるというように思っております。いずれにしてもそういうことをやりながら、一方で実況が充実することを期待しつつも、私どもとしてできることをしっかりやっていく必要があると思います。

Q :情報の出し方ということとは別に、福岡管区、それから大分地方気象台それぞれと自治体との直接の連絡等色々あったかと思いますけど、昨日のあり方検討会でも示されましたけれども、今後気象庁と自治体の関係のあり方について九州の豪雨を踏まえてお願いします。
A :冒頭申し上げましたことと繰り返しになるかもしれませんけれども、地方気象台が市町村等の自治体の皆さんの防災活動を如何に効果的に支援できるかという問題意識のもとで「地域における気象防災業務のあり方検討会」を開催させていただきました。4月、6月、7月と3回開催させていただきました。おおむねこの3回の開催の中で方向性として、あるいはそれを具体的にアクションとしてどう行っていけばいいか、ということが提言としてまとまりつつあります。まだ決定されているわけではありませんけれども。この方向性や具体的に取り組むべき事項として示された内容として、日頃から自治体の皆さんと私どもの出す気象情報の内容について勉強したり、そもそもその地域にどんなリスクがあるのかというようなことを共に勉強し、いざという時には効果的に対応するといったような様々なことの提言をいただいく方向になっていると承知しております。そういったことを検討している中で今回の災害が起こりましたので、そこに書かれるであろう内容を出来るだけ前倒し的に、できることはやろうということをなるべく今般の災害では心掛けてきたわけでございます。それが十分であったかどうかはともかくも、この検討会で示されている方向性はしっかりやっていかなければならないと改めて感じたのが今回の災害でした。そこに沿った形で、具体的にやろうと思った時にすぐにできることばかりではありませんけれども、じっくり腰を据え着実に進めていかなければならないというように思っている次第です。

Q :線状降水帯、どこで起きてもおかしくない、その予測は非常に難しいという中で、今までも都市部で集中豪雨というものはありましたけども、その都度脆弱性というものが指摘されています。下水局なんかは50ミリに耐えられるものから75ミリにと設備面での拡充をいま行っていますが、東京都と気象庁の連携といいますか、激甚的な甚大な雨が降った時に、例えば気象庁から都民にどういう風な注意喚起をするのかとか、そういったところは立場が違うかもしれませんがどうお考えなんでしょうか。
A :例えば東京都の例で言えば、分かりやすい連携としては、神田川をはじめとする、都が管理する河川についての共同で洪水予報を発表するというのがあるかと思います。もちろん火山対策とかございますけれど、今お話のありました極端な豪雨等にどのように対応していくかということにつきましては、もちろんハードで防ぐことができることと、ソフト対策として脆弱性を克服する方法色々あるかと思います。ハード対策にしろ、ソフト対策の多くにしろ、やはりその東京都、あるいは23区それぞれかもしれませんけれど、自治体が防災対策を担っているというのは間違いない事実だと思います。そういう中で、例えば下水道関係で言えば東京都さん自らがレーダーを整備して、雨雲がどう動くかといったことを表示して対策に活かしているというのもこれまた事実でありますので、自治体自治体の取組内容に応じて、気象庁の関わり具合は違ってくるように思います。自らで多くを対応できるような自治体もあれば、やはりもう少し気象庁がサポートすることがいいのかなという自治体、様々なんだと思います。また、報道関係の皆さん、民間の様々な事業者の皆さんがサポートすることで、そこの地域の防災力が高くなっているところもあれば、なかなかそこまでいかないようなところもあると思います。それぞれの県、あるいは自治体の状況をよく共に理解する中で、素直にどういうことが期待されているのか聞きながらやれることをやっていくということがいいかなと。例えば気象庁自らが住民の皆さんに対して、何か緊急時に積極的に発信するのがいいのかどうか、あるいは発信する時にどういう内容がいいのか、こういう話につきましては、まさに報道関係機関の皆さんもおりますし、どうやって伝えていくのがいいのか、そういった関係者の中でもよくお話をしながらやっていくのではないかなというように思います。いずれにしても要望がある場合については可能な限り前向きに対応するというのが基本姿勢と思います。

Q :冒頭に線状降水帯の予測は大変難しいとありましたけれども、予測精度の向上について数値予報モデルの改良が鍵を握るといいますか、今の段階では現実的な選択肢というような認識でよろしいんでしょうか。
A :現象を予測するという意味では、広い意味での数値予報モデルを改良していくことが重要だと思います。広い意味というのは数値予報の中にはデータ同化という考え方が入り口のところにございますので、そこに入れるデータとしていかに効果的なデータをいれていくか、そのためにいかに効果的なデータを取得していくか、というようなことも含めて、線状降水帯を予測するという意味では広い意味での数値予報モデルをしっかりと良いものにしていくことが必要なのではないかと思います。一方で、なかなかすぐにできるという話ではありませんので、実態的には実況ベースに基づいていかにより良く警戒などを呼び掛けていくかということがあります。あるいは、この5月の下旬から開始いたしました警報級の可能性の「高」「中」といったところで、経験に基づいてある程度線状降水帯が起こりやすいような環境場も考慮しているということもございます。そういった解析や可能性があるかもしれないというものについてもスキルアップをしながら、より良い事前の呼びかけができるようにしていくというのもあると思います。

Q :御嶽山に関して、先週現地調査に行かれているようですが、今の状況で長官からご覧になって、レベル下げをする方向も検討中だと思うんですが。
A :御嶽山の状況ですけれども、6月に開催されました火山噴火予知連絡会の御嶽山に関する評価、そして、今ご紹介のありましたとおり7月に入りまして、気象庁の職員、地元の方も一部一緒になって御嶽山の状況を現地で調査いたしました。そういう様々な観測データの評価や現地の調査を踏まえますと、御嶽山についてはどちらかというと静穏方向にきているのは事実だとみております。他方で御嶽山の2014年の噴火の際たくさんの降灰等がありまして、火口や火口の周辺の状況が噴火前と比べて大きく変わっておりますので、噴火などの活動評価と同時に、御嶽山への規制をどうするかというのは地元自治体がしっかりと考えていかなければならないことでもありますので、そのあたりについては火山防災協議会の中で、私どもの持っている火山に関する現状の認識、それから実際に火口の近くを含めた状況がどうなっているのか等を、つき合わせて今後検討していく予定と聞いております。それらを検討する中で、最新の御嶽山の観測データも確認しつつ、レベルを下げるのかどうか、下げる場合にはどの範囲がいいのか等については、決めていくことになるんだろうと思います。

Q :気象庁の新規の15人の職務経験者の募集というのがありましたが、例えば過去5年に遡ってみてですね、これだけの人数をこの時期に募集するというのは、過去も通常こういう風にやっているのか、それとも御嶽の火山での強化とかありましたが、その一連のものの流れなのか改めて確認させてください。
A :今回経験者採用というものを実施するのは今年が初めてであります。今まではいわゆる新卒に相当する方を採用するということをして、気象庁の人員を確保してきたということでありますけれども、どうしても年齢構成のバランスから見たときに、30代が谷のようになっておりまして、大変少ない状況であります。一方で、50代が4割もおりますので、10年もするとこれらの世代の退職により相当の人が入れ替わってくるというようなことがございます。技術を継承する、的確な業務遂行を確保するという観点から言えば、もちろん新卒等で入ってくる20代の方に期待する部分は大きいわけでございますけれども、中堅どころとなる30代の方がいるということが、より健全な人員構成や技術継承にとっては望ましいとこういう背景がありましたので、今年度からこの経験者採用という試験を新たに実施することとし、主として30代を強化する方向で進めさせていただければと、是非その世代を中心に気象技術を支える人材がきていただくとありがたい、とこういうように思っております。

Q :特に火山に特化するとですね、ポスドク問題等で就職先がないと困っている方がたくさんいらっしゃる現状で、画期的なことだと思うんですが、そのあたりも踏まえていかがでしょうか。
A :結果として火山の担当に来ていただければたいへん歓迎でございます。確かに日本全体としての火山監視等の技術向上が期待されている状況、あるいは気象庁の技術をより向上させていこうとした時に、気象庁の火山業務の人員体制は強化したわけでございますけれども、その中身を充実させていこうとした時に、火山業務を経験している方が含まれていれば、それはありがたい。一方で、火山対策にかかる人材育成についてはこの経験者採用で採用する人に限定せずに、研究所に採用するとか、あるいは現職職員の技術力を上げていくという取組も併せてやっているところでありまして、総合的にやっていくことが必要と思います。

Q :昨日開かれた地域における気象業務のあり方検討会で、気象台の職員が現地の自治体ですとか、現地に入るチームを作るですとか、あるいは気象のデータベースというものを各地方に作るという取組は大変すばらしいことだと思うんですけど、一方でいつそういう災害が起こるかも分からない状態で一刻も早くそういう取組をやっていったほうがいいと思うんですが、こういう取組いつ頃を目処に開始したいと思っていますか。
A :具体的な例として支援チームとデータベースの話がございました。昨日の検討会でも一部ご紹介いたしましたように、例えば今回の九州北部豪雨につきましても、現地に入るタイミングが早い遅いとか色々それはあるかと思いますけれど、すでに一部、自治体を支援するための職員派遣をやり始めています。データベースにつきましても、これまで各地方気象台、あるいは各管区気象台等で災害カルテといったような形で、市町村ごとにそういうものを少し整理していって見やすくしようといった自発的な動きがございます。そういったものをきちんと位置付けて、自治体の皆さん等に気象台がこういうことをやろうとしていることをはっきりと示すことは非常に重要なことだと思います。いつ頃開始するかという点では、できることからやっていくというのが一つの考え方です。もちろんデータベースを運用するのに必要なリソース等がありますので、そういったものについては必要であれば予算要求するということになると思いますけれども、いまはあるものから、より良く充実させていくということが基本的な考え方だと思っています。その上で例えば支援チームが、災害が起こる前から出せるのかという部分については、気象の技術的にも難しい部分がまだまだあると思いますので、これもやりながら工夫をして、良くしていくということがあるのではないかなというように思っていまして、災害の対応がそれぞれで違う中で、経験をしながらどんなタイミングで、何名で、どの場所にいくか、さらに、それをサポートするために、ある地方気象台やその地方気象台を管轄する管区気象台以外のところからどのようにサポートしていくか、様々なケースを想定して、まず計画を作る、実際にやってみて、振り返りをしながら充実をさせていく、こういうのが基本的な考え方かなと思っています。

Q :基本的にはいつを目処にというのはなくて、やれるところからということか。
A :そういうことです。

Q :特別警報とか情報の出し方について、特別警報はすでに災害がもう起きてしまっている状態で出す情報だと思うんですけど、一方で警報を出した段階で住民が避難行動に移したりとか、準備するというのも、確かに筋としてはそうなんですけど、なかなかそうもいってられないのが事実上で、記録的短時間大雨情報というのが一つの鍵になってくると思うんですけど、いまいち一般の人にはピンとこない情報なんじゃないのかなというようにも思っていまして、これからどうふうに分かりやすくこの情報をアピールしていくとか、情報の出し方を変えていくとか、そういったお考えがありましたらお願いします。
A :警報を発表してから特別警報までの間の幅が非常にありすぎるということを意見としていただくことがございます。そういったことで、私どもとしては、その間に発表する土砂災害警戒情報、それから今ありました記録的短時間大雨情報を使いながら、避難勧告等に活用していただきたい、というようなことをずっと申し上げていますし、ガイドラインでも決めて周知をいただいているところであります。気象庁が発表する情報の名称が分かりにくいとか、あるいは体系が分かりづらいとか様々なご意見をいただくこともございます。そのあたりにつきましては、「新たなステージに対応した防災気象情報」を検討するにあたって、交通政策審議会でも指摘されており、中長期的な課題として私どもも認識しております。それはそれでやる必要があるんですけども、まずは私どもの持っている今の情報をオペレーションとしてより良くする、それから周知をして使っていただくということをまずやらなければならないという想いがあります。引き続き、記録的短時間大雨情報、これは昨年の9月から少し早めに出せるように工夫させていただいた部分もありますし、そういった今の情報体系の中でできることをまずしっかりやっていくということが重要であると。その上で皆様から様々にいただいている分かりやすい情報、あるいは先ほどありましたけれども、特別警報をもっと早めに出すべきではないかとか、なかなか実力的に難しいんですけど、そういった皆さんの想い、期待についてはしっかりと受け止めながら、忘れずに課題として考えてやっていかなきゃならない、すぐにできるわけではないですけど、そういうように感じております。

Q :基本的に特別警報を待たないで欲しいという、気象庁としてはそういうスタンスでいらっしゃいますよね。その前にいま長官がおっしゃられたように土砂災害警戒情報なり、記録的短時間大雨情報なりが出てくると。今回、危険度分布の情報の提供も始まって、これだけ情報が多い中で特別警報が出るまでの間、どの情報を特にしっかりと見て一般の方は身を守る行動を起こすべきか、あるいは自治体が避難の情報を出す、そういったことに繋げてほしいと考えていらっしゃいますか。これだけ一杯情報がある中で特にどれを。
A :非常に分かりやすい情報としては、危険度分布というのは先月の会見でも言いましたけれども、画で分かりやすく、どの地域に警戒が必要なのか、非常に危険なのか、極めて危険なのかということが分かりますので、そういったまさにこれから被害が起こり得る、あるいは起こっているかもしれないということに段々と近づいてくるような場面においては、危険度分布を使っていただきたい、これが一つの重要な情報なんだと思います。この情報は住民の皆さんにも分かりやすいと思います。たくさん情報があると今おっしゃいましたけど、ある市の立場に立ってみれば、気象台からやってくる情報を時系列で見ると、ある程度、避難勧告等のガイドライン等で想定する情報で来ている場合が多くあるので、そういう心構えというか訓練をしておれば相当活用していただけるのではないかという期待もあります。それから、気象庁の役割というのは、もちろん被災した後、様々な方をサポートする気象情報を出すという役割はありますけれども、被害が出るまでの間にいかに事前に構えをしていただくかというのが最大のポイントでありますので、日々の天気予報から、週間予報、天気予報の中に入ってくる警報級の可能性から、時間を追って出てくる気象情報、注意報、警報という流れに沿って使っていただくということは、私どもとしてはそういうことを是非やっていただきたい。もちろん、情報を簡単にしろとか、少なくしろとかいう声はあるのかもしれませんが、今の情報体系の中で、相当程度に、被害が起こるまでの間に、あるいは甚大な被害に至るまでの間にやっていただけることが、あるのではないかというように期待はしております。

Q :それは今回やっていただけたと思いますか。
A :おおむねやっていただけたというように思っておりますが、もちろん、検証を落ち着けばしなければならないと思います。あと、危険度分布については、7月4日に公開したところでありますので、より一層利用を促進していきたいと思っています。

(以上)

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