長官記者会見要旨(平成29年2月16日)

会見日時等

平成29年2月16日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室


発言要旨

 私からまず何点かお話させて頂きます。

 最初に、昨日(15日)に報道発表いたしました、船舶の航行や漁業などの海上作業の安全のために提供しております「波浪予想図」の改善についてお話しいたします。
 海上において、複数の方向から同時に波が押し寄せることにより、いわゆる「三角波」などと呼ばれる突然の大波が発生いたしまして、船舶の航行や海上作業に支障をきたし、ときに海難事故につながることがあります。気象庁ではこのような大波が発生しやすい海域を特定する手法の開発を進めてまいりまして、来月の3月7日より、波浪予想図にこの大波が発生しやすい海域の情報を付加して発表することといたします。この波浪予想図の活用をさらに進めて頂きまして、海上における安全確保に役立てて頂ければと思っております。

 また、一昨日(14日)に報道発表いたしました「黄砂予測の改善」でございますが、これにつきましては2月22日からより正確な予測図を提供するということでございます。
 気象庁では黄砂予測につきまして、発生源の大陸における黄砂の粒子が舞い上がる量の計算方法を改良いたしました。それから予測図の解像度を上げました。これらの精度改善によりまして、より正確できめ細かくなった予測情報を提供いたします。
 これから黄砂が多く観測される季節でもございますので、これまで以上にご利用頂ければと思っております。

 次に気象庁が開催するイベントについて、お話させて頂きたいと思います。

 まず、3月7日でございますが、千代田区永田町の星陵会館におきまして、「気象ビジネス推進コンソーシアム」の設立総会と、「気象ビジネスフォーラム」を開催いたします。
 「気象ビジネス推進コンソーシアム」につきましては、国土交通省生産性革命プロジェクトの一環といたしまして、2月1日から会員の公募を開始しております。3月7日の設立総会で正式に発足することとなっております。
 また、同日開催いたします「気象ビジネスフォーラム」につきましては、気象データを事業で積極的に利用している企業の皆様とIoT分野等の学識経験者によるパネルディスカッションを行います。これに加えまして気象データ活用のシーズとニーズが出会う場といたしまして、気象ビジネスに関係する企業のブース出展も行う予定としています。
 こうした取組を進めることで、気象庁といたしましては気象ビジネスの創出・活性化を今後さらに支援してまいりたいと考えております。

 また、今週末でございますが、2月18日に、東池袋のサンシャインシティで、日本赤十字社、内閣府、文部科学省、豊島区との共催で防災イベント「大地震へのソナエ」を開催いたします。
 首都直下地震などの大地震への正しい備え方を知って頂くための体験型イベントを多く盛り込んでおりまして、特に子育て世代や女性の皆様に役立つ内容を多数用意しております。家庭での備えを進める機会にして頂きたいと考えておりまして、どなたでも楽しめる内容でありますので、奮ってご参加頂きたいと思います。

 次に、国際会議についてご紹介させて頂きたいと思います。

 「台風委員会」という委員会がございます。この台風委員会が来週21日(火)から24日(金)までの4日間の日程で、パシフィコ横浜で開催されます。この台風委員会は、北西太平洋地域の台風災害の防止・軽減を目的といたしまして、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と世界気象機関(WMO)の支援のもとで、14の国と地域が加盟する国際地域機関でございます。台風委員会の会合は、毎年1回開催されておりまして、今回は第49回会合であります。我が国での開催につきましては平成元年11月の第22回会合以来でございます。
 会合の開会式では、台風委員会の使命やビジョンの達成に貢献した機関に対して授与されます「キンタナール賞」の授賞式が行われる予定となっておりまして、ひまわり8号を含む長年にわたる気象衛星観測の活動を担ってきました気象庁気象衛星センターの受賞が予定されております。

 最後に、雪に関する留意事項でございます。
 先週9日(木)から12日(日)にかけまして、西日本を中心に上空に強い寒気が流れ込み、日本付近は強い冬型の気圧配置が続いたために、中国地方、近畿地方の日本海側を中心として、9日からの降雪量が100センチを超えるなど、各地で大雪となりました。
 北日本から西日本の日本海側では、この先しばらく寒気や気圧の谷の影響で曇りや雪または雨の日が多い見込みでございます。普段から雪の降りやすい地域でも、降雪・積雪量が多くなりますと、交通機関の混乱や交通事故、除雪時の事故などが起こりやすくなりますので、気象台が発表する大雪・暴風雪の警報等もご活用頂き、引き続き、雪・風雪への万全の対策・対応をとって頂きたいと思います。
 なお、今日から明日にかけましては、南から暖かい空気が流れ込む影響で全国的に気温が上昇しますので、積雪の多い地域ではなだれや融雪の起こりやすい状態となりますので、その点にも十分注意を頂ければと思います。

 私からは以上です。


主な質疑応答

Q 2点ほど質問です。1点目は、先月御嶽山の提訴が、遺族から国と県に対して提訴がありまして、先月は、提訴前で報道を受けての質問と回答だったと思うのですけども、今回あらためて訴状も届いていると思うのですが、そこも踏まえてあらためて対応というか所感もしくは主張、そういうところがあれば教えて頂けますでしょうか。
 もう一点目は、天下りが今問題ですけれども内閣人事局に調査チームができまして、各省庁を対象に、実際どれぐらいの職員やOBが関わっているとかそういった調査の通達や通知がおりてきていると思うのですけれども、その現状、実際に既に調べていて該当するケースが実はあったとか今調査しているとかそのあたりを教えて下さい。
A まず、御嶽山の訴訟の件でございます。御嶽山噴火の災害につきましては、この災害により亡くなられた方々へのご冥福をあらためてお祈り申し上げるとともに、ご遺族の方にお悔やみ申し上げます。さらには、被災された方に心よりお見舞い申し上げます。訴訟の件でございますけれども、訴状が届きまして係争中という事案になりました。したがいまして、まさに係争中ということでございますので、具体的なコメントは差し控えさせて頂きたいとこのように思います。いずれにいたしましても、国の関係部署ともよく協議をして、この訴訟に対して真摯に対応させて頂くと、この姿勢で私どもとしては臨まして頂きたいというように思っております。
 2点目の天下りの件でございますけれども、内閣人事局が行うこととなっております調査に関することにつきましては、内閣人事局にお問い合わせ頂きたいというように思っております。

Q 今の回答に関連してなんですけども、御嶽山の方は、初動の観測の体制がどうなっていたのかという話は、もともと今も当時も変わらないと思うのですけれども、そういった主張する面でも含めて係争中ということであれば、まったく回答はできないということなんでしょうか。
A 今から、まさにそのこと、その件そのものについて係争中で、いわゆる裁判が行われるということでございますので、そのこと自体にコメントすることは差し控えさせて頂きたいと思います。

Q 天下りの方ですけども、内閣人事局に問い合わせるというのは、いま内閣人事局の方で気象庁の再就職状況について調べているということだから内閣人事局に問い合わせて欲しいということなんでしょうか。
A 調査の主体が内閣人事局でございますので、調査の内容等については、一元的に内閣人事局に問い合わせて頂ければと思います。

Q 気象庁内で現時点で人事課なりが調べているということではないのでしょうか。
A いわゆる国家公務員法に基づく再就職につきましては、日頃から各省、各庁の任命権者が把握することになっておりますので、私どもも日頃からの確認をきちんと行っているところでございます。内閣人事局からの調査の内容等につきましては、内閣人事局にお問い合わせ頂ければというように思っております。

Q 天下りの関連なんですけど、内閣人事局が調べてますが、気象庁でも独自に調べていると思うのですが、気象庁独自に調べている時点においては、特に再就職規制に違反するような行為はなかったということでしょうか。
A 調べているというか、いわゆる再就職については、日頃から職員の届出を通じて確認しておりますので、その状況においては適切に対応しているという認識でございます。

Q 把握している中では、違反行為が今までは見つかっていないということでしょうか。
A はい。そのように認識しています。

Q あらためて御嶽山についてお聞きしますけれども、先月の記者会見では予測と観測がたいへん難しくて、水蒸気噴火だったという難しさの中でやれるだけのことはやったと、噴火警戒レベルを上げる判断には至らなかったということでしたけれども、その認識は変わりないでしょうか。
A 今まで私どもが様々な機会に申し上げてきた認識は一貫して変わっておりません。

Q 雪のことを確認しておきたいのですが、今回鳥取で昭和54年以来の90cmを超えたという記録もあったと思うのですけれども、今回はこういった名称を付けるようなそういう大きな豪雪だったというやり取りはありますでしょうか。
A 現在のところ、そういう認識・やり取りは持っておりません。いずれにしましても、今回の場合につきましても国土交通省として緊急発表させて頂き、私どももそれに応じて警戒事項を申し上げてきたところでございますので、それらの警戒事項に対して、関係者がしっかりと対応していく、ということを引き続き、私どもも努力していきたいと思っております。


(以上)

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