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長官記者会見要旨(平成29年1月19日)

会見日時等

平成29年1月19日(木) 14時00分~14時19分
於:気象庁会見室


発言要旨

 それでは、今日は今年初めての定例会見ということでございますので、最初に私の方からは、気象庁の平成29年の重点的な取組や抱負などについてお話をしたいと思います。

 地球温暖化の進行や、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化するなど、これを「新たなステージ」と捉えて、私どもは防災気象情報の改善、観測・予測技術の向上に取り組んできているところでございます。今年は、この取組の一環といたしまして社会に大きな影響を与える現象について、その危険度や切迫度をわかりやすく積極的に伝える、このために「警報級の現象となる可能性」の情報提供の開始、メッシュ情報の充実・利活用促進等に取り組んでいきたいと考えております。
 気象衛星ひまわりにつきましては、8号・9号の2機による長期の観測体制を確立しまして、ひまわりの世界最高性能のセンサーによる観測データの一層の活用に取り組んで参ります。
 また、本年3月には地球温暖化予測情報第9巻を発表する予定としておりまして、この情報の提供・解説・利用の促進等を通じまして、様々な分野における気候変動の適応策の支援を進めて参りたい、このように考えております。

 次に、地震・津波災害への取組でございますけれども、引き続き緊急地震速報の改善、更には関係機関が整備をいたしました海底地震計や沖合の津波計の観測データの活用を進めまして津波情報の的確な発表に取り組んで参りたいと考えております。
 火山噴火への取組といたしましては、今年は火山監視・情報センターシステム(VOIS)の更新・強化を進めることとしております。これらに加えまして、火山活動評価能力の更なる向上、適時的確な火山情報の提供に努めて参りたいと考えております。

 地域の防災力の向上を支援する取組といたしまして、昨年、気象予報士の地方公共団体への派遣モデル事業というのを行いました。この成果を踏まえまして、今年は気象予報士や地方公共団体の防災担当者向けの研修プログラムの作成やその活用を推進して参りたいと思っております。

 社会のソフトインフラともいえます気象情報の産業分野での一層広範な利用を促進するため、今年は「気象ビジネス推進コンソーシアム」の構築等を通じまして、産業界との連携の強化、利用者目線に立った気象情報の利用環境の高度化等を進めまして、新たな気象ビジネスの創出・活性化の支援に取り組みたいと考えております。

 このように、今年の重点的な取組の一端を紹介させていただきました。関係する皆様とよく連携・協力いたしまして進めて参りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、雪に関する留意事項についてお話をさせていただきます。

 先週から今週明けにかけましてこの冬一番の寒気が列島を覆ったことなどによりまして各地で大雪となりましたが、明日20日から再び雪への注意が必要となります。
 明日の昼前から夜にかけては、日本の南岸を進む低気圧の影響で、関東甲信地方や東北南部では山沿いを中心に雪となる見込みであります。また、気温が予想より低くなった場合は平野部でも積雪となる可能性もございます。さらには、20日夜から21日にかけましては、西日本で一時的に冬型の気圧配置が強まりますので、大雪や暴風雪に注意・警戒が必要です。
 さらに、22日以降も、強い冬型の影響で西日本の日本海側を中心に大雪となるところがある見込みであります。
 普段雪の少ない、雪に対して脆弱な地域で雪が降ったり、あるいは、普段から雪の降りやすい地域でも降雪・積雪量が多くなりますと、交通機関の混乱や交通事故、除雪時の事故等が起こりやすくなりますので、気象台が発表する情報、警報等も活用いただき、引き続き、雪・風雪への万全な対策・対応をとっていただきたいというように思います。

 私からは以上です。


主な質疑応答

Q 2点ほど質問させてください。まず1点目なのですが、先日報道でありましたけれども、御嶽山噴火のご遺族が、25日にも、民事提訴すると伝えられています。自然相手で、火山の監視等難しいのは分かっているのですが、さらに訴訟リスクのようなものもあり得ることになってきましたし、気象庁として今後レベル引き上げ、迅速な引き上げだとか現在の火山の監視等、今後どのようにリスクもありながら改良していくのか。
 2点目は、今年、東経137度の定線観測が始まってちょうど50年経つということで、海洋観測など、今後も注目されそうなトピックがありますが、今後気象庁として海洋観測の展望や課題があれば教えて下さい。
A まず御嶽山の噴火に関連して、遺族の方が提訴するという報道があったということですが、平成26年9月の御嶽山の噴火によって亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りし、ご遺族の方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。改めてこの点を、最初にお話しさせていただきます。
 この火山噴火への的確なレベル運用に関する取組みについてのご質問でございますけれども、気象庁ではこの2年、火口周辺の観測施設の増強、火山監視・警報センターの設置、専門家の気象庁参与としての任命、火山担当職員の増員といった体制の強化を進めております。また、防災情報の発表を行うためのシステムの更新、噴火警戒レベルの判定基準の精査と公表を進めて参りました。さらには、噴火の発生を迅速に知らせる噴火速報の運用開始等を進めて、火山活動の観測、監視、評価体制、さらには情報提供の強化を進めて参りました。これらの取組、今後とも、確実に、しっかりと進めていく、このことで火山活動を監視して、迅速かつ的確な情報発表を進めて参ります。それによりまして、火山噴火災害の軽減にさらに努めて参りたいと、このように考えております。
 2点目、海洋観測、東経137度線の定線観測が50年経つことに関するご質問でございますけれども、この1月10日からは、51回目の冬期観測が始まっています。気象庁の観測船による東経137度線の 定線観測が50年という節目を迎えることができたことに関しましては、私も大変嬉しく思っております。この東経137度線の海洋観測は、世界でも類を見ない、最も歴史ある観測定線であり、日本を代表する測線でございます。観測データは国内外の多くの研究者等に利用されておりまして、例えば、「気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書」に活用されるなど、学術分野に成果をもたらしておりまして、国内外で高く評価されている状況でございます。気象庁のこの海洋観測につきましては、我が国を取り巻く海洋環境を監視することで、時代ごとの課題に対応してきたと思っております。観測を開始した1960年代は海洋の実態をまず把握する、70年以降は海洋汚染を課題と考えておりましたし、80年以降につきましては気候変動や海洋酸性化といった課題につきまして取り組んで参りました。いつの時代にありましても社会的課題に向き合いまして、海洋の実態を明らかにすることにより社会に貢献してきたものと思っております。今後も北西太平洋域における海洋監視を着実に実施いたしまして、海洋内部に蓄えられた熱量、あるいは二酸化炭素の濃度、更には海洋酸性化の実態等を明らかにすることで、気候変動の課題に、国内外の対策をサポートするという点で、しっかりと取り組んでいくと、これが気象庁の重要な役割と、このように思っております。

Q 御嶽山の関係で、今後火山情報の正確な発信に努めていくと、色々やってきましたし、これからもやっていくという説明だったと思うんですけど、当時を振り返って、レベル2に上げるべきだったという主張をこれからされるということなんですが、その点について今改めて振り返って受け止めとかありますでしょうか。
A 今回の御嶽山噴火災害に関する訴訟でございますけれども、今そのことについて私どもは報道のみで知っているということでございまして、現時点で具体的にどのような内容であるかにつきましては、承知をする段階ではございませんので、具体的なコメントをするのはなかなか難しいというように思っております。
 今ご質問がありましたように、当時のレベル引き上げができなかったのかというようなことにつきましては、これまでも例えば国会質疑等の場で申し上げてきているとおりです。平成26年9月10日から11日にかけて火山性地震が増加していたという事実がございました。そういう事実がございますけれども、他方で地殻変動や噴気に変化が見られない。また、火山性微動が発生していないというような観測もしております。加えまして、9月10日、11日の火山性地震の回数でございますけれども、御嶽山のひとつ前の噴火でございます2007年のごく小規模な噴火がございましたけれども、この時と比べても火山性地震の回数が少ないという状態があったこと、更には10日、11日とあった火山性地震が、12日以降は減少していったというような観測事実を踏まえて、当時警戒レベルを引き上げる判断にはいたらなかった、こういうように私どもは引き上げられなかった理由についてはそのように思っております。

Q 当時できる限りの判断を気象庁としてはしたと振り返っておられるということでしょうか。
A 観測自体、予測自体が大変難しい、特に水蒸気噴火ですので、大変難しいものの中で、当時の観測データを見て判断した結果として、引き上げるのは難しかったのではないかと思います。

Q そのときの具体的なことから広げて噴火警戒レベルをめぐる一般論の意味でお聞きしたいのですが、噴火前の予知的な判定を求める声や期待は当然あると思いますが、それは今の科学ではなかなか難しい側面も一方にあったりして、どこまで正確に事前の判定が求められるのか、その責任が気象庁にどれだけあるのかといった点も色々な議論があるところだと思いますが、そういった判定についての責任については、どのような考えでいますか。
A 大変難しい質問だと思うのですが、まず最初に申しましたように、訴訟に関わる非常に微妙な部分がありますので、あまり具体的に答えることが今の時点で適切かどうか、判断しかねるところがあります。噴火警戒レベルを導入し、その警戒レベルの判定をして提供していくという、そういう大きな枠組みについては、地域の防災協議会のメンバーとよく事前に協議をしながら、どういうときにどういうレベルの発表をしていくかを決めながらやっていて、実際に今はどういうレベルにあるかを見極めていくというところは、もちろん私どもが行うことになっておりますので、その点については懸命に様々な専門家の意見も聞きながら判断をしていくものと理解しています。

Q どこまで責任があるのでしょうか、というところも問われると思うのですが、その点についてはどうですか。訴訟からは離れて、科学的に現在地下で起きていることをきちんと把握することが難しいという現実がある反面、国民からは予知してほしいという期待があり、なかなか難しいところだと思うのですが、そのあたりの難しさを気象庁としてどのように考えて、これまでやってきて、これからしていくのか、という部分の所見はいかがですか。
A ご質問をどう頭の中で整理すれば良いか難しいところですが、予測が難しいなかでも一生懸命やるということしか申し上げようがないと思うのですが。レベルを設定し、その運用をするということでありますので、難しいながら一生懸命やる、その中には、判定そのものの、上げる上げないということもございますが、今回の御嶽山の噴火を踏まえまして提言がいくつかなされました。そのなかには、日頃からデータをオープンにしなさいとか、あるいは情報を登山者等も含めてよく見ていただけるような環境にしなさいとか、あります。そういう全体的に、レベルの運用の前後、火山の状況を知っていただくというようなことを全体としてやれることを一生懸命やっていくことかなと思っています。



(以上)

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