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長官記者会見要旨(平成27年9月17日)

会見日時等

平成27年9月17日(木) 14時00分~14時35分
於:気象庁会見室


発言要旨

 先週は、台風第18号が日本に上陸し、通過しましたが、台風から変わった低気圧に向かって湿った空気が流れ込んだ影響で、関東地方や東北地方を中心に記録的な大雨となり、栃木県、茨城県及び宮城県を対象に大雨特別警報を順次発表いたしました。一連の大雨による洪水や土砂災害などにより多くの被害が報告されております。
 お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。

 さて、「御嶽山の噴火」から1年が経とうという時期でございます。この1年の取り組みや今後の対応などを中心にお話しさせていただきます。「御嶽山の噴火」では、58名の方がお亡くなりになり、未だ行方不明の方も5名おり、国内の噴火災害としては戦後最悪の災害となりました。被害の甚大さに胸を痛めつつ、この節目の時に際し、ここに、改めて犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 「御嶽山の噴火」を受けて、気象庁が業務を推進していく上で、火山の観測体制のあり方や情報提供のあり方について、火山噴火予知連絡会の下に設置された検討会において検討を進めていただきました。その結果、水蒸気噴火の兆候をより早期に把握するための火口付近への観測施設の設置などの観測体制の強化や噴火の発生事実を伝えるための「噴火速報」の発表など、わかりやすい情報提供などの情報発信の強化、人材の確保や育成の重要性について提言を取りまとめていただきました。
 これらいただいた提言を受けまして、観測機器の強化につきましては、48火山を対象に火口付近に観測機器を増設することとし、現在、着実に整備を進めているところです。
 情報発信の強化につきましても、8月4日には、噴火が発生した事実を迅速、端的かつ的確に伝えて、命を守るための行動を取れるよう、「噴火速報」の運用を開始しました。先日14日に発生した阿蘇山の噴火の際には、初めて、この噴火速報を発表しました。
 また、気象庁の人材の強化も重要と思っております。職員の能力向上と専門人材の確保を進めてまいります。
 今後とも、気象庁では、引き続き、厳重な観測・監視、正確かつ迅速な情報提供を行い、火山の専門家や地元自治体との連携を密にし、対応して参ります。

 最後に、気象に関する留意事項についてお話したいと思います。9月から10月にかけては、日本は台風の影響を受けやすいシーズンです。気象庁の発表する台風情報や地元気象台が発表する最新の警報等に十分注意いただいてご利用いただくとともに、市町村などから避難勧告等が発令された際には避難等の対応をとっていただき、台風などによる災害から自ら身を守る行動をお願いしたいと思います。
 また、先日の千葉市の竜巻などをはじめとして、突風被害についても多く報告されているところです。この時期は台風の接近などに伴い、竜巻など突風の被害も多い時期となります。これからシルバーウィークを迎えるにあたり、行楽地などに出かける機会も増えると思います。お出かけの際には最新の気象情報に注意していただくようお願いします。
 また、今朝方発生したチリの地震による津波につきまして、日本に影響を及ぼすのが明日未明ごろとなります。今後も、担当から順次情報提供をさせていただきますので、皆様が適切な防災行動を取れるように皆様の報道にもご協力をお願いしたいと思います。

 以上です。


主な質疑応答

Q 台風の話がありましたが、先日の記録的な大雨で鬼怒川が決壊しました。一部自治体で避難指示が出たり出なかったり、避難指示のタイミングや出し方について問題があったのではないかという指摘があります。気象庁として、これまでの対応と、今回の自治体の避難指示に対する評価をお伺いしたいのですが。
A 気象庁では、従来から特別警報に限らず、その前から、順次、気象情報、注意報・警報、土砂災害警戒情報を発表して、注意・警戒を呼びかけております。これらに加えまして、各気象台では、気象状況を解説する資料の提供や、台風の場合は台風説明会を行うとともに、さらに、警戒が必要な状況になった場合には市町村に対して電話連絡を行う、いわゆるホットラインですが、そういったことを行って危機感を伝えております。今回の場合では、例えば常総市についてですが、特別警報発表の約3時間前と特別警報発表時の2回にわたって電話連絡を実施しております。こういった支援としては積極的に今回も行えたのではないかと思います。こういう意味で、気象台の対応としては、警報の発表及び自治体の支援という点では適切に実施できたと考えています。今後、こういう警報等を発表した場合には、一連の気象庁の発表した情報がどう受け止められて、どう利活用されたか、ということについて、聞き取り調査を今後行う予定でありますので、その結果を踏まえて、気象庁として改善できる点があれば検討したいと思っています。

Q 活火山の活動状況がかなり顕著に見られる中で、噴火警戒レベルが下がった箱根山やレベルが上がった阿蘇山など、全国で噴火警戒レベルの上げ下げがかなり頻繁に行われています。こうした上げ下げについて、いろいろな影響が出てくる観光面などがありますが、一連の対応についての評価を聞かせて下さい。
A 噴火警戒レベルについては、それぞれの火山ごとに過去の活動履歴や現在の活動状況に応じて、噴火警戒レベルごとに基準を設定しています。観測データを基準に照らし、必要があれば噴火警戒レベルを上げる、噴火警戒レベルを維持する必要がなくなった場合には下げる、ということを、基本的には観測データに基づいて科学的・火山学的に実施しているところです。全体を見渡すと、それぞれ上がったり下がったりというところがあって、最近目立つと思いますが、基本的な考え方は気象庁としてはそういうやり方でやっております。今後も適切に対応できればと思っています。

Q 御嶽山から1年で、今、長官も気象庁の取り組みについて説明されたところですが、改めて、この1年、気象庁としては様々な取り組みを進めてきたかと思いますが、1年前の経験を踏まえて、大括りで良いのですが、どういった課題があるというふうに認識されて、それについてどのように取り組んでいって、残された課題、それから、まだ取り組みが進んでいないものもあると思いますが、残された部分としてどういったところに力を入れていこう、といったことを整理して説明してもらえればと思います。
A まず情報の方からいきたいと思います。噴火速報については、8月4日から運用開始して実際に今回もできたと思います。それ以外にも臨時の解説情報や、既に対処しているところもあるのですが、一つやることが決まっていて、実質的にはできているのが、噴火警戒レベル1の「平常」という言葉を、システム上まだ抜けていなくて、但し書きで読み替えて下さい、というようにしています。これはシステム上の問題ですので、もう少しお時間をいただければと思いますが、皆様ご理解の上、使っていただいていると思います。レベル化について言いますと、もう一つは、今31火山、10月1日から倶多楽が加わる予定で、最終的に常時観測監視火山を50火山にしますが、そのうちのまだ32火山であり、残りがいくつもあるので、これを鋭意進めていかなければいけないと思います。
 今度は、観測・監視の強化で言いますと、先ほど申しましたように、火口付近に観測を強化して、水蒸気噴火の予兆をいち早く捕まえることに取り組んでいますが、山頂付近はなかなか条件が厳しいので、まだ終わっていません。これは鋭意進めていますが、現地調査を行い、設置点を確認し、準備はどんどん進めていますが、実際の設置となりますと気象条件などいろいろ左右されますので、まだまだ時間が掛かりそうです。年内にはできる限りやりたいと思っていますが、これは時間が掛かるものと思います。もう一つ、47火山から50火山へ、残り3火山増やすことについても結局同じです。火口付近も含めて観測を強化しますので、これもまだ終わっていません。どんどん進めているところでございます。
 この1年の取り組みはこういったところで、残された課題というところは、評価体制が脆弱で、もっと強化しないといけないという指摘を受けていますので、火山活動を評価する体制を強化しないといけないと思っています。これは今後の課題です。その視点で、例えば平成28年度の概算要求で言いますと、システムの整備・更新強化を行います。これは、今整備している観測データが次々と増えてまいりますが、それを処理できないといけませんので、そういう能力を向上させなければいけないという面と、その評価を適切かつ迅速に行うための評価者を支援する機能が必要ですので、そういうところを強化したいと考えています。
 もう一つは、評価する職員の方です。これも量的にも質的にも向上させなければいけないと思っています。平成28年度要求では量的な増員を要求しておりますし、その人数だけではなくて、質的な面もやっていかなければいけない。つまり人材を投入するにあたって、火山の専門知識をお持ちの方をこれまで以上に採用するような努力をしなければならないと思っています。

Q 観測強化は年内に火口付近にかなり大幅な増強ですが、なかなか進捗状況は厳しいのかなと思いますが、その辺はどうでしょうか。改めて年内に、というふうには。
A 年内を目指して計画していますが、いろいろな不可抗力があってできないかもしれませんが、そういうことを最初から前提にしてやるわけにはいかないので、主に北から強化していかないと間に合わなくなると思いますので、そういう計画を立てながら各火山並行して作業を進めているところです。

Q 人材育成なのですが、基本的には庁内の研修で、ということでしょうか。それとも、幅広く採用時点で、OBの活用であるとか、大学の方との人事交流であるとか、そういった点はどこまで考えていますか。
A すべての担当職員を一気にレベルアップするのはなかなか難しいので、いろいろな方策を同時にやっていくことになると思います。一つは、これまで通り研修ですが、研修の中身もより高度化していく必要があると思います。それはOBの火山のドクターを持っている人でありますとか、大学のOBの方に講師になっていただくとか、いろいろやり方はあると思いますが、中身も良くしたいと思います。もう一つは、採用の時点で、通常は公務員試験で通った人の中から基礎的に素養のある人を採用しますが、今でも実を言うと、火山をやった人が気象庁に来る率は、比率で言うと、実際の定員の比率よりも高いです。それは非常に幸いなことだと思いますが、さらに言えば、ドクターを持っていらっしゃるポスドクや学生さんなどで、気象庁を目指していただける方を、試験以外の選考採用という制度もありますので、そういうものを組み合わせて活用しながら、専門知識のある人材を増やしていきたいと思います。

Q 関連しますが、概算要求のときに人事課に聞きましたら、今までと採用を変えるつもりはないようなことをおっしゃっていたのですが、今まででもやっていたそういった特殊な採用を増やすということでしょうか。
A 気象研究所の研究官の採用というのは、ドクターを持った人を選考採用という手立てがあります。これまでやったこともありますし、最近では気象関係で採用したりすることが結構あるのですが、そういうことはやっていきたいと思います。ただ、問題は、学生も少ないという状況で、こちらが望むだけの人材を気象庁で確保できるのかどうかということは、もう少し調べてみないと分かりません。人事課はそういったことも踏まえて、少し歯切れが悪かったのではないかと思いますが、我々の考えとしては通常の試験だけではなく、あらゆる手段、定員の中でもいろいろありますが、当然OBの活用でありますとか、大学の火山学の大家の方に評価に加わっていただくとか、いろいろな手段は取れるように今検討しているところです。

Q ご指摘のように、学生さん自体が少ないということもあって、庁内での研修・教育も非常に重要かと思いますが、今の教育・研修ですと、非常に短期間で行う形になっていて、なかなか短期間で身に付けられるものではなく、それだけに大学でもなかなか教育しきれない部分があると思いますが、研修制度について、今、外部の方をもっと、今でも来ているようですが、さらに研修制度ももっと見直されるのでしょうか。期間とか。
A 気象大学校に集めて研修するやり方をドラスティックに変えられるかどうかは分かりませんが、今でも工夫しているのは、桜島で現地実習的なことをやるということをやっています。それもまだ期間が限られていますので、もう少し長期にわたって、というご指摘もいただいていますので、そういったことが、どういった形でできるのか、というのは具体的に検討していかなければいけないと思っています。

Q もう少し長期にわたって、というのは、他の省庁もあるかもしれませんが、大学院等に職員を出して、といった意味合いでしょうか。
A 大学院に行くという考えもあるでしょうし、外国の機関へ行くこともあるでしょうし、内地留学と言いますか、大学に留学する形や、いろいろな制度がありうると思います。実際に使える制度もありそうなので、そのあたりをもう少し勉強させていただいて、どういったことができるか、受け入れ先のこともありますので、そのいうところを十分検討していきたいと思います。

Q 御嶽山や噴火速報の話もありまして、阿蘇山で先日初めて噴火速報が出ましたけれど、そもそも噴火速報というのが、登山客であるとか、噴火の完全な予知が難しい中で近場に寄っている方に対してどれだけ防災的に呼びかけられるか、ということで進めていると思いますが、今回の噴火速報について、どのように利用されたかであったりとか、検証や課題を考えるといったことは検討されていたりするのでしょうか。
A まず、どういうルートで伝えられたかということは調べました。いろいろなルートがありますが、気象庁ホームページに掲載というところから、熊本県が県の防災情報システムで阿蘇市、南阿蘇村、高森町に伝達していただいたとか、テレビ局等がテロップで流していただいたとか、事業者が携帯端末等のアプリケーションで提供したということがなされました。地元自治体への聞き取り調査も行ったのですが、阿蘇市の場合で言いますと、従前から火山活動の監視や観光客の避難誘導を行うために、現地に職員を配置しているということで、この職員が今回の噴火を実際に自ら目撃して、噴火速報の受領前から、受領してではなく、受領する前からということですが、観光客等に避難を呼び掛けていたということで、噴火速報そのものの活用ではないかもしれませんが、非常に良い対応を取っていただいたと考えています。

Q 先ほど、大雨の特別警報の後の自治体の聞き取り調査をしたとおっしゃったのは、昨年から、特別警報が出た後は調査を続けていますよね。その一環で引き続き、ということでしょうか。
A 気象庁では、警報を発表すると必ずそれがどう伝わりどう活用されたかということを確認して、問題があれば改善する、ということをやっています。その中では、いろいろなご要望もいただくのですが、その中で技術的に改善できるものについては改善していきたい。技術的にはそう簡単にできないものについては中長期的な課題として今後に向けて取り組むということをずっとやっています。その一環だと思っていただければと思います。

Q 特別警報を栃木県と茨城県に出した時間的な間隔ですが、基準に達したからというのは分かりますが、鬼怒川が栃木県から茨城県に流れていまして、あのように増え続けるのは確かに予想が難しいと思いますが、下流に流れていくことは想像ができるわけで、そこのところ時間的な間隔が適切だったかどうかというのはどのように評価していますか。
A どう流れていって、どう洪水になるかというところまでを具体的に予報官が検討したかどうかはともかくとして、48時間の基準に照らして栃木県にまず出しました。そして、ご存知のとおり南北に伸びる強雨域がずっと留まっていたのですが、それが徐々に東に移動する傾向が見えてきて、それが茨城県に掛かりだし、このまま動いていくと予測されたので、その時点で茨城県にも出したというのが実態です。

Q 先ほどの阿蘇山の噴火速報の件で、43分に噴火して7分後に発表されていますが、その発表のタイミングは、早さを含めて、評価はいかがでしょうか。
A 確かに43分と50分を引き算すると7分になりますが、43分の時点では、阿蘇山はしばしば噴火している火山ですので、43分から噴火が始まってしばらくの間は通常の噴火のレベルで推移していました。そして47分頃から真っ黒な噴煙が、幅も広く勢いよく上がってきました。その時点で、空振計にも地震計にも大きな振幅が観測され、これは通常を超える噴火だという判断をして、すぐに噴火速報を3分で発表しました。一応5分以内を目標にしておりましたが、実際に噴火速報の対象である大きな噴火であると判断してから3分で出しているので、十分速報性を持って出せたのではないかと私は評価しています。

Q 専門家に言うと、1、2分を争う速報だけに、火砕サージのように横に広がったタイミングでもう少し早く出せなかったのかという方もいらっしゃいますが、そのへんの出し方や、現場が頑張っているのは分かりますが、そのへんは気象庁としていかがですか。
A どうしても状況を確認して、速報の文章を作り上げて、それほど手間が掛からないようになっていますが、そうしていくなかで、どうしても3分というのはなかなか縮めるのは難しいかなと思います。それは精査してみたいと思います。

Q 御嶽山の噴火では甚大な人的被害が出たことが大きかったと思いますが、様々な対策・見直しを進められていますが、犠牲者を出さないとか人的被害を軽減するという意味で、火山防災で最も重要なことはどのようなことだと長官はお考えですか。
A 火山学の側面だけから言うと、どうしても噴火の予測が必ずしもできないという状況でありますので、それだけで完全に人命を守るのは難しいかもしれません。いろいろな面で自ら情報収集をしていただく面も必要ですし、シェルターのような身の安全を確保するために必要な施設も必要かもしれません。そういうものを総合的に、火山ごとにその火山の状況に応じて総合的に対策を取っていくことが重要だろうと考えています。

Q 長官にはお答えにくい質問かもしれません。今回の豪雨災害についてですが、去年、広島の豪雨災害の後に、木本先生が、こういうことはいつ起きてもおかしくないという趣旨のことを話してらっしゃいました。今回がそれに該当するかどうかは何ともまだ判断つきにくいところがあるかと思いますが、ただ、こういった災害が毎年のように起きていることを考えてみますと、これがもう本当にめったに起きない事象であるか、ということと、いや毎年いつどこで何が起きてもおかしくないのだ、というこの認識によって、我々国民、メディアも含めてですが、災害や防災に対する意識が変わってくると思いますが、そのあたり、長官の個人的な見解でも結構ですが、今回の災害について、認識というものが、思うところがありましたらお話しいただければと思います。
A 確かにおっしゃられた通りなかなか答えづらいご質問ですが、今回の大雨の特徴で言いますと、いわゆる線状降水帯が次々と発生して、全体としてある程度幅があって、南北にも広い豪雨になったということです。気象研究所の専門家に聞きますと、線状降水帯が次々発生したという事例は過去にもあるということです。ただ、今回のように関東地方で同じところにずっと一定の領域の中に次々と線状降水帯が発生して豪雨をもたらしたというのは記憶にないということです。そのため、今回の例を取り上げれば非常に珍しいかと思います。ただ、それは本当に珍しくて今後めったに起こらないかと言うとそうではないかもしれません。過去もあったということが事実であって、状況がどんどん変わったかという点は実証することができないのですが、できれば、防災というのは先手、先手で取り組んでいくことが命を守ることに繋がると思うので、なるべく高い意識を持って、自分の身を守るために何をしたらいいかというのを日ごろから考えていただけると良いと思っています。

Q 火山のことですが、最初のところで言及されていましたが、評価のシステムを、概算要求で来年度新しく意欲的なシステムの開発を進めていくという中で、山体内部の様子をモデル的に分かるような感じのデータを蓄積して、そういうシステムを進めていくとのことでしたが、非常に意欲的だと思いますが、一方で、それは本当にできるのだろうか、というように思いまして、現実的にああいったシステムが果たして機能するのだろうか、という点はどうでしょうか。
A 確かに気象のように数値予報モデルができているわけではないので、そういう意味でのモデル化というのは将来的な課題かもしれませんが、今回取り組もうとしているのは、過去の履歴を蓄積しシナリオを構築し、それと現実とを比較して、評価者が把握しやすいようにというところから出発してどこまで高度化できるかというところだと思います。実際に技術開発する時間を見込んで平成28年度要求ですが、実際にシステムが稼動するのは平成29年度秋で、技術開発期間は普通のシステム整備よりも長めにとって、今おっしゃったようなところに果敢に取り組んで、最初はプリミティブな面からかもしれませんが、それをどこまで高度化できるか、というところを1年以上掛けて作り上げていきたい、というのが今回の要求です。

Q システムの運用開始時点で、現実的に山体内部の様子が分かるような山は非常に限られるかと思いますが、どれくらいの山で現実的に何が起きているのかということを国民に知らせることができるような、どのくらいの山でできるイメージでいるでしょうか。
A 難しいですね。桜島とか浅間山とか伊豆大島とか、ごく一部の火山に限られているというのは言い過ぎですが、そういうところは既に充実した観測体制があり、過去の噴火事例も豊富にありますので、まずそこから出発して、今回の観測機器の強化をしていますので、そういうデータを取り込みつつ、他の火山にも順次広げていくというようなやり方になるのではないかと思います。

Q 例えば御嶽山ではどうでしょうか。
A 御嶽山はまだ整備途上でありまして、噴火の事例はまだ少ないです。しかし一番大事なのは、水蒸気噴火を今回の整備でどれくらい捕まえることができるようになるのか見極めながら、モデル化ができなければ警報を出せないというわけではないので、順次積み上げていって適切な警報発表に繋げていきたいと思います。

Q これから積み上げる、ベースのシステムというイメージもあるということですか。
A 事例の蓄積というのはどうしても土台になる面ですから、そこがまだ少ない火山についてはデータを蓄積しつつ個別の事象に対処していく、というところはどうしてもしばらくは続くかと思います。

Q チリの津波の件ですが、明日の明け方ということですが、なんらか見通せないと思いますが、不安な方も多いと思います。今日、国民の方が休まれる前に何か気象庁の方で発信できるような見立てや方針、見通しはありますでしょうか。
A 8.3というマグニチュードから、どの程度かは、ある程度見通しは持っているわけですが、それをさらに精度を上げていくために、途中の外国、例えばハワイやグアムの津波の観測データを実況入手して、それに応じてキャリブレーションと言いますか、当初の予測をそこで修正していく作業を行います。8時頃の発生ですと、夕方にはまたお知らせすることになりますが、その時点ですとあまり太平洋上の途中の観測点がさほどないと思うので、その時点ではあまり言えることが増えないかもしれません。ただ、夜の8時、9時頃になりますと、途中、津波が通った観測点が増えて参りますので、その時点で、例えば注意報レベルで収まるのか、警報までいきそうなのか、というところはお伝えできると思うので、時刻はまだ観測データと評価次第ですが、その頃にまたお知らせをして、そのときにはもう少し具体的に見通しを言えると思います。そして実際に注意報なり警報を発表するのは、今までいろいろな防災機関とのやり取りで、実際に津波が到達すると予想される時刻の2~3時間前に欲しいということですので、その頃に注意報ないし警報を出すということをしますよ、ということを8時・9時の段階でまたこちらでお知らせしますので、その点、是非国民の皆様に伝えていただければと思います。
A (広報室担当)チリの地震の日本への影響について午後8時か9時頃にはお知らせできる旨の発言がありましたが、お知らせできるタイミングにつきましては、16時30分からの記者会見(地震火山部地震津波課 長谷川洋平 課長)にて言及します。


(以上)

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