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長官記者会見要旨(平成27年7月16日)

会見日時等

平成27年7月16日(木) 14時00分~14時30分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日はまず、日本に接近している台風第11号についてお話させていただきます。次に箱根山をはじめとする火山及び「ひまわり8号」についてお話をさせていただき、最後に、昨日まで全国各地で、猛暑日を記録しており熱中症に対する備えについてお話したいと思います。

 まず台風第11号についてですが、本日13時現在、大型で強い台風第11号が四国沖の海上を北北西に進んでおり、早ければ今晩遅くにも四国地方に上陸するおそれがあります。
 台風の接近・上陸に伴い、明日にかけて暴風や高波、大雨、高潮などが予想されます。
 不要不急の外出は控えていただくとともに、地元気象台が発表する警報など、最新の気象情報に十分注意し、風雨が強まる前の早め早めの安全確保に努めていただき、市町村から避難勧告等が発令された際には、速やかに従っていただきたいと思います。

 次に箱根山をはじめとする火山についてお話させていただきます。
 箱根山につきましては、5月6日に噴火警戒レベルを2に引き上げた後も、火山活動は、全体として、高い状態で推移しており、その後6月30日朝に気象庁と神奈川県温泉地学研究所が実施した大涌谷での現地調査により、ごく小規模の噴火が発生したと判断し、同日12時30分に、箱根山の噴火警戒レベルを2から3に引き上げました。これにより、警戒が必要な範囲につきましては「大涌谷周辺の想定火口域の中心から概ね300メートル」であったものを「概ね1キロメートル」といたしました。観測・監視体制につきましては、全国47の常時観測火山の一つとして、常時観測を実施しておりますが、さらに温泉地学研究所等と密接に連携し、観測を強化しています。6月30日に噴火警戒レベルを3に引き上げた後で申しますと、関東地方整備局の協力を得て、ヘリコプターによる上空からの調査を実施したほか、機動観測班を現地に常駐させております。
 口永良部島につきましては、5月29日に噴火した後も、6月18日に再噴火し、その後、6月19日にかけてごく小規模な噴火が2回発生しました。今後も5月29日と同程度の規模の噴火の可能性があるため、噴火警戒レベル5を維持しております。引き続き厳重な警戒が必要な状況です。気象庁では、5月29日の噴火後から、屋久島町に職員を常駐させ、これは、その前から口永良部島に職員を常駐させていましたが、島民とともに避難して屋久島町に常駐していますが、屋久島町の災害対策本部を支援するため、火山や気象の解説を行うとともに、住民に説明できる体制をとっております。今後も、地元自治体と連携し、適時に、住民に対して説明を行ってまいります。
 御嶽山では、6月26日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを3から2に引き下げました。これにより、警戒が必要な範囲を昨年噴火した火口を中心に、その前は79年の火口を中心としていましたが、今回噴火した火口を中心に半径約1kmの範囲を警戒が必要な範囲としました。地元自治体では、噴火による行方不明者の再捜索を行うとの意向を持っており、気象庁では、捜索の安全確保のため、必要な支援を実施する予定です。
 浅間山では、6月11日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1から2に引き上げました。その後、6月16日と19日にごく小規模な噴火が発生しています。その後も、火山ガス、二酸化硫黄ですが、高い状態が続いています。
 これら以外の火山を含め、引き続き、しっかり監視を行い、活動の変化に応じて、適時に火山情報等を発表するとともに、地元自治体と連携して防災対応に努めて参ります。
 なお、噴火警報を発表していない火山についても、活火山であることに留意いただきますよう、よろしくお願いします。

 続いて「ひまわり8号」についてです。先週7日(火)11時(日本時間)より正式運用を開始しました。当日は運用開始式を開催し、北川国土交通副大臣にもご出席いただきました。
 今後は、「ひまわり8号」の世界最先端の機能を用いて、台風や集中豪雨等の監視を強化するとともに、衛星データを数値予報に取り込むことによる予報精度の向上、また海面水温や黄砂の状況、さらには火山の噴煙などもより詳細に把握するなど、得られた観測データを十二分に利活用することより、国民の安全・安心に一層貢献していく所存です。

 最後に熱中症に関することです。今週も既に各地で猛暑日となっているところがあります。梅雨期の晴れ間や、梅雨明け後には、晴れて気温が上昇することなどにより熱中症の危険も高まります。
 最高気温が概ね35度を超えるような状況が予想される場合には、高温注意情報を発表いたしますので、報道機関の皆様におかれましては、早めの水分補給を呼びかけていただくなど、注意喚起にご協力をお願いいたします。

 以上です。


主な質疑応答

Q 先ほど火山のお話が出てきましたが、噴火速報、当初8月上旬というお話がこれまで出てきていますが、その後進捗があると思いますので、現在の進捗状況と、改めて、噴火速報の持つ意味を教えて下さい。
A 御嶽山の噴火災害を踏まえまして、火山噴火予知連絡会の検討会において、ご提言をいただいたところです。その中で、登山者等、火山に立ち入っている人々に、迅速、端的、かつ的確に伝えて、命を守る行動を取れるように、そういう目的で噴火速報を新たに出すべきだというご提言をいただいたところです。現在準備しておりますが、これは速報ですので、ご案内のとおり、コンピュータからコンピュータという伝達手段を使わなければいけないため、情報の配信先であります防災機関、都道府県、報道機関等との間で配信試験を実施するなど、8月上旬の運用開始に向けた最終段階の準備を行っているところです。順調に進捗していると認識しております。まだ具体的な運用開始日を申し上げられないのですが、決まり次第改めてお知らせしたいと思います。
 この情報を含めて、住民や登山中の方々が、様々な手段で噴火速報等を入手できるようにすることが重要であると考えております。そのため、気象庁ではホームページで入手できるようにするように自らしておりますが、それだけでは当然足りませんので、テレビ、ラジオ、あるいは地方自治体の防災無線、民間事業者の携帯端末アプリや電子メール配信サービス、といったものを活用して、登山中の方々が直接入手できるよう、関係機関に協力をお願いしているところであります。
 今後、噴火速報の意義や、どのような場合に情報が発表されるか、あるいはどのようにして情報を入手できるか、情報を入手した際にどのような行動を取れば良いか、といったことを様々な機会を捉えて周知・広報をしていきたいと考えておりますので、報道機関の皆様におかれましても、是非ご協力のほどお願いしたいと思います。

Q 箱根山についてですが、6月29日、30日火山灰があって、それが噴火かどうか、ということですが、最初はよく分からないということで、夜になって噴火ではない、翌日になって噴火しました、とのことで情報が混乱したようでしたが、気象庁として改めるべき点は何かありますでしょうか。
A 今振り返ってみて、いつ本当に噴火があったのか、ということは色々なデータを突き合わせて検証していくべきだと思っています。しかし、一番大事なことは、その当日に当庁機動班が現地に入って、箱根山に一番詳しい専門家の方と合同で現地を調査し、得られた観測データを総合して判断した結果が、まず29日の時点では噴火ではない、というのは、要するに一番山のことを知っている方が噴火と言えない、という結論に至ったということは非常に重い判断だと思うので、それはまず尊重すべきだっただろうと思います。そして、翌日になって、噴火したということが明らかになるような調査結果が得られて噴火としたわけですが、実際に噴火したのがいつかはまだ決めきれていないのですが、総合的に色々な情報を突き合わせて確定できればと思っています。その上で、今回の現地観測そのときの、29日の判断、30日の判断というのを全部突き合わせた上で、もう少し改善すべき点があるのかないのか、というところを検討していければと思っています。

Q 後でよく精査した上で、改善すべき点があるかどうかを考えるということですね。
A はい。

Q 現象についての判断という点では、三宅島の噴火の際に火砕流のようなものが出て、専門家は火砕流ではないかと言っていたのですが、気象庁はなかなか火砕流とは言わなかったが、それはそれで難しいことで構わないと思うのですが、それをグレーのままにしていたのですが、今回の場合は、噴火かどうか分からないと専門家が言っている中で、シロにしてしまったと思うのです。防災官庁としては、シロかクロか分からないときは、どちらかと言えばクロの方の判断をする方が、防災対応としては健全ではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
A 私の理解では、29日の段階では、分からないというより噴火ではない、という判断が29日夕方にあって、それに基づいて情報発表したと理解しています。おっしゃるとおり、防災において、安全サイドに判断するというのは、まず鉄則だと思います。ただ、今回は箱根山という常に噴気が、今回は既に暴噴している状況において、それが噴火かどうか、というのは非常に難しかったと思いますが、その中で、一番箱根山の活動に詳しい方が29日夕方の時点では噴火でないという判断をされたということを非常に重要視して、それに基づいて、その判断をあえてグレーにするようなことはしないで、今回はシロとして29日の段階で発表したと私は理解しています。

Q 箱根山に詳しい温泉地学研究所の方の判断を尊重したのは構わないのですが、連携して防災対応にあたっているとはいえ、防災の責任を持つのは気象庁であるべきですから、気象庁でもそういった判断をできる人材を育成したり、普段は火山噴火がしょっちゅう起こっているわけではないので、常に抱えているのは難しいのかもしれませんが、気象研究所から人を呼んできたりとか、人材を活用するなり、あるいは育てるなりした方がよろしいのではないでしょうか。
A 御嶽山以降ですが、気象庁の火山に関する専門性をさらに高めるべきだというご意見はいただいておりますし、できる限り有能な人材を採用して我々の業務を確実に実施できるようにしていきたいと考えておりますが、今回も含めてですが、そんなに、専門性の高い人間がいない、ということではないと私は認識しています。何度も言う機会があったかもしれませんが、理工系の大学や大学院を出た人をまず採用して、火山を専門で論文を書いた方は当然のことながら、そうでない方も含めて、必要な研修等を行って業務にあたらせていますので、業務を実施する上で必要な知見、専門知識は十分備えていると言えます。今回、箱根でいいますと、箱根山に対して一番詳しい方を上回る知見を持つ人間がいないだろうと言われればその通りかもしれませんが、それはどの山に対しても、その山に一番詳しい人と連携、情報共有して、今回のように現地を一緒に調査してやっていくということが、やるべきことをやっていると認識しています。今後については、先ほども申しましたが、必要な人材を確保していきたいと思いますが、全体として人数が少ないという大きな問題もありますので、その辺も含めて、気象庁の中では、確保できた人材をいかに専門性を高めていくかということも含めて、今後力を入れていきたいと考えています。

Q 交通政策審議会の気象分科会のこれまでの議論の率直なご感想と、長官として、これから重要だなとお考えになられているポイントがあれば教えて下さい。
A 分科会では気象に関する話題についてご審議いただいているわけですが、気象庁が扱っている自然現象の監視・予測というのは、今ある知見を最大限活用して観測し予測する、そして、それをいかに高めていくか、ということが大きなテーマです。
 今回の気象分科会のテーマは、最近、激しい雨が増えているなかで、それに対して、まずは現状の技術レベルにおいて、防災情報の出し方で何か工夫できる点はないか、改善すべき点はないか、というのが1点で、もう一つは、技術レベルをいかに上げていくか、どういった点に力を入れて技術開発・研究を行っていけば良いか、この二点を柱としてご審議をいただいているところです。
 気象庁としては、昨年の広島の豪雨や昨今の台風等を踏まえて、いくつかの改善の提案をさせていただいて、それにご意見をいただいているという段階ですので、ここで具体的に申し上げられることはまだあまりないのですが、非常に有意義な議論をされているというのが、私がこれまで参加しての受け止めです。
 こういう、部外の有識者からご意見をいただくということは、気象庁は気象の専門家であったり地震火山の専門家であったり、日々現象に接しているわけですが、その中で感じていることと、部外の有識者、全く分野の違う、しかし非常に見識のある方々のご意見というのは、目からうろこというような、こういう見方もあるのだな、ということがありまして、非常に参考になっています。
 今後、あと半月くらいの間に報告書の案を作り上げて、さらにご意見をいただくことにしておりますが、良いご提言をいただけるのではないかと期待しているところです。

Q 「ひまわり8号」関連でお尋ねします。「ひまわり8号」の撮影間隔ですが、これまでの7号の30分から、全球は10分、日本域は2.5分になりましたが、まだホームページ上では共に30分ずつになっていますが、ホームページ上で間隔を短くするというのはどうなっていますか。
A データ量が多いので、たぶん色々技術的な問題があると思いますが、担当から説明します。
(観測部担当)2.5分の画像は8月からホームページにも掲載する予定です。もうしばらくお待ち下さい。

Q 全球の方はいかがですか。
A (観測部担当)全球の方は30分間隔で掲載していますが、10分間隔にはまだなっておらず調整中です。

Q いずれ30分から10分になるんでしょうか。
A (観測部担当)そのあたりも、技術的なところも含めて調整していきます。

Q これからアメリカやヨーロッパも、日本の「ひまわり8号」と同じような性能のものが打ち上がっていくという話があると思いますが、日本で打ち上がったことで、海外からの反応というのはあるのでしょうか。長官の耳に入っているものがあれば教えて下さい。
A まず、各国の関係機関、例えばNOAAの衛星を担当している機関の長官や、WMOの幹部や、各国のいくつかの長官から祝辞をいただいていますし、非常に素晴らしい、という話が出ています。私は残念ながら口永良部島の噴火がありまして出席できなかったWMOの4年に一度の総会がありまして、その場でも非常に賞賛されたと聞いております。
 もう一つ、技術的に言いますと、同じセンサーを使ったものが他でも上がっていくわけですが、今回、我が国が一番最初だったということで、そのデータをどう処理するか、どう使い切るか、というところが、当庁職員が非常に頑張ったところだと思います。その点についても、当庁職員が中心になりつつも、各国の関係機関と情報共有・連携をしながら、研究開発を進めていきましたし、今後もしていくということで、これまで、しっかり運用に結び付けていった我が気象庁の担当者に対しては、賞賛の辞が送られていると私は理解しています。

Q もう一つ、これからは運用というより、実際の観測への活用の方が課題になっていくと思うのですが、長官として、これからの課題というのはどのようにお考えになっていますでしょうか。
A 担当の方で、技術的な検討を行っているはずなのですが、例えば、パッと見た目に、きれいな画像、滑らかな画像が見えますが、それを実際に予報精度向上に繋げるためには、コンピュータ処理できるデータを引き出さなければいけません。一番分かりやすいのは、雲の動きから、これまでもですが、上空の風の風向・風速を割り出していました。ところが、30分に1回ですと、30分後には、もとあった雲がどこに移動したのか、形が変わって分からない場合も結構多く、得られるデータはそれほど多くはなかったのですが、これが10分間隔になると、上空の風のデータを引き出せる量が、圧倒的に、量と質、精度が上がるということが期待されていて、既にデータを引き出せるようになっているのですが、それを数値予報の初期値としてどう組み込んでいくかというのは、今まさに開発中ですが、それが組み込まれて、そのデータを使えることになったことによって、モデルの最適化をまたやっていって、最終的に精度が上がっていくという、一見気が長いように思えますが、非常に大きなプログラムを改良して最適化していくので、一定の時間が掛かりますが、本運用する前からそういうことは分かりきっていますので、前から擬似データ、「ひまわり7号」から得られる、臨時観測をやったデータを用いながらテストをやっていたわけですが、本当に得られるようになったものをどう最適化していくか、ということを例えば数値予報課ではやっています。もう一つは、台風の詳細な動画をご覧になったと思いますが、眼の中の眼のようなものとか、周辺で積乱雲が次々と湧き上がってくる、というのは、人間の目で見るとよく分かるのですが、それをうまく数値化して自動で抽出できるようにしないと、本当の予報には使えません。そこは自動化して大量のデータを引き出さないと本当の業務には役に立たないので、今まさにそういうところを予報課等で検討して技術開発をしている段階です。

Q 台風がかなり近づいてきて上陸の恐れもありますけれども、 今年初めてなので、改めて防災上の注意事項について事前の警戒の呼びかけをお願いします。
A 詳細な内容について既に主任予報官などが説明しており、早い段階から継続的に報道していただいておりますので、皆さん知っているはずなのですが、やはりよくあるのは田んぼの様子を見に行って用水路に落ちたとか、川の様子を見に行って行方不明になったとかいうことがあるのが、防げる災害・被害ですので私にとっては非常に残念でならないことです。まず気を抜かないで、そういうところを本当に早め早めに安全サイドに立って、様子を見に行ったりしないということを徹底していただいて、なおかつ、ご自分が住んでいらっしゃるところで過去の災害などどういうことが起こりうるのか、というのを想像をたくましくしていただいて、自分が置かれている状況を自ら確認していただいて、早め早めの行動を取っていただくということが非常に大事だと思います。
 もう一つは、かなり近づいてきているので進路はかなり絞り込めてはきているですが、それでも24時間ですと誤差は数10kmから100kmとかありますので、そうすると少しずれただけで雨の降り方も含めて災害の様相は変わりますので、常に最新の情報を入手していただいて、防災大臣も呼びかけをされていると思うのですけれども、早め早めの行動・対応を取っていただけるように、是非お願いしたいと思います。


(以上)

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