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長官記者会見要旨(平成27年2月19日)

会見日時等

平成27年2月19日(木) 14時00分~14時45分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日は、はじめに、東北地方太平洋沖地震の余震についての注意、次に3月に仙台で開催される第3回国連防災世界会議について、最後に大雪への注意、この3点についてお話させていただきます。

 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の余震活動についてですが、全体的には次第に低下してきているものの、本震発生以前に比べると活発な状況というのが当分の間継続すると考えています。今後もまれに強い揺れ、さらには津波を伴う地震が発生することがありますので、引き続き御注意をお願いします。一昨日にも、三陸沖を震源とする地震により津波注意報を発表し、また同日、岩手県沖の地震では青森県で最大震度5強を観測しました。このうち、2月17日8時6分の三陸沖の地震の震源の位置について、改めて精査しましたところ、津波予報を発表した際の震源の位置から、約100km西側、陸側でした。精査後の位置であれば、岩手県以外にも津波注意報の対象となる地域があり、また、岩手県沿岸の津波到達予想時刻を10分早める必要がありました。
 原因は、地震の直前に別の小さな地震が近くで起きており、津波注意報を発表した時点において二つの地震であると認識することは困難であったためです。このような事例への対応策については、地震火山部に今、検討させています。

 次に第3回国連防災世界会議についてです。
 この会議は、国際的な防災戦略について議論する国連主催の会議です。第1回は1994年横浜市、第2回は2005年神戸市、それに引き続いて、来月3月14日土曜日から18日水曜日にかけて、仙台市において第3回が開催されます。
 10年前の平成17年(2005年)1月に神戸市で開催された第2回の会議では、会議開催の約3週間前の平成16年12月26日にインドネシアのスマトラ島西方沖で発生した地震及び津波の被害を受けて、気象庁は、関係機関と協力しつつ、インド洋の津波早期警戒システムの構築に関するテーマ別会合というのを実施しました。このテーマ別会合での議論は、インド洋における津波警戒態勢の構築とともに、体制が構築されるまでの間の支援措置として、当庁でありますとかハワイのホノルルにある太平洋津波警報センターによりますインド洋津波監視情報の暫定提供という形で実現しました。またこの第2回会議では、国際的な防災の取組指針であります「兵庫行動枠組(HFA)」が策定されています。第3回の会議では、2015年以降の新たな国際的な防災の「行動枠組み」が話し合われるほか、東日本大震災被災地の復興を世界に発信するとともに、東日本大震災やその他の自然災害を通じて得られた、我が国の防災や復興に関する経験や知見を国際社会と共有し、国際貢献を行う重要な会議となります。
 気象庁は、会議をホストする日本の一員として、また防災を担う国の機関の一員として、関係府省庁や仙台市、日本損害保険協会など国内各機関や、世界気象機関(WMO)や国連教育科学文化機関(UNESCO)の政府間海洋学委員会(IOC)などの国際機関とも協力しながら、「早期警報」や「巨大災害からの教訓」といったセッションへの参画、地震・津波災害に関するパブリックフォーラムの開催、展示、気象庁長官賞を授与する防災探検隊マップコンクール表彰式への参加など、会議中開催される様々なイベントに参画し、我々の経験や知見を発信し、共有すべく準備を進めています。

 次に大雪への注意についてです。
 本格的な雪や暴風雪の季節を迎え、強い冬型の気圧配置や強い寒気の影響で、北日本・東日本の山沿いを中心に、積雪を観測しているアメダスの4割近くにおいて最新積雪が平年を上回っています。いつものお願いとなりますけれども、道路での立ち往生等の交通障害、冬山での遭難、雪下ろしや除雪等における事故などを防ぐためにも、各地の気象台が発表する大雪や暴風雪等の情報を活用いただき、早め早めの安全対策や暴風雪の際の不要不急の外出を控えていただくなど、安全確保をお願いしたいと思います。

 以上です。


主な質疑応答

Q 長官もおっしゃいましたけれども、三陸沖での地震でですね、結果的に震源がずれていたという問題で、いま対応策を検討していると、おっしゃったんですけれども、現時点でどういった対応策が考えられるのかということと、いつくらいまでを目途に対応策をまとめられるのかというのをお聞きしたいと思います。
A 現時点で具体的に対応策を申し上げられる段階に無いのですけれども、私も長年地震の業務に携わってきた経験から言うと、今回の地震の重なり方がなかなか、非常にまずい重なり方といいますか、判別しにくい重なり方でした。普段ここまでずれるということは無いのですけれども、今回は波形を見てみますと、非常に難しい事例であったと思います。ということで、具体的にそれをどうしたらいいかというのは、いろいろとアイディアを持ちながら検討をしてもらっているのですけれども、一番大事なのは非常に短い時間に津波警報を出すためには、1分、2分くらいの間で震源とマグニチュードを決めて、津波の規模を判定して、3分以内に出すというのが目標でございますので、それが大幅に遅れることが無いようにするにはどうしたら良いか、限られた時間内に数多くの作業がありますので、その中でどういうことが現実的に可能なのかという視点で今検討させています。具体的な内容と時期については、申し上げられません。

Q 技術として、震源の位置を海底の場合割り出すのは難しいというのは十分理解できるんです。速報もすぐに出さないといけないというのは分かるんですけれども、今回むしろ、技術の問題じゃなくて、情報の出し方の問題として、まる1日以上かかってですね、修正が出るというのは、これはやはり違うのではないかと思いますね。アメリカ地質調査所(以下、USGS)は小まめに震源の位置を修正していましたし、気象庁の内部、それから津波研究者からも早い段階で震源の位置は違うだろうという指摘は挙がっていたはずで、少なくとも津波が予想よりも早く、しかも広く到達する可能性があるんだったら、その段階でアナウンスすることはあっただろうというふうに思うんですけれども、その辺りいかがでしょうか。
A おっしゃるとおりだと思いますけれども、まず一つは3分以内では無理だというのはご理解いただけると思うのですけれど、次は第一報の津波注意報を出したあとで、到達するまでになんとかできなかったのかと、いうことだと思います。担当に聞いたところによると、残念ながら、二つの地震が重なっているかもしれないというふうに認識し始めたのは、11時頃、一連の津波注意報も解除した後でした。発表した直後からそういう意識があれば、当然、津波注意報を出し、津波の状況を監視し、という一連の作業と並行して、震源の精査もしていた担当もいると思うのですけれど、だんだん詳しく、広範囲のデータを見ると、合わないという部分がでてきて、地震が重なっているかも知れないと思い始めたのが11時頃。それから、三陸沖の地震の特性について、詳しい人間に改めて精査をさせて、どうもこれは完全に二つの地震だということが分かったのは夕方というふうに聞いています。翌日に発表させていただいたのは、いつも気象庁の震源の決め方なのですが、1日単位で、前の日の分は翌朝に会議を開いてですね、担当者を集めて、一人の主観で狂うことが無いように、複数の人間でチェックして暫定震源ということで確定します。その作業を終わらせたのが、翌日の朝ということで、進行中の状態であればもっと急がせる判断はあったかもしれませんけれども、解除した後であったので、通常のスケジュールのなかで、処理していったのだと考えています。

Q 同じようなことがですね、今回運が悪かったのかも知れませんけれども、まずい重なり方をする事態があったとしたら、似たようなことは起こりうるということになるでしょうから、技術的な改善がなかなか難しいのであれば、情報の出し方としてどういうことを考えるかと、その辺りいかがでしょうか。
A 小さな地震と言いながら、本震と比べてマグニチュードにして1くらいしか小さくないと思うんですよ。だから単独で見ても、5.いくつ位の地震だと思うのです。重なっていて、きちんと計算できないのですけれど、両方の地震の波形がひとつの記録で見られるということは、そんなに大きさに差が無いということで、そういう意味でも困難でした。本震の方がもう一つマグニチュードにして大きければ、差が大きくて、(津波予報の処理画面では)全体を見えるように縮小して見ますので、前の小さい地震は見えなくなります。ということで、本当の大きな地震のときは、たぶん大丈夫だろう、というのは私の個人的な感触です。今回、実際こういうことが起きたので、通常の第一報では無理にしても、直後からどうその辺をチェックするかというのが、色んなアイディアがあると思うのですけれども、まずは二つ重なっているかもしれないという視点で見る作業は、どこかで加えなければならないと思っています。それが出来れば、実際に津波が到達する前に判断して、出せるようにするのが、目指すべき方向だと思っています。二つと判断して、修正した結果が安全サイドであれば良いかもしれませんけども、危険なサイドに、今回同様により陸に近づいて、到達予想時間が早いということであれば、即座に発表すべきだと思います。そこは技術的に何かしら工夫はあるだろうと思っています。難しいのは難しいのですけれど、それなりのやり方はとにかく検討してもらおうと思っています。その上で、情報の出し方というのを、改めて検討したいと思います。

Q 同時に複数の地震が、同じ場所で起きているかも知れないという可能性を加味して、判断をしていくということでしょうか。
A 震源の計算のやり方で、最初から分離できるやり方があるかも知れないです。精度は悪いけれども、データの選び方を変えて計算してみて、本来ならほぼ同じところに決まるべき震源が、明らかにずれるというようなことが、早い段階で、津波予報に遅れを来たさない範囲内で、どこで組み込めるかということだと思っていますので、具体的にそれが組み込まれるタイミングとか、作業量とか、そういうのを十分精査しないといけないのですけれども、そこはきっちりやらせたいと思います。

Q 今回、津波注意報をですね本来出さなければいけなかった、青森県、北海道、当然ですね漁業者も海に出ていましたし、海にいた方もいらっしゃると思います。そういった関係する自治体やですね、そういった方々に対してですね、津波注意報を出せなかったことをどのように思っていらっしゃいますか。
A 今回は不幸中の幸いで、実際の津波が予測の幅の範囲内で収まっていました。北海道とか青森についても、今回は海面変動という津波予報を出していて、0.2m未満の海面変動はありうるという、注意報ではないけども、注意喚起をしていたわけです。結果的にその範囲内であったので良かったのですけれど、次の機会のときに、それで収まるかどうかは分かりませんので、それは非常に結果的に良かったというだけの話では済まされないと思います。到達予想時刻にしても、早いところは、こちらの予想時刻より5分早かったところがあり、その5分が命取りになる可能性も当然あるわけですから、今後そういうことが無いように、しっかりとやって行きたいし、関係の自治体には、丁寧にご説明して、お詫びするべきところはお詫びしたいと思います。

Q 津波注意報は、警報もそうですし、命に関わる情報だというのは震災以降、気象庁も一番よく分かっていると思いますけど、津波予報のですね、信頼性が失われたというかですね、揺らいでいると思いませんか。
A 信頼を確保することが、気象庁にとって非常に重要だと思っています。今回、100kmずれる事態になって信頼が揺らぐことがあり得ると思いますが、それについては信頼を確保するべき、回復するべきです。改善策をしっかり作り上げて、関係の方々にご説明して、信頼をまた回復していきたいと思っています。

Q 津波注意報が出ていなかったところに関しては、今回、何センチ到達するかというのは、観測はされていないのでしょうか。
A 津波注意報、警報を発表していない地域についても観測はしているのですけれども、注意報、警報のフォローアップとしての津波情報の発表というものはリアルタイムで行っておりません。後々、データを整理して、記録としては残すのですけれども、直後に情報という形で発表していません。ただ、観測はしていますので実際にどこで、例えば0.1mだとか微弱というのはしっかり整理されています。

Q こういうことが起こると、そういうところに関しても迅速な開示というのが対策として、選択肢としてありうるのかなという感じがしますが、そこはいかがですか。
A 慎重に検討しなければいけないと思います。なぜかと言いますと、実際に津波警報とか危険が及ぶと思っているところの発表を、阻害とまでは言いませんけれど、大量なデータを発表したときに、その大量の情報の中に埋もれてしまわないようにすべきだと思います。今はそういう観点で敢えて発表しない、後々のために観測をし、記録を残すというようにしているのですけれども、その辺は埋もれないようにしつつ、どのようにして行ったらいいのかということも含めて、検討はしてみたいと思います。

Q ある意味なかなか、こういうレアケースになるのかもしれないですけれど、こういう事態もあるということを考えると、全てが全てこれで、今、既存の方法で、完璧に網羅できるというわけではないと思うので、沿岸の人だったりとか、消防団の中には到達予想時刻から逆算して、待機時間を計算するという話しもあったりすると思うので、そういう意味でいくとある意味、精度の限界みたいなものを現場が理解するというのも重要なのかなと思いますが、その辺り長官いかがでしょうか。
A 例えば津波の高さにしても、場所によっては高くなることがありえますとか、到達予想時刻についてもご協力を得て、その予想の時刻よりも早く到達することがありますというのは、アナウンスはしているのですけれども、そういうと更に信頼性が揺らぐかもしれませんが、信頼性を確保しつつも、そういうところも丁寧に説明していく必要があると思います。

Q 信頼回復は必要というところでですね、確かに昨日の状況は止むを得なかったのかと知れないのですけれど、それを紙1枚で出して、記者会見を開かないというのは、本来であれば止むを得ない事情だったのですと、説明してですね、しかるべきところを紙1枚で済ませるのはいかがなものかなと思うのですが、どうでしょうか。
A その点は批判されればその通りかと思います。担当の判断としては、報道発表資料として作って、取材にしっかり応えていこう、というつもりでやったのだと思います。それが足りないということであれば、今後それは反省点として改善していきたいと思います。

Q 今回、津波がなければ別に大したこと無い、逆に長官もテーマとしては挙げないものだったのかもしれないと、それはそれで良いのかもしれないと思いますが、長官もここでテーマで挙げているということは、大事なことということなんでしょうから、それであるのであれば、きちっと会見を開いてやるべきだと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
A わかりました。ありがとうございます。

Q 話は変わるのですけれども、長官にお尋ねしたいのですが、火山の観測体制についてですが、今、補正でいろいろ観測体制について強化されるということになりましたけど、一方でですね、充実はして今後、それをウォッチングしていく職員の体制については、それはどのようなご見解でしょうか。
A 噴火が発生した時期から見て、観測体制は補正予算でなんとか間に合ったのですけれど、監視体制のほうでいきますと、実際に補正予算で観測体制を充実したときに、それに応じたデータの増加量であるとか、処理するためにどういう作業があって、どれくらいの作業量になって、どれくらいの体制の強化が必要かというのを次の段階として見積って、体制の強化が必要であればそれは要求していくという段取りになります。今、地震火山部のほうで検討してもらっていますけれども、今後、必要な体制については要求していくというつもりでおります。

Q 強化するということで、体制というところで、人の量もありますが、質というのもあるかと思うのですが、専門家にお話を伺うと、なかなか評価が難しいのに、今の研修では不十分だという声もありますが、その辺を今後、検討していれるのでしょうか。
A 頭数だけじゃないというのはおっしゃるとおりで、基本的には理工系の大学、大学院を卒業した人を採用し、そのなかで火山を専攻した人間を火山業務に注ぎ込んでいくのですが、それだけでは足りない部分は研修で、というふうに今、やっているのですけれども、研修についてもさらに充実が必要だというふうに思います。特に活動評価の部分については、かなり大学の方にも協力いただきながら、研修体制を作っていきたい。採用についても、なかなか学生自体が少ないという面もあるので、そこだけでまかなうことは出来ないと思うのですけれども、採用も含めて必要な体制の確保、要員の確保というのは色んな形でやっていきたいです。

Q 体制の確保、要員を確保するということで、今、おっしゃるとおりで、なかなか試験の兼ね合いもあるということで難しいということで、そうなると、教育していくしかないのかなと思うんですけど、OBの活用という声も一部出ているんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
A それも念頭に起きながら、具体的にどういう仕組みにしたら良いのかというのも含めて、大学のOBであるとか、気象庁でも火山でドクターを取ったOBがいますから、そういうものの活用も含めてですね、幅広く前広に考えて行きたいと思います

Q その辺は、今の観測体制の検討会のなかで触れられる予定はありますでしょうか。
A 評価体制というのは、火山の観測体制の検討会の中の、最終提言に向けた検討の大きな柱でありますので、その辺の議論も踏まえつつ、どういった形でやっていくのかというのは検討していきたいと思います。

Q 昨日、噴火速報というものについて合意がされたということで、気象庁としても登山シーズン目指してやっていくという話が北川火山課長からもありましたけれども、そもそも火山に関する情報は今たくさんあるというなかで、この噴火速報というものが、どういうふうに位置づけけられるのかということと、御嶽山を受けての検討会で決まったことだということで、命を救うという視点に立ったときに、この噴火速報というのは、どの程度効果があるかというふうなことはどのように認識されているかということをお聞かせください。
A 例えば御嶽山の今回の噴火でいうと、実際登山者から噴火が見えていますから、どれくらいの効果があるかというと、色んなご意見あると思いますけれども、必ずしも山が見えていない状態で登っていらっしゃる、天気が悪い、山陰、木の陰という色々な場合がありますので、特に登山者にいち早く噴火した事実だけを届けることによって、何らかの退避行動なり、安全確保行動をとっていただけるのではないか、というふうに期待しています。

Q あれだけの方が亡くなったということを受け止めると、報道の私たちもそうですけれども、ああいうものが出来たということで、これで全て助かるというふうに受け取る方もなかにはいらっしゃるのかなと思うのですが、私はそうではないと思いますが、その辺りはどうでしょうか。
A おっしゃる通りで、前もって予知できて、十分な時間を持って下山させれば、情報だけで命は救えるのですけれど、今回、御嶽山の状況をみれば、実際にもう山に登っていらっしゃる状況で、情報だけでは命は救えない、ゼロにはできないだろうと思います。一つの改善策として、受け止めていただいて、総合的に火山の防災を強化していくなかで、有効に使っていただければというふうに、周知、広報も含めて、そういったことにも注意しながらやっていきたいと思います。

Q 昨日、藤井座長から、これからのなかで、一番大事なところは事前に自治体との間で、あらかじめ基準だったり、どういう防災対応を取るかを決めたうえで、もっと噴火警戒レベルというのを上げ下げというものを、もっときちんとするようにしたほうが良いのではないか、というお話がありましたけど、そちらのほうが一番大事なんじゃないかというお話がありましたけど、どの辺りが一番大事だという認識でしょうか。
A 基本的な認識というのはまさにその通りで、御嶽山噴火の場合でも、レベル2に前もって上げることが出来ていれば、ほとんどの方が亡くならない、犠牲者ゼロに出来たと思います。それがまず第一です。その前提に立って、今、議論していただいています。上げ下げのやり方を、これまでと変えないで何かを足そうとか、新たな情報を作ろうという意味ではなくて、当然、御嶽山で言えば、今回の噴火を踏まえれば、当然レベル2への上げ方は変わっています。モデルで予測できる話では無いので、基本的には過去の事例に照らして、上げるか下げるかというのを、検討していくわけですから、今回の噴火を見れば当然、次はもっと低い活動レベルでレベル2に上げると、当然そうすべきだと思いますし、今後、絶対そうします。問題は、それでも一定の基準は引いて、今、おっしゃったように、きちんと地元と合意して、火山学者も納得する基準で決めて公開して、その通りにやります。やるのですけれども、それでも基準を決めたら、その下のレベルの異常というのはあるわけです。それが噴火に結びつくかどうか分からないと言っていれば、どんどんその基準を下げていくしかないのですけれども、その適正なところはどれかということを考えても、一通り決めたとして、その下のところで、運悪くレベル2に上げない状況で噴火した場合に噴火速報で一人でも多くの人に安全確保してほしい。そういう考え方で、今、議論をしていますし、基本的な考え方は、今、申し上げたとおりで、藤井先生と何ら変わるものはありません。

Q 主眼としてはやはりそこの、噴火警戒レベルの運用というところは一番のメインになってくるというところでよろしいでしょうか。
A まずはそれをしっかりと手順という形で双方の認識を共有して、それを公表して、非常にオープンな形で、レベルの上げ下げをやっていきたい。下げるほうも重要ですから、その辺をきっちりと、やっていきたいと思います。ある個人が逡巡して、出し遅れとか出さないとかということにならないように、当然したいと思います。

Q 火山の話で、先ほど人員体制の話が出ましたけど、先ほどのものは三つあるセンターのことですよね。現場といいますか地方気象台などの火山防災官の情報伝達とか、普段の防災対応では非常に重要な存在だと思うのですけれども、今回の御嶽の噴火の教訓を踏まえると、現場の地方気象台の火山防災官に期待することとか、もっとこうして欲しいとか、こういう課題があったとか、そこら辺の考えはありますか。
A 各地方気象台の火山防災官は地元の協議会、無いところは協議会を作る方向で、一生懸命働きかけたり、出来たところでは運営にあたって意思疎通をしたり、やっていただいているわけですけれども、今後、先ほども出ましたけれども火山防災対応手順というのを作り、そのなかで、基準をしっかり定め、状況に応じてどう対応していくか、地元側の防災対応も作り上げていきますので、そのなかで火山防災官の役割というのは今まで以上に重要になってくると思います。非常に大きな役割がありますので、これまで以上に地元との連携を強めていってもらいたいと思います。

Q よく、顔の見える関係を築くというふうに言われる方が、多いんですけれど、それはそういう意味ですか。そういう必要があるというのは。
A 電話だけでは相手が何を考えているか分からない、人間のやる仕事ですから、直接会って話すことは重要で、名前を聞いたときに「ああ、あの人ね」というくらいになるようにしていくぐらいでないと、なかなか。意思疎通は、先ほどの話ではないですけれど、「紙切れ1枚で何が分かるか」というところもあるはずですから、そういう非常に丁寧なやりとりをしないといけないと思います。それが顔の見える関係ということだと思います。そこはしっかりと、やるべきことをやっていけば顔の見える関係になっていくと思いますので、しっかり役割を果たしていただきたいと思います。

Q 逆に言うと今まで、十分できていたとお考えですか。
A 結果的に、犠牲者が出たということから振り返れば、もっとやるべきことがあったのかもしれない、という言い方は出来ると思いますけれど、気象台の職員は火山防災官に限らず、気象のほうでもそうですけど、私の若いときに比べると、全然比較にならないくらい、地元と連携してやっています。特に、かつては都道府県単位、県の方とのやりとりが主体でしたけど、今は市町村、個別の市町村に直接アプローチするようなやりかたもしていますので、非常にその辺は、熱心に精力的に地方気象台のひとがやっていると思います。今までもやってきたと思いますし、今後、火山で言えば、今、検討していただいている火山防災対応手順を作り上げるという、新たな、非常に大きな課題がありますので、なお一層、やるべきことがたくさん出てきたと思います。

Q 現実問題、地元の気象台で火山のリアルタイムのデータは見ていないというなかで、情報は本庁のほうからもらって、ある程度は見ることができるのですけれども、その山を実感を持って監視しているという、実感を持てない状況だと思うのですね、気象台のほうでは。そういう状況で、かつ山が結構遠いと思うのですよね、昔のように測候所が近くにあった時代とまた違っていて、非常に長野市と御嶽山もの凄い離れていて、当然見えない状況と、東京と同じくらいかなり離れていますけれども、そういう山が近くにない、岐阜もそうでした。それもデータもリアルタイムで見ていないと。各地方気象台がですね、山と向き合えるのかどうかというのが非常に疑問があるのですけれども、そういう状況だけれども、そういう連携というのは期待していきたいということでしょうか。それはなかなか無理があるのかなと思うのですけれども、そこはどうお考えでしょうか。
A 火山に近い、火山を直接見ているというメリットは当然あると思います。データも今、インターネットの世界でリアルタイム、完全リアルタイムではないかもしれませんけれども、ほぼリアルタイムに近いかたちで色んなデータを見ることができるようになっています。かつて各山に一人ずつ、張り付けていたときは、非常にデータが少ない状況だったのが全部テレメータすることによって、観測種目も増やし、それを総合的に見られるようにセンターでしているわけですから、それをネットでイントラのほうですけれども、見ることも出来るという、かつてと比べれば、非常に状況は改善しているというのが一点。もう一つ、私は地震学ですけれども、地震の観測をしていなければ地震学が分からないのかというと、そういうことはないわけなので、火山を見ていないから何も分からないというのは、それはちょっと言い過ぎではないか、と思います。それを何と言いますか、モチベーションという意味で、自分で観測し、自分で直接見るというモチベーションはあるかもしれないのですけれども、その辺はバランスの問題だと思いますので、さらに生のデータに近い形で見られるようにできるかどうかというのは、今、ネットの世界を更に活用して、更にそういうことができるようになるかどうかというのは、今後の検討課題だと思っています。

Q 昔は観測所があって現場で見てたから良く分かったということかな、と思うんですけど、気象庁に現場の観測をされていたOBの方もいらっしゃると思いますが、そういった方を活用して今後検証していきたいという考えは、今あるということでいいんでしょうか。
A 前広に検討しているということで、気象庁のOBを活用しないということはない。今、大学の先生方がおっしゃっているのは、大学院生の数がそもそも限られるので、新規採用をしようにも学生がいない時期があるので、大学の教授のOBとかも含めての活用という話が出ているのだと思いますが、その中に気象庁のOBも排除しないという意味で申し上げました。

Q 具体的にそういうことまでやろうと考えているのか、単なる検討課題の一つなのか、やりたいという意思があるのか、いかがでしょうか。
A その中間くらいです。火山の観測体制の検討会でも、検討を踏まえながら最終的に決めたいというのが今の状況で、検討会の提言を踏まえつつ必要であれば採用とか色々な面を考えるのですが、その中でOBの活用というのが提言されれば、それの実現に向けて努力するというような、今はそういう中間段階です。

Q 先月からTwitterを始められました。気象庁として初めてソーシャルメディアを始められたということで、発信手段として一つ増えたということで、長官自身どんな期待をされているか、それから現在までの運用状況をどうご覧になっているかというのと、どうしても防災機関の発信なのでもう少し防災情報が欲しいという声も実際上がっているのはご存知だと思うので、その辺りをどのようにご覧になっていますか。
A 今回、初めてということもあり、かつて気象庁ホームページに色々な情報を載せるときも慎重に検討ながらすすめていきましたが、Twitterの件もまずは他の省庁がやっていらっしゃるように、広報とかPRというところから始めると。それはTwitterとかソーシャルメディアの拡散性、個人個人へ広く広がるというところをまず扱う、というところです。それは今、色んな場面、もう何度かTwitterで流していますけども、まずは良い滑り出しだと思っています。問題は防災情報を流したらどうかいうことですが、ここはまだ慎重なのは、我々が発表する防災情報は随時、変わっていきます。特に気象関係は、時間と共に時々刻々、気象警報が出ている場所が変わったり内容が変わったりしますので、リツイートしていく中でそれが上手く伝わるのかどうか、古い情報のまま伝わったりしないかとか、やりようもあるのだろうと思いますが、その辺りを慎重に見極めながら、問題点を一つ一つ潰しながら勉強していって、将来どうするか考えたいと思います。

Q 震源決定の話に戻りますが、さっき重なり方がまずい重なり方とおっしゃいましたが、具体的にはどういうことですか。
A 地震学の教科書で、地震波形のP波、S波というと、きれいなP波があって、きれいなS波があるという地震波形をご覧になったことがあるかと思いますが、三陸沖とか福島県沖の海溝軸付近の地震というのは、その間にも途中でP波からS波とか、S波からP波に変わったとか、そういう変換波というのが出てきます。地震波形自体が紡錘形になっていますので、小さなP波から始まり徐々に大きくなって、どこかでS波になって収るという、元々、非常に分かりにくい波形をしているところに、今回の場合でいうと最初のM5クラスかもしれない地震のP波があって、その地震のS波の直前くらいに次のM6.9の地震のP波が始まって、少しそこから振幅が大きくなってM6.9のS波になった。一つ目のS波と、二つ目のP波がほぼ似たようなところにあって、振幅から見てそれが分離して見えるような形ではなかった。全体を見たときに、ぱっと見た目に一つの地震に見えてしまったんですね。そこが非常にタイミングが悪いというのと、一つ目と二つ目の地震のマグニチュードの差が多分、1くらいしかなくて一つ目のP波も見えてしまった。そうすると、一つ目のP波を全体のP波だと思い、一番大きいところをその地震のS波だと思って読み取ってしまったので、ぱっと見た目に二つの地震に見えなかった。

Q 再発防止策の中身がまだ分からないんですけれども、つまり二つの地震が混じっているかもしれないということに気付くには、USGSとか大学とか他の機関のデータと照らし合わせて何かおかしいと気付く、という考えですか。それとも別のやり方があるんですか。
A USGSとか、他の大学の結果がどのタイミングで得られるかにもよりますから、まずは人に頼らずに自ら出来る事は何か、というのを考えたいと思います。やってみないと分からないところがあり、中々、具体的な例を言えないのですけれども、例えば、私の個人的なアイディアですが、一つ目のP波だけを使って震源を決めた場合に、その誤差の範囲内で明らかに違うということが言えるかどうか、というのを検証してみないといけないので、一つ一つ検証した上で、例えば今、言ったような手法が使えるかどうか。別のやり方もあると思いますが、もう一つは、例えば小さいほうの地震が見えなくなるくらい、遠くのデータだけを使ったときにどうなるか。これも決定誤差がかなり大きくなりますので、決定誤差と比べて有意に違いのある結果が出ていないかとか、そういうやり方はアイディアとしてはありますが、それは実際に定量的に押さえてみないと手法が有効かどうかというのがまだ分からないので、それは色々やってみて使えるかどうか検証して、作業量を見て第一報を出すまでに使えるかどうか、それが無理であれば、まず第一報を出した後ですぐ作業をして、津波が到達する前に出せるかどうか、そういうことを検討している段階です。

Q P波だけで決めるのは、緊急地震速報でやっている作業ですよね。
A 緊急地震速報も、沖合いに出ると震源精度がかなり落ちます。緊急地震速報震源も、おっしゃったようにP波だけを使っているんですけれども、ある程度の数の観測データを使った段階の緊急地震速報震源でどれくらいの誤差が見込まれて、その誤差の範囲を逸脱するかどうかの比較というのは、それは可能であれば非常に早いので、それも一つの候補だと個人的には思っています。ただ、どちらにせよ、いつもと違うやり方をすると誤差が広がるものですから、それで役に立つかというのは、十分、吟味しないといけないと思います。

Q あと、午前11時に二つの地震が混じっていることに気付いたんですよね。
A かもしれないと。どうも、一つだとすると合わない部分が出てきて、二つに分けて決め直してみようと始めたのが11時と聞いています。

Q もっと早い説明が出来たんじゃないか、と思いますけど。つまり、あの日、午後、たまたま岩手沖で別の地震があって、午後3時に会見がありましたよね。あの時の朝の地震の関係とか、震源の位置どれくらい離れているのかとか、朝の地震の震源要素がその後、精査して変わってないか、という色んな質問が出ている訳で、大幅修正があるのならもっと早く、記者会見ではなくても、記者会見で聞かれても特に説明はなかった。これはよろしくないじゃないでしょうか。
A あの時点では二つに分けて試している作業中で、地震津波監視課長も、分けて二つの地震として正しく震源を決められたか把握していない段階だったと思います。

Q こんなに大幅な修正になるとは、まだ分からなかったと。
A 分からなかったと思います。そこは想像の世界で、地震火山部のほうでもし把握していれば答えてもらいたいですけども、私はそういうふうに認識しています。


(以上)

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