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長官記者会見要旨(平成26年10月16日)

会見日時等

平成26年10月16日(木) 16時00分~16時45分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日は、御嶽山の噴火と「ひまわり8号」についてお話させていただきます。

 まず御嶽山の噴火についてです。9月27日に発生した御嶽山の噴火には多くの登山者が巻き込まれました。ここに、謹んでお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。また、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。さらに、行方不明になられている方々が一日も早く見つかるよう心よりお祈り申し上げます。
 御嶽山では、9月10日から11日にかけて火山性地震が増加したため、気象庁では「火山の状況に関する解説情報」を9月11日、12日及び16日の計3回発表いたしまして、地元自治体などに対し火山活動の推移について注意を呼びかけてきたところです。また、気象庁ホームページにおいても、その内容を掲載し注意喚起をしていたところです。
 しかし、地殻変動や噴気に変化が見られなかったこと、火山性微動が発生していなかったこと、火山性地震の発生回数が、7年前の2007年のごく小規模な噴火と比べても非常に数が少なく、また、9月12日以降減少したこと。2007年の噴火では地殻変動が観測されていたわけですけれども、それも観測されていなかった。微動も事前に断続的に発生していたものが、今回は無かった。そういうことがありまして、事前に噴火警戒レベルを引き上げるという判断には至りませんでした。
 今回の御嶽山の噴火災害を踏まえまして、二つの課題に取り組んで行きたいと考えています。
 一つ目の課題としては、水蒸気噴火の対応も考慮に入れた観測体制の強化です。視点がいくつかあると思いますけれども、一つめとしては、いま常時監視している47火山で良いのかどうかということです。47火山の選定にあたっては、主として地下のマグマの挙動に着目いたしておりました。今回の水蒸気噴火の対応を考慮した場合に、この47火山で良いのかどうか、というのは焦点のひとつだと思っています。 二つめは火山の火口付近に観測機器を増強することでより詳細に火山活動を捉えることができるのではないか。水蒸気噴火の場合は、今回のように兆候が非常に微弱であるということですが、火口付近の観測、地震でありますとか、地殻変動でありますとか、そういうものを強化した場合に、その微弱な活動を捉えることができるかどうか。今回は震源も含めて、地震活動は把握されていたわけですけれども、さらに強化することによって、新たな知見が得られるのではないかと、これが二つ目の視点です。もう一つは、今の部分と重なるかもしれませんが、水蒸気噴火をより早く把握するために、別の判断材料、今観測している種目以外に何か材料がないか、技術がないかということです。今、研究レベルのもので、実用化できるものがないかどうか、という視点で検討が必要だと思います。もうひとつは御嶽山そのものであります。今も活動が続いておりますけれども、今後の推移を把握する上で、どのように観測強化したらいいのか、こういう視点も重要だと考えております。これら4点の視点に焦点を当てて、早急に対策をとりまとめてまいりたいと考えています。
 二つ目の課題としては、今回、登山者の方が被災されたわけですけれども、登山者等への火山情報の迅速かつ的確な伝達のあり方です。登山者に対し、最新の火山情報が、先ほど申しましたように、気象庁のホームページにリアルタイムで掲載されているわけですけれども、これの周知をまずは関係団体の協力を得て徹底していきたいということ、もう一つは、レベル化されている火山を中心となりますけれども、火山防災協議会があります。こういう地元の組織を通じて、登山者への情報の周知について協力を求めていきたいと思います。もう一つは、登山者等への効果的な情報提供の改善策について検討していきたいと思います。もう一つは、今回、火山性地震が増加して、それは解説情報でお伝えしたわけですけれども、より丁寧に提供することが出来ないかと。こういう視点に立って、「わかりやすい情報の提供」及び「平常時でありますとか、要注意時、さらには緊急時の各フェーズで情報伝達をどうしたらいいか、そのあり方」について検討して参りたいと考えています。
 これら二つの課題の検討を進めるにあたりまして、火山噴火予知連絡会の下に学識経験者、地方公共団体の首長、利用者代表等から構成される検討会を設置することとしました。できるだけ早く検討を開始して、11月中を目途に緊急提言を取りまとめていきたいと考えています。
 これらの他に、気象庁独自ですぐ出来ることとして、ホームページの改善を行いました。火山の登山者に向けた情報提供についてですけれども、これまでは、気象庁のホームページでは火山ごとに整理されておらず情報ごとにまとめて掲載しておりましたが、特定の火山を見る方にとっては、いろんなところを見ないといけない、不便さがあったということもありますので、火山ごとに気象庁が発表している最新の火山情報でありますとか、自治体が作成している火山防災マップでありますとか、そういう登山者等が安全を確保するために必要な情報を火山ごとにまとめて、ワンストップで入手できるように改善をいたしまして、10月10日から公開をしております。

 次に「ひまわり8号」の打ち上げについてです。
 静止気象衛星「ひまわり8号」は、10月7日(火)に種子島宇宙センターからH-ⅡAロケット25号機により打ち上げられました。その後、衛星を所定の静止軌道に投入するための作業を進めてまいりましたが、早ければ本日中に作業が完了する見込みです。関係者のこれまでのご努力に改めて感謝申し上げます。
 「ひまわり8号」の高い観測能力を十分に活用し、国民の皆様の安全と安心に、より一層貢献するため、引き続き、来年夏頃に予定している運用開始に向けた準備を着実に進めてまいります。

 最後に、毎回お願いしていることですけれども「東北地方太平洋沖地震」の余震への注意です。
 余震活動は、全体的には次第に低下していますが、非常に大きな地震でありまして、余震活動がさらに低下するには長い年月がかかります。本震発生以前に比べると活発な状況が続いています。これは当分の間は継続すると考えています。今後もまれに強い揺れ、さらには津波を伴う地震が発生することがありますので、引き続き注意をお願いします。

 以上です。


主な質疑応答

Q 御嶽山の噴火から約三週間が経ちました。火山活動の現状と今後の見通しについて、今も冒頭ご発言いただきましたが、具体的にお話しいただけますでしょうか。特に警戒レベル3というレベルについて今後どのように検討されていくのか、その筋道を教えてください。
A 御嶽山の火山活動は、地震活動にしても噴煙の高さにしても徐々に低下していることは事実です。ただし、噴火以前と比べれば未だに高い状態であるということも事実であります。噴火の開始を事前に予測することは難しいですけれども、そのあとの推移を予測することはさらに難しいといわれております。そういうことで、3週間経ちましたけれども、現時点でただちに警戒レベルを見直すというような段階にはないと私は考えております。今後についてですけれども、さらに観測データを吟味しながら、時期を見て、噴火予知連における評価もいただきながらそれを参考にしながら、活動レベルの見直しを必要なときにやって行きたいと思います。

Q 冒頭にお話しがありましたが、噴火に至る過程でですね、火山性地震の増加、従前と違う現象が起きたときの情報提供のあり方ですね。気象庁と自治体との情報のやりとりがあったようですけれども、それが登山者にどこまで届いていたのかというのは指摘でありますが、早速そのホームページの構成かえるという取り組みも始められていますけれども、いま、ご発言にもあったように、二つの検討会で緊急提言を取りまとめるという方針なんですけれども、具体的なスケジュール感、主にどのような点が主要な論点になるのか、という点について、長官ご所見いただけますでしょうか。
A まずひとつは難しいのですけれども、分かりやすくどう伝えるか。分かりやすさという点にも視点はいくつかあると思うのですけれども、地震の回数だけを述べれば、それは増えているということが今でも分かっていただけるのですけれども、それをどう受け止めたらいいかというのは、これは非常に難しい問題だと思っています。これをどういうふうに提供すべきかというのが大きな課題だと思っています。解決策があるかどうか分かりませんけれども、知恵を結集して何か改善策を模索したいというところです。もうひとつは、実際に登山している方、登山の前に登山するかどうかを判断する上ではホームページ等を観ていただき、もう少し分かりやすい、情報の提供の仕方があれば良いわけですけれども、実際に登山されている方にどう伝えるかというのは、最新のICT技術を使ったときに、何か改善策があるのかどうかということは、これも火山学的ではない話かもしれませんけれども、視点の大きなところではないかと思っています。火山噴火予知連絡会の下に置くので、当然火山学者の方を中心に、あとは災害情報の専門の方であるとか地元の方、山岳関係の方、そういう多角的な視点で、今の課題をご議論いただければと思います。検討開始を早くしたいと思っているのですけれども、今月に開始できればと思っていますけれども、まだ決まっておりませんが、最終的な報告は年度内を目途に考えておりますけれども、まずは緊急的にできることがないかということをまとめてこれを来月中ぐらいに11月中ぐらいに緊急提言をとりまとめられればと、いうふうに考えております。

Q 質問に関連して、今月中に始めたい、来月中に緊急提言というスケジュールですが、あまり日にちもないと思われますけれども、かなりの人数の方が集まられるということで、だいたい何回くらい集まるつもりでしょうか。
A おっしゃるとおり、お願いしている方々は、非常にお忙しい方も多くて、全ての方に毎回お集まりいただけるかどうかは分からないんですけれども、何かしらうまい手を使って、ご意見を集約しながらやっていきたいと思います。回数については、議論の進め方にもよるんですけれども、3回ぐらいは普通は必要ではないかなと思います。これは根拠があって申し上げている訳ではなくて、普通はそれくらいの回数がないと、うまくとりまとめられないのではないかというふうに思っています。ただ、会議の回数だけではなく、その間にもいろいろご意見をいただきながら、有益な有効な議論を進められればと思っています。

Q 気象庁の分野ではないかもしれませんが、捜索のほうがそろそろ打ち切りという話が出てきかねない状況かと思うんですけれども、判断する側ではないかもしれませんが、気象データを提供する側ですから、何か言える事があればお聞ききしたいんですが。
A その点に関しては言える立場にはありませんが、毎日3回気象に関する支援情報を現地に提供しております。その内容を見ていただくとお分かりかもしれませんが、山頂は既に気温はマイナスで、昨日、今日は雪も降っているという状況ですので、気象庁としては逐一お伝えして捜索にかかる判断に役立てていただければ、と思っています。

Q 水蒸気噴火の観測体制の強化等、早急な対策を、ということなんですが、予算編成の関係もあるので難しいかと思いますが、もう少し具体的なスケジュール感というのはありますでしょうか。
A 今後の議論だと思いますし、仰ったように予算が絡んでくる可能性が当然大きいと思いますので、その辺は関係機関とご相談しながら進めていきたいと思います。スケジュール感とか見通しというのは、ここでは申し上げる段階にはありません。

Q 先ほど検討していく具体的なイメージの中で、ICTを使って何か出来ないかということも言及されましたが、もう少し言うとどういうイメージでしょうか。
A それも議論をして頂かないといけないことですけれども、今回もホームページで情報をご覧になったかたもいらっしゃったというふうに聞いておりますが、そういうところを何か強化できないかというような、私個人の見解に近いんですけれども、スマートフォンもお持ちかたも多いと思いますので、そういうものがもし活用できれば登山者個人、個人に情報を提供するということも可能なのかな、と。これはまだ全然議論もしてないことですので、私個人の見解、感触として受け止めていただければと思います。

Q それはつまり、家のパソコンでホームページを見るというだけではなく、まさに登山している最中の人にも伝わるように、ということでしょうか。
A 今回、登山をされているかたにどう伝わるかということが課題になっているかと思いますので、当然携帯端末というのが大きな手段になってくるだろうと思います。

Q 更にいうと、火山性微動を把握したりしていよいよ危ないかもしれないとなってきた時に、例えば緊急に知らせるメールシステムのようなものも考えられるんでしょうか。
A それは伝える手段の以前に、火山学的に技術的に出来るかというのはまず検討されなければならないと思いますので、その手の議論が今回の観測の強化の中で出てくるかどうか分かりませんけれども、如何に効果的に情報を伝えるかという視点で、色んな視点で議論がされればいいなと思っています。

Q 改めて火山予知についてお聞きしたいんですが、噴火警戒レベルを2に上げていればあれだけの被害は出なかったのではないか、という指摘が、結果論かもしれませんが専門家の方からも出ている状況ですが、それについては振り返ってみてどうでしょうか。
A 私なりにデータを見ましたけれども、要するに結果を見て遡れば何か言えたかもしれませんが、その直前までのデータで後ろを隠して見たときに、果たして本当に言えたかどうか、というのはやはり疑問です。当時、その時々の担当者は精一杯やったと思います。山によって状況が違うと思いますし、色んなご意見があることは承知しておりますが、火山噴火予知連絡会のほうでも今回の噴火前の現象は7年前のごく小規模な噴火と比べて小さかったということを見解として頂いておりますので、そう簡単ではなかった、出来なかっただろうと私は思っております。

Q 情報伝達に関して、先ほど個人的見解という中で例えばスマートフォンの活用というお話ありましたけれども、例えばホームページに来てもらう、見てもらうだけではなく、火山に限らずいずれはプッシュ式の情報伝達みたいなものも検討を始めてもいいとか、その辺りはお考え如何ですか。
A やはり、プッシュとなるとプッシュする判断材料が必要になります。判断の根拠になる学術、技術の問題もありますので、それが本当に可能になるかどうか、まず大きな技術的な壁があると思います。それは出来るに越したことはないと思いますけれども、それを排除するのではなく、その辺も含めて今回の検討会でなされれば良いと思います。

Q 火山はそうかもしれませんが、例えば気象とかでは現時点で出来る水準もあるかと思いますが、その辺りはどうでしょうか。
A 気象は気象で複雑なところがありますので、常に経験といいますか事例を積み重ねながら、どういうことが出来るかというのは常に気象のほうで言えば予報官達が日々考えていますので、何かしら成果が出てくればいいなと思いますが、まだそこはまったく私はイメージを持ってはいません。

Q 観測体制の強化というところで、観測地点等で不十分だったというお考えがあるんでしょうか。
A 不十分であったというわけではありませんで、今の我々が出来ることは一定水準以上の観測体制を整える、47火山については整えたわけですけれども、それであとは過去の活動等と比較しながら判断をして、というところにおいて、今回の場合も火山性地震でいえば回数だけではなく震源であるとか、マグニチュードであるとかも十分把握していたわけですから、これが不十分だったと思っているわけではなく、今回水蒸気噴火という火山学的にいうと非常に規模が小さい、しかし被害事態は必ずしも規模に因らないということが明確になったわけですから、それを踏まえてそれにどこまで対応できるか分かりませんが少しでも対応できるように検討する、という考え方です。

Q 検討するということは、観測体制が大丈夫だと思っていたものが、御嶽山の噴火を踏まえるとそれでは不十分だった、というふうに聞こえるんですが、そういうことですか。
A 不十分であったという言い方は必ずしも適切ではないと思いますが、新たなこういう事例を積み重ねたうえで改めて考えると、ということになると思います。それは結果的に検討したときに全ての火山で何かしらやることがあるか、それとも火山によって何も無いか、ということも含めての検討になると思いますので、全てが不十分というか、水蒸気噴火に対応するときに現状でいいかという視点で、見直すというようなことだと思います。

Q 見直しが前提なんですか。
A 前提といいますか、こういうことがあって何もすることが無い、というふうに私は考えていません。

Q 結局、観測体制が課題だと感じているということで、観測体制が不十分だったから見直すというふうに受けとるんですけど。
A どこまで対応するかというふうに考えたときに、自然現象を相手にする限り100%というのはあり得えません。そういう意味で何かしら見直す、強化すると言ったときに、今までが不十分だったという言い方が必ずしも適切ではないのではないかと、私は思います。

Q 火山噴火予知連絡会ですが、長官の私的な諮問機関ということで、今回の例を踏まえると噴火意警戒レベルを2に上げれなかったのは、メールで報告だけ受けていたというところで、結局十分に機能していなかったんじゃないかなと思いますが、長官のお考えを聞かせてください。
A 御嶽山を研究対象としている名古屋大学の先生とは意思疎通をして状況をお伝えし、名古屋大学も当然研究対象としてデータをほぼ同じものを見ていますので、お互いに情報共有、状況認識を確認をしてご意見を頂くということをしていますので、機能はしていなかったということは考えていません。

Q そもそも火山噴火予知連絡会という名称ですけど、予知が難しいという中で予知という名前を付けていると多くの国民に誤解を与えると思うんですが、そこはどうでしょう。
A そういうお考えがもし主流であればまたご検討頂くことになるかと思いますけれども、予知に関する研究成果であるとか、火山の噴火の予知をまったく前提にしない研究というのはそんなに無いと思うのですけれども、そういう火山に関する研究成果の情報共有であるとか、必要に応じて火山の活動に関する判断をするという意味で、決して名称として不適当ではないと思いますけれども。

Q 見直す必要もないとお考えでしょうか。
A 現時点では、まだそういう意見が大勢を占めているとは考えていません。

Q 現状で見直しを検討しているというのは観測機器の話だと思うんですが、気象庁の組織として火山のほうに重点的に人を割り当てるとか、今やっているとか今後そういう予定があるかを教えてください。
A 観測体制の強化に合わせてそれなりの強化が必要かもしれません。まだそこは分かりません。気象庁の火山業務というのは何年もかけて強化をしてきております。私が気象庁に入った30年くらい前とかから比べますと、もう隔世の感があるくらい強化をしてきておりますので、気象庁としてこれまで火山業務に力を入れてこなかった訳ではありません。必要に応じて、その都度検討して、結果的には体制を強化してきたと考えています。今後そういった体制の強化がありえないかというと、それはよく検討してからでないと今は申し上げられる段階ではありません。

Q 御嶽山の噴火を受けて現状で何か体制変更があったということはないですか。
A それはありません。現状の体制で十分監視も出来ておりますし、現地への人の派遣も出来ておりますので、今の時点で強化したということはありません。

Q 水蒸気噴火の予知が難しいという点についてはどうでしょうか。
A 難しいというのは評価として、例えば噴火警戒レベルを上げるとかの判断材料を得られるように努力しなければいけないと思っています。ただそれがどこまで情報でカバー出来るかというところは、いずれにせよ限界があると思いますので、その中で今の火山学でありますとかその他のニーズを総合したときにこれまで以上に出来ることがないかどうか、というところが今回の検討の視点だと思います。

Q 先ほど火口近くに、と仰いましたが、例えばどんなものを増やすかとかイメージはありますか。
A 火口の近くというのはそもそも設置するのが難しいという面もあるんですけれども、水蒸気噴火の場合には例えば地殻変動が本当に火口近くだけといいますか、ごく狭い範囲で起きている可能性もありますから、それを捕まえるために例えば地殻変動観測装置、それが火口の近くでどういうものが置けるかということも含めて検討しなければいけないと思いますけれども、例えば今回の直前の変動を捉えている傾斜計のようなものがもっと火口近くにおけるかどうか、置けたときにもっと前に変化が現れたか分かりませんが、そういうこともトライしなければならないだろうというふうに考えています。

Q 水蒸気噴火の早期発見手法の開発というのが今回テーマになっていると思いますが、何か海外とかの導入をイメージできるような、参考のものはあるんでしょうか。
A 海外というよりは、日本のように火口の傍まで多くのかたが行ったり住んでいたりするのはそんなに無いのかな、と逆に思いますけれども、今回地震でも地殻変動でも直前しか変化が出なかった、微動であるとか傾斜計であるとか、それ以外の物でも熱的に暖められて水蒸気が発生して圧力が高まって噴火したというのが水蒸気噴火ですから、そういう熱的な変化を何かしら捕まえられるものが無いか、という視点で検討したいと思います。

Q それは何か、こういうものを活用できるんじゃないか、という想定はあるんですか。
A 研究レベルではないことはないと思いますけれども、そこは火山噴火予知連絡会の先生方にもお聞きしながら、それが監視に耐えうるものかどうかも含めて検討してからでないと、今これだということをここで申し上げる段階ではないと思います。

Q 今日で伊豆大島の土砂災害から1年ということになりますけども、それについての所感をお願いします。
A 伊豆大島の場合も、残念ながら現在の技術では十分な情報を出し切れなかった面があると思います。警報であるとか、土砂災害警戒情報は出しましたけれども、やはり雨量の予測という点では量的に予測で800mmというのは直前でも予測できてなかったという現実がありますので、そういう所は重く受け止めてどういうふうに今後技術開発を進めていくか、それを受けてどう情報を改善するかというところが、直ぐに出来ることではありませんが、今後の中長期的な課題と思っています。気象庁として、少しでもあのような災害にも有効な情報を出せるように今後とも日々研鑽していきたいと思います。

Q 伊豆大島以降、ホットラインで自治体に直接ダイレクトに電話をして危機感を伝える取り組みがあると思うんですが、色んなその後の特別警報が出るような災害とか、そういうときにもそういう話は耳にするんですが、そういう取り組みは今後どうしたいとかいうのはありますか。
A 警報を出す作業をしながら、連絡を数多くするというのはなかなか大変な面はあるんですけども非常に重要な取り組みだと思っていますので、今後も出来る限り続けていきたいと思います。そうすることによって自治体と予報官の持つ危機感をうまく共有できれば自治体の防災に対する取り組みが適切に出来るのではないかと期待しています。

Q 予測がなかなか難しい中で、予報官の危機感を伝えると言うやりかたがあると思いますが、前回の会見でも出たと思いますが例えば10分間の雨量とか、今後ひまわり8号のデータも入ってくると実況監視が強化されると思うので、そういうものをよりプッシュして出していくというのは、前回のときに検討していくという話がありましたがその後如何でしょうか。
A 実際に、来年の夏からひまわり8号という非常に強力な武器を得るわけです。これをどう活用していくかというところで、こんなことが出来ればいいなという色々なイメージは各予報官の中で検討しています。観測している観測部のほうでも当然議論はしているんですけれども、実際にデータが得られるようになって実績を積みながらどこまで出来るか、ということを突き詰めていきたいと思います。先ほども言いましたが、天気が急変して警報を発表しなければいけない状況というのは非常に作業が錯綜いたします。その中で、例えば2.5分ごとの衛星の画像を誰かがずっと瞬きもせず見ているということは不可能なので、如何にその辺をシステムの力を借りて自動的に検出するかとか、そういう技術がやはり重要になってくると思います。そこは未開発の部分ですので、それは実際のデータと事例を積み重ねながら技術開発を進めていって欲しいと思います。

Q 気象庁は普段努力していると思いますが、技術的な限界というのはあると思うので、住民からの協力があれば防災に良いとかがあれば、どういうところでしょうか。
A 災害という点で言いますと、やはり自らが置かれている状況というのがどういう状況なのかというのを日頃から振り返ってといいますか、認識していただくと、非常時に身を守ることが出来るのではないかと思います。それに気象庁の情報が少しでもお役に立てればということと、気象庁の所管ではないですが、ハードで対応できるところはハードで対応できればいいと思います。気象庁や他の公的機関であったりというところは、そのつかさ、つかさで出来るところをやりますので、自らの置かれている状況というのを常に認識、意識して行動していただければと思います。

Q 土砂災害もそういうことでよろしいでしょうか。
A はい。難しいとは思いますが、例えば避難勧告が出たら自分はどうすべきかというのは考えていただきたいですし、場合によっては避難勧告が出る前から自分の置かれている場所はそれ以上に危ないということがあるかもしれません。そういうことを、それぞれのかたが良く認識していただくことがまず重要だと思います。

Q 御嶽山に戻りますが、今回噴火の7分前に山体膨張があったという話がありますが、7分前に分かった時点で何か情報を出すというのが出来れば変わったのかもしれないと思うんですが、今火山がある中で同じような状況が今後直ぐあった場合に、何か対応が出来るのかなと思うんですが、如何ですが。
A これは確かに、後から振り返ってみると7分前から明瞭な異常が、傾斜変化が出ているのは、緊急地震速報のことを思えば「7分もあればなんとかできたんじゃないか。」とお考えになるのは当然だと思います。ただ、これも結果論的なところがありまして、噴火と同時に反転しているところを直前で隠したら、あの変化は何だったかというと、よく起こるのは遠地地震です。ちょっと離れた大きな地震と同じ変化をします。それをどう山体の膨らみと自然の地震とを区別するかというところの、技術的な大きな課題だと思います。そこがもし解決できれば、直前の情報というのはあるかもしれませんが、私も見てみましたが噴火のところを隠してみると残念ながら区別がつかないです。そこはしかし、今回も色んな火山学的な検討をしていたただいているかもしれませんけれども、そういうところで何か手が無いかというところは、良い技術があれば展望が開けると思います。

Q 噴火警戒レベルの引き下げについては、更にデータを見て今後考えるということだったんですが、入山規制は噴火警戒レベルを引き下げなくても3kmにしたりとか出来ると思うんですが、その辺はどうですか。
A 判断の材料があればいいんですけどね。4kmではなくて3kmでいいんだ、という判断材料が何かということだと思います。そこは難しく、今、地震にしても、噴煙にしても、噴火直後よりは徐々に減っているんですけれども、そこで何かしら判断材料が欲しいところです。今、「3kmでいいじゃないか。」と言われても、「はい、そうですね。」というだけの根拠をもっておりません。結局、もう少し時間をかけて様子を見るというしか今のところは手立てがないかと。火山では一番怖いのは変化なので、安定して低下している、前より微動や振幅が増えたり減ったりしたときに、微動が大きくなったから危ない、元に戻ったから安全、というそんな単純なものではなく、変化しているときは危険だと思ったほうが良いということがありますので、今回も今の状況でどんどん安定して低下して、そして長い期間安定しているということを見極めて判断するというようなやりかたになるのではないかと考えております。他の何か観測技術で判断できるものがあればという意味でも、出来れば火山噴火予知連絡会で火山学的にですけれども多角的に検討していただいて見解をいただいて判断できれば、と思います。

Q 判定というのは、半年とか数ヶ月とかどれだけのスパンでしょうか。
A 今、そのオーダーについては私の頭にはありません。

Q 現在諸々の、火山性地震とか微動も収まってきている、少なくなってきているんですけども、まだある程度長期的に見て行かないと分からない、それで噴火警戒レベルの引き下げとか、入山規制の緩和とかは行っていないのでしょうか。
A 慎重にならざるを得ないですね。今、少なくとも噴火前よりは活動レベルは減ってきたとはいえ高い状況にあるわけですから、その中で「3kmでいいです、2kmでいいです。」というだけの判断をするには相当慎重に、科学的に検討しなければならないと思います。

Q 観測体制の強化は、色々な文科省とかの会議でもやられていますし、データの積み上げは大事だと思いますが、評価をどうするかというところが定まらないといくら観測機器を増やしてデータを積み上げたりとか、情報の伝達手段を考えても、その出てきたデータをどのように、その火山活動がどうなのかどう評価するのかという部分がすごく難しいと思うんですが、今まで気象庁はデータを見て情報を出すということをしてきていますが、その評価という部分は御嶽山を踏まえて、例えば何か外部のかたを入れて判断するとか、別の手段があるか分かりませんが、その辺りの評価をどうするかというのは何かありますか。
A 一番は、普段年3回開催している火山噴火予知連絡会で、全ての火山について評価していただいているんですが、こういう実際に活動があった火山についてどうするかというのは色んなやり方があると思います。今のやり方としては、まず噴火の直後に拡大幹事会で見解をまとめていただいたと。近々、定例ですけれども火山噴火予知連絡会が予定されていますので、そこで検討していただくと。その後については、基本的には一番詳しいのはそこを研究している学者ですので、実際には名古屋大学ですけれども、名古屋大学と気象庁で緊密に連携を取っていますから、新たなデータがあればそれについて共有して、意見を頂いてということだと思います。それが、それだけで足りないかというのはどう観測を強化できるか、そうではなくても活動がどういう風に変化していくかによって相談しながら決めていきたいと思います。全員集まるのはなかなか難しいですから、今回は拡大幹事会という形で、在京中心に、あとはテレビ会議とやったわけですけども、それを伊豆大島のように在京の方が専門家であればかなり機動的に出来ますし、それぞれの火山の位置とか、専門家のいらっしゃる場所とか、活動の状況とか色んなことを踏まえて今後考えていかなければならないと思います。

Q 当面は気象庁と、それを管轄されている先生と連絡を取り合ってどう評価するか、ということはやっていく、それは変わらないということですか。
A はい。


(以上)

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