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長官記者会見要旨(平成26年4月1日)

会見日時等

平成26年4月1日(火) 14時00分~14時20分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日付で気象庁長官に就任いたしました西出則武でございます。よろしくお願いいたします。この機会に一言述べさせていただきたいと思います。

 気象庁は、自然災害から国民の身体生命を守るため、各種の防災情報を発表しておりますが、それらの情報をあまねく国民の皆様にお届けする上で大変大きな役割を果たしていただいている報道機関の皆様に、まず御礼申し上げます。
 さらに、それらの情報を国民の皆様に理解していただき、正しく活用していただく上でも、報道機関の皆様の丁寧でわかりやすい解説記事等によるところが非常に大きく、この点についても、改めて感謝申し上げます。

 気象庁が発表する各種の情報は、まず、科学的、技術的に意味があることが必要不可欠です。したがって、気象庁としては、科学・技術の基盤をより強固にするためのたゆまぬ努力を今後も続けていかなければなりません。
 スーパーコンピュータや地震活動等総合監視システム(EPOS)等のシステム、あるいは気象衛星ひまわり等の観測機器から正確かつ豊富な科学データを取得し蓄積するとともに、不断の研究開発により、科学的、技術的に意味がある成果が近年少なからず得られています。
 これらの科学・技術的成果を活用して、予測精度の向上を図るととともに、防災情報の改善を行ってまいりました。
 しかし、科学・技術的に意味があり有効だと考えられる情報であっても、それが防災情報として社会に受け入れられ、有効活用されるには、情報の発信側である気象庁と情報の受け手側である国民の皆様や自治体等との間で、その情報の特徴について、意思の疎通を図り、認識を共有し、そして、自然災害から身を守るために「この情報は役に立つ」と納得されることが必要です。
 情報の発信側である気象庁と情報の受け手側である国民の皆様や自治体等との間の、このようなコミュニケーションは一度行えばそれで終わりというものではなく、繰り返し粘り強く継続的に行う必要があり、気象庁としては、この点でもたゆまぬ努力を今後も続けていく所存です。
 報道機関の皆様におかれましては、気象庁と国民の皆様との間をつなぐ役割として、或いは、情報の受け手側の代表として、今後とも、ご助言、ご支援をお願いいたします。

 次に、今年度の重要施策について述べさせていただきます。

 地震津波火山関係ですが、津波警報、緊急地震速報をはじめとする地震・津波情報の迅速・的確な発表に今後とも努めてまいります。
 具体的には、地震活動等総合監視システム(EPOS)等を、今後の2年計画で、次世代システムに更新強化することにより、関係機関の沖合地震・津波観測網のデータも活用して、監視・予測技術の高度化を進めてまいります。
 南海トラフ地震と首都直下地震については、特別措置法が施行され、また、中央防災会議等においても、現在、具体的な地震・津波対策の検討や策定が精力的に進められているところです。
 気象庁としましては、今後とも津波警報や緊急地震速報の精度向上を図るとともに、南海トラフ等の地震でも懸念されている長周期地震動の観測や予報といった観点からも、地震・津波による被害の防止・軽減に向けて取り組んでまいります。
 火山噴火による被害軽減のため、観測・監視体制を計画的に強化するとともに、噴火警戒レベルの導入を促進し、噴火警報の的確な運用に努めてまいります。
 また、噴火による火山灰が居住地域に影響を及ぼすことが予想される場合に降灰量の予報を開始する予定です。

 次に予報関係ですが、台風や大雨などの防災気象情報につきましては、頻発しました昨年の大雨や今年の大雪の事例について、自治体等関係機関の防災計画の見直し状況をお伺いするとともに、ご意見・ご要望をお聞きしつつ丁寧な検証を行い、受け手にわかりやすく、早め早めの行動に結びつくよう、特別警報を含め防災気象情報全体の改善に取り組んでまいります。
 このような情報の改善にあわせ、必要なシステムの構築、あるいは監視・予測の精度向上に取り組んでまいります。

 観測関係ですが、今年は次期気象衛星「ひまわり8号」の打ち上げを予定しています。「ひまわり8号」は世界最先端の機能を持っていますので、台風・集中豪雨等の監視・予測、さらにはアジア・太平洋諸国等、国際的にも大きく貢献するものと考えています。
 今後、打ち上げ成功に向けて最終段階の作業を確実に行うとともに、「ひまわり8号」の画像データを有効に利用いただくために、国内外の関係機関とも連携し、調整あるいは準備を進めたいと考えています。

 最後に地球環境・海洋関係です。昨年9月に公表されたIPCC第5次評価報告書で「気候システムの温暖化については疑う余地がない」と報告されていますように地球温暖化は確実に進行しており、日本でも猛暑日や熱帯夜の増加、大雨や強雨の頻度の増加が現れています。
 気象庁では、地球温暖化に関する観測や最新の知見に関する情報発表を引き続き行っていくとともに、昨年の夏の猛暑のような異常気象など気候・海洋に関する監視・分析・情報発表や季節予報の精度向上・利活用促進に取り組んでまいります。

 以上です。


主な質疑応答

Q いま、重要な施策の説明がありましたし、先ほどの庁内の就任式では3つ、職場の長所を生かした(積極性と機動性を生かした)、臨機応変な対応、プロとしての自覚というようなことを言われております。長官になられて、これだけはやりたいと思われていること、これまでのことを変えたいと思われていることなどあれば、ひとつだけ教えてください。
A 杞憂なのかもしれませんが、気象庁の職員というのは謙虚な人が多く、最後に私の先ほどの挨拶で、プロとしての自覚と誇りを持てと言ったのは、誇りと自覚を持っていないという意味ではなくて、ひょっとしたらそういうことがありうるだろう、ということです。というのは我々の各業務の専門家の集まりではあるのですけれども、その専門家の中でも、自分はその業務の専門家だというのを遠慮してか謙虚なのか、言わないことが多かったと思います。それが、ひょっとしたらと思うのは、謙虚ならよいのですけれども、謙虚であって、心の内に自覚もあり誇りもあれば良いですけれども、その自覚と誇りもついでに謙虚さとともに手放してしまっていないかと、いうことが少し危惧されたものですから、先ほどの職員向けの就任の挨拶で最後に特に申し上げたのはその点です。問題があると思っているわけではないのですけれども、今後気をつけて、ちゃんと意識して、自分は気象業務の専門家だと、プロであるということを意識的に自覚して業務にあたるということが、向上心にもつながるのではないかと、いうようなことを考えておりますので、これまでも至る所で職員には言ってきたことなのですけれども、これを今後も言い続けたいと思っています。

Q 前任の羽鳥長官は3年間務められたわけで、その間、東日本大震災をはじめとした大きな災害がありましたけれども、震災から3年経った今という、これから4年目に入っていきますが、その気象庁としては、どういう役割が求められているとお考えでしょうか。
A 震災の後、各ステージで役割は徐々に変わってきているかもしれません。まずは現地に役に立つことは何かという考えで現地に人を送り込んで、これまでやっていなかった情報提供を始めたりしてきました。それが3年経って、ニーズに変化が現れてきて続けるべき情報、止めてもよい情報を仕分けしています。今後は、津波警報は改善して、これをどんどん進める、更に精度向上を図ることが大事だと思うのですけれども、今後さらに復興が進んでいくステージの中で、気象庁にとって求められることが何かというのを十分アンテナを張ってそれに応じて、その時々に必要なサービスといいますか、情報提供を行っていきたいと思います。

Q 冒頭のご発言で、情報の発信側と受け手側の意思疎通、認識の一致という話がありましたけども、昨年は伊豆大島の土砂災害ですとか、先日の大雪ですとか、そういう気象庁としての情報発信がうまく自治体や住民に伝わっていなかったと思われるケースもありましたけど、そういうのを念頭に置かれての発言だったのでしょうか。
A 特別警報については、皆さんご案内のように、かなり広域で大きな災害、過去の大きな災害と同等なものが起こった場合に発表しようとして、基準を定めて運用しました。昨年の大雨でありますとか、伊豆大島も含め、局地的な大雨でありますとか、雪が少ない地域での大雪といったところは実は、対象になっていません。それは、これまでの警報と特別警報との役割分担というところで一定の基準を振り分けたわけです。特別警報と言ったときに、当然基準から漏れる災害というのは最初から想定されていたわけですけれども、実際に漏れたとしても、大きな被害であるとか影響があったときに、それに対して何か気象庁として情報提供ができるかどうか、というところはもう一度よく今回の事例を検証して、どういうことが気象庁にできるかどうか、これは技術的なことも当然ありますので、そういうところを踏まえてよく検討していく必要があると感じています。

Q 特別警報の基準に関しては、狭い範囲の災害であっても発表すべきだという7割くらいの方が答えた、アンケート結果がありましたけれども、そのような結果を受けて長官は基準の見直しなどについてはどのようにお考えでしょうか。
A 先ほどと重なるかもしれませんけれども、大雨特別警報の場合でいうと、過去の平成23年台風第12号による大雨でありますとか、平成24年7月の九州北部豪雨のような、過去の広域的な大規模な災害を捉えるための基準を設定したものであります。現象の予測技術、現在の気象庁の予測技術も踏まえますと、この特別警報を担保して信頼度を確保するためには、一定の広がりを持った地域に記録的な雨が降るという、そういう場合に特別警報を出すというのが、適切だと考えています。伊豆大島の場合ですと、結果的に非常に大きな災害になりました。残念ながら直前まで予測ができなかったものでありますので、こういった場合に結果的にああいう大きな災害になったときに、結果論で特別警報だったろうというのは当然ごもっともだと思います。確かにあの災害を見て、どうでも良い災害かと、言われるのはとても受け入れ難いことだろうと思います。気象庁としては今回の伊豆大島の災害を教訓として特別警報には至らない、準ずるような大雨ということでありますので、局所的に発生する集中豪雨については、自治体の首長に対して直接的にホットライン、電話で連絡するという対策、対応を採ったところです。今後でありますけれども、今回の伊豆大島の事例でありますとか、先般の関東の大雪、こういうのを教訓として注意報・警報から特別警報にいたる一連の防災気象情報について、予測精度の向上を図るとともに、全体で効果的に早め早めの防災行動を取っていただけるように、改善に努めたいと思います。そのためには、まずは今回の事例をよく検証して自治体との協力を得ながら、十分時間をかけて、対策との連携、対策と具体的に結び付けられるように、よく整理して丁寧に取り組んでいきたいと思います。

Q 長官はかつて仙台管区のほうにおられまして、地震のほうにも携わられました。その立場で宮城を中心に起こった東日本大震災について、そういう立場でどういう風にお感じになったのかということと、地震国日本において重責を担う立場になられましたので特に地震、津波というものに対してどのようなビジョンといいますか、こうしていきたいというものがあるのでしょうか。
A 地震に携わったものとして、非常にショックを受けたのは事実であります。私が仙台におりましたときは、明治三陸大津波から100周年ということで、地元では非常に意識が高くて、各種イベント等に参加して、例えば陸前高田であるとか、三陸の各地を回って講演会等をやってまいりました。その時に、いろいろお話をさせていただいたのですけれども、それが役に立ったかどうかというところが自分の言葉に説得力があったかどうか、それは胸に問いかけたことはあります。今回の3月11日の東日本大震災で言いますと、M9.0という残念ながら気象庁の能力を超えた大きな地震が発生し、十分な対応ができなかったかどうかというのはありますが、今はすでに津波警報については、改善をし危機感をきちんと伝えられるようになっていると思いますので、これを着実に実施していく、さらには先ほど申しましたように地震活動等総合監視システム(EPOS)を更新しまして、各種データ、特に沖合の観測データを取り込んで、さらに精度を高めていく、ということを着実に進めていくことが王道だと思っております。

Q 震災の時の話なのですけれども、3月11日に気象庁の津波の予想の高さが当初予想が低かったということで、陸前高田市の男性が先月、国と市を提訴したという損害賠償の訴えなのですけれども、先月羽鳥長官にも伺ったのですが、その時点では訴状が届いていないのということでコメントは差し控えたいということだったんですが、今改めて状況が変わって、どのようにお考えでしょうか。
A まず震災で2万人近くの方が亡くなられたこと、亡くなられた方にまずは哀悼の意を表したいと思います。原告の方は津波で最愛の奥様を亡くされたということですので、その心情を察するに言葉もございません。具体的な内容については訴状は先月24日付けで送達されております。係争中のことですので、中身については具体的なコメントを控えさせていただきますが、国の機関として、関係の機関ともご相談しながら、真摯に対応させていただきたいと思います。

Q 特別警報の件ですけれども、先ほど検証ということを言われていましたけども、基準そのものを見直す考えはないということでよろしいでしょうか。
A 「まず基準の見直しありき」ではなくて、まずはご意見を伺う、例えば大雪に関して言いますと、たぶん大雪の事例を踏まえて対応の仕方も変わるのではないかと思うのですけれども、そういうところを関係機関にいろいろお伺いしながらその結果を踏まえて、注意報・警報から特別警報に至る気象庁が発表する防災気象情報全体について、どうあるべきか、どうすれば一番効果が発揮できるかというところをまずはじっくりとご意見、ご要望を踏まえながら取り組んでいきたいと思います。

Q 先ほど南海トラフのことについて、少しお話がありましたけれども、南海トラフの対策に関しては、東海地震の予知情報の兼ね合いという部分でそこの捉え方というか、曖昧な部分が残っていると思うのですけれども、今後どのように南海トラフの予知、予測が可能なのかということも含めて提示されていくのかということについて、長官の考えを教えてください。
A 予知という点ではなかなか難しいのかもしれません。地震学を始めとする各種科学技術のたゆまぬ努力の上に、もし成果が得られるのであれば、それを積極的に取り入れて少しでも有効な情報に努めたいと思います。当面は津波警報をさらに迅速化、精度向上に努めるということと、緊急地震速報の精度向上に努めるということに努めてまいりたいと思います。


(以上)

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