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長官記者会見要旨(平成26年3月20日)

会見日時等

平成26年3月20日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日は、東日本大震災から3年を迎えましたので、この3年間の地震・津波対策の取り組みについて最初にお話しします。次に、先日協定を締結しましたが、日本赤十字社との防災教育における連携についてお話をいたします。また、春先における防災上の注意点などについても最後に簡単にお話ししたいと思います。

 はじめに、地震・津波対策ですが、気象庁では、ご存知のように東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)を教訓といたしまして、津波警報を改善し、昨年3月7日に新しい津波警報の運用を開始しております。この津波警報につきましては、マグニチュード8を超えるような巨大地震にも的確に発表できるよう、地震観測網の強化、さらには関係機関と連携して沖合津波観測網の強化を行いました。さらに、津波警報の内容自体も相当大きな変革を行いました。同時に、巨大地震の迅速な検知手法や、あるいは沖合津波観測データの利用技術の開発を進めておりまして、一部は既に地震・津波の監視あるいは予測の業務に活用してきているところです。さらに、現在も気象研究所において、緊急地震速報も含めまして技術的な高度化に向けて研究・開発を進めており、可能な限り早期に実用化し、業務への導入を図りたいと考えております。
 次に、緊急地震速報につきましては、東北地方太平洋沖地震の直後から、適切に発表できない事例がありましたけれども、処理方式の見直し等の改修を行い、改善を図ってきたところです。最近は、こうした技術的な改善、さらには地震の発生数も減少してきたことなどから、かなり改善してきたものと認識しております。例えば、この3月14日の伊予灘の地震につきましても、ほぼ的確な緊急地震速報の発表ができたものと考えております。引き続き、気象庁としましては、本日これから開催予定の「緊急地震速報評価・改善検討会」等で有識者等のご意見をいただきながら、精度向上に努めていきたいと思っております。
 いずれにしましても、東日本大震災の教訓を今後につなげることが極めて重要ですので、気象庁の地震・津波情報の改善という公助と併せて、「強い揺れを感じたら逃げる」といった自助あるいは共助といった点についても周知・啓発活動を継続的に取り組んでまいりたいと思っております。これにより、自助・共助・公助が有機的かつ総合的に機能して、防災・減災に結びつくよう取り組んでまいりたいと思っております。 特に、南海トラフの巨大地震では、ご存知のように地震発生後数分で津波が襲来するという地域も非常に多く、かつ、3月14日の地震もありましたが、近年強い揺れをほとんど経験していない地域ですので、強い揺れを感じましたら沿岸部の方は自らの判断で逃げるということを徹底していただきたいと思います。そのためにも、日頃から避難経路あるいは自宅等の危険な箇所を点検し、確認をお願いすることも重要だと思います。

 次に、日本赤十字社との連携についてお話しします。
 気象庁と日本赤十字社は、「防災教育の普及等の協力に関する協定」ということで、3月5日に締結をいたしました。

 その背景としましては、東日本大震災等を受けて、防災教育の推進や自助の意識を高めることについて重要性が強く叫ばれてきており、国、自治体、あるいは教育関係期間等で様々な取り組みが進められています。気象庁としても、こうした状況を背景としまして、全国の気象台において住民が自らの判断で状況に応じた的確な行動ができるように防災・減災の風土・文化の醸成に向けて、防災教育の支援についての様々な取り組みを進めているところです。
 一方、日本赤十字社につきましては、災害発生後の救護活動や復興支援といったことが極めて大きな役割ですが、東日本大震災後日本赤十字社におきましても事前の防災教育についてもかなり重点を置いてきていると聞いております。現在全国で5万校のうち1万3千校の幼稚園・保育所、小・中・高等学校、特別支援学校において、災害に対して自らが身を守るといった観点からの防災教育の普及に取り組んでいると聞いております。
 このような防災教育の重要性についての両者の考え方が一致し、今般の協定締結となりました。それぞれの力を合わせて、防災教育をはじめとする安全知識の普及・啓発の一層の充実・発展に向けて継続的に取り組んでまいりたいと思っています。

 今回の協定締結により、気象庁本庁に加えて、全国の気象台と日本赤十字社の支部との相互の協力関係を順次展開し、より効果的かつ総合的な防災教育を継続的に推進することができるよう取り組みたいと考えています。これまで地元気象台と教育委員会といった形での連携はありましたが、日本赤十字社という新たな協力関係ができることで、それぞれの利点を活かして融合して、新たな視点から様々な取り組みが充実することを期待しております。

 最後に春先の低気圧、あるいは地震等についての防災上の注意点についてお話しさせていただきます。

 春先には、日本付近で低気圧が急激に発達し、「春の嵐」、「メイ・ストーム」と言われますが、台風並みの暴風が吹き荒れることがあります。本日も今夜から明日にかけて三陸沖で低気圧が発達し、暴風、大雪、あるいは海上では大しけにより船舶等は厳重な警戒が必要です。また、春先は雪崩や雪解けによる洪水、土砂崩れなども起きやすくなります。
 これから暖かくなりまして、行楽地などに出かける機会も増えますので、お出かけの際にはぜひとも最新の気象情報に注意していただきたいと思います。

 最後に、毎回お願いしております東北地方太平洋沖地震の余震をはじめとする地震活動についての注意です。先日発表しておりますが、余震活動は全体的には次第に低下してきているものの、沿岸に近い領域を中心に、本震発生以前に比べると活発な状況が当分の間は続くだろうとみられています。また、今後もまれに強い揺れ、さらには津波を伴う地震が発生することもありますので、引き続き注意をお願いします。
 また、先程も触れましたが、3月14日の伊予灘の地震が発生しております。愛媛県で震度5強、広島県、山口県、高知県、大分県で震度5弱とかなり広範で5弱以上、あるいは5強といった地震が観測されております。このように、国内ではどこでも地震が発生してもおかしくなく、地震、さらには沿岸地域の場合には津波に対する備えを常に心に留めていただきたいと思います。
 さらに、事前の備え、あるいは心がけをいただき、緊急時に対応できるように日頃から対応をお願いしたいと思います。

 以上です。


主な質疑応答

Q 先程「強い揺れを感じたら逃げる」ということを周知・徹底していきたいというお話で、日赤との連携などを図られていると思うのですけれども、学校とかに限っていない、国民全般に広報・啓発していくということをどのようにしたらよいかということを、もし何かご意見があればお願いいたします。
A 極めて難しい課題であると思います。通常のホームページを通じるとか、例えば町の広報誌を通じてリーフレットを配布するとか、さらには報道機関を通じて、メディア側のほうからお願いすることが一番インパクトがあります。そういう手当てを継続的に進めていくということが重要だと思います。また、学校教育については群馬大学の片田先生が強く言われていますが、やはり子供のときから訓練していくと、それが徐々に親御さんになって、順次安全知識というものが普及していくということですので、気象庁もそういう視点から、子供のときからしっかりと防災教育というものに取り組んで、順次、10年、20年といった長いスケールで国民に浸透するように努力していく必要があると思います。

Q 先程伊予灘の地震では、これまで緊急地震速報の警報が出ていない西日本の地域にもいくつか発表されたと思いますけれども、そういった地域での緊急地震速報の認知度とか、使われ方とかいうものをどのように評価していらっしゃるかとか、もしくは今後調査する予定があるのかとか、そのあたりはいかがですか。
A 気象庁として今回の地震全体について調査する計画は持っていませんが、福岡管区のほうで初めてのケースということで、管区独自に緊急地震速報を発表した地域で調査をしたいということを聞いております。また、大学の災害情報の先生方も一部で調査をされていると聞いておりますので、そういった成果もいただいて今後に活かしていきたいと思っております。担当から何かありますか。

(地震火山部担当)今日行います「緊急地震速報評価・改善検討会」でも、一部の議題で、伊予灘の地震が発生する前に行いました緊急地震速報に関するアンケート調査の報告をする予定になっております。

Q 先般、震災の当日の気象庁の津波予報が当初過小で、その後上方修正されたという経緯について、陸前高田市の住民の方が国と市を相手に損害賠償を求める訴えを盛岡地裁に起こしたという件なのですけれども、その点について改めて当日の気象庁としての対応についての長官の心証と、今回の提訴を受けての見解というものを聞かせていただけますでしょうか。
A 訴訟については新聞報道等でそのようなことになっているというお話は聞いておりますが、現在も訴状が届いていないということもあり、現時点では訴訟自体についてはコメントは差し控えさせていただきたいとは思います。なお、当日の地震情報、津波警報の発表状況等につきましては、ちょうど3月20日過ぎだったと思いますが、定例記者会見のときに現業での発表の状況というようなものをご紹介してはおりますが、いずれにしても、当時においてはその時点の最新の技術や知見を可能な限り取り入れて、津波警報業務を実施したという認識ではおります。ただ、現時点では訴訟に関わることについてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 津波警報の発表状況は記者会見等で私もご説明していますし、さらに津波警報の改善に関する検討委員会を1年間やっておりますので、その中で資料、あるいは議事録というものが残されておりますので、参考にしていただきたいと思います。
 いずれにしましても、今回訴訟された方も含めて、被災された皆様には改めて心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

Q 2月の大雪は、結局120年間なかったような量の雪が降って、被害も大きかったわけですけれども、命名するような災害になるかどうかということに関しては、今どのように考えておられるのかということと、何か検討されているのであれば検討状況をお願いします。
A 具体的に命名については検討の段階にはいたっていないと考えておりますが、今回南岸の低気圧の関係もありますので、今後春先を通して全体を見て、総合的に考えていくと思います。

Q 検討を始めるとしたらいつぐらいからということになりますか。
A 春先の低気圧の場合は4月まで雪が降る可能性があったりしますので、そのあたりの状況もしっかりと見据えるということと、政府全体の対応も順次やられていますので、そのあたりの状況も見つつということになると思います。

Q つまり2月の雪だけではなくて、春までの一連の雪の状況を総合的に判断するという理解でよろしいでしょうか。
A はい。今回の場合は南岸の低気圧ですから、やはり春先の関東周辺の今後の状況というものも見ていく必要があると思っています。


(以上)

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