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長官記者会見要旨(平成25年12月19日)

会見日時等

平成25年12月19日(木) 14時00分~14時20分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日は、12月ということもありますので、今年1年を振り返っての所感と、この冬の大雪に対する注意についてお話ししたいと思います。また、先の12日に平成25年度補正予算案が閣議決定されましたので、これについても簡単に触れさせていただきます。

 最初に、この1年を振り返りますと、業務面では、3月7日の津波警報の改善、さらには8月30日の特別警報の運用に代表されるように、防災気象情報について気象庁として大きな改善が具体化した年と考えております。併せて、本庁並びに管区気象台等の組織につきましても、この10月に改正しまして、防災体制の強化を図ったところです。これらのことから、今年は、気象庁としてどういう位置づけにしたいかと言いますと、防災・減災に向けて新たな一歩を踏み出したスタートの年と言えるのではないかと考えています。
 なお、特別警報の導入及び津波警報の改善にあたりましては、報道関係機関の皆さまには、特に一般への周知についてご協力いただきまして、ここに改めて深く感謝を申し上げたいと思います。

 一方、自然災害という面では、今年の気象は、夏の高温とともに太平洋側を中心に少雨、つまりは渇水、さらに西日本から東北にかけての大雨の頻発など、極端な天候となり、気象災害の多い年であったと言えると思います。
 特に、今年の7月から10月にかけては前線や台風等により西日本から東北にかけて、さらに伊豆大島など、日本各地で豪雨となり大きな被害が発生しました。一方、9月には台風等に伴いまして関東地方をはじめ各地で全国的に竜巻等の突風被害が発生しました。
 また、先月、フィリピンでは台風第30号により、暴風と高潮により未曾有の災害が発生したところです。
 これらの災害により犠牲になられた多くの方々に、ここにご冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお多くの方々が日本あるいはフィリピン等で避難をされている方がおられますので、被災者に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 次に、このような気象災害に際して気象庁が発表した防災気象情報につきまして、主なものについて今後の対応なども含めて簡単にお話しします。
 今年は、大雨特別警報の発表基準に該当する大雨が、運用開始の前後で実に4回記録されました。本運用前にも3回にわたり特別警報に匹敵する大雨となり、気象庁として特別警報に準じた記者会見等の情報発信の強化を行ったところです。さらに、運用開始直後の台風第18号では、「大雨特別警報」を初めて3府県に発表しました。
 これら大雨や台風の事例については、各地の地方気象台において事後調査を、自治体等のヒアリングも含めて進めていますが、課題を整理したうえで、今後の運用における改善に生かして行きたいと考えております。特に特別警報等の防災気象情報全体の効果を高めることが極めて重要ですので、今後、地方自治体等との連携や住民への周知についても全国の気象台において総力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。
 また、台風第26号による大島の土砂災害の対応については、島しょ部における大雨の監視・予測技術の現状を踏まえて、離島を中心とした雨量監視体制の強化ということで、雨量計の増設、さらには離島の市町村等の自治体とのホットラインの強化といった改善策を進めてまいりたいと考えております。
 気象庁として来年、平成26年につきましては、防災・減災に向けて、今年得られた教訓等を踏まえて、特別警報をはじめ防災気象情報全体の効果を高めたいと考えており、一歩でも着実に改善し、前進する年としたいと考えています。

 次に、先日12日、平成25年度補正予算案が閣議決定されました。気象庁関係で計上したものとしまして、既に記者発表しておりますが、台風第26号を踏まえた島しょ部等における雨量観測網の強化、常時火山観測体制の強化、そして次世代レーダーのフェーズドアレイレーダーによる研究環境の整備を行います。特に、3番目のフェーズドアレイレーダーについては積乱雲に伴う局地的な大雨や竜巻といった、急激に発達する積乱雲に伴う現象について、観測技術の高度化に大きな期待を私自身も寄せております。これらにつきましては気象庁として短期的に効果を発揮する、さらには中長期的な発展に向けて極めて重要なものと考えております。

 次に、今年も雪の季節となりましたので大雪等への注意についてお話しします。
 昨年から今年にかけての冬のシーズンにも、大雪により多くの被害が発生しております。100名を超える方がお亡くなりになっておりますが、その多くが屋根の雪下ろし・除雪中ということで、未然防止がかなり可能な被害ですので、気象庁の大雪等の情報に十分注意をいただきたいと思います。

 この冬は、先週末からの大雪により、季節のはじめとしては比較的雪の多い状況になっております。既に除雪等で亡くなられた方もあり、また、無事に下山されたとのことですが、冬山での遭難の被害が発生しています。
 これからが本格的な雪や暴風雪の季節ですが、雪下ろしや除雪等における事故、交通障害、さらに冬山での遭難などを防ぐためにも、気象台が発表する大雪、暴風雪等の警報等を十分注意いただきまして、万全な対策をとっていただきたいと思います。

 冬型の気圧配置による大雪や、発達した低気圧による暴風雪は、広域で発生するものであり、数日前からなど比較的早い段階から注意や警戒を気象庁から呼びかけることができます。大雪や暴風雪が予想される場合には、気象庁が時間を追って段階的に発表する気象情報、注意報、警報、さらには特別警報を活用いただきたいと思います。特に特別警報の発表を待つことなく、自治体等における防災対策や住民一人一人の安全確保行動について、早め早めに対応をとっていただくことが重要です。このことについて、十分周知を進めていきたいと思います。報道の皆様からも国民への周知について、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。
 さらに、気象庁としましても、地元気象台が自治体等をはじめ防災関係機関との日頃からの連携を深めていくことも重要ですし、これらによって大雪、暴風雪対策に万全を期してまいりたいと思っています。

 なお、今年の冬から、既に記者会見等で発表しておりますが、大雪に関する新たな情報としまして、「大雪に関する異常天候早期警戒情報」の運用を開始しました。この情報は、日本海側を対象として、5日先以降の2週間目の天候が、地域的に見て大雪となる確率が高まった時に発表します。具体的な基準は、1週間の地域的な降雪量の予想を平年と比較しまして、約2倍を超える確率が30%以上と高くなった場合としています。このような、異常天候早期警戒情報の確率的な特徴をご理解いただいたうえで、短期的な天気予報、注意報、警報、さらには週間天気予報とともに活用いただきたいと思います。例えば、今回の新たな情報については除排雪等の計画的な実施といったことに自治体等や関係する機関において、有効に利用いただけるのではないかと考えています。

 最後に、毎回お願いしております、「東北地方太平洋沖地震」の余震への注意についてです。東北地方太平洋沖地震から1,000日を経て、2年9か月が経過しましたが、引き続き余震域やその周辺では今後もまれに強い揺れ、あるいは津波を伴う地震が発生することがありますので、引き続き注意をお願いします。

 以上です。


主な質疑応答

Q お話の中でありました特別警報ですが、先日静岡大学の研究結果の発表がありまして、「特別警報を使ってどういうふうに行動したか」という結果で、9割以上の人が「何もしなかった」というような結果が出ていたり、特別警報について正しく理解している人が半数に満たなかったり大雨警報についても誤解している人が多かったりと、そのような結果が見えてきていますが、こういったことに対して長官としてどのように受け止められるのか。また、周知という面でますます重要になってくると思いますが、具体的な策や、来年に向けてということでお願いします。
A 静岡大学の調査につきましては気象庁も協力しましたが、気象庁として調査結果については真摯に受け止めて、今後の参考とさせていただきたいと思います。具体的な改善にあたりましては、実際の調査にあたった牛山先生等にもご意見を伺いながら気象庁として対応してまいりたいと思います。大雨特別警報の名称ですが、これにつきましては、これまでの報道各社の協力を得た周知、あるいは実際に特別警報を発表したということもありまして、「名前だけは知っている」という認知度はかなり高いものと私自身は受け止めております。しかし、先ほどもありましたように、その意味や位置づけといったところまで考えますと、まだまだ不十分な所があって、難しさがあるということが今回の調査結果ではないかと、改めて認識しているところです。
 今回の事例を踏まえまして、特別警報及び警報の意味や位置づけとともに、気象庁が発表する情報全体について報道機関さらには自治体との連携、あるいは教育関係機関とも連携して周知啓発を進めていく必要があろうかと思っています。
 次に、見聞きした人が実際に行動できないといったところが一番ポイントになるところですが、実際の行動を伴ったものにするということの難しさを具体的に数字で示していただきました。これは最も大きな課題で、一朝一夕に改善することはなかなか難しい課題であると認識しています。気象庁が発表する情報について、防災対策における自治体、あるいは住民個々の防災対策もありますが、そういう実効性を高めるということにつきましては、これまでも繰り返し言っている話にはなってしまいますが、次の3点が重要ではないかと考えております。
 第一に、我々は情報発信をする側で見ますけれども、やはり、住民の側から見ますと、行動に移すというためには住民一人一人が日頃の備えをして、防災意識と防災力を高めていくことが重要だと思います。この日頃の備えがないと、情報を受け取っても具体的な行動に結びつくことがかなり難しいと私は考えておりまして、やはり防災意識と防災力を住民一人一人が高めていくということが重要か思います。
 次に、自治体が防災対策の最終的な責任者ですので、地元気象台がしっかりと自治体と地域防災計画も含めて連携を深めて、我々の情報をしっかりと自治体の防災担当者に活用いただくということが重要だと思います。
 第三には、先程も申し上げましたが、注意報、警報、特別警報と、我々が発表している時間を追った段階的な情報の位置づけ、役割、こういうものをしっかりと理解いただきまして、住民あるいは自治体が早め早めの行動がとれるというように取り組んでいく必要があろうかと思っています。
 以上、3点申し上げましたけれども、やはりこうした取り組みが気象庁のみならず、自治体、住民、全体として防災力をレベルアップして、初めて今回の調査結果について、さらなる改善が進められるものと考えております。

Q 特別警報が発表されて以降、気象庁としても色々と調査されていると思いますが、各管区や地方気象台に向けて改めて通達であるとか、どういうことを心がけてほしいというようなことは、何かされたのでしょうか。
A 今の3点については特別警報の運用開始の時に全国に向けた訓示ということで、気象庁の大方針ということで私のほうから全国の気象台の台長等に示していますし、また先日、地方気象台の台長をすべて集めて会議をやりましたが、こういう場でもしっかりと地元気象台と自治体等との連携、住民の防災力を向上せよ、というような指示をしているところです。引き続き、必要に応じて会議等の場において、全国レベルあるいは管区レベルで徹底していきたいと思います。

Q 長官のお話の中で、今年が防災・減災に向けての気象庁にとっての新たな一歩の年だったと、来年に向けて一歩でも着実に前進する年という位置づけとおっしゃりましたが、具体的に何をどのように進めていくか、取り組みであったりとかをイメージをされているところがありましたら、お話を伺えますでしょうか。
A 具体的な取り組みのイメージというよりは、今年は特別警報も含めて法制度上の枠組み、あるいは津波警報の改善ということで、情報自体の改善はかなり抜本的なものができておりますので、運用面での改善ということで、自治体あるいは住民との連携といったところで、具体的に現場レベルでしっかり対応していくということが重要ではないかと思っています。
 先程の自治体の事後の調査とか様々やっていますが、そういった結果、逆に地元気象台の防災力といいますか、レベルアップに繋がって、自治体との連携が深まって次に生かせること、つまりは、今年の教訓を次に生かしていくということが、具体的に地方レベルでは見えてきていますので、こういったことを順次進めていくことが重要ではないかと思っています。

Q お話にあった台風第30号について、フィリピンの現地調査では7mの高潮というような、津波に匹敵するような被害が明らかになりつつありまして、その中で、高潮災害のイメージや対策を考え直していかなければならないのではないかという専門家の方のご意見などもありますが、そういうことに関しては、気象庁として今後に向けてどういうことを考えているでしょうか。
A 高潮対策といいますと、国土交通省でいえば本省の水管理・国土保全局あるいは港湾局といった沿岸を管理する方々が具体的なハード面、あるいはソフトも含めた対策が行われるということになりますが、気象庁としての対策という点では、やはり高潮の予報あるいは暴風の予報という点です。今回の台風第30号に際しましても気象庁は東京台風センター(RSMC Tokyo-Typhoon Centre)を持っておりまして、気象庁の高潮予測結果をフィリピンを始め関係各国に提供しています。また、高潮の予測モデル自体をフィリピンの気象当局に提供しておりまして、実際に今回の台風第30号でも予報に活用されたということです。先ほど6~7mという話がありましたが、予測モデルでも5m前後の予測結果を得て情報の発信をしているところです。高さという点ではモデル自体もかなり再現性が良いということで、気象庁においても、高潮予測という点ではかなり精度良く発信できていると思いますが、高潮の高さだけですと具体的な災害をイメージしづらいということがありますので、我々が高潮警報あるいは高潮特別警報を発表する際にも、フィリピンの災害あるいは伊勢湾台風等の過去の災害も踏まえつつ危機感をどう伝えていくかということにつきまして、今後参考として検討してまいりたいと考えています。

Q 情報についての改善はスタートの年というようなお話がありましたが、そういう点でいうと、防災情報のレベル化がありましたが、今後に向けて、積み残しの課題などもまだいくつかあったと思いますが、今後の予定などで決まっていることがあれば教えてください。
A 積み残したという点ではレベル化の議論を検討会でいただいておりますが、このレベル化、注意報:レベル2、警報:レベル3、あるいは特別警報:レベル4ということで、法制度上は既に注意報・警報という体系がありますが、それにレベルを付すということで、体系化していきたいと思っております。しかし、積乱雲に伴う関係の情報をどう一つに取りまとめて発信していくか、あるいは大雨については検討会で議論されたのですが、大雨以外の現象についての整理というのが課題ですので、詳細の細部の設計自体に多くの課題を残しているということで、気象庁として早急に部内での検討を進めたうえで、関係機関とも相談しながら慎重にできるだけ来年早いうちに検討を進め、結果を出していきたいと考えています。

Q いつごろから検討を始めるというような目途はいかがでしょうか。
A 内部的には今も検討しておりますので、検討を進めている最中であるということです。


(以上)

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