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長官記者会見要旨(平成25年11月21日)

会見日時等

平成25年11月21日(木) 14時00分~14時25分
於:気象庁会見室


発言要旨

 本日は、最初に「台風第26号による伊豆大島の大雨の関連」についてお話しします。次に「フィリピンに甚大な被害をもたらしました台風第30号」、これに関連して気象庁が行った国際協力についてお話しします。最後に「東北地方太平洋沖地震の余震」について、これら3点についてお話ししたいと思います。

 ここで個別のお話をする前に、今年も、台風第18号、第26号、さらには台風第30号など、台風や大雨によって国内外で多くの甚大な被害が発生しています。ここに改めて、犠牲となられた方々にお悔やみを申し上げると同時に、多くの被災者にお見舞いを申し上げたいと思います。

 最初に大島の大雨関連についてですが、台風第26号の大雨により、先月16日に伊豆大島で発生しました土砂災害から1か月を経過したところです。本日は、今回の大島の災害を踏まえまして、この間、気象庁が措置してきた改善策あるいは現在検討中の事項について、まとめてご紹介したいと思います。

 今回の大島のケースでは、前回の発言でも述べましたが、観測・予測技術の面から、特別警報としての発表は困難でした。しかしながら、気象庁としては台風予報に加えまして台風が最も接近する前日の午前には、東京都あるいは大島町等に対して台風説明会を開催し、あるいは夕方には大雨警報、土砂災害警戒情報を発表し、厳重な警戒を呼びかけました。さらに23時30分頃から3回にわたり、電話により東京都あるいは大島町に危機感を伝えるために連絡をしたところです。気象庁としてこのような対応をしてきてはいますが、不十分な点もあったと考えております。このため、これまで以上に強い危機感を自治体に伝え、実際にそういった状況を共有して、自治体の対策に効果的に生かしていただくということが最も重要であるということを考えて、次のような措置を急ぎ執ったところです。

 第一には、気象台からのホットラインの強化です。全国の島しょ部を中心に、局地的に特別警報に準じる記録的な大雨が観測された場合、つまり具体的には50年に一度というような、5km格子の1格子でも観測された場合には、その危機感を自治体と共有できるよう、気象台長等から市町村長に直接連絡するということとしました。これにより、気象台と自治体の間のホットラインについて強化を図るということを考えたわけです。
 東京都内の島しょ部については、本庁では主任予報官が、町村長に直接電話するという態勢を整えております。このような中、台風第26号に続いて翌週には台風第27号が再び伊豆諸島に向いましたので、二次災害等の危険も非常に高いということで東京都にも協力をいただいて、関係市町村の長との連絡体制を確立したところです。なお、台風第27号に際しましては、影響を受けたのは伊豆諸島に限らず、沖縄・奄美といった地方もありますが、こういった島しょ部の市町村に対しても、これまでと同様、気象庁本庁、気象台、さらには測候所から防災担当者に電話によるホットラインで台風等の状況を解説しているところです。しかしながら、先ほど説明した基準に達するような記録的な大雨は出現しませんでしたので、市町村長に直接ホットラインで電話するというケースは発生しておりません。

 また、このようなホットラインの強化ということに併せまして、島しょ部において局地的に特別警報に準じるような大雨になった場合には、府県気象情報に、例えば「○○島では50年に一度の記録的な大雨となっている所があります」といった形で、住民の方々にも危機感を伝えるよう、その旨の短い内容の情報を発表することとしています。なお、この府県気象情報の表現につきましては、自治体や報道機関のご意見もお聞きしつつ、さらには今後の運用や利用者の受け止め方等を踏まえつつ、必要に応じて改善を進めていきたいと思っています。

 次に、現在検討を進めている雨量計等の観測網の強化についてお話しします。
 伊豆大島については、二次災害の懸念が極めて高いということから、気象庁並びに東京都の雨量計の配置を踏まえまして、緊急に臨時の雨量計を2か所設置しました。これを11月8日から運用を開始しているところです。さらに、その他、全国の島しょ部を中心として、気象庁の雨量計に加えて自治体等の他機関の雨量計の配置状況も踏まえまして、観測精度の向上を目指して、観測網の強化を現在検討しているところです。これと併せて同時に気象レーダーの機能強化、つまり現在1kmメッシュで全国カバーしておりますが、これを250mメッシュに細分化するという開発を進めておりますので、こういったところも併せて総合的に観測網を強化していきたいと思っております。

 なお、今回の大島のケースのみならず、今年の大雨や台風による災害を踏まえますと、気象庁が時間を追って段階的に発表している防災気象情報について、総合的に利活用いただく、そのための促進策に取り組むことが極めて重要であるということを改めて痛感した次第です。台風予報、注意報、警報、土砂災害警戒情報、さらには特別警報、また、この間には様々な気象情報を発表していますが、これら情報を自治体や住民に実際に、例えば台風接近の数日前から準備をいただく、あるいは実際の避難等の対応につなげていただく、さらにこれら段階的な情報を使って早め早めに対策をとっていただくといった具体策に結びつけていく必要があると考えております。
 一方、今回の土砂災害を踏まえまして、内閣府において自治体等に向けたガイドラインの見直しが進められようとしています。具体的なガイドラインの名称につきましては、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」ですが、この見直しが検討されております。気象庁としましても、時間を追って段階的に発表する防災気象情報について、より効果的に活用されるよう、ガイドラインの見直しに、積極的に参画していきたいと考えております。
 また、ガイドラインの見直しが終わりましたら、全国の気象台より自治体に対して、地域防災計画の改訂等が行われると考えられますので、その際には同ガイドラインに沿って、しっかりと助言していきたいと思っています。

 次に、台風第30号がフィリピンに大きな被害をもたらしておりますが、これについて、気象庁から関係各国に行っている国際協力、特にフィリピンに対して行っている国際協力について説明いたします。
 台風第30号は、今年最も強い台風ということで、中心気圧が895hPa、中心付近の最大風速が65m/s、最大瞬間風速が90m/sの猛烈な勢力を保ったまま11月8日にフィリピン中部に上陸しました。その後、南シナ海を進み、11日にはベトナム北部に再度上陸しております。

 この台風による被害については未だ全容が十分には把握されていませんが、犠牲者は数千名、被災者が一千万人を超える規模になるといった未曾有の災害となっております。

 本日は、この台風第30号に際しまして、気象庁がフィリピン等のアジア・太平洋諸国に対して行った技術的な支援の内容をお話しさせていただきます。

 気象庁では、世界気象機関(WMO)の枠組みのもとで、北西太平洋域の関係各国へ台風情報を、これは台風予報も含めた情報ですが、これを提供しておりまして、WMOの「地区特別気象中枢」と呼びまして、東京台風センター(RSMC Tokyo-Typhoon Centre)という名前ですが、そういった「地区特別気象中枢」の役割を担っております。
 今回の台風第30号に際しましても、気象庁から各国に対して、例えば台風の位置や強度、さらには解析結果を3時間毎に提供しております。さらに、6時間毎に、3日先までの台風の進路や強度の予報、5日先までの進路予報を提供しております。さらに、数値予報資料や高潮の予測結果といった詳細な資料もありますので、これらきめ細かな情報も併せて提供しているところです。
 また、「静止気象衛星ひまわり」ですが、この画像については台風の監視に極めて重要ということで、30分毎に画像を提供しております。この「静止気象衛星ひまわり」につきましては、来年度には次世代の静止気象衛星を打ち上げることを予定しておりまして、観測の分解能、頻度が大幅に増強する予定です。我が国のみならず、アジア太平洋諸国の気象災害の防止・軽減に、これまで以上に貢献できるものと考えています。

 なお、気象庁では、通常の平時から国際的な技術協力や支援を行っておりまして、例えば国際協力機構(JICA)の枠組みで過去40年、毎年気象庁で各国の予報官等の研修を実施してきております。また、東南アジア等で進められております気象レーダーを整備するプロジェクトがありますが、こういったプロジェクトに対して技術的な助言を行っております。また気象庁独自、あるいは世界気象機関(WMO)とも連携し研修やワークショップ等を通した技術支援の取り組んでいるところです。さらに気象庁は、今回の台風第30号では高潮が発生しましたが、高潮予測モデルの提供も行っておりまして、例えば今般のフィリピンのケースでは実際にフィリピンの気象当局で運用され活用されているという報告を受けております。
 気象庁としては、引き続き積極的な国際協力を行い、途上国を中心に各国の防災・減災対策に貢献していきたいと思っております。

 最後に、毎回お願いしております「東北地方太平洋沖地震」の余震への注意についてです。

 10月26日には、マグニチュード7.1の地震が発生し、津波を観測しております。また、11月10日にはマグニチュード5.5の地震が、茨城県内で発生し震度5弱の揺れを観測したところです。このように、東北地方太平洋沖地震からすでに2年8か月という時が経過しておりますが、余震域やその周辺では今でもまれに強い揺れ、あるいは津波を伴う地震が発生することがありますので、引き続き注意をお願いしたいと思います。

 以上です。


主な質疑応答

Q 先程お話の中で気象レーダーの機能強化、1kmから250mへの開発ということですけれども、目処みたいなものはどうなっているのでしょうか。
A 現在技術開発中、あるいは観測局の処理部の更新といったことをやっております。これにつきましては降水の監視・予測技術の開発を今行っていまして、来年度以降実際に予報の業務に活用できる見込みです。また、報道機関あるいは民間気象事業者へのデータの提供につきましては、今後関係機関のご意見も踏まえつつ、検討を進めてまいりたいと思います。いずれにしても、データの量がかなり増えますので、これをどのような方法で提供していくかについて、報道機関、関係機関のご意見も踏まえながら進めていきたいと考えています。

Q 同じく時期の質問になるのですけれども、自治体などに向けたガイドラインの見直しというものはいつ頃までにされるのでしょうか。
A 内閣府に聞くところによりますと、「今年度中に見直す」というお話ですので、今年中にはそれなりの動きがあって、気象庁として積極的に参画していきたいと思っています。

Q 特別警報なのですけれども、「改善策を出した」というふうに報じられていて、一方で政府関係者などから「抜本的な見直し」というようなこともあり、もちろん検討はされていると思うのですけれども、現状「特別警報をどうしていくか」の見通しなどが決まっていれば教えてください。
A 特別警報の運用ですが、これにつきましては「比較的広域の地域を対象とする」という技術基準を設けております。これは、観測あるいは予測技術の観点からそういった基準にしておりまして、現状の基準を見直すということは現時点の技術では困難であると考えております。一方、今回とりましたようなホットラインの強化等の対策につきましては、関係者に十分これまでも説明してきておりますので、理解を得ているものと考えております。

Q ホットラインの強化の件なのですが、特別警報に準ずるような記録的大雨というときに伝えるということですけれども、実際に大雨特別警報の広域の広がりを持った災害を対象にした情報ということで、島しょ部に降っているものが特別警報に対する雨とは違うものだと思うのですけれども、言い方として、このホットラインが島にとっての特別警報みたいな扱いになるのか、それとも明確に違うものなのか、その位置づけをお願いします。
A 実際、特別警報であるかどうかという話よりは、今回の場合は、やはり「国と自治体が連携して、避難などの確実な行動をとっていただく」という実効性を高めるということが重要です。例えば、島根県等での豪雨でも、松江の地方気象台長から首長さんに電話した事例がありますが、やはりトップ同士が意見を交換して認識し、市町村長さんが避難の判断をいただくということが極めて重要だと思います。そういった点で「実効性を高めていく」ということをしっかりと担保していきたいという観点からの改善です。

Q 確認ですが、これは大雨に関する対応ということで、大雪や暴風などの他の特別警報に関しての対応ではないということでしょうか。
A 大雪や暴風がありますが、これらは雨よりも局地性が少なくて、広域に対応する事例が多いと考えております。雨はかなり局地性が強いというところもあるのですが、暴風や大雪の場合はかなり広域、場合によっては県をいくつもまたぐような広域での大きな災害ということですので、そこは切り分けて考えられるのではないかと思っています。

Q つまり大雪や暴風などは離島には出にくいということではないということでしょうか。
A はい、当然同時に出る可能性が極めて高いと考えています。日本海側の離島というものもそれほど離れた島ではありませんので、当然相当中心気圧の低い低気圧ですと、島あるいは本土を含めてすべて、大雪や暴風雪の特別警報が出ると思います。ただし、島の場合は内陸の地形性の雪との区分けで島には出ない可能性がありますけれども、暴風の場合はほぼ同時に出るのではないかと考えています。

Q 気象レーダーのメッシュを細かくするという措置ですけれども、250mのメッシュになるとどういった事態を観測できるようになるといいますか、どういった点で改善点がみられるかという考えなどを教えてください。
A 特に広域で降っているような場合には、1kmも250mも基本的には最終的な性能には大きな差はないと思いますが、数kmといった極めて狭い範囲で局地的に降るような「都市型の雨」というようなものには非常に有効になってくるのではないかと考えています。最近、例えば「千代田区で降っていないのに練馬だけは降っている」とかいうようなケースがありますので、特に都心部では有効な情報になるのではないかと考えています。

Q 今月上旬に山梨で富士山の火山防災対策協議会が開かれて、富士山が噴火した場合に灰が30cm以上積もると予想される地域については避難を呼びかけるというふうに話し合われているようなのですけれども、実際に噴火前後に30cm以上積もる地域というものを気象庁が予測・発表することはできるのでしょうか。
A 30cmの降灰という基準を協議会のほうで検討されているお話と聞いております。この協議会には気象庁もメンバーとして参画しておりまして、現時点では気象研究所が、例えば「宝永噴火」、これは2週間程度の噴火活動が続いたようですが、この2週間程度噴火が続いた場合をモデルとしてシミュレーションを行いまして、こういった地域に30cm以上の降灰量があるという予測結果を提供しております。さらに、現在気象庁は降灰の状況を量的に予測するという業務の運用を開始すべく技術開発を進めております。この量的降灰予報と呼んでいるものにつきまして、避難行動にどう結びつけるかについて、気象庁からの情報の提供のあり方も含めて、協議会において検討を進めてまいりたいと思います。気象庁もその一員ですので、我々の予測情報をどのように避難等に結びつけていくかということについて議論に参画していきたいと思っております。

Q 30cmの降灰が予想されるような噴火というものはかなり大規模なものになると思うのですが、そういったものというものは今の観測体制とかであれば経験していないかと思うのですが、それはどのように実現していくのでしょうか。
A 例えば予測の手法ですとか、シミュレーションの手法、あるいはどういった形の前提で計算していくかということも含めて、議論が進められるのではないかとは思っております。

Q レーダーの250mの細密化の件で、これで局所的な雨にも有効な情報になるということでしたけれども、先程の特別警報の問題で、技術的な問題として「島しょ部については予測が困難」という話だったのですけれども、このレーダー雨量の強化によって、「特別警報の予測がしづらい」という局所的な問題というものはある程度改善されるということを主としてのものなのか、それとももっと前から進んでいた広域的な話なのかお聞かせください。
A レーダーにつきましては、レーダー付近の周辺については非常に精度の高い、細かい情報が得られますが、レーダーから離れれば離れるほど電波が広がりますので、分解能がどうしても下がってきます。したがいまして、島しょ部はレーダーの設置場所から離れますので、今回分解能ということで250mメッシュを形式的に計算はしますが、抜本的に島しょ部のレーダーによる監視能力が高まるということにはつながらないと考えております。島しょ部においても、レーダーのエコー強度と実際の地上の観測とでキャリブレーションして修正するということが重要ですので、その点は今回の分解能の拡充だけで解決するということはないものと考えております。

Q そうなると、島しょ部を中心とした観測網の強化というものは、これとは別のものを考えているのでしょうか。
A 現在、検討を進めておりますものは、雨量計について、気象庁の雨量計と自治体の雨量計の配置等を踏まえて、強化すべき地域があるかどうかについて、精査を進めているところです。

Q 昨日あった西之島付近の海底噴火の関係ですけれども、今後の気象庁の観測・監視などの対応と、改めての注意の呼びかけをお願いします。
A 昨日、西之島が噴火したということですが、現在火口周辺警報及び航空路火山灰情報、あるいは火山現象に関する海上警報を発表しております。引き続き、噴火に対する厳重な注意が必要ですので、周辺を航行する船舶、飛行機等につきましては、噴石、軽石、あるいは火山灰等に厳重に警戒をお願いしたいと思っております。

Q 今後の監視や観測の対応はいかがでしょうか。
A これについては、離島で、1,000km以上離れていますので、引き続き海上自衛隊あるいは海上保安庁と協力して対応してまいりたいと思っています。


(以上)

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