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長官記者会見要旨(平成24年12月20日)

会見日時等

平成24年12月20日(木) 14時00分~14時20分
於:気象庁会見室

発言要旨

 本日の会見では、津波警報等の改善に伴う準備状況についてお話します。

 来年3月7日に新しい津波警報の運用を開始します。今月7日に、第1回目の配信試験を、本日第2回目の配信試験を実施しています。配信試験は前回と今回を含め計6回を予定しており、関係機関と連携して3月7日の運用開始に向け万全を期してまいりますので、ご協力をお願いします。

 この津波警報の改善と関連しますが、気象庁では、「東北地方太平洋沖地震」の震源域の周辺で発生する津波の早期検知のため、ブイ式海底津波計の整備を進めています。
 既に2基を設置し、残りの1基については、今月中の設置に向け調整しているところです。並行して、ブイ式海底津波計による津波の観測値を津波警報の更新に活用するための準備を進めております。これらの準備が整い次第、ブイ式海底津波計の運用開始について近々発表させていただく予定です。
 また、このブイ式津波計の観測値は、津波警報の改善の一環として新たに運用開始を予定しております沖合津波観測情報として発表します。沖合でとらえた津波の観測データ、つまり既設の海底津波計等35か所に今回のブイ式津波計を加えた38か所の観測データをいち早くお伝えすることを通して、津波警報の効果を更に高め、より確実な津波避難に結びつけていきます。

 次に、毎回お願いしています、余震への注意についてです。
 「東北地方太平洋沖地震」の余震活動については、引き続き活発で、今月7日に、昨年7月10日以来1年5か月ぶりとなるマグニチュード7を超える余震が発生し、震度5弱の強い揺れが広い範囲で観測され、津波も観測しました。今後もまれに強い揺れや津波を伴う地震が発生することがありますので、周辺地域も含め、引き続き厳重な注意をお願いします。

 本日は以上です。


主な質疑応答

Q 今年最後の記者会見ということで、今年1年を振り返っての長官の所感と、冒頭発言の津波警報の改善と重複するかもしれませんが、震災から1年9か月ということで、これまで気象庁として取り組まれたことはいくつもあるかとは思いますが、1年9か月を経ての対策としての所感も併せてお話しいただけますでしょうか。
A 1年を振り返って、さらに昨年の3月11日以来も含めてですが、昨年の新燃岳の噴火、東日本大震災、新潟・福島豪雨、台風12号等の被害、また今年に入ってからは、つくば等での竜巻災害、九州北部豪雨での土砂災害など多くの災害が発生しました。
  気象庁としましては、これらの災害を教訓として、昨年から地震、津波、火山噴火に伴う降灰、台風、大雨、竜巻等の防災情報について改善するための検討を進めてきたところです。さらに、異常気象等の気候の分野においても、本年の2月に国土交通政策審議会気象分科会から提言をいただくなど、気象庁が発表している様々な情報についての改善策を検討してきた年であったと思います。既に一部については具体化に着手したところですが、全体としては業務の改善に向けた検討の段階がこの1年、あるいは東日本大震災からの1年9か月であったと思います。
  また、技術基盤では、震災を受けて特に地震・津波観測網を強化したこと、気象分野では今年6月にスーパーコンピュータを更新したことなどで、今後の監視・予測技術の高度化において大きな期待を持っているところです。
  このような状況ですが、本年あるいは東日本大震災以降の1年9か月を総括いたしますと、自然災害の状況や社会の要請に対して真摯に対応し、防災・減災や社会・経済の発展という観点から気象業務を大きく改善することについて、気象庁を挙げて総力を挙げて取り組んできた年ではないかと考えております。
  さらに、情報の改善についてですが、この取り組みにおいて共通の課題として認識していますのは、我々の発信する情報をいかに具体的に地方自治体や住民等の防災活動に活かしていただくか、さらには社会・経済活動の発展のためにご利用いただくかということです。この点について基本的な方針として、様々な検討を現在進めているところです。引き続き技術開発や観測網の強化も進めながら、関係機関とも連携して情報の利活用の促進や周知・啓発の取り組みを今後ますます強化していきたいと思っております。

Q 1年を振り返っていただきましたが、来年はどんな年にしたいのでしょうか。
A 来年の抱負ということですが、先ほどの今年1年と震災後の1年9か月の総括に加えて、来年7月には大雨・台風等の防災気象情報の改善ついても全体の方向性がまとまる予定です。これによりほぼすべての改善策が出揃うことになります。このため、来年は新たな情報発信の具体化に向けてスタートを切る年と考えております。非常に多くの情報を改善することになりますが、報道機関の方々にもご協力いただきながら、利用者の皆さまに正しくお伝えできるよう頑張りたいと思います。

Q 12月7日の三陸沖の地震での津波警報に関して、気象庁の情報発信の総括をお願いします。
A 7日の津波警報についての総括ですが、気象庁が発表しました津波警報等の情報はほぼ的確な発表であったと評価しております。具体的には、地震発生後4分で津波警報を発表しましたが、通常3分を目指しているところ、震源が比較的沖合であることを考えますと、発表のタイミングは適切であったと考えております。また、津波の高さについては、高さ1メートルの津波警報を発表しました宮城県で実際に1メートルの津波を観測し、さらに津波注意報を発表しました岩手・福島両県においても太平洋岸で0.1から0.3メートルの津波を観測しましたので、予想した津波の高さや津波の予想到達時刻、解除のタイミングについてもおおむね妥当であったと考えております。
  次に、多くの報道から、報道機関、自治体、住民等の対応状況を見ますと、東日本大震災を契機に様々な機関で多くの取り組みが行われてきましたが、このような取組が具体的に活かされてきたと思っています。たとえば、報道機関の方々につきましても、津波警報を受けて危機感を伝えていただき、ここに感謝を申し上げます。しかし、様々な課題もあるようですので、被災者の方々など様々な意見を踏まえながら、引き続き検討を進められるものと思っております。また、地方自治体においても避難を促進するため、たとえば命令口調で情報を伝える、あるいは、緊急速報メールで伝えるなど、多様な手段を駆使されており、対策が進んできたものと思っております。また、住民の方々の行動についても、非常に強い揺れであったことから津波警報が出る前に自主的に避難を開始したということを聞いておりますので、津波警報の改善策を取りまとめたときの大方針である、自らの判断で「強い揺れを感じたら逃げてください」がかなり浸透してきたものと思っております。
  当庁としましては、警報の基盤である技術を改善して精度向上に努め、実際に地震を観測した場合には的確に津波警報等の情報を発表していきます。また、津波警報が有効に機能するためには、自治体、報道機関など関係機関と十分に連携して、住民等の防災意識を風化させないための周知啓発の取り組みを強化し進めていく必要があると思っております。

Q 先日の衆院選で政権交代になりましたが、それについての所感と、政策が変わると思いますが、何か気象庁の業務に影響が出るというようなことがあるのでしょうか。
A 政権交代について私の立場で特段コメントを申し上げるものではありませんが、気象庁の業務、これは自然現象を24時間監視し、国民の生命・財産を守るために情報を提供していくという仕事ですので、この防災という観点からは基本的には変更はないものと考えております。

Q 今月7日に北朝鮮がミサイルといいますか、人工衛星を打ち上げて、何らかの物体が地球の軌道上を今動いています。この打ち上げとその後のこの物体について、気象庁において何らかの情報をキャッチできたのでしょうか。
A 打ち上げ自体についての情報は気象庁ではまったく持っておりません。今回の場合、気象庁が対応しているものは、官邸等関係機関に気象庁が保有する気象の情報を、技術の範囲内において適宜提供するということだけです。それ以外の情報はありません。

Q 三陸沖の津波地震の関連で、当時アウターライズという話があって、その後複雑な地震だったということで今精査していただいていますが、その精査の状況と、それからたとえば地震調査委員会でも本藏委員長が私的な見解として想定されていたアウターライズとは違う可能性があることを示唆されていましたが、今の時点での気象庁の見解としてはいかがでしょうか。
A 今回の地震は、当初発表した段階では、アウターライズ地震が懸念される領域であり、発震機構もおおむね東西の張力軸を持つ正断層型と発表しました。その後詳細に分析しますと、初期には逆断層型の様相も見え、正断層と逆断層両方の様相があって、2つの地震がほぼ同時に発生したような状況で、数日経ってから地震・火山概況の報道発表において非常に複雑な地震であったことを説明したところです。現在もこれにつきましてはデータの解析中です。解析にはかなり苦労していまして、東京大学地震研究所や名古屋大学の専門家にも助言をいただきながら分析をしているところですので、今後分析が終わり次第発表させていただきます。ただし、相当分析が難しい地震と聞いていますので、発表までにもう少し時間をいただくことになると思っていますが、極めて興味深い地震であり、そのメカニズムの解明は今後の地震防災においても重要ですので、解明に努めて参ります。
  また、「東北地方太平洋沖地震」の余震ですが、先程も冒頭の発言でお話しましたように、今後も強い揺れを伴う地震、あるいは津波を伴う地震が発生する可能性はありますので、引き続き注意が必要です。また、アウターライズ地震の可能性、これは比較的大きな地震になりますが、この可能性についても多くの専門家がほぼ共通に指摘していますので、引き続きこの点についても十分な注意をお願いします。

Q 政権交代したことによって、概算要求を出し直さなければいけないと思うのですが、これについて今現在どこを組み直さなければいけないのか、秋に出したものとの変更は予定されているのかお伺いします。
A 既に今の政権の段階で概算要求を出しておりますが、次の政権に入ったときの指示はまだ来ていないと思います。

 (経理管理官室担当)現状まだ国会が開催されておりません。また次の内閣が組閣されておりません。今後、財政当局からは、組閣後直ちに予算編成大綱が示されるというような情報は来ておりますが、現状では何も指示が来ていません。

  ご承知のように、基本的には気象防災の強化として予算を組み立てて要求していますので、現在の概算要求の内容をベースに、今後の指示に従って更に検討していくことになると思います。

Q 北朝鮮のミサイルの関係ですが、ミサイルを発射した後に核実験を行うことが事例として多いと思います。気象庁として長野の精密地震観測所で北朝鮮の地震を観測できるくらいのものを持っていると思うのですが、もしそのような地震を観測した場合、どのような報道発表の仕方になるのでしょうか。
A 前回、前々回と2回とも報道発表しております。北朝鮮に限らず、気象庁は世界の地震を監視しておりますので、当該地域で地震の発生を観測した場合には、官邸等関係機関にお知らせしたうえで、政府全体でどのような発表をするのが適切かということを踏まえて、気象庁もこれまでと同じような形で発表していくことになると考えております。前回ですと、2時間程度後の発表と、さらに数時間経って実際の地震の波形等の解説を加えた発表を行っていますので、基本的にはこれに準じた形で発表していくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。


(以上)

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