キーワードを入力し検索ボタンを押下ください。

長官記者会見要旨(平成24年9月20日)

会見日時等

平成24年9月20日(木) 14時00分~14時15分
於:気象庁会見室

発言要旨

 2か月ぶりの会見になります。この間に猛暑、短時間強雨、台風第15号、先週の台風第16号などにより多くの自然災害が発生しております。本日の会見では、まずはじめに今年の夏の特徴と台風第15号・16号についてお話しいたします。また、来週には「ブイ式海底津波計」の設置を開始しますので、これについてもお話しさせていただきます。最後に、台風及び余震への注意についても、お話しさせていただきます。

 はじめに、今年の夏である、6月から8月の天候の特徴についてです。
 まず、雨についてですが、活動が活発な梅雨前線や南からの暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本を中心に雷を伴った大雨が度々発生し、特に太平洋側で降水量がかなり多くなりました。
 この間、7月11日から14日にかけて大分県、熊本県、福岡県を中心として大雨となり、気象庁はこの大雨を「平成24年7月九州北部豪雨」と命名しました。また、8月13日と14日には大阪府や京都府で大雨によって多くの家屋が浸水した他、8月中旬から下旬にかけて全国各地で落雷による災害が発生しました。
 このような夏の期間の大雨について観測データを統計的に調べましたところ、全国のアメダスで観測した1時間50ミリ以上の短時間強雨の発生回数は、アメダスの観測を開始しました1976年以降で最も多くなりました。
 この一方で、東北、北陸、関東甲信の各地方では梅雨明け以降晴れの日が続き、逆に少雨となり、渇水の状況が地方整備局等から報告されているところです。
 次に、気温についてですが、7月後半以降は太平洋高気圧が本州付近に強く張り出したため、夏の気温は北日本から西日本の広い範囲で高くなり、猛暑日の日数の記録を更新した地点も多くあります。さらに、9月中旬の現在まで高温傾向が続き、ここ1か月はかなり特徴的な天候になっています。
 気象庁では、今後とも警報・注意報、気象情報等の適時・適確な発表に努めますとともに、これら情報の利用の促進を図ってまいりますので、引き続き報道機関の方々にはご協力をよろしくお願いいたします。

 次に台風第15号・16号についてお話しさせていただきます。
 この2つの台風は非常に強い勢力で沖縄本島地方に接近・通過し、猛烈な風、非常に激しい雨、さらに高潮・高波などにより甚大な被害が発生するおそれがあったことから、沖縄気象台では、それぞれ8月25日並びに9月14日に記者会見を行い、最大級の警戒を呼びかけました。報道機関の皆様のご協力によりテレビ等で最大級の警戒を繰り返し呼びかけていただきました。さらに、沖縄県は県民向けに「知事メッセージ」をこの2つの台風の時に発せられ、まさに県全体で最大級の警戒が行われたと考えております。
 沖縄本島を非常に強い2つの台風が通過し、台風第16号では過去最高潮位を超える高潮が発生したにもかかわらず、甚大な被害には至らなかったことについては、第一に事前の備え、次に不要不急の外出を控える、さらに危険を感じた場合には自主的に避難するといった住民の皆様の適確な行動があったからではないかと考えています。
 一方、台風第15号では、実際のアメダスや地上気象観測の風や雨の観測データから、予想した値は過大だったのではないかとのご指摘もいただいているところです。これについては、予測精度の向上が極めて重要ですので、台風の進路予報や雨・風等の量的な予測精度の向上のため、引き続き研究・技術開発を進めてまいります。
 今回のように気象予測の状況から甚大な被害が予想される場合には、台風に限らず、今後とも警報や気象情報とともに記者会見等で積極的に警戒を呼びかけてまいりますので、防災関係機関、国民の皆様には安全サイドに立って避難等、自ら身を守る行動をとっていただくようお願いします。この点につきましても、引き続き報道機関の皆様にはご協力をお願いします。

 次に、「ブイ式海底津波計」の設置についてお話します。
 東北地方太平洋沖地震の震源域の周辺で発生する地震の際の、津波の早期検知のため、来週9月28日から東北地方の沖合に「ブイ式海底津波計」を3台設置します。この津波計の整備により、東北地方の沖合で、例えば日本海溝付近で発生する津波の場合は、地震発生後10分程度で津波を検知し、三陸の沿岸に到達する前に早く正確に津波の規模を把握することが可能となります。
 この津波計による津波の観測値は、本年中には津波警報の更新に活用するとともに、来年3月には新たな津波警報の運用と、それに併せて沖合津波観測情報を発表しますので、その中でこの津波計のデータを速報的に発表していくこととしています。
 津波警報の改善につきましては、技術的には、巨大地震の判定技術、沖合津波計の利用など、可能なものから順次監視・予測に導入してきており、「ブイ式海底津波計」の設置も含めこれらの改善により、引き続き津波警報の適切かつ的確な運用に努めてまいります。

 最後に、台風シーズンを迎え台風への備えのお願いと、余震への注意についてお話しします。

 9月から10月にかけては、本州も含めて日本は台風の影響を受けやすいシーズンですので、台風への備え、特に台風接近時には、大雨による土砂災害や浸水害、河川の増水、はん濫による洪水害に加え、暴風、高潮・高波、これは台風第16号で顕著で西日本でかなりの高潮になりましたが、高潮・高波についても十分な注意・警戒が必要です。
 全国の皆様には、台風への常日ごろからの備えとして、非常用品の確認や、避難所、避難ルートの確認をお願いします。また、台風が接近する状況では、気象庁の発表する台風情報や地元気象台が発表する最新の警報等に十分注意いただいてご利用いただくとともに、市町村等から避難勧告等の情報が発表された際には避難等の対応をとっていただき、台風災害から自ら身を守る行動をお願いします。
 なお、三陸沿岸では東北地方太平洋沖地震により地盤が沈下しておりますので、台風接近時には、特に高潮・高波への特段の注意をお願いします。

 最後に、余震への注意のお願いです。
 「東北地方太平洋沖地震」の余震については、繰り返しになりますが、今後もまれに大きな余震が発生し、さらに津波が発生する可能性もあります。周辺地域でも地震活動が活発ということで、強い揺れを伴う地震が発生することがありますので、引き続き注意をお願いします。

 以上、私からのお話とさせていただきます。


主な質疑応答

Q 最近、台風の勢力が強いような印象があるのですが、その原因がわかれば教えてください。
A 地球温暖化が進むと、台風の強度が強くなるという研究があります。これは長い時間スケールでの変化で地球温暖化の研究成果として得られています。しかし、現時点において勢力が強くなっているというような科学的な判断はなされていないと思います。IPCCでもまだそのようには判断をされていないと思いますが、具体的に担当の部局からありますか?

(予報部担当)少なくとも我が国の台風について、現在のところ「強い」台風が増えているというような科学的なデータ等はありません。

Q 今のお話にはないことで伺います。先日、組織改正要求について発表されました。気象防災業務の体制の強化ということで、管区気象台に「気象防災部」を、本庁総務部に「気象防災審議官」を組織改正するということですが、このようにソフト面を強化していくことの狙いや、将来的にどういう部になっていってほしいかということについて、改めて長官に伺います。
A 「気象防災部」を管区気象台に設置する要求ですが、これは、現在「技術部」という技術を束ねる部がありますが、今後は防災について現場レベルでもしっかり対応していくため、「気象防災部」という名称の組織に変えるという要求です。東日本大震災を教訓として、中央防災会議などでは、我が国の防災対策の強化を政府一丸となって進めていますが、その中で気象庁としましても、津波警報の改善や、長周期地震動情報、降灰の量的予報、土砂災害警戒情報についての検討を進めており、さらには、気象情報についても昨年の台風12号等を踏まえつつ情報体系全体の見直しを進めようと考えています。これらの改善の中で共通に考えていますのは、我々の発表する警報等が、住民や自治体の避難等の具体的な行動に結びつくということが重要であること、また、我々の発表する情報を十分に理解していただくということ、例えば小・中学校の防災教育も今後極めて重要になっていくだろうと考えております。そういった点について、しっかりと対応していくため、情報の改善等については、有識者を交えた検討、あるいは気象庁内部で検討を進めてきていますが、組織についても変更し、名称も変えて対外的にも防災対策の強化に向けて組織を強化することをお示しし、今後庁全体で一丸となって対応するという趣旨で要求するものです。

Q そうしますと、発表している情報が住民の避難につながってほしいということがうまくいかなかったケースもいくつか過去にあったかということで、今後はそれがうまく伝わってほしいということでしょうか。
A 様々なケースがあります。台風や集中豪雨、地震、津波、特に津波警報等については、今後ますます、避難行動等に結びつくように我々が対応を強化していく必要があると思っています。噴火警報の場合は、警報のレベル化によって、そのレベルと実際の避難行動や自治体の防災活動とがかなり結びついた形になってきておりますので、こういった点では理想的になっております。予測精度の点でなかなか難しいところもありますが、レベル化といった点をある程度目標としつつ、それぞれ自然災害への対応を強化していくということを考えております。現象によって予測作業が違いますので、すべてを同じような水準に持っていくというのはなかなか難しいところもありますが、目指すところはひとつであると思っています。

Q 18日の夜に静岡県磐田市で突風の被害がありまして、竜巻の可能性があるということだったのですが、その後の調査の結果など、新しい情報等ありましたら教えてください。
A 昨日(19日)、静岡地方気象台から、磐田市で発生した突風についての調査結果をまとめて発表しております。2つの竜巻が発生していたという事実がわかっております。まず、18時30分に磐田市上大之郷から見付で発生した竜巻につきましては、強さではF1、磐田市上野部で発生した竜巻は、強さでF0ということで報道発表しておりますので、資料等ご確認いただきたいと思います。



(以上)

このページのトップへ