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長官記者会見要旨(平成23年12月15日)

会見日時等

平成23年12月15日(木) 14時00分~14時20分
於:気象庁会見室

発言要旨

 本日の会見は、12月ということもありますので、今年1年を振り返っての所感と、津波警報の改善への対応のほか、東北地方太平洋沖地震等による被災地における防災上の注意事項について、併せてお話しさせていただきます。

 今年1年を振り返ってみますと、先ず1月26日に新燃岳が本格的なマグマ噴火を開始し、3月11日にはマグニチュード9の「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。これに伴い大津波が発生し「東日本大震災」という未曽有の災害となりました。また、この地震の後も、余震域をはじめ東日本各地で大きな地震が多発しました。
 次に、気象の面からみますと、今年の夏は6月から気温が高くなり日本各地で熱中症による被害が発生しました。7月の終わりには「平成23年7月新潟・福島豪雨」により新潟・福島両県に、9月上旬には台風第12号により紀伊半島に甚大な被害がもたらされました。さらに、9月中旬から下旬にかけては台風第15号により、首都圏も含めて日本各地で多くの被害がもたらされました。
 このように、今年は火山噴火、地震・津波、豪雨、台風等、様々な自然現象により甚大な災害が日本各地で発生し、多くの尊い人命が失われ、さらに未だ多くの方々が行方不明になられています。ここに改めてご冥福をお祈り申し上げます。また、未だ多くの方々が仮設住宅等での厳しい生活を余儀なくされておりますので、これらの方々にもお見舞い申し上げます。
 このような自然災害を教訓として、津波警報の改善や補正予算による観測施設等の強化など、気象庁として災害対策の強化に向けて多くの業務改善に着手した年でもありました。また、東北地方太平洋沖地震及び台風第12号につきましては気象庁ホームページにポータルサイトを開設して、被害に遭われた方々や復旧・復興に携わる関係機関の方々へのきめ細かな気象情報の提供に努めてきたことも特徴として挙げられます。さらに、節電という中で関係省庁と連携して熱中症への注意を呼びかけるため、新たに「高温注意情報」の発表を開始しました。その他、様々な情報を被災地等の状況を踏まえて新たに提供したことも今年の特徴と思っております。
 このような状況において、各報道機関の皆様には、災害報道への取り組みを強化いただき、さらに、当庁の業務改善への取り組み状況等について的確に伝えて頂きまして、ここに改めて御礼申し上げます。

 次に、津波警報の改善の取り組みについてですが、12月1日に「津波警報の発表基準等と情報文のあり方に関する検討会」の第2回を開催しました。
 今回の検討会では、10月26日に開催しました第1回での検討状況を踏まえて、気象庁として重要な項目について論点を整理し改善案をお示しました。具体的には、

� 津波の高さ予想の定性的な表現のあり方、
� 津波警報等の発表基準や5段階とした高さ予想の数値区分について、さらに、
� 警報文等の具体的な表現内容、

などについて提案させていただきました。いずれも第2回検討会で概ね了解いただいたと考えております。限られた時間ではありましたが、委員の皆さまから様々なご意見をいただき、活発な議論を行え、たいへん有意義な検討会であったと思います。
 その後にも委員からご意見をいただいていまして、明日(16日)に、国民のみなさまへ広く意見募集するために提言案を公表する予定です。公表した結果、来年1月予定の次回検討会でさらにご議論いただき、最終的な提言としてとりまとめていただきたいと考えております。

 次に、東日本大震災の被災地での寒さ対策へのお願いですが、12月に入り、雪の日や最低気温が氷点下になる日も多くなっております。寒さや雪等への対策が必要な季節ですので、気象庁が発表します天気予報、特に最低気温や雪等の予報をご利用いただいて注意をお願いします。

 最後に、「東北地方太平洋沖地震」の余震は次第に少なくなっておりますが、今後もまれに大きな余震が発生して、場合によっては震度5弱以上の揺れ、さらに津波が発生する可能性もありますので、引き続き注意をお願いします。

 以上、私からのお話とさせていただきます。


主な質疑応答

Q 今年は大震災もあり、津波警報や津波情報、緊急地震速報など気象庁が発信する防災情報について、重い責任を感じるとともに、期待も感じられたのではないかと思うのですが、気象庁として、こうした国民の期待の声に今後どのように応えて行きたいかについて教えてください。
A 今年は非常に災害の多い年ということで、それに対する気象庁の今後の取り組みについて、全体を通して一般的なお話をさせていただきたいと思います。
 気象業務の最大の任務は、国民の生命・財産を守る、安全を確保するということに尽きるのですが、具体的には気象庁が発信する情報、様々なものがありますが、これらを如何に地方自治体等の防災関係機関や国民一人一人の防災に関わる行動に結びつけるかということが極めて大きな課題であるということを、我々としても再認識したところです。今後、具体的な改善に向けて、地震・津波に限らず気象も含めて、具体的な取り組みを強化していきたいと考えております。現在検討を進めている津波警報の改善はその代表例だと思っております。
 具体的に改善を進めるということでいくつか申し上げますと、第一に情報の確度・精度を高めるということ、これが最も重要であります。例えば、観測網の強化、予測技術の開発といった点で、津波予測、緊急地震速報、大雨・台風等の予測、これについて精度を向上させるということが重要であります。
 第二には、受け手側・利用者の立場に立って情報を発信するということであります。この点については、津波警報の改善の検討においても、受け手側の立場に立って検討するということが最重要の課題となっております。また、大雨や台風についても、全体的に時間・空間的にスケールによって確度が違いますので、確度の違った情報を階層的に発表しているということを周知したうえで、如何に受け手側に危機感を伝えるかということが今後の課題であると思っております。いずれにしましても、気象庁側の情報発信の一方的な考え方だけではなく、実際に我々の考え方が利用者にどう伝わるかというところでしっかり改善を進める必要があると思っています。
 最後には、やはり防災関係機関との連携、これは極めて重要ですし、さらには国民への周知・啓発についてじっくりと取り組む必要があると思っています。これについては一朝一夕で解決できる問題ではなく、今後気象庁としても常日頃からの長い対応が必要だと考えています。

Q 熱中症について、今年初めて「高温注意情報」を発表されました。利用者からも役立ったという声があったかと思いますが、来年以降の対応について、もし決まっていることがあれば教えてください。
A 具体的には今後評価をして決めることになりますが、全体的には関係省庁連絡会議において一定の評価をいただいたということと、各府県の保健部局では具体的な対策に連動させる形でこの情報を利用している場合があるということも伺っていますので、来年度も実施する方向で具体的に検討したいと思います。

Q 東日本大震災を踏まえまして、地震予知についての考え方を改めてお伺いしたいのですが、先ほど業務の改善についてお話が出ましたが、実際に地震予知の観測体制を敷いている東海地震の予知について、今どんなことが一番課題に感じているのかということと、東日本大震災で何か改善をした、見直したようなことがあればその点をお聞かせください。
A 地震予知の体制については、3月11日の大震災を受けて変更したということはなく、現在既に相当規模の観測網を敷いていますので、気象庁として24時間体制でしっかり監視して、判定会とも連携して地震予知に向けて努力をしていきたいと思っております。その他に3連動地震など様々色々言われていますので、その点も観測網を利用して緊急地震速報を出来るだけ早く発表するなど、様々な実際の対策を執っていきたいと思っています。

Q これから観測網の強化などもあるのかもしれませんが、現状の予知ということで、必要性についての認識は変わっていないということですか。
A はい、現体制でしっかりやっていくということだと考えております。

Q 受け手のことを考えて情報発信するというお話でしたが、今年あった調査では、例えば大雨警報などの防災気象情報が市町村の地域防災計画の中にきちんと位置付けられていないケースが4割くらいあるというデータがありました。折角、精度の改良を目指しているわけで、それをしっかりと使ってもらうために計画の中に情報を位置づけてもらうというのは大事だと思うのですが、どうやって4割をゼロに近づけていくかということについて、お考えをお聞かせください。
A 自治体によってかなり温度差があるというのは事実のようです。気象庁は各地に気象台を府県単位で置いていますので、気象台の方から県や市町村に具体的に働きかけをしていく、その際には気象庁の警報の発表の考え方や具体的な発表事例などについて、しっかり説明した上で関係者にご理解をいただいて、地域防災計画の中に取り込んでいただくということを一歩一歩進めていく必要があると思っています。

(以上)

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