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長官記者会見要旨(平成23年11月17日)

会見日時等

平成23年11月17日(木) 14時00分~15時00分
於:気象庁会見室

発言要旨

 本日の会見は、津波警報の改善と長周期地震動への対応を中心に、東日本大震災や台風第12号による被災地への注意を併せてお話ししたいと思います。

 はじめに、東日本大震災や台風第12号の被災地では、未だ仮設住宅や避難所等での厳しい生活が続いており、ここに改めて心よりお見舞い申し上げます。寒さや雪等の対策が必要な季節となってきておりますので、是非とも気象庁の発表する天気予報、特に最低気温や雪等の予報に注意をお願いします。

 次に、津波警報の改善についてですが、10月26日に「津波警報の発表基準等と情報文のあり方に関する検討会」の第1回を開催しました。気象庁としましては、9月12日に津波警報改善の方向性をとりまとめておりますが、この中で津波の高さ予想の定性的な表現や発表区分等が検討課題として残されておりますので、今回新たに設置しました検討会にご提言をいただきたいと考えています。
 第1回の検討会では、今般の津波被害と観測した津波の高さとの関係の分析に基づき、津波警報等の発表基準や5段階とした高さ区分について、気象庁として具体的に提案を行ったところです。さらに、警報等の表現内容についてもたたき台をお示ししたところです。
 次回の検討会では、第1回のご議論及びその後委員から頂いたご意見を踏まえて提言案をさらに詰めたうえで、たたき台をお示しし、ご議論頂きたいと思っております。第2回を経たのち、国民の皆さまへパブリックコメントを行ったうえで、最終的な提言を1月末までにとりまとめて頂きたいと考えております。

 一方、東北地方太平洋沖地震では、首都圏や大阪府などの震源からかなり遠くの地域でも長周期地震動による多くの被害が発生し報告されました。さらに、近い将来に発生が懸念される南海トラフ沿いでの巨大地震等では、長周期地震動による、今回よりもさらに大きな揺れと被害が懸念されております。
 気象庁では地震発生後直ちに震度情報を発表していますが、震度は、地表面での揺れを表しており、一般的には木造家屋や7,8階程度までの建物での揺れの目安と考えていますので、長周期地震動による揺れや被害の規模を的確に評価できないという課題が、これまでも指摘されてきたところです。
 このような状況から、気象庁では、長周期地震動への対策として、被害の軽減や未然防止を目指して、有識者、建築設計の専門家、関係省庁の担当者に参加頂いて「長周期地震動の関する情報のあり方検討会」を設け、提言を頂くこととしました。
 第1回の検討会を今週14日に開催し、東北地方太平洋沖地震での長周期地震動による揺れや被害の実態を報告し、新たな情報のあり方について幅広なご議論をいただきました。今後、来年の開始を目指しております長周期地震動に関する観測情報の方向性について、今年度末までにご提言を頂きたいと思っております。

 最後に、東北地方太平洋沖地震から8か月が経過し、余震は次第に少なくなってきましたが、今後もまれに大きな余震が発生して、場合により震度5弱以上の揺れ、さらに津波が発生する可能性もありますので、引き続き注意をお願いします。

 以上、私からのお話とさせていただきます。




主な質疑応答

Q 冒頭の話とは別なのですが、プロメテウスの罠という連載をお読みになっていらっしゃると思いますし、想定問答集も少し用意されているのではないかと思うのですけれども、今回福島原発事故の気象研究所の中の問題なのですけれども、一つは大きくはですね、放調費といわれる放射能調査研究費、これが3月31日になっていきなり4月1日から始まる今年度分がストップさせられたということ。それにより、半世紀以上続く大切な観測を止めることになりかねなかった事態。現場では自主努力でやっていましたけれども、そういう決定を気象庁も自らしていたと。この予算は必要ないということで文科省に返還されたということだったのですけれども、この点について伺いたいのと、研究者の論文のことについても伺いたいのですが、まずは最初の放調費について伺えますか?
A 緊急時ということで文部科学省の方から検討するよう要請をいただいて、当方は研究であること、政府全体のモニタリングの実施に貢献するという観点から判断を行いました。その点についてはすでに十分取材をされていると思います。

Q それは正しい決定であったというふうに思っていらっしゃいますか?
A その当時の判断としては正しいと私は思います。

Q じゃあ、観測が止まったことに、自主的に努力して止まってなかったわけですけれども、それが止まることになったとしてもそれは正しい判断だったと。つまり、1954年から始めて57年間ずっと測り続けてそしてあそこで測っていた数字が福島原発の事故の数字をとらえ続けていて、そして事故後、また、頻度も上げてずっとその様子を、拡散の様子をずっととらえていたものを止めようとしたことが正しい判断だったというふうに確信されているのですか?
A 政府全体の中で放射能調査研究費があって、その中で文部科学省の判断があって気象庁に検討の要請が来たということですから、これは政府全体のモニタリングの中で考えていく問題と認識しております。その中で気象庁としては適正な判断ができたと考えております。

Q 放調費の中でもらっているところで、うちのところは無理だというふうに断ったところもたくさんありましたけども。
A それは承知しておりません。

Q 他の省庁の業務でうちの観測あるいは研究は重要なので今止められては困るということで拒否したところはたくさんありました。その中でも気象庁は「うちは要りません」ということであっさりと応じられたのですけれども。
A あっさりではなく、慎重に検討したうえで決定したということです。
(企画課担当)放射能調査研究費についてですが、国の環境放射能に関するモニタリングは文部科学省の方で一括して取りまとめられています。気象研究所も文部科学省の放射能調査研究費の中で、研究全体の一部を分担して行っているというものです。
 また、文部科学省は原子力災害時の緊急モニタリングを担当しておりまして、この文部科学省から原子力災害への対応のために放射能調査研究費の見直しを打診されたものです。この中で気象研究所の研究に関しては、モニタリングという要素よりも研究という部分についてウェイトが大きく、また政府全体の緊急モニタリングに経費を回さなければいけないという点も考慮しまして、いたしかたなかったと思っています。その後、モニタリングの経費に関しては、2次補正予算等で措置され、気象研究所の研究経費に関しましても原子力災害の原子力事故を踏まえた研究内容に変更して復活し、研究を実施しております。

Q その世界中が注目している50年以上にわたるその数字、各国の研究者たちもあれを見ているわけなのですけれども、これまでも、その観測と研究の意義は申し上げるまでもないと思いますが、それが大切な4月からのものが全部欠測になったとしても、世界に恥じない正しい決定だったというふうに確信されているということでしょうか?
A その時点での判断があって、妥当であったと考えています。予算が完全に廃止になったわけではなく、留保ということで、今後検討が行われるということがある程度前提のお話ということでした。

Q 重要性はどう考えていらっしゃいますか?
A 政府全体のモニタリング計画の中での優先順位ということもあろうかと思いますが、これについては文部科学省にお聞きいただければと思います。

Q 気象研が続けている研究観測についてですが?
A それは重要だと思いますが、今般の場合は文部科学省が中心となって、政府全体のモニタリングを考え、その中で気象庁がどう貢献していくのかということを考えたときに、状況を踏まえた文部科学省の全体計画の中で、我々の研究の継続性について検討の要請がされたと認識しております。
(企画課担当)モニタリングの経費に関してですが、気象研究所はわずか2地点、“榛名山”と“つくば”というところで研究のための資料採取を行っております。一方で、原子力発電所事故を踏まえて、緊急に広い範囲で多くのモニタリングをしなければならないという状況になった時に、気象研究所の2か所のモニタリングの経費が多くの面的なモニタリング、緊急にやらなければいけないモニタリングに使われるという事態になった際には、致し方ない判断であったと思っています。

Q まだ聞きたいのですが、ネイチャーの件に入りたいのですけれども、学術論文ネイチャーはご存じだと思いますが、気象研究所の研究者が純粋に研究成果として発表しようと思ったものを、これは普通担当部長が承諾し、そしてですね、特に本来は所長とか企画室が判断するものではないのですが、一応お知らせのために見せたところ、こういう内容は困ると。チェルノブイリと比較して甚だしく福島原発の線が酷いというのが、そこのところが気になると。つまり科学的データとか分析に問題があるのではなくですね、そういったところで全く研究者でない人たちが、科学論文に対して意見をし、こういうのを出されちゃ困るということで、結果止めて、掲載ができなかったと。そういうところはですね、気象研究所だけではなく気象庁にお伺いを立てて、気象庁から意見をいただいてそういう結論にして、結局出せなかった。これについてどういうふうにお考えでしょうか?
A 大分事実関係が違うと思いますが、いずれにしても気象研究所長として、責任者として、最終的に、経験がある部分も含めてしっかりと判断なされたと聞いております。

Q 気象庁の企画課からそういう意見をいただいて判断したと言ってますよ。所長の考えもあったけれども、意見を求めてそれを伺って判断したと。
A 企画課は企画課の立場で助言をしたと思いますが、最終的には研究所長が研究所を総括する立場ですので、各部長や担当とも意見交換をして判断されたと聞いております。

Q 所長の判断は正しかったとお思いですか?
A 私は所長を信頼しております。

Q どういう点が正しかったのですか、つまり学術論文について所長が差し止めるという、どういう根拠のところが今回は正しかったというふうにお考えですか?
A 詳細は聞いていませんが、所長としてしっかり内容等について科学的な知見も含めて指導したと思います。

Q 具体的に聞いていないはずはないので、報告が上がっているはずで、今日の想定問答集のところにもそういう話しでご用意されていると思いますし、記事も読まれているというふうに伺っておりますので、内容の詳細が分からないわけではないわけですよね。所長の判断の部分を説明していますので、担当ではなくて、長官にお伺いしたいのですが、そういう所長の判断、その論文を、学術論文を差し止めるということを気象庁が意見するということの判断は、気象庁として所長がそういうことをするということは妥当な判断かということですか?
A 差し止めるということではなくて、「より実際に即して記述を行う」という観点で所長として指導がされたと認識しております。差し止めるとか止めてしまうとか、そういう話ではありません。

Q 削除しなければ認めないというふうに言っております。それで、気象研究所の研究官の名前で出してもらっては困るというのは差し止めているのではないのですか?
A あくまでも内容的な問題で技術的な観点から、所長としての指導を行ったと聞いております。

Q その内容の判断が正しかったと思うのですか?ということですよ。
A 私は研究所長を信頼しております。

Q つまりどこが、どの部分か具体的に言っていただけませんか?
A 所長全体を信頼しております。

Q 逆に聞きますけれども、言論とか学術の発表に対して組織が止めるということは、つまりいかなるシチュエーションの時にそういうことが起こりえるのですか? その内容がどういうときに、そういうトップの判断として正しい判断ということですか?
A 研究所の中では、自由な意見を交換すると思いますので、そのプロセスの一環として、ある結果が出てくると言うことは、あらゆる分野であることだと思います。

Q 具体的にどういうときに差し止めて妥当だというふうにお考えですか?
A それについては、個々、ケースバイケースですので、コメントしようがないと思います。

Q このケースについて聞いているのですけれども。
A このケースについては担当の方からお答えします。
(企画課担当)このケースですが、まず、言葉の使い方ですが、差し止めたわけではなく、研究所長は、修正あるいは追記、誤解的な表現があるので、修正追記をしてくれということを研究者に対して、行ったと聞いております。研究者の方もなかなか字数の制限等があってその修正に応じることができずに、共著者から降りたと聞いています。一般的に、災害時における情報発表でもあり、研究所の研究者は責任ある情報発表が求められると思います。その情報発表に際して研究所の中で話し合って決められたものと聞いています。それは、研究所長が差し止めたというものではなく、研究所の中で話し合って決められたものであると認識しております。

Q 具体的に判らないところを説明させていただきますけれども、所長の判断理由は、福島原発の海洋の汚染がグラフで見るとチェルノブイリより、一万倍ひどいというふうになると、マスコミはどういうふうに書くか判らないからそういう記述をやめて欲しいとか、企画課ですけれどもチェルノブイリと比較することは、普段ならいいけれども、こういうセンセーショナルな数字が今出ると混乱を引き起こしてはまずいと、こういう判断が正しいと。所長、あるいは企画課長の判断は正しかったとお考えでしょうか?
A それは記事を読まれているわけですね。

Q 私が取材していますし、その報告はそちらに全ていっているはずですし、今日そういう質問が来るだろうということでご説明を伺っているはずと思いますが。
A 詳細は判りませんが、全体の概要の報告は受けておりますが、個々の記事についての事実関係は掌握しておりません。

Q それについてはコメントを控えているのですか?
A 個々の記事ですので、実際の発言者の発言とどのように前後関係があるかということもあります。

Q 発言があったと言ってくださいよ。企画課が説明されたんですよ。企画課のコメント部分正しいですよね?
(企画課担当)記事には抜けがあります。私どもが論文を読んで気象研究所に対してコメントしたのは大きく3つあったと思います。1つは、原子力発電所から汚染水が流れ続けているという表現があって、一方で流れが止まったという報道もあり、どういった表現にするのかとか、チェルノブイリの川から流れ出た水が、黒海とバルト海に流れているという表現がありまして、黒海はヨーロッパの南、バルト海はヨーロッパの北にあり、一つの川から流れたものが南と北に流れるというところが誤解を招く表現であるとか、チェルノブイリから数百キロ離れているところと、福島で流出されたすぐ近くで測った値と比較しているというのも詳しく説明を加えるべきだとか、そういったコメントをさせていただいたものです。

Q そういう学術論文にそういう意見をするということは正しい判断だったとお考えでしょうか?
A 当庁はそれぞれの専門性、特に理学系の専門性を持っていると、皆さんご存じと思いますが、ほとんどの職員がそれなりの専門性を有していますので、他の分野であってもしっかりと客観的に科学的な評価や助言、判断ができるものと思っています。

Q 企画課の方は私たちは専門家ではありませんと言っていましたが。
A それは研究者と比べれば専門性は落ちるかもしれませんが、先ほどの担当者も地球物理学等はしっかり勉強していますから、通常の意味での素人では全くありません。

Q ではアメリカのウッズホ−ル海洋研究所とJAMSTECそちらの方は全くこれについて異論をはさまなかったわけですけれども、彼らが異論をはさまないのに対して、気象庁はこういう意見を言ってこれはやはり妥当だったというふうに思ってらっしゃるわけですよね。
A それは共著である場合は、相手が担当している部分とこちらが担当している部分はそれぞれ責任分担しているので、コメントした部分が我々の方の部分であれば責任をもって行うでしょうし、相手側の責任分担であれば違う判断になるだろうとは思いますが、そこの分界点を越えた部分については、特にこちらから意見はなかったのではないかと思います。

Q その部分は気象研の研究者がやった部分ではない部分ですよ。ウッズホ−ルの人たちがやったこと、あるいはJAMSTECのその部分についてもこちらが意見をしたと。あちらの組織の研究者たち専門家の分担は誰れ一人それに問題視をもってなかったのですけれども、気象庁だけがそういう判断をしたということですか?
A 全体の中で判断をしたのではないかと思います。
(企画課担当)一般に論文の共著というものに関しては、自分の担当部分ではないところに関しても、自分に関係して論文を見てもらった人からコメントがあれば、その部分に関しても共著者に意見を求め、場合によっては修正していただく、あるいは、より誤解のない表現にしていただく、そういったことは一般的な論文でも行われることです。

Q 他の論文で、気象庁までわざわざ意見を仰ぐようなことはこれまで一回もありませんし、そういうものが止められた経緯も一回もないですけれども、なぜこの論文だけがこういうことになっているのですか?
A 事前に社会的に関心のある研究等で、これまでも研究者の研究を学会の発表前に本庁に照会いただいたこともあり、全くないという話はないと思います。例えば、最近の話題では佐呂間で竜巻が発生したときに当時の研究者が素晴らしい研究をして、対外的に発表するという話があって、その前に本庁に照会したということはありますし、全くないという話ではありません。

Q 報告ではなくて、こちらが意見して止めたということはないはずです。
A 内容的に素晴らしいものであれば特に止める必要はありません。いずれにしても、我々は話を聞いてコメントがあればコメントしているという立場は同じです。

Q これまで止めたことはないですよね?
(企画課担当)止めたという表現をされていますが誤解的です。私どもあるいは研究者が論文を書く際はいろんな人に意見を求めます。意見を求めたうえでできるだけ誤解のない表現、適切な表現を探しながら論文を書いていきます。これまで大きな報道で取り上げられるような論文に関して、企画課だけではなく技術部各部あり、こういったいろいろなところの専門家が多数いますので、個々に意見を求めて、その意見に対して多くの場合はより適切な表現を執筆者は探しながら論文は執筆されているものです。今回の場合に関しましては、きっと字数の制限もあったのだと思います。気象研究所の中で話し合った際に、なかなか適切な表現が見つからなかったと、そういうところから執筆者として、共著者として降りられたのではないかと推測しているところです。

Q 必要によってそういう学術論文に対して、組織が必要に応じて規制をするという立場であったわけですね。
A 規制をする立場にはありません。我々としては、各部それなりの専門家がおりますし、一緒になっていろいろ協力したり助言したり、そういうことはあってしかるべきですし、これまでもやってきていると思っています。特に、気象研究所の研究計画等については気象庁に研究会議というものがあって、毎年個々の研究をどのような方向性で推進するかという議論を庁全体で行って計画を定めています。気象庁の業務の現状を反映しているか、研究計画をどう進めるかということを庁全体としてハンドリングしております。

Q もう一点ですが、気象研究所のホームページで東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の移流拡散について、これが公表されたのは7月8日です。この中身はどういうふうに放射性物質が広がっていくかとかそういったものがかなり詳しく出ているのをご存じだと思いますけれども、これについて、中の研究者たちは、早くこれだけのことなので発表しようと、少しでも出していこうとしていたんですけれども、結局7月8日ですね。全てが終わった後ですけれども、何故ここまでのタイミングになったのか? ホームページ上の作業で準備ができなかったというそういう単純な理由だけではないと思うので、その点教えてください。
A 気象庁は、IAEAからの要請を受けて拡散モデルを業務としてやっており、それについての対応が業務としては主になります。また国内としての拡散モデルという観点ですと、防災基本計画においてSPEEDIが位置づけられ、文部科学省が全体の対応を行っております。

Q つまり、IAEAのために仕事をすれば、こういうものがあるにしてみても、私たち国民に出す意味はないと。つまり、SPEEDIがそれを担うべきものだから、気象庁がやるべきものではないということですか?
A 全体として、研究者が自主的にやられた内容のようです。当庁としても私自身も、そのような研究を行っている話を発表の直前まで知りませんでした。
(企画課担当)本件については、気象研究所に詳しく問い合わせていただきたいのですが、本件ホームページに出たのは7月だと思いますが、その前の5月か6月の段階で、学会か研究会議かの中で発表しているものです。詳しくは気象研究所に問い合わせていただきたい。

Q これほどの詳しい内容はでてなかったですし、これをちゃんと動画とか色んなシミュレーションとか細かい数字まで全部でていますので、学会発表とは全然違いますけども。これについてはお答えできないと言うことか?
A この研究については、我々自身も知りませんで、我々が知る段階になって公表に至ったという経緯でした。また、研究所でも色々様々な研究をしており、今日も気象学会用の発表が新聞等に出ておりますが、より精緻な全球的なモデルというような研究もやっていますので、そのような成果を研究所として発信していくことが大切と思います。

Q 最後に一つだけ、放射能観測についてですね、気象庁から「本来業務ではない」というようなそういう説明を私も受けましたけども、確かに昔はいろいろな観測所で測られていましたけど、それが今地方のモニタリングポストに変わっていると、その部分は理解できるんですけれども、ただ、もう世界に信頼される放射能観測の実績がまあ本当に半世紀以上にわたって素晴らしい方が育ててきたそういうものを持っているところでありながらも、放射能観測は気象庁の本来業務ではないと、あれはただ昔のを続けているだけなんだというそういうあれなのか、それとも、そこの重要性をどうみているのかを、気象庁としての放射能観測のとらえ方を再度ちゃんと伺わせていただきたい。
A 放射能調査研究費によるモニタリングは、平成17年に文部科学省によって整理され、政府として、気象庁の気象官署での対応は必要ないと判断され、気象庁はそれに従って気象官署での測定を廃止しました。一方、気象研究所で研究を続けていますが、気象研究所における高度な分析技術が文部科学省においても評価され、放射能調査研究費をいただいているものと考えています。従って、高度な分析能力と言う点では、しっかりと評価されていると考えています。

Q 折角ずうっとやってきてまさにああいう事故があって、あの素人考えなんですけど、まさに今必要なんじゃないのという、今以上に必要な時ってあるんですか、っていうのがわからないのと、あと、5月6月7月にホームページでという話でしたけれども、やっぱり知りたいのは4月だったと思うんですね。要するに研究者の方の考えとか色んな考えがあると思うんですけれども、一番大事なのはおそらくそこに住んでいる人が今どうなっているのかを一刻も早く知って、もしたくさん出ているのであれば大急ぎで逃げたいし、そうでもないんだったら留まりたいとか、そういう判断をするとか、被爆量を減らすとそういうことなんじゃないかなと、そう考えるとそのなんて言うんですか、一番国民から期待されてて国民の期待に応えられるような、まさに一番大事なところであえてその優先順位というお話しですけれども、これに勝る優先順位というのはいったいどういうものがあるのかというのがわからないんですけれども。
A 気象研究所の分析技術は、かなり微量の放射能を測定するという能力が歴史的にありまして、今回の原子力発電所事故に伴う周辺での緊急モニタリングというものと若干差異があるのではないかと思います。詳しくは担当からコメントさせます。また、当初拡散モデルが必要になると言う話は、一般論としては可能かと思いますが、それについては、政府全体の対策の中でやっていかないと意味のないものですので、政府全体の原子力対策というところで考えていただくべき問題だと思います。

Q 政府全体というのは、たとえばSPEEDIでこういう結果がでているのに気象庁の結果はちょっとずれたり全然違う結果になっていると、かえって誤解を招くとかあまり良くないとかそういう意味なんでしょうか。
A 気象庁では、IAEA用の拡散予測を計算しておりますが、それはあまりにも格子が粗すぎて実際上は国内対策には使えないということがあり、モデルはかなり慎重に扱わなくてはいけないということがあります。実際、今回のケースでは仮定を設けて計算しないといけないところがあり、その仮定の真意が不明な場合が多々あり、実際はほとんど仮定で終わってしまっていますので、そこの取り扱いはきわめて慎重に関わるべきだと思います。また、気象研究所の拡散予測の研究成果があるという話についてですが、我々も当初そういうものがあるということはお聞きしていなかったというところもあり、対応はしていませんでした。
(企画課担当)放射能調査研究費について、今必要だと思われるものを、なぜ長年観測していたものを止めるか、という点についてですが、まず研究所の放射能観測は、海や陸上での非常に微量な放射能を測っているものでして、分析に十数時間かかるなど、すぐに分析された結果が出てくるものではなかったと聞いていました。そのようなときに、環境放射能のモニタリングを取り仕切る、緊急時のモニタリングを取り仕切る文部科学省から、この経費を緊急時のモニタリングのための経費にまわしたいと言うご相談があった際に、分析に時間がかかる研究分野の微量の分析技術はあるんですが、それをすぐに緊急時のモニタリングに活かすのはなかなか難しいと考えていたものです。しかし、気象研究所は、非常に微量な放射能を分析する能力を持っています。その後すぐに、別途文部科学省の競争的資金である戦略推進費を使って、日本中の大学や研究機関と共同して、面的に広がりを持つ資料の分析、放射性物質の分布のマッピング化を行う研究がありまして、ここにすぐ参画をして気象研究所の分析能力を活かした分析を行っております。さらに二次補正予算で分析経費を追加的にいただきまして、今、研究所は緊急時避難準備区域内の井戸水の分析を行っているところです。非常に微量なものも分析できる技術を活かして、こうした研究や分析に携わらせていただいているところです。

Q  SPEEDIとIAEAの提出の問題なのですけれども、IAEAに出されていたものというのも、当初そちらとしてはIAEAには事故直後から報告していて、そういうものがあるじゃないかということで、あるところからすっぱ抜かれてその後にようやく出しましたよね。つまりそのSPEEDIが本来やるべきものというのはもちろんなのですが、SPEEDIがデータを出せないときにとって代われる能力は十分にありますし、風向とか風速とかそういったもののデータをものすごく持っているところが、仮定の数字のところで相対的な広がり、拡散のモデルというところは、気象庁はそういう能力はものすごいあるわけですよね、SPEEDIが機能しないときこそ、じゃあ、気象庁が自分たちの技術やデータをもってできるのに、そこをあえてやらなかったのは、なんででしょうか?
A 当時においてSPEEDIが機能していないという判断は気象庁では持ちえなかったと思います。SPEEDIを担当している文部科学省や関係部局ではそれを利用して最善の対応を行っていると考えるのが自然であり、当庁が機能していないという判断をする問題ではないと思います。

Q 機能していないという言い方は多少間違いでしたけれど、機能していないではなく、彼らがやっていたけれども出さなかったのは、それはその放出量が判らないから、判らない数字が入っているものを出したくないから、マスコミが一生懸命言ったらようやく出したわけですけれども、そうこうしている間に海外のいろんな研究機関が拡散モデルをどんどんどんどん出して、なんでそういうものが出ないのかという、その中で出てきたものですよね。そういったときに気象庁は、うちだったらこういうものができるんですけれども、IAEAには報告しているんですけれども、確かにメッシュが大きい、それでもみんながあの時に教えてほしい、いろんな情報が欲しい欲しいと言っていたときにそれを出さなかったのは何故でしょうか?
A 基本的にIAEAに提供することを前提にした業務で100キロメッシュという非常に広い格子で計算していますので、成果の利用には専門知識というか拡散とかについての知識がかなり要ります。また仮定に基づくということですので、国民の利用にあたって混乱が生じるという判断をし、公表するという考えはありませんでした。

Q 公表されましたよね、マスコミに書かれてから。
A マスコミに書かれたからということではなく、公表する方向の検討をしたうえで、誤解のないようにホームページで十分説明を加えて公表したということです。

Q それをもっと早くやればよかったじゃないですか。
A 我々としては、メッシュが非常に粗く、国内の対策では使えないという説明を色々な分野の人たちに対してしていますし、使えないと我々が言うものを公表しろという判断には至らなかったと考えております。

Q 公表するべきではないというものを公表したのは何なんですか?
A 実際に社会の関心の高まりもあり、国内の対策には使えませんが公表についてのご要望がありましたので、十分な留意事項を付けて公表を行ったということです。

Q 単純な疑問としてなんですけれども、私も4月に福島を取材していまして、どれくらい危ないのか良くわからないと、とにかく情報がほしいという話だったと思うんですね。住民の人たちは不完全なものでもしょうがないと。仮定に基づくからダメという話が出たと思うのですが、逆に発生直後だと仮定に基づかざるを得ない気がしてですね、仮定ではだめだという話になると本当に全部片が付いた後しか出ないと思うんですよ。研究という意味からすると、厳密性の方が正しいのかもしれないのですが、福島に住んでいる人が放射能の被ばくを少しでも減らしたいとか、放射能の危険を知って、できればそれを見て逃げるとか逃げないの判断をしたりとか、それはタイミングもかなり大事だと思うのですが、長官としては、そのタイミングよりも研究の正確性とか厳密性とかが大事だとお考えでしょうか?
A 気象庁のIAEA用の資料は、100キロメートルというスケールのものを見ていますので、福島県内の対策のものとかには利用できないと判断しております。

Q 利用できないという判断を気象庁の方がするのはいいと思いますけど、それはそれとして、住民からすると知りたかったということじゃないかと思うのですが。結局、100キロだからどうこうというよりも、住民からするとよく分からないけど、正確なところはどうせ今段階では良くわからないのだろうけども、放射能は果たして出ているのか出ていないのか、出ているんだったら逃げたいなという、たぶんそういうレベルの話だと思います。100キロスケールがどうのこうのということとはちょっとある意味では次元の違う話だと思います。
A いずれにしても気象庁が作成している図が放射能が出ている出ていないという判断に使えるものとは思っておりません。

Q 単純な疑問なんですけども、結果としてもし最初から危険だ危険だと言われていたら被ばくしなくて、今より被ばく量が少なくて済んだかもしれないという人とかお子さんがいっぱいいるわけで、住民の方も、もし少しでも早く言ってくれたら、もしはっきりわからなくてもどんどん出ているんだと言ってくれれば、私は全力で逃げたんだいう人がいっぱいいたんですけど、私が聞いた限りでは。そういう人たちに最後、一言メッセージをいただければと思います。
A 気象庁としての立場としてのメッセージは難しいのではないかと思います。
(企画課担当)移流拡散モデルの情報につきましては、原子力災害が起こった際に国、政府がどういった対応をとっていくかということにつきましては、防災基本計画に定められています。原子力災害が発生した際に気象庁が担う役割の中に移流拡散の情報を提供していくというものはなく、文部科学省のSPEEDIが担うことになっています。私どもは原子力災害発生時には気象情報を的確に提供していくという役割を担っておりまして、こちらについて全力を挙げて実施していくという責務を持っているものです。

Q それは、つまり越権行為になるということですか?
A それぞれの役割を持って国として仕事をしておりますので、気象庁は気象情報や天気予報などの予報について最善のものを災害対策の関係機関に提供したり解説するというのが責務であります。その中で全体として国あるいは地方自治体において対策がとられるというものです。

Q 一連の話を受け止めますと、正確さをとにかく求めると、住民、国民は一刻も早くまだそんなに確定していなくても少しでも情報が欲しいというあの緊急事態の時に、そちらとしては正確性を求めることの方が大切だと。つまりそれはまずパニックを起こさせない、そういうことを重視して、情報が何でもいいから欲しいという人たちに対しては正確なものでなければ出せないと、そちらを優先されたと。
A 国の機関というものはそれぞれ役割を持って仕事をしておりますので、その中で気象庁の役割を果たしてきたという問題と認識しております。

Q それはつまり、そこで放射能に関する調査を出してしまうというのは気象庁の役割にはそぐわないということなのですか。
A 調査というのは、言われている質問が良く分からないのですが。

Q 放射能に関してのものが出てしまうということが、国の機関として役割をもってやるというところからするとちょっと気象庁の役割から外れてしまうということでしょうか。
A 気象庁しては、現在は放射能に関してのそういう仕事はないということです。

Q さっきから伺っているのは、SPEEDIの話ではなくて、気象庁がやっていた放射能の部分、つまりIAEAに報告していたデータとか気象研で採って一生懸命調べているものに関してなのですが。
A IAEAについては国内の原子力防災対策のためのものではなく、IAEAとWMOの枠組みの中で国際的な連携協力という仕組みの中での気象庁が協力しているというもので、もともとが国内における原子力対策のために設定されたものではないということです。

Q 国民が一刻も早くあるいは少しでも情報が欲しいという時に、あれは国民向けのものではないということと、先ほどの調査の話がそうですけどもホームページもそうですけども、正確でないと混乱を起こすから出せないということが優先された訳ですか。
A 実際上100キロメートルという非常に粗いものであり、仮定を設けたものということもあり、国民に混乱を招く恐れがあるということで公開はしなかったということですし、また、公開するという判断もなかったということです。

Q では、混乱を招くということを考えたと。
A  IAEA用の資料については、公開することは考えていませんでした。

Q 私、聞いていてちょっと素人なので分からないところがあって、国内の原子力対策でやっているものではないからということなのですが、それはそうなのかもしれませんが、使えるなら使った方がいいのかなと思うのですがそういうものでもないのですか。
A ホームページで公開していますから一度見ていただければお分かりいただけると思うのですが、それを見ずにしてこういうご質問をされても仕方がないのかなと思いますが。

Q 私も気象庁の資料を全部見ているわけではありませんし、素人的な考えからすると別に当初作った目的とか今の運用の目的とちょっと違うものであっても活用できるものであれば活用した方がいいのでは、ただ、それだけなのですが、そういうものでもないのでしょうか。
A(企画課担当)なかなかすぐには結論が出ない、非常に多くの検討が必要なものだと思います。まず、原子力災害が起こっている状況であったという大前提があります。その中で防災情報を提供するというのは非常に重要な役割を担っておりまして、私どもの概念の中に防災情報に関してはシングルボイスが重要だという概念があります。責任ある一つの機関が信頼できる情報を提供していく。こうした中で、非常にメッシュの粗い精度のあまり高くないこうした情報を果たして提供していくことが適当なのかというのはすぐには判断ができないものになってくるのだと思います。

Q シングルボイスがSPEEDIだったということですね。この面で言えば。
A そうです。防災基本計画に明記されていますから。

Q だから、逆にメッシュの粗いものをここで出してしまうとかえって混乱を招いてしまうという恐れがあるという、そういう理解でよいのですね。
A いろんな場面で関係者に説明する機会がありましたが、我々が今お話したような説明については皆さんのご理解を得てきたと認識しております。


(以上)

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