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長官記者会見要旨(平成23年6月16日)

会見日時等

平成23年6月16日(木) 14時00分~14時25分
於:気象庁会見室

発言要旨

 「東北地方太平洋沖地震」が発生して、3ヶ月が経過しております。被災地では未だ過酷な環境で生活されている方がかなり多く、出水期、さらには夏を迎えようとしているところです。また、夏場の電力不足が懸念されていますので、節電への取り組みと併せて暑さ対策も重要になってまいります。
本日の会見は、前回の一部繰り返しになりますが、はじめに余震への注意、次に本格的な出水期に向けての注意喚起、さらに、節電と密接に関係します熱中症に対する新たな気象情報について、最後に、先週開催しました津波の「勉強会」について、所感も含めて触れさせていただきたいと思います。

 まず、余震への注意喚起ですが、余震は次第に少なくなってきていますが、今後もM7.0以上の余震が発生する可能性があります。また、海域だけではなく陸域で発生しますと、小さな地震でも場合によっては最大震度5弱以上の揺れになる可能性がありますので、引き続き注意をお願いします。

 次に、本格的な梅雨時期に向けた注意喚起です。まず、北陸地方と東北地方の梅雨入りはこれからですが、その他の地域では既に梅雨入りし、本日も九州南部及び北部で非常に激しい雨が降っているところがありますので、土砂災害や洪水等への厳重な警戒をお願いします。土石流が心配される新燃岳付近でも非常に激しい雨が降り、高原町では避難準備情報が、都城では避難勧告等が発令されている状況ですので、住民の方には厳重な警戒をお願いします。さらに、今日から明日にかけて、西日本だけではなく東日本の太平洋側でも大雨になる可能性がありますので、土砂災害や洪水への対策を怠らないようお願いします。
 今回の地震や津波による被災地では、これから本格的な出水期に入りますが、地震によって地盤が非常に脆弱になっており土砂災害が懸念され、さらに堤防等が破壊されており洪水に対しても極めて弱い状況になっていますので、大雨に対する対策が重要になります。気象庁は、大雨警報、土砂災害警戒情報等について基準を引き下げて運用しておりますので、地方整備局や都道府県とも連携して、市町村等に対して十分な注意喚起を行っていきたいと思っております。また、観測体制の強化のため補正予算をいただき、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県の合計9か所に臨時のアメダス観測点として雨量計を設置し、一昨日から運用を開始しました。
 沿岸部では、大規模に地盤が沈下し、さらに多くの防波堤や防潮堤が損壊し、少しの潮位変化でも浸水が懸念され、注意が必要な状況です。このため気象庁は、高潮や潮位の情報について充実・強化を図っております。例えば、先日報道発表しましたが、夏から秋にかけて潮位が高くなる状況にありますので、「潮位カレンダー」という名称で1時間毎の潮位の情報を1枚の表の形でホームページに載せて公表することも開始しております。

 このように、気象庁としましては、引き続き被災者や地方自治体の利用者の立場に立って気象情報を改善・充実していきたいと思います。
 その一環として、先週報道発表しましたとおり、この夏、新しい情報として「高温注意情報」の発表を開始します。既に熱中症による被害が報告されておりますが、今後、梅雨のあい間や梅雨明け後に急激に気温が上がる状況にあり、熱中症に特に注意が必要な季節になります。このため、特段に厳重な警戒が必要な条件として35度以上の猛暑日が予想された場合に、早ければ前日の段階から「高温注意情報」を発表することにしました。さらに併せて、気象庁のホームページでも熱中症に関するポータルサイトを設け充実して注意喚起をさらに強めていきたいと思っております。
 なお、今回の「高温注意情報」につきましては、節電の普及啓発に関わる関係省庁である内閣官房及び資源エネルギー庁と、さらに熱中症対策につきましては、環境省、厚生労働省、文部科学省及び消防庁の4省庁と連携して施策を進めていきたいと考えております。

 最後に、津波の「勉強会」についてお話します。
 皆さんも相当ご関心があろうかと思いますが、先週、第1回の会合を開催しました。今般の津波警報を検証して、警報改善に向けて課題の整理と今後の方向性についてご意見をいただきました。各委員からは幅広い忌憚のない意見がいただけたと考えており、ほぼ網羅的に課題が抽出され、改善に向け具体的なご意見がいただけたと、私自身感じております。
 今後、いただいたご意見を踏まえて早急に改善策に取りまとめる作業に入りたいと思います。そして、出来るだけ早く次回の会合を開き、改善策の“たたき台”について委員の皆様にお示ししご意見をいただきたいと思っております。
 次に、今回の勉強会を通じて感じた課題についてお話させていただきます。
 先ず技術面についてですが、地震規模の推定の手法について改善する必要があること、モーメントマグニチュードの推定について迅速化できないかということがあげられます。また、地震・津波観測網の強化が基盤として重要だという課題があげられました。技術面については、気象庁としても各委員の方々と共通の理解・認識にさせていただいたと思っております。
 最も大きな課題と思いますのが、大津波警報自体の内容・タイミングの在り方、さらにこれを国民一人一人の避難行動に如何に結び付けていくかです。
 これらの課題については、次回会合の最重要課題として、私どもが提案しますたたき台についてご議論いただくことになると思います。
 今後の警報の在り方を考える上で、私なりにポイントを整理しますと、先ず第一点としましては、不確実性を伴う情報を受け手側の立場に立って如何に伝えていくかということ、第二には、私どもの情報を真に機能させるためには、如何に防災計画と結びつけていくかということです。さらに第三には、自助も含めまして、国民一人ひとりを如何に具体的な避難行動に結びつけていくかということで、これにつきましては、周知・啓発や防災教育、さらには防災訓練等を具体的に如何に行うかというところにつながってくると思っております。
 以上、3点等について次回、集中的にご議論いただいて方向性をいただけたらと思っております。
 いずれにしましても、今後、津波警報の改善策を早急にとりまとめ、現在開かれております中央防災会議の専門調査会とも連携して、具体的な改善につなげていきたいと思っております。
 なお、今回の第1回勉強会でいただいたご意見や課題は、既に6月13日に開催された中央防災会議の専門調査会で報告をさせていただいております。
 以上が、津波の勉強会についての所感でございます。

 最後に全国の皆様へのお願いですが、身の回りの備えや地震発生後にとるべき行動について自ら再点検していただくことが重要ですので、地震に備えて防災意識を常に高めていただくことをお願いしたいと思います。
 また、大雨や高温についても細心の注意が必要ですので、気象庁が発表する情報をご利用いただいて、引き続き注意をお願いしたいと思います。
 以上、私からのお話とさせていただきます。



主な質疑応答

Q 高温注意情報を来月から発表の予定ということでお伺いしますが、たぶん熱中症は、もう既に何人も搬送されており、今後どんどん生じると思い、来年以降も大きな課題の一つであると思います。今のところ今年の12月までということですけれど、始まる前に伺うのもどうかと思うのですが、来年以降については、長官ご自身はどのようなイメージをお持ちでしょうか。
A 具体的には来年以降は未定です。今回の高温注意情報がどこまで普及していくか、あるいは電力の受給状況がどうなるか、というところを踏まえて、最終的には国民のサイドでの利用状況を見ながら判断させていただきたいと思っておりますが、今年で終わるというような話ではないと思っております。利用者の立場に立って、少しでも多くの熱中症を減らすという観点から判断することになろうかと思っております。

Q 津波警報の勉強会についてお伺いします。委員からの色々なご意見の中にはだいぶ厳しいご意見もあったかと思います。勉強会の途中に長官のご印象も披露されましたが、率直にどんなふうに受け止められたかを改めでお伺いできますか。
A 委員の方々からは、これまで我々が進めてきた技術の方向性では、マグニチュード9.0という現象において技術的に十分な力が及ばず、最終的には避難行動等に色々影響した部分もあったなど、多くのご意見をいただきました。正直申し上げて、これらのご意見は一つひとつすべてごもっともだなと思っております。また、聞き方によっては相反するような意見もありましたが、マグニチュード7前後から9までの地震に伴う津波に対してどのような対応をするのかという観点で整理しますと、実際上は一つの方向性として課題が収束していくのではないかというのが私の印象です。

Q 先ほどの冒頭発言の中で、課題のポイントのひとつ目のところで、受け手側の立場でいかに情報発信していくかというお話がありました。しかし、受け手側がそもそもどういうふうに情報を受け取って、理解して行動したかということに対してのアンケートがこれまでなく、おそらくそういった分析は欠かせないと思うのですが、今後議論していく上で、たとえば現地に入って調査されるといったご予定はあるのでしょうか。
A 中央防災会議の事務局であります内閣府や、私どもがご協力をいただいている大学の先生方も調査をされると聞いております。これらとも連携し有効に活用して、できるだけ重複がないよう、仙台管区気象台などに指示して具体的に調査していきたいと思っております。

Q 気象庁として調査をするという意向があるという理解でよろしいでしょうか。
A 調査したいと考えています。当然のことですが、内閣府や大学等の調査に私どもの調査事項を含めていただくということも考えております。いくつもの調査が重複していては、被災者の立場から見ると好ましくありませんので、そういったことを避けながら、効果的な調査を進めていきたいと思っております。

Q 長官ご自身は調査の中でどういったことをポイントにしたいと思っていますか。
A 調査のポイントは、やはり勉強会でご指摘がありましたように、量的な数値3メートルがどういうふうに活かされて、影響したのかという点などかと思います。さらに、津波警報を受けて皆さんが具体的にどう行動されたか、防災計画通りに行動された場合もあるでしょうし、そうでない場合もあるでしょうから、津波警報と避難行動との関連も含めて調査していくのではないかと思っています。したがって、気象庁サイドの調査だけでとどまるものでは無いと思いますので、内閣府等防災の全体を仕切るところで総合的な調査を行うことが重要になっていくのではないかと思います。

Q 調査の結果は、今後の勉強会の議論やその先の取りまとめにも活かすということでしょうか。
A できるだけ早く活かしたいと思っております。秋口には、勉強会としてのある程度の方向性を出したいと思いますので、完全に調査結果がとりまとまることを待つのではなく、調査結果が分かり次第、順次取り込んでいくということではないかと思います。

Q いまお話されました量的予報の件ですが、津波の勉強会ではここの部分でかなりの議論が広がっていたようなそんな印象を受けたのですが、その是非を長官に伺うのはちょっと難しいかと思いますが、この議論が広がったことについて、長官はどのようにお感じになりましたか。
A 先ほどの繰り返しになりますが、マグニチュード7から9クラスの地震によって津波が発生する場合についての取り組み方を考える必要があるということです。マグニチュード7クラスの地震ですと地震計が振り切れるようなこともないでしょうから、これまでの技術的な開発の方向性が妥当なところであったとは思うのですが、今回のマグニチュード9クラスになりますと、何人かの委員からご意見がありましたように、量的に最初に通報するのはいかがなものかという考え方もあるかと思います。こういった点から様々なマグニチュードの地震に対して津波警報をトリガー情報としてどう出していくかという観点で整理する必要があると思っております。先ほど申しましたように、それぞれの意見を聞くとかなり相反するように見えますが、実際はマグニチュードのスケールによって整理して見ていくと、ある程度つながっていくものではないかと思っています。

Q 昨日、降水ナウキャストが国交省のホームページの携帯サイトから閲覧可能になりました。その目的として「東北の復興・復旧の屋外で作業されている方へ」とありましたが、これから夏のレジャーシーズンでもありますし、このサイトを他の人たちにどのように役立ててほしいか、長官のご意見を聴かせていただければと思います。
A 基本的には、やはり復旧・復興のための屋外での活動が活発に行われていますので、出水期あるいは台風シーズンに向けて、関係者に積極的に利用いただきたいということからスタートしております。このサイトは全ての方が自由にアクセスできますので、当然これから夏場等、降水にかかわるレーダー情報は極めて重要な資料となりますので、屋外での活動あるいは自宅でも結構でございますが、積極的に有効に使っていただければと思っております。

Q 気象庁が携帯向けに情報発信するということが今回ひとつクリアできましたけど、3月の会見の時にもお伺いしましたが、避難情報に結びつく津波情報や警報に関する情報をエリアメールとかを含めた情報として発信するなどの取り組みについて、その進捗状況をお伺いできればと思います。
A 現在、特段に進捗しているという話は聞いておりませんが、気象庁だけではなく消防庁や中央防災会議を所管する内閣府など関係するところが極めて多いということがありますので、これら関係省庁とも連携して、具体的に通信事業者などとお話を進めていくことになろうかと思います。
 エリアメールについては、ご承知のように、地方自治体が最終的な利用者であること、さらに、様々な情報を災害情報も含めて一元的に出していくという話などもございますので、気象庁単独ということではなくて、先ほど言いましたように消防庁や内閣府とも連携してお話を進めていきたいと思っています。



(以上)

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