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長官記者会見要旨(平成23年4月21日)

会見日時等

平成23年4月21日(木) 14時00分~14時25分
於:気象庁会見室

発言要旨

 平成23年3月11日、東北地方太平洋沖地震によりまして、東日本大震災が発生しました。40日を経過し既に1万4千人超える多くの方々の人命が失われました。さらに、未だ1万人を超える方々の行方が分からないという未曾有の災害となってございます。ここに改めて、謹んでお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 本日の会見は、地震後2回目でございますので、前回の3月25日以降の地震活動の状況や気象庁の対応を中心に触れさせていただきたいと思います。一部前回の繰り返しになることもありますが、余震等の活動への注意あるいは今後大雨等が懸念され、それらへの注意喚起など極めて重要な事項と考えておりますのでお許しをいただきたいと思います。
 まず、活発な余震活動への注意でございますが、今回の地震活動の特徴といたしましては、活発な余震活動にあると思います。余震は次第に少なくなってきてはいますが、40日を経過しても未だ活発な状況で、震度5弱以上を観測する大きな余震が時々発生しています。特に、4月7日には宮城県沖でM7.1の地震が、さらに4月11日には福島県浜通りでM7.0の地震が発生しました。それぞれ震度6強と6弱を観測していますが、これらの地震によって土砂崩れなどが発生し尊い命が失われました。ここに、改めてお亡くなりになられた方々のお悔みを申しあげたいと思います。
 余震としましては、引き続きマグニチュード7クラス、最大震度5弱以上となる可能性がございます。さらに、大きな余震が発生しますと、津波が発生する可能性もありますので、引き続き警戒をお願いいたします。特に被災地では地盤が沈下している、あるいは堤防が破壊されていることもあり、津波に対してこれまで以上に脆弱になっておりますので、大きな揺れを感じる、あるいは津波警報等が発表されるというようなことがございましたら、被災地の浸水地域につきましてはすぐ避難するといった行動をとっていただきたいと思います。また、余震活動地域の以外でも茨城県等多くの地域で地震活動が高まっております。国民の方々には、常日頃から地震への備えを忘れずに、対応をお願いしたいと思います。なお、余震活動の最新の分析結果につきましては、今後の見通しも含めましてこのあと担当の地震予知情報課長から発表させていただきますので、詳細はそちらの方でよろしくお願いいたします。
 以上は地震の状況でございますが、次に観測網の復旧状況と今後の気象庁としての対応について触れさせていただきます。
 まず、4月7日の宮城県沖の地震によりまして、本震と同様に東北地方で大規模な停電が発生いたしました。これによって、地震計の一部が一時期使用不能になりましたが、その後、気象庁としましても、応急復旧に努め、さらに非常用電源について一部バッテリーが数時間と短かったものについて24時間化するという対応をとっているところです。現在は、全て正常に観測されています。
 なお、緊急地震速報につきましては、前回申しましたように不適切な事例も多いということで、一部計算手法を改善したことによって若干の改善はみられているようですが、引き続き適切に発表できない事例もありますので、ご理解をお願いしたいと思います。しかしながら、不適切な事例と言いましても、地震が発生していることは間違いないということですので、安全側に立って身を守って頂きたいと思います。
 次に、潮位計あるいは津波観測ですが、三陸沿岸の潮位計はほとんどすべてが大きく損壊しました。復旧には、かなり長期間を要する見込みですので、前回もお話ししましたように、臨時観測点を2点、大船渡、仙台新港につきまして、巨大津波観測と潮位観測の施設を臨時に設置しています。その他様々な対処を行いまして、津波注意報あるいは警報発表に際して津波監視に遺漏がないように努めていきたいと思っています。
 また、アメダスにつきましても、かなりの地点が発災後の停電あるいは通信障害で使えなくなりましたが、応急復旧に努めておりまして、現在は5地点を残して復旧しております。さらに今後可能な限り早期に復旧できるように努めていきたいと思います。
 以上、個々の観測システムの復旧状況についてご説明申しあげましたが、やはり前回申し上げましたように、今回の経験を踏まえて既存観測網の再点検を行うことによって、例えば、非常用電源バッテリーの長時間化等による強化、あるいは通信回線の2重化等による強化を今後考えていく必要があると思っております。また、さらに全国の地震津波監視網の強化についても、必要な措置を検討し実施してまいりたいと思います。
 前回は触れなかったのですが、被災地への飛行機の運航に対する支援ということで、航空気象についてふれたいと思います。被災地への航空輸送の拠点ということで、ご承知のように山形、福島、花巻の各空港が相当数活用され、例えば運用時間も24時間化したというようなことがございます。当然、気象庁としても各空港に官署を置いてございますので、その官署における気象観測、これを24時間行うという体制の強化を行っています。現在は平常に近い状況になっています。また、仙台空港につきましては、津波による浸水によって空港自体が相当大きな被害を受けたということで、気象官署の観測も、当然飛行場ですから滑走路周辺に観測装置がありますので、津波によって大きな被害が発生しています。その後、臨時の観測点を設置しまして、応急復旧を行って気象観測を開始しています。4月13日からは民航機も入っていますが、その対応についても遺漏なきよう努めているところです。しかしながら現段階では臨時の対応ですので、今後完全な復旧に向けて、努力していきたいと思います。
 次に、高潮・高波も含めて気象情報が被災地において極めて重要ですので、この点について、前回も申し上げましたが再度触れたいと思います。特に、余震も含めて、地震によって地盤がさらに脆弱になっていまして、実際M7.0の福島の地震では土砂災害が発生し、また、20日には栃木県でも土砂災害が発生しています。余震による土砂災害に加えて、大雨等における災害も懸念されるところです。今後、気象庁としても通常の気象情報に加えて大雨や高潮・高波に脆弱な地域について注意を喚起していきたいと思います。
 初めに、土砂災害につきましては、関東甲信から東北地方にかけて、相当揺れが大きかったということで、本省砂防部あるいは地方自治体の調査によりますとかなりの地域において危険性が高まっているということがいわれております。新聞等でも報道があったと思いますが、1万ヵ所以上という規模で危険個所があるということですので、今後ますます余震に加えて大雨等の情報が重要になってきます。気象庁としましては、引き続き余震等の状況に加えて大雨注意報・警報、さらには土砂災害警戒情報、これにつきましては地方自治体砂防部局と連携して情報発表するものですが、これらについて従前より基準を下げて、少ない雨でも情報を発表する運用にしております。これらの情報に注意し、危険な個所にお住みの方については早め早めの対応をお願いしたいと思います。
 次に、河川洪水ですが、河川の堤防あるいは排水施設等これ自体がかなり損壊しているということが報告されています。このため、洪水あるいは浸水等が通常より極めて発生しやすい環境になっています。出水期に向けて、既に発表する基準を引き下げるという運用を行っていますが、大雨や洪水注意報・警報等についても十分な注意をお願いしたいと思います。
 次に、国が管理する河川、あるいは地方自治体が管理する河川につきましては、河川を指定するという言い方をしますが、個別の河川についての洪水予報を気象庁と河川局あるいは地方自治体と共同で発表しています。特に仙台平野を中心とした河川に大きな被害が発生していますので、洪水予報を共同で実施しております東北地方整備局や宮城県と既に調整を進めておりまして、具体的にその運用を柔軟に行っていくという話で進めております。関東においても茨城県の河川において相当数の被害が出ていますので、関東地方整備局と連携し的確な洪水予報の発表に努めたいと考えています。
 第3番目として、高潮・高波ですが、先ほど言いましたように地盤の沈下が大きく、堤防の損壊も極めて大きいということですので、これまで以上に高潮・高波の情報に注意していただきたく、情報の強化に努めていきたいと思います。特に今後、沿岸部において復旧・復興活動がますます高まっていくことを考えますと、それらの活動に対して気象庁としてもしっかりと支援するために、情報を的確に伝える必要があると考えています。
 次に第4番目ですが、これは通常の天気予報に近いお話でございます。被災者の健康管理ということを考えますとやはり天気予報も極めて重要な情報になりますので、この発表についても的確に行っていきたいと思います。これまでは寒さ対策が発災後極めて重要でしたが、今後夏に向けて、今度は一転変わって熱中症等の暑さ対策が重要になりますので、その点について特に留意して発表していきたいと考えております。この暑さ対策につきましては、東北地方に加えて、今回は関東地方も含めて東京電力管内における節電ということがございます。特に高齢者等、暑さ対策が重要な方々も多いということでございますので、その点について注意喚起を行う等の対策を講じてまいりたいと思います。具体的には、予報業務許可事業者あるいは報道の関係者、さらには気象予報士等に協力を求めて、どのような呼び掛けを行うのかということも含めて議論するために、明日実務的な会議を開きます。環境省等とも連携し、また熱中症の専門家もお呼びして、様々な情報をその場で共有あるいは発信したいと思っています。
 気象庁では以上申し上げましたように、気象にかかわる情報を今後ますます充実して、復旧や復興活動をしっかりとサポートしたいと思っています。また、これまで以上に丁寧な対応が求められますから、その点からも常に国民の目線に立って情報の改善に努めていきたいと思います。
 以上長くなりましたけど、何れにしましても、余震活動も引き続き活発であり、さらに、余震活動地域外でも地震活動が活発ですので、防災はやはり個人個人の常日頃からの備えということが極めて重要です。全国の皆様には、もう一度、身の回りを再点検し防災への備えをお願いしたいと思います。例えば、津波対策の場合ですと、被災地におかれましても避難路を再確認すること等が重要です。そういった自らの身の回りを点検することで常に防災意識を高め、備えていただくということをお願いしたいと思います。そのうえで、気象庁が発表するさまざまな情報を有効に利用いただきますようお願いします。
 以上のお願いを最後にしまして、私からのお話を終わらせていただきます。


主な質疑応答

Q 明日開かれる熱中症の会議についてですが、もう少し詳しく、どういった方が何回ぐらいの予定で、いつくらいに結論をまとめられるのかを願いします。また、会議の内容としては熱中症だけに絞るということですか。
A 今回は熱中症に絞って、有識者としては、村山貢司さんという熱中症を長く研究され、民間気象事業で活躍された方に来ていただくことと、環境省の担当者に来ていただいて国における熱中症対策全体についてご紹介いただくという2点が中心になると思います。また、気象庁が発表する高温等の情報について解説を加えます。最初でございますので情報の共有と関係者の意識合わせといったことが目的になるかと思います。
今後はやはり、節電等様々な問題で気象情報が重要になりますので、機会をとらえて同じような実務的な会議を設けていきたいとは思っていますが、具体的に次の段階の2回目あるいは3回目といった会議を設定しているわけではございません。必要があればどんどん開催するように担当には私から指示しています。

Q 現在余震確率が10%で、今日も見直しがあるみたいですが、10%という中で5強・6弱の地震が起こっているわけですが、その観測自体の正確性と信頼性について、多少疑義が出ているような気もするのですが、そのあたりについていかがでしょうか。
A 鉾田市の震度計の話かと思いますが、市側から地元の地方気象台に調査について要請がございますので調査を進めております。その結果については、この後担当から詳細を説明させていただきます。いずれにしましても、これまでも大きな地震が発生した場合には震度が正しく計測されているかどうか実際に震度計がある場所に行って調査して、問題がある場合には改善していくという措置を行ってきています。今回はかなり広い領域でございますが、実際に大きな揺れが観測された震度計について同様に順次現地調査を行い点検しているところです。問題がある場合には震度情報での発表を止めるあるいは過去の情報について欠測扱いにするということもいたします。そういった点検も進めていきたいと思っています。
いずれにしても、震度といいますのは、過去におきまして人間の体感で揺れあるいは被害の状況を見て発表していたものに対応していますので、震度階級表に対応した一般の方々の感覚というものが重要と思いますので、その整合がとれるように我々も常に震度計の観測環境と観測データ自体の品質について点検していく必要があろうと思っています。

Q 緊急地震速報については、前回もお話されましたが、同じ時間帯に地震が2個や3個起きた時の処理についての対処についてはいつ頃を目途にされていますか。
A プログラムの改修等を検討している段階ですが、対処に数か月といった期間がかかる予定です。ただし、一部既に改修してございまして、そういった成果が表れているのか、あるいは余震活動自体が若干少なめになっているということなのか、徐々にではありますが、適切でない情報の発表も少なくなっているようです。いずれにしても、改善に向けて気象庁として努力していきたいと思います。

Q 津波予報の改善についてですが、今回も当初3メートル、その後に切り上げということで、今後改善されていかれると思うのですが、現状としての今後の改善をどのような形で進めていかれるのかという見通しについてお願いします。
A 津波予報自体の発表のあり方というのは、今回の経験を教訓にして見直していく必要があろうかと思っております。今の発表形態あるいは技術を考えて、現段階ですぐ改善に結びつくという話ではないかと思っていますが、その有り様については考えていきたいと思います。また、気象庁の情報のみで考えるということではなく、やはり津波の情報を我々が出した時に避難するあるいはハード的な対策はどうなのかというところで一体的に考えていかないといけないと思います。その点については、内閣府あるいは消防庁、様々な関係機関がありますので、そういう中で政府全体として一体的にどのように改善すべきかを検討できればいいのではないかと私自身は考えています。当然、技術的にどこまで改善できるのか、あるいは運用面でどのような改善策があるのかを検討をするのは我々の責任と思っています。それらを受けたうえでさらに実際の避難等の措置とハード面の対策とどう結びつけるのかというところを視野に入れていく必要があろうかと思っています。

Q そうすると、その避難に向けたハードであったり情報の出し方であったりを含めた全体の中で検討していくということでしょうか。
A 両方同時に進める問題と思っています。気象庁としても当然、情報のあり方を検討する必要がありますが、単にこれは一方的に我々がこうしますという形では進みませんので、我々の考え方をしっかりと内閣府あるいは関係省庁にも説明した上で、具体的に全体の対策にどう結び付けていくのかという議論になろうかと思います。

Q 熱中症関係ですが、最終的に何か情報の出し方としてこれまでにないものも出していく必要性があるというところを考えられるのですか。
A それについては、実務的な議論がどう進むのか、気象庁に対してこういう情報を作ってほしいという要請があれば、当然新しい情報なのか、あるいは気象予報士や予報許可事業者を支援する情報なのか、色々なケースが選択肢としてはあり得ると思っております。ただ、まずは、テレビ等でもさまざまな解説をしていただいておりますので、どのような解説を加えて注意喚起をすべきかということが、まず第一として重要と考えています。

Q 気象庁から放射性物質の広がりの情報について、なかなかオープンにならなかったという状況がありましたが、これについては何かお考えはありますか。
A 放射性物質の拡散シミュレーション情報は4月5日の段階で公開を始めてございますので、IAEAから要請があって計算が行われた段階においては、今後も順次ホームページで公開していきます。ただし、見方によっては混乱が生じるということも我々は懸念していますので、利用にあたっての注意事項を引き続き付して公開していきたいと思っています。

Q 当初公開されなかったことについては。
A 我々のモデルが極めて荒い100km四方であるということと、それ自体が国内の原子力対策では参考にならないという判断がございまして、発表した場合に無用な混乱が生じるのではないかということを考えて、公表をさし控えたということでございます。


(以上)

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